確定申告書での配当所得の書き方とは?3つの申告方法や注意点を解説

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2023年09月26日
確定申告書での配当所得の書き方とは?3つの申告方法や注意点を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 配当所得とは?
  • 配当所得を受け取った際の確定申告方法は?
  • 配当所得を受け取った際の確定申告書の書き方は?

「株主として配当を得たけど確定申告書はどう書けばいいんだろう」とお悩みの方は必見です。

配当所得とは、株主が出資を行っている企業から得られる収益の1つであり、配当金として提供される収入です。配当所得の確定申告方法には3つの方法があり、どの方法を選択すべきなのかは個人の所得状況によって異なります。

この記事では、配当所得を受け取ったときの確定申告方法がわからず困っている方に向けて解説します。記事を読み終わった頃には、配当所得を受け取ったときの申告方法・注意点がわかるでしょう。

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配当所得とは?

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配当所得とは、株主が出資を行っている企業から得られる収益の1つであり、配当金として提供される収入です。 株主は企業の株式を保有しているため、企業が利益を上げた場合に一部を株主に分配するかたちで配当金を受け取れます。

配当所得は株主にとって重要な収入源であり、企業の経営成績や成長性によって変動するものです。税務上では、配当所得は一般的に所得税や住民税の課税対象となります。

配当所得の3つの確定申告方法

配当所得に関しては以下の3つの申告方法があり、株主は自分にとって最もメリットがある申告方法を選択することができます。

  1. 確定申告不要制度
  2. 総合課税
  3. 申告分離課税

どの確定申告方法を選択するかは、個人の所得状況や税制によって異なります。適切な申告方法を選ぶことで、効果的な節税が可能となるでしょう。

1. 確定申告不要制度

配当所得が一定の範囲内(利益が20万円未満)であれば、確定申告を行わずに給与所得と一体化して税金が源泉徴収される制度です。所得税や住民税が給与所得と合算して自動的に差し引かれるため、個別に確定申告を行う必要がありません。

2. 総合課税

配当所得と他の所得(給与所得、不動産所得など)を総合的に合算し、合計額に対して課税する方法です。所得税や住民税は、すべての所得の合算額に対して一括して計算されます。

課税対象となる所得金額が1,000万円未満であれば、所得税10%分・地方税2.8%分の税率が控除されるのが大きな魅力です。所得の総額が1,000万円を超えるケースでは、所得税5%分、地方税1.4%分が控除対象として計上されます。

3. 申告分離課税

配当所得を他の所得とは別に申告し、個別に課税する方法です。申告分離課税を選択することで、配当所得に対する控除や税率が他の所得とは別に適用されます。

法人と個人の所得を適切に配分することで、税金を節約できる可能性があります。

配当所得695万円以下は総合課税の確定申告が得

総合課税を選ぶことで節税につながるのは、課税所得が695万円以下の場合です。配当を含む所得が695万円以下の場合、所得税は10%、住民税は2.4%の控除が適用されるため、トータルでは17.41%となります。

申告不要制度を選択した場合の20.315%よりもおよそ3%分の節税ができます。総合課税を選ぶと住民税率は7.2%が最低ラインとなるため、一律5%に設定されている申告不要の方が実質的にお得です。

所得総額が低い人は、総合課税で確定申告が完了した後に、自治体の窓口へ行って地方税に関しては申告不要と申告しましょう。さらなる節税を実現できる可能性があります。

配当所得の確定申告における3つの注意点

配当所得の申請を行う際には、以下の3つの注意点を留意しましょう。

  1. 配当所得から経費を差し引くことは認められない
  2. 総合課税を選ぶと健康保険料が割高になる場合がある
  3. NISAの限度額を超えた分の配当は確定申告が必要になる

条件によって控除の有無・確定申告の不必要が変わるため、注意が必要です。

1. 配当所得から経費を差し引くことは認められない

株式投資による配当所得の申告では、性質上原則的に経費の計上および申請を行うことができません。配当所得は、企業の利益の一部を株主に配分するものであり、個別の経費や費用を控除できないためです。

株式の取得をするために金融機関から借り入れを行った場合には、利子を経費として申告できます。

2. 総合課税を選ぶと健康保険料が割高になる場合がある

地方税(もしくは住民税)の支払い額と健康保険料の金額は連動しており、地方税の税率が高くなると保険料もアップします。総合課税を選択すると地方税の税率は最低7.2%となり、申告不要の場合よりも高い水準です。

健康保険料の支払いが割高になることを覚えておきましょう。

所得が高い場合、総合課税を選択することで税率が上昇し、税金負担が増加する可能性があります。所得が低い場合は、総合課税を選ぶことで、税金負担が軽減される可能性があります。

3. NISAの限度額を超えた分の配当は確定申告が必要になる

NISA(少額投資非課税制度)では、年間の投資額が120万円以下であれば、利益は非課税の扱いになります。原則として申告は不要です。

投資額が120万円以上の金額を運用している方は、基本的に確定申告が必要です。

e-taxでの配当所得の書き方と種目

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「e-tax」は、日本の国税庁が提供する電子申告システムです。配当所得をe-taxで申告する際の書き方と種目を説明します。

確定申告を行う際、配当所得に関して記載する項目は以下の5つです。

雑収入 配当所得は雑収入の一部であり、投資からの収入を指します。
住民税 配当所得は住民税の計算に影響し、地方自治体への納税に関連します。
収入金額 受け取った配当金額と源泉徴収税額を記載します。
所得金額 総合課税ではすべての所得を合算し、申告分離課税では配当所得の金額が所得金額となります。
税金の計算 所得税と住民税は、所得金額に応じた税率と控除額を考慮して計算されます。

雑収入の欄では、収入の種類を「配当」と記入します。借入金の利子が発生した場合は、経費の欄に金額を記入しましょう。

「収入金額」「所得金額」および「税金の計算」は、申告用紙の第一表に各欄が準備されています。

e-taxの書き方は以下の5ステップです。

  1. ログインとマイページへのアクセス
  2. 所得申告の選択
  3. 配当所得の選択と情報入力
  4. その他の情報入力
  5. 確認と提出

具体的な手順や画面表示は年度ごとに変更される可能性があるため、国税庁のホームページを参照のうえ入力しましょう。

1. ログインとマイページへのアクセス

e-taxのウェブサイトにアクセスし、個人のマイページにログインしましょう。

日本国内に住む個人は、e-taxにアクセスしてログインするために、電子証明書を取得する必要があります。

2. 所得申告の選択

マイページに入ると「所得・控除の申告」などのセクションから所得申告を選択します。

3. 配当所得の選択と情報入力

所得申告の画面に進んだら、配当所得に関する項目を選択しましょう。

以下の配当所得に関連する情報を入力します。

  • 配当の金額と支払い元の企業名
  • 配当金源泉徴収票(もし持っている場合、情報の入力またはアップロード)
  • 銀行口座情報(所得税の払い戻しに必要)

4. その他の情報入力

配当所得以外にも他の所得がある場合、所得に関連する情報を入力します。給与、不動産所得、事業所得などが含まれます。

5. 確認と提出

入力情報を確認し、間違いがないことを確認した後、申告書を提出します。提出後、支払情報や確定申告書の内容を再度確認しましょう。

まとめ

収入のうち配当所得が大きな割合を占めている人は、節税のためにも申告方式をよく考えて選択しましょう。年間で695万円前後の配当があるケースでは、健康保険料の支払額も含めて判断しましょう。

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監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

「配当所得」とは、その名のとおり配当として受け取る所得であり、株式や出資に係る配当金や投資信託(公社債投資信託及び公募公社債運用信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。

上場企業からの配当は基本的に源泉徴収が実施され、配当の受け取り時に税金が天引きされるので、確定申告をする必要がないという特徴があります。

しかし、分離課税よりも総合課税で配当所得を受け取る方がメリットがある場合もあります。その場合、分離課税で計算されている配当所得を総合課税の方法で税金を計算するためには、確定申告を期限内に申告する必要があります。

受け取った配当収入について、確定申告を行うほうがメリットがあるのかどうかは、税務署や専門家に問い合わせし、期限内に申告と納税を行いましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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