譲渡所得は経費がポイント!譲渡所得の正しい計算方法とは
- 不動産を売却したら譲渡所得の申告が必要って本当?
- 譲渡にかかる経費の種類は?
- 譲渡所得の計算方法は?
「不動産を売却したら譲渡所得の申告が必要と聞いたけど、譲渡所得がわからない…」という方必見!この記事では譲渡所得の申告が必要になった人に向けて、譲渡所得がどういったものなのかイチから解説。
最後まで読めば、譲渡所得の申告方法が分かります。
譲渡所得の計算に必要な経費やポイントについても解説するので、計算が難しいと感じる方はぜひ参考にしてください。
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譲渡所得とは「不動産を売却すると発生する所得」のこと
譲渡所得とは、不動産を売却した際に発生する課税所得の一種です。不動産に関する権利や物品、金銭など対価を得て譲渡したときに発生する所得を指します。不動産を売却した場合、その代金は譲渡所得とみなされ、確定申告をする必要があります。
譲渡所得を計算する際には、売却に伴う手数料や経費を含めることが重要です。手数料や費用には、仲介手数料、弁護士費用、その他のクロージングコスト(購入価格以外の諸経費)など含まれます。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の違い
譲渡所得を計算する際には、長期譲渡所得と短期譲渡所得を区別しなければなりません。
短期譲渡所得とは、土地・建物を譲渡して得た所得のうち、土地・建物を譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以内のものを指します。例えば2022年12月に売却した不動産の場合、2019年に購入したものであれば5年以内なので、短期譲渡所得で申告が必要です。
長期譲渡所得とは、最初に譲渡した日から6年以上経過した後に発生した不動産の売却による権利・物・金の譲渡による所得をいいます。
例えば、2022年12月に売却した不動産の場合、2016年以前に購入したものであれば6年以上経過するため、長期譲渡所得で申告が必要です。
不動産以外にもある?譲渡所得の対象となるもの
譲渡所得の対象となるものは、不動産以外にも、美術品、船舶、航空機、そのほか動産や事業用資産などがあります。
これらの品目の売却益は、売主に譲渡所得税が課されます。譲渡所得税の税率は、売却した不動産の種類と受け取った対価の額によって異なることに留意しましょう。
また減価償却できるものは、経過年数分の価値を減少させなければなりません。単純に売却額から購入額を控除するだけでは計算できないことにも注意が必要です。
譲渡所得を計算するには「経費」も重要
譲渡所得を計算する際に経費が重要なのは、譲渡で獲得した利益を減らせるためです。譲渡所得の場合、譲渡した資産に直接かかる費用が経費として控除できます。
控除の対象となる経費には、手数料や譲渡した資産を取得したときの費用、修繕費、申告費用などがあります。
例えば、譲渡した資産を購入したときの売買契約書があれば、取得費用がわかるので取得経費として控除できます。同時に、売却時に手数料があれば経費になります。
譲渡所得を計算する際には、譲渡前または譲渡中に発生した経費を考慮し、より正確に譲渡所得額を把握することが大切です。
譲渡費用になるもの
譲渡所得の計算時に控除できる費用は、不動産仲介手数料、測量士や弁護士への報酬、請求される手数料などがあります。控除できる他の費用は、損害保険料、毎年の固定資産税、必要な修理や改善、閉鎖費用、広告料です。
固定資産税の場合、1月1日に所有している人に納税義務があります。5月に売却した場合でも、前所有者が負担しなければなりません。実際に所有していない期間は「365日分の所有していない期間」を計算し、売却相手から差額分をもらいます。
売却するための手数料が500万円かかった場合、利益は3,500万円。減価償却資産を売却した場合は、耐用年数分の償却額を3,500万円から控除。さらに固定資産税を年間5万円納税するような場合、所有していた期間を経費、残りの36,300円(265日分)を売却した相手側から受け取ります。
譲渡費用にならないもの
譲渡費用に該当せず譲渡所得の計算上、控除できない項目もあります。旅費や宿泊費、住宅ローン費用などがあります。食事代や交際費、管理費などの付帯費用も譲渡費用とはみなされず、譲渡所得から控除することはできません。
ポイントとなる「取得原価」とは
譲渡所得を計算する上で重要な経費は「取得原価」です。これは、もともと不動産を購入した場合であれば支払った金額と、クロージングコストなど購入に関連するすべての費用のことです。売却損益の計算に使われる金額で、譲渡所得の金額を決定する重要な要素です。
株式であれば株式のほかに購入手数料が取得原価に含まれます。株式の積み立て購入の場合は、取得価格はその都度計算のやり直しが必要です。証券会社が発行する計算過程の説明通りに計算するか、税理士などの専門家に依頼するのが良いでしょう。
個人の契約により異なります。特定口座で「源泉徴収あり」なら不要「なし」なら必要。売却損が出たら、申告する方が有利な場合もあります。
取得費が分からないときは
取得費が分からない場合は、国税庁では売却金額の5%相当額を取得費にできるとしています。実際の取得費が売却した金額の5%相当額を下回る場合も、売却した金額の5%相当額を取得費とすることができます。
取得費が分かる場合には、税額計算のうえで有利な方を採用してください。
間違いやすいポイント
譲渡所得を計算する上で、重要な要素となるのが取得費です。物件取得費、登記費用、調査費用などの費用の合計で算出します。近い将来に売却する場合でも、取得費は必要です。
短期譲渡所得なのか、長期譲渡所得なのかという区別は取得費には関係ありません。取得費に関する注意点とは何があるのでしょうか。
登記費用は注意です。数千円から数万円まで幅があります。最終的に請求書をまとめるときに含めることが重要です。測量費用の計上も重要です。必ず測量士が入っているとは限らないため、あてはまる場合のみ含めます。
よく似ている3つですが、どれも意味合いが異なります。取得価額は期中一時点に取得した金額、取得原価は期末時点の簿価、取得費は土地の購入金額・建物の購入金額・建築金額から減価償却費を控除した金額です。
マイホームを買い替えた場合は?
特定のマイホーム(居住用財産)を、令和5年12月31日までに売却し、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。
特定の居住用財産の買い換えの特例といい、要件さえ満たせば誰でも対象です。ただし、譲渡益が非課税となるわけではない点に注意が必要です。
また、マイホームと表現しているように居住用財産が対象であり、別荘は対象になりません(譲渡所得の申告対象にはなります)。
譲渡所得における消費税の取り扱い
譲渡所得の申告をする際には、消費税も考慮する必要があります。例えば不動産の場合、土地は非課税、建物は課税です。多くの場合は、消費税を税込みのまま計算すればよく、難しいことはありません。
ただし稀に、消費税込みの金額で申告できない場合があり、譲渡所得の申告の際に消費税分を控除する必要があります。
例えば、消費税率が10%で不動産を購入した場合、もともと消費税の課税事業者になっている場合には、譲渡所得の申告の際に消費税分を除いて本体価格のみで計算しなければなりません。
譲渡所得がある場合の申告方法
譲渡所得申告をする際には、適用できるすべての税額控除や特例を検討することが重要です。控除がある場合は、それを考慮に入れて申告書の記載が必要です。
できれば取引に関するすべての記録や書類を保管しておくことが、あとから申告の時に役立ちます。例えば不動産の場合、売却する物件を購入したときの売買契約書と売却に関連するすべての文書や請求書が含まれています。
譲渡所得は課税方法が2種類あり計算方法が異なるため、書類や記録を残しておくといいでしょう。
分離課税とは
分離課税とは、個人の利益または損失をほかの個人の利益または損失から分離することができる課税方法です。譲渡所得のみで税金の計算を完結させ、そのほかに事業所得や給与所得があった場合には、税額のみを最後に合算します。
総合課税とは
総合課税とは、全ての所得を区別なく合計し最終の税額までを計算する方法です。総合所得の対象となるものは、次のとおりです。
- 利子所得(源泉分離課税を除く)
- 配当所得(源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したものを除く)
- 不動産所得、事業所得(株式等の譲渡による事業所得を除く)
- 給与所得
- 譲渡所得(土地・建物等および株式等の譲渡による譲渡所得を除く)
- 一時所得(源泉分離課税とされるものを除く)
- 雑所得(株式等の譲渡による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く)
譲渡所得の場合、土地や建物、株式の譲渡が対象です。そのほかの所得にも対象外となるものがあるので、参考程度に知っておくと良いでしょう。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得の金額は、次のような流れで計算します。
- 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額※ = 課税譲渡所得金額
さらに長期譲渡所得か短期譲渡所得かで課税します。
- 長期譲渡所得の場合・・・課税長期譲渡所得金額×15%
- 短期譲渡所得の場合・・・課税短期譲渡所得金額×30%
※特別控除とは次のとおりです。
控除額 | 内容 |
---|---|
5,000万円 | 収用等により土地建物を譲渡した場合 |
3,000万円 | マイホームを譲渡した場合 |
2,000万円 | 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合 |
1,500万円 | 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合 |
1,000万円 | 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合 |
800万円 | 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 |
100万円 | 低未利用土地等を譲渡した場合 |
譲渡所得の計算方法について、具体例を挙げて解説
2015年に5,000万円で取得した不動産を2022年に7,000万円で売却した場合について計算してみましょう。2015年から2022年までの減価償却費は312万円とします。譲渡費用は売却手数料を含み100万円です。
この場合「7,000万円-5,000万円-312万円-100万円=1,588万円」となります。
この建物は、6年以上経過しているため長期譲渡所得として計算します。1,588万円×15%=238万2千円が譲渡所得の納税額です。
もしこの建物がマイホームだった場合はどうなる?
「7,000万円-5,000万円-312万円-100万円=1,588万円」までは同じです。マイホームの場合は特例が適用され、さらに3,000万円を控除できます。つまりこの場合は「1,588万円-3,000万円=△1,412万円」となりマイナスになるため税金はかかりません。
まとめ
譲渡所得を把握するためには、まず総収入を計算し、そこから譲渡所得に関わる経費を差し引いて計算します。
取得費の取り扱いや不動産の場合は特例もあるため、単純な計算方法では税額が出ないこともあります。正しい計算をするためには、取得したときから売却までの売買契約書や請求書など書類の保管が必要です。
どうしても一度に納税ができな場合には分割払いを選択することができますので、控除や免除を考慮した上で計算し申告するようにしましょう。
1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。
確定申告すべき人がしなかった場合や確定申告の期限内に申告と納税が間に合わなかった場合には「加算税」「延滞税」「無申告加算税」などのペナルティがあります。
不動産を売却する場合に、購入時や売却時に支出した費用も大切ですが、軽減税率・特別控除・譲渡損失の繰越など譲渡所得ならではの特例が数多くあります。確定申告書の作成方法など、わからないことがあれば、お近くの税務署の窓口に早めに問い合わせてみましょう。
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