転職したときの確定申告のやり方とは?確定申告が不必要なケースを解説

税理士
監修者
税理士 佐藤 憲亮
最終更新日:2023年10月02日
転職したときの確定申告のやり方とは?確定申告が不必要なケースを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 転職したら確定申告は必要?
  • 確定申告と年末調整の違いとは?

「転職したら確定申告は必要だろうか」とお悩みの方は必見です。

前職で源泉徴収票を受け取り再就職した企業へ提出することで年末調整で精算できるため、確定申告を行う必要はない場合がほとんどです。「同年内に再就職しない」「源泉徴収票を提出しない」ケースでは、確定申告が必要です。

この記事では、転職したら確定申告は必要かわからず困っている方向けに、確定申告が不必要なパターンを解説します。記事を読み終わった頃には、転職で確定申告が不必要なケース・転職時の確定申告の流れがわかるでしょう。

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転職したら確定申告は必要?

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給与所得者であれば、通常は年末調整によって所得税が納められているため、個別に確定申告を行う必要はないケースがほとんどです。「同年内に再就職しない」「源泉徴収票を提出しない」ケースでは確定申告が必要になります。

確定申告が必要な場合は、前後の源泉徴収票・給与情報・控除額を収集し、期限内に正確な計算と手続きを行いましょう。確定申告には期限があるため、間違いなく期限内に手続きを行うことが大切です。

確定申告と年末調整との違い

年末調整と確定申告は、所得税を申告・納税する方法に違いがあります。以下にそれぞれの特徴を説明します。

  1. 年末調整
  2. 確定申告

それぞれの違いを把握し、正しく確定申告・年末調整を行いましょう。

1. 年末調整

年末調整は、給与所得者が103万円以上の年収を受け取る場合に雇用主が行う手続きです。 雇用主が従業員の給与から源泉徴収し、年末に年間の所得や控除などを総合的に考慮して確定した金額を申告・納税します。

年末調整は会社の義務であり、会社がまとめて従業員全員分を申請します。給与所得者(会社員)が1年間に源泉徴収された所得税額を個々人で正しく計算し、所得税を確定させる必要があるでしょう。

2. 確定申告

確定申告は、年間の総所得や控除などを個人が自ら申告し、必要な税金を計算・納税する手続きです。

不動産所得・配当所得・事業所得などがある場合や、年末調整では考慮されなかった特定の控除を受ける場合には、個別に確定申告を行う必要があります。

転職や退職で確定申告が必要な3つのケース

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転職や退職した場合、確定申告が必要なケースは主に3つあります。確定申告を忘れると、大きなトラブルになるおそれがあるため注意が必要です。

  1. 退職したあと同年内に再就職しないケース
  2. 前職の源泉徴収票を提出しなかったケース
  3. 「退職所得の受給に関する申告書」が未提出

確定申告を忘れると、未納税による罰金という大きなトラブルになるおそれがあるため注意が必要です。

1. 退職したあと同年内に再就職しないケース

転職の場合、再就職の時期によって確定申告が必要かが変わります。

会社の年末調整は11月〜12月に行われるため、この期間に会社に所属していない場合は確定申告が必要になります。例として、10月に前職を退職し次の年の1月に再就職する場合が挙げられます。

年の所得が確定してから所得税の精算が行われるため、年内に再就職しないと所得税の精算ができません。

2. 前職の源泉徴収票を提出しなかったケース

前職からの源泉徴収票を提出しないまま新しい職場に転職した場合、給与所得の重複申告を避けるために確定申告が必要です。重複して徴収された税金を調整し、過払い分を戻せる可能性があります。

3. 「退職所得の受給に関する申告書」が未提出のケース

転職する際に退職金を受け取っていて「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、確定申告をする必要があります。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、前職の会社が所得税額を計算し、源泉徴収するため確定申告は不要です。場合によっては、会社側が提出を見越して処理してくれるケースもあります。

転職や退職で確定申告が不要なケース

前職を退職した後、同年内に12月より前に新しい職に再就職する場合、確定申告が不要となります。年の所得が1つの源泉徴収票でまとめて調整されるためです。

前職の会社からもらった源泉徴収票を転職先に提出することで、年末調整を行ってもらえます。

転職時の確定申告のやり方

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以下の流れに従って、転職時の確定申告手続きを行うことで、正確な税金の調整や控除の申請を行うことができます。

  1. 手続きに必要な書類・情報を入手する
  2. 必要書類に記入する
  3. 書類を提出する

事前に把握し、スムーズに申告を行いましょう。

1. 手続きに必要な書類・情報を入手する

転職に伴って必要な書類や情報を入手しましょう。前職と新職の源泉徴収票や給与明細、退職金や離職証明書、住民票などが含まれます。必要な控除や特例に関する情報も整理します。

源泉徴収票

前職分の会社から発行された源泉徴収票と現職分の源泉徴収票が必要です。もし交付をお願いしたものの発行してもらえなかった場合には、給与明細を集計して自分で計算しましょう。

源泉徴収票不交付の届出書を提出することで、務署から前職の会社に税務指導を行う場合があり、発行してもらえる可能性があります。

マイナンバーカード

自分のマイナンバーカードと扶養家族がいる場合には、家族のマイナンバーが確認できる書類を準備します。

印鑑

書類の訂正に備えて、印鑑も手元に用意しておきましょう。

スマートフォンやカードリーダー

電子申告を行うのであれば、電子申告に対応したスマートフォンやカードリーダーが必要です。

必要書類

確定申告に必要な書類は、確定申告書、所得控除に係る証明書です。

確定申告書は、税務署や確定申告会場で入手できますが、国税庁のホームページでもダウンロードできます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に沿って金額を入力することで自動的に税額が計算できるためおすすめです。

参照:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等」(令和4年分の所得税および復興特別所得税の確定申告分)

2. 確定申告書に記入する

入手した書類をもとに、確定申告書に必要な情報を記入しましょう。給与所得や特定の所得、控除などを適切に記載し、税金の計算や調整を行います。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」であれば、画面にガイドが出てくるため誰でも簡単に確定申告書を作成できます。確定申告書の書き方がわからない場合には、税務署の職員や市町村の税務課などに尋ねましょう。

参照:国税庁 確定申告書等作成コーナー

3. 書類を提出する

記入が完了した確定申告書類を税務署に提出しましょう。書類の提出方法は主に3つあります。

税務署の窓口に書類を持っていく

税務署に書類を持っていくと、税務署の職員が書類をチェックしてくれるため、間違いをすぐに訂正できます。不明な点があれば、尋ねることもできるでしょう。

税務署の開庁時間(月曜日から金曜日の8時半から17時まで)にあわせて書類を届けなければいけません。

税務署に書類を郵送する

書類の郵送は、自分の好きな時間に送れます。郵送で書類を送る場合には、破損や汚損がないよう十分注意しなければなりません。

配達が遅れる可能性もあり、提出期限ぎりぎりで郵送すると、提出期限に間にあわないおそれもあります。余裕を持って書類を送りましょう。

e-Taxで提出する

国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用することで、処理が簡単で、自分の空き時間を利用して確定申告を行えます。

マイナンバーカード読み取り時にスマートフォンかカードリーダーが必要です。最初は税務署でe-Taxの利用を相談することをおすすめします。

参照:国税電子申告・納税システム(イータックス)

まとめ

退職後すぐに転職した場合、基本的には確定申告が不要です。すぐに転職先に再就職できない場合は、確定申告が必要になると考えましょう。

ケースによって確定申告が必要かは変わるため、不安であれば税務署の職員や税理士に相談することをおすすめします。

「比較ビズ」では、必要事項を入力する2分程度で、確定申告に強い専門家をスピーディーに探せます。どの専門家に相談すべきなのか迷うことがあれば、ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
税理士
佐藤 憲亮

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

令和4年の税制改正により、住宅ローン控除は大幅に変わりました。住宅ローンの控除率が1.0%から0.7%に下がったことにより、改悪したと言われることも多いですが、改正内容の全体を見ると一概に改悪とは言えません。

今までは住宅ローン控除の適用を受けられたとしても、その控除額を所得税・住民税から控除しきれない場合があり、控除額が余ってしまうということもよくありました。

しかし、今回の改正により、単年の控除率が下がり控除期間が伸びたことで、控除額が余りにくい制度へと変わったとも言えますし、薄く長く住宅ローン控除を受けられるようになったとも言えます。なお、具体的な変更点については、下記を参考にしてください。

【住宅ローン控除の変更点概要】
・原則控除期間:10年→13年
・住宅ローン控除率:1.0%→0.7%
・適用限度額(一般住宅):4,000万円→3,000万円(令和6年以降は2,000万円)
・中古住宅についての適用要件緩和
・床面積要件:50?以上→40?以上
・所得制限:3,000万円以下→2,000万円以下(一定の場合は1,000万円以下)
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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