確定申告をさかのぼって申告することは可能?やり方や必要書類を解説!
- 確定申告はいつまでさかのぼって申告できる?
- 過去にさかのぼって申告した場合のペナルティは?
- 過去にさかのぼって申告する際に押さえるべきポイントは?
「確定申告をさかのぼって行うことは可能?」「どのように申告すればいい?」とお悩みの方、必見です。確定申告をせずにいると、還付金を受け取れなくなる、重いペナルティが課せられるなどの不利益を被るため、できる限り早く申告する必要があります。
この記事では、さかのぼって確定申告すべきケースや方法を解説します。最後まで読むことで、ペナルティや注意点についてもわかります。
過去の分の確定申告をしたい方はぜひ参考にしてください。
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過去にさかのぼって申告ができるのは5年分
確定申告をさかのぼって行いたい場合、過去5年分まで可能です。すでに提出した確定申告の所得税を納めすぎていた場合に行う「更正の請求」も、さかのぼって申告できる期限は5年と定められています。
1月1日から12月31日までに生じた所得を、翌年2月16日から3月15日までに確定申告するのが基本的なルールです。過去5年分はさかのぼって申告できますが、状況により青色申告が取り消される、ペナルティが課せられるなどのリスクが生じます。
過去にさかのぼって申告を行うべき4つのケース
過去にさかのぼって申告を行うべきなのは、以下の4つのケースです。
- 期限後申告
- 還付申告
- 修正申告
- 更正の請求
ペナルティが発生するかどうか、さかのぼって申告できる期限があるかどうかが異なります。自分が該当するケースを入念に確認しましょう。
期限後申告
期限後申告とは、申告義務があった所得税の申告や納税を法定申告期限内に行わず、期限後に申告することです。
税務署から指摘される前に期限後申告することで、複数発生する追加納税の一部が減額される可能性があります。税務署から指摘を受けて期限後申告しなければならない場合、所得の隠ぺいや偽装を疑われ、重加算税の支払いを求められるおそれがあるでしょう。
還付申告
申告した所得税が多すぎた場合、もしくは適用可能な控除を申告しなかった場合、還付申告が可能です。還付申告を行う場合、通常の確定申告書に必要事項を記載して税務署へ提出します。
還付申告が適用できるのは、以下のケースです。
- 年末調整時に申告していない控除があるケース
- 住宅ローンが残っているケース
- マイホームに特定の改修工事をしたケース
- 多額の医療費を支出したケース
- 特定支出控除の適用を受けるケース
還付金をさかのぼって申告できる期限は、該当年翌年の1月1日から5年間です。還付申告は行わなくてもペナルティは発生しませんが、納めすぎた税金は戻ってこなくなるため注意しましょう。
修正申告
すでに提出した確定申告の所得税額が、本来納めるべき所得税額より少なかった場合、修正申告が必要です。修正申告は、訂正前の申告書と一緒に正しい納税額を赤字で記載した確定申告書を税務署へ提出します。
修正申告では、すでに納めた所得税額と修正後の所得税額の差額を納めなければなりません。差額の分は納付期限を過ぎているため、延滞税が発生する点に注意しましょう。税務署から過少申告を指摘されて修正申告をする場合、延滞税以外のペナルティが課せられるおそれもあります。
更正の請求
還付される税額を過少申告した場合や本来の納税額より高い税額を申告していた場合、更正の請求を行います。国税庁ホームページで更正の請求書を入手可能です。必要事項を記入し提出する際は、経費や医療費控除の領収書など、請求の根拠となる書類をあわせて提出しましょう。
更正の請求をさかのぼって申告できる期限は、該当する確定申告の法定申告期限から5年以内です。更正の請求をしなくてもペナルティが課せられることはありません。また、必ず請求が認められるとは限りません。
過去にさかのぼって申告した場合に受けるペナルティ5つ
確定申告は毎年2月16日から3月15日の間に前年の所得額と所得税額を申告するのがルールです。正確な申告をせず、過去にさかのぼって申告した場合は以下のペナルティを受けるおそれがあります。
- 青色申告の取り消し
- 無申告加算税
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 重加算税
さかのぼって申告した場合、本来必要ない追徴課税を納めなければならないため、可能な限り法定申告期限内に確定申告を行いましょう。
青色申告の取り消し
法人は2年連続で期限後申告もしくは無申告だった場合に青色申告が取り消されることがあるでしょう。個人事業主は期限後申告や無申告だけで青色申告が取り消されることはありませんが、所得隠しや経費の架空計上が発覚すると取り消されることもあります。
青色申告ではなくなると、青色申告特別控除や赤字の繰り越し、青色申告専従者給与の控除などの恩恵を受けられなくなります。
無申告加算税
無申告加算税は、新たな納税額の50万円以下の部分に対して15%、50万円を超えた部分に対して20%の税率が適用されます。
税務署から指摘を受ける前に無申告状態に気づき期限後申告をした場合、税率は5%まで軽減されるため、可能な限り早くさかのぼって申告できるかがポイントです。以下のケースでは無申告加算税が課税されません。
- 期限日が過ぎてから1カ月以内に自主的に期限後申告をおこなう
- 法定申告期限内に申告しようとしたと認められる
延滞税
延滞税は、期限内に税金が納められなかった場合に課されるものです。所得税の納付期限翌日から納付する日まで、日数に応じた延滞税が自動的に加算されます。
納付期限の翌日から2カ月以内に期限後申告・納付を済ませた場合、税率は7.3%もしくは「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い方が適用されます。納付期限翌日から2カ月を超えて納付した場合、14.6%もしくは「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い方の延滞税を支払わなければなりません。
令和4年1月1日から令和6年12月31日までは、延滞税特例基準割合が1.4%であるため、基本的に延滞税特例基準割合の税率が延滞税に適用されます。
過少申告加算税
過少申告加算税は、確定申告での所得税額が実際より少ない場合、課されるものです。
税務署から過少申告を指摘された場合、新たに納める所得税額の10%が税率となります。新たに納める所得税が最初の申告額か50万円を超えると、超えた部分には15%の税率が適用される仕組みです。
自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税は課されないため、過少申告に気づいた時点で速やかに修正申告しなければなりません。
重加算税
所得を意図的に隠ぺいまたは偽装したと判断された場合、重加算税が適用されることもあります。所得を隠ぺいして所得税を過少申告した場合は新たに納める所得税の35%、無申告の場合は40%が税率となります。
5年以内に無申告加算税または重加算税をすでに課されていた場合、税率が10%加算されることもあります。それぞれ45%、50%の税率が適用されます。さかのぼって申告することを繰り返す、税金を何度も滞納するなどのケースでは、刑事罰に問われるおそれもあるため、注意が必要です。
過去にさかのぼって確定申告を行う際のポイント4つ
過去にさかのぼって確定申告を行う際は、次の4つのポイントを意識しましょう。
- さかのぼって申告する場合も申告方法や必要書類は同じ
- 申告義務が生じる基準を知る
- 期限後申告をする場合はできる限り早めに行う
- 無申告が続いている場合は税理士へ相談する
過少申告や無申告の状態を放置するのはおすすめできません。ポイントを意識しながら、可能な限り早くさかのぼって申告を行いましょう。
1. さかのぼって申告する場合も申告方法や添付書類は同じ
さかのぼって確定申告を行う場合、通常の申告と同じ添付書類の提出が求められます。期限後申告が原因で、提出書類や記載事項の追加が発生することはありません。
さかのぼって申告する際は、確定申告書や損益計算書などの添付書類をできる限り早くそろえましょう。個人事業主と法人が通常の確定申告の際に求められる主な書類は以下のとおりです。
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
主な提出書類 | ・確定申告書 ・青色申告決算書 ・各種控除の添付書類 ・損益計算書 ・賃貸借対照表 ・身分証明書 |
・別表一〜五(業種や業態問わず提出が必要) ・決算報告書 ・賃貸借対照表 ・損益計算書 ・株主資本等変動計算書 ・勘定科目内訳書 ・法人事業概況説明書 ・適用額明細書 |
申告方法も税務署での直接提出、郵送、e-Taxの3種類から選択できます。もっとも自分に都合のいい方法を選びましょう。
2. 申告義務が生じる基準を知る
確定申告をさかのぼって行う場合、どのような基準で申告義務が生じるのかを理解しておかなければなりません。条件を理解していないと、気づかないうちに無申告になる、余計な所得税を納めるなどの不利益を被ります。
確定申告の申告義務が生じる主な対象者は以下のとおりです。
- 副業の所得が20万円を超える会社員
- 所得が48万円を超える個人事業主(フリーランスを含む)
- 不動産所得や株取引での利益が48万円を超える方
- 退職金の受給に関する申告書を提出していない方
- 年収が2,000万円を超える会社員
- 2カ所以上の企業から給与を得ている会社員
3. 期限後申告をする場合はできる限り早めに行う
修正が必要であると気づいた時点でできる限り早く行動しましょう。過少申告税や無申告加算税は、税務署からの指摘前に自主的に申告することで税率が軽減されます。
自主的に期限後申告を行うことで重加算税の納税も回避できるでしょう。重加算税は非常に重いペナルティであるため、課税されるとキャッシュフローに悪影響をおよぼす場合もあります。
4. 無申告が続いている場合は税理士へ相談する
無申告の状態が何年も続いており、自分でさかのぼって申告するのも難しい場合、税理士への相談がおすすめです。税務調査の調査期間は過去5年間とされていますが、無申告が続いているケースでは最大7年間の調査が行われることもあります。
追徴課税が多額である場合、企業経営を圧迫するおそれがあります。速やかな確定申告や税務調査への対応、資金繰りを含め、税理士へ相談して善後策を考えましょう。
さかのぼって申告する際の注意点2つ
確定申告をさかのぼって行う際の注意点は主に以下の2つです。
- 更正の請求が認められないケースもある
- 所得税だけではなく住民税の納付も必要になる
それぞれの注意点をくわしく解説していきます。
更正の請求が認められないケースもある
さかのぼって更正の請求をした場合、すべてのケースで請求が認められるわけではありません。所得税を多く申告した、もしくは還付金を少なく申告した場合、5年間は更正の請求により還付金を受け取れる可能性があるでしょう。
請求を受け付けたあと、税務署は申請内容を精査し、還付すべきかどうか、いくら還付するかを決定します。申請内容によっては、請求が退けられ還付金を受け取れないことも考えられるでしょう。
所得税だけではなく住民税の納付も必要になる
さかのぼって確定申告を行った場合、住民税もあわせて納付しなければならない可能性が極めて高いです。確定申告を行うと、地方自治体はその情報から住民税額を決定します。
確定申告をしていなかった場合、無申告だった間の住民税の納付も必要になるでしょう。当然、納めていなかった住民税に対する延滞税も課税されます。
まとめ
確定申告をさかのぼって申告することは可能ですが、ペナルティが課せられるおそれがあります。税務署から指摘される前に、速やかに申告を行うことが非常に重要です。不安な方は、税理士へ依頼することをおすすめします。
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1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。
確定申告をすべき人がしなかった場合や確定申告の期限内に申告と納税が間に合わなかった場合には「加算税」「延滞税」「無申告加算税」などのペナルティがあります。
一方で、これまでに行った確定申告に誤りがあり、過去に多く納税していても、5年前の申告までの分しか、更正の請求(還付を求める申告)を行うことができません。
過去の確定申告の内容について誤りがあったことに気づいた際や本年分の確定申告の内容に疑問が生じた際には、国税庁のホームページや税務署の窓口、税理士等に確認しておかれるとよいでしょう。
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もしも今現在、
- 信頼できる税理士に依頼したい
- 自身の状況に合わせた税務アドバイスがほしい
- 税理士の費用相場がわからない
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の税理士・公認会計士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。
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