メルカリで収入があったときの確定申告方法とは?確定申告が必要な条件も解説

税理士
監修者
税理士 佐藤 憲亮
最終更新日:2023年12月01日
メルカリで収入があったときの確定申告方法とは?確定申告が必要な条件も解説
この記事で解決できるお悩み
  • メルカリで確定申告が必要な条件とは?
  • メルカリで確定申告をする方法とは?
  • メルカリで確定申告する際の注意点とは?

「メルカリの収益が20万円を超えたけど、確定申告のやり方がわからない」と考える会社員や個人事業主の方は、必見です。メルカリで品物を販売して年間20万円以上の所得がある場合、確定申告が必要になる場合があります。

しかし「自分は確定申告が必要なのか」「どのように確定申告すればいいのか」などわからないことが多いでしょう。この記事では、メルカリで収益がある場合の確定申告の条件や方法を解説します。

記事を読み終わった頃には、確定申告に必要な書類ややるべきことがわかり確定申告の手続きを進められるでしょう。

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メルカリによる所得は原則確定申告が必要

個人事業主_レシート

メルカリを利用した商品販売・転売によって所得を得ている方であれば、原則として確定申告が必要となります。所得税法で所得のある人は所得税の納税が義務付けられているためです。

所得を申告して所得税を納税する手続きである確定申告は、メルカリに限らず所得のあるすべての方が対象です。会社員の方は、毎月の給与から差し引かれる源泉徴収額と年末調整を会社が代行しています。

メルカリによる所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額になります。正しく必要経費を計上できれば、節税効果を得られるでしょう。

メルカリで販売した商品で確定申告が必要なもの

メルカリで販売した商品で確定申告が必要なもの・不要なものは、以下のとおりです。

  • 生活用品・不用品は非課税
  • 高額な貴金属・骨董品・美術品は課税対象
  • 営利目的のハンドメイド販売・転売は課税対象

販売する商品が課税対象か非課税対象かを正しく理解しましょう。

生活用品・不用品は非課税

自身で利用していた生活用品をメルカリで販売して得られた収益は、非課税扱いとなるため確定申告の対象外です。生活用品・生活用動産を販売して得られた所得は「譲渡所得」に分類されますが、生活必需品は所得税法によって非課税とされています。

参照:国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得」

たとえば、小さくなり着れなくなった服や新しく買い替えるのに不要な家具などが非課税の対象です。

高額な貴金属・骨董品・美術品は課税対象

生活用品・生活用動産に分類される不用品でも、高額な骨とう品や貴金属・美術品などの販売で得られた収益は確定申告が必要な場合があります。貴金属・宝石・書画・骨とう品などで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税対象です。

参照:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」

たとえば、キャラクターのトレーディングカードを販売した際、1枚または1組で30万円以上の収益を得た場合は確定申告をしなければなりません。

営利目的のハンドメイド販売・転売は課税対象

自身で制作したハンドメイド製品の販売は「営利目的」と判断されるため確定申告の必要があります。ある商品を仕入れた後、仕入値に利益を乗せて販売する「せどり」取引も営利目的のため課税対象です。

古物の売買や古物を使った交換の際には「古物商許可証」が必要になる点にも注意しましょう。

古物商許可証

古物営業法に規定される古物を対象に古物商として営業を行うためには、営業所を管轄する都道府県公安委員会(窓口は警察署)の許可が必要です。

メルカリで得た所得で確定申告が必要になる条件

青色申告

メルカリで得た所得で確定申告が必要になる条件は、以下のとおりです。

  • メルカリが本業で所得額が48万円を超える場合
  • メルカリが副業で所得額が20万円を超える場合
  • 専業主婦・学生のメルカリユーザーで所得額が48万円を超える場合
  • メルカリで譲渡所得を得た場合

副業でメルカリをしている会社員の方は、会社の源泉徴収とは別に確定申告が必要になるため注意しましょう。

メルカリが本業で所得額が48万円を超える場合

メルカリの事業を本業としており、所得が48万円を超える場合は確定申告が必要です。メルカリ以外のプラットフォームでも販売行為をしている場合は、合算した金額が48万円を超えるか確認しましょう。

たとえば、メルカリでの所得が40万円、ヤフーオークションでの所得が30万円の場合、合計70万円の所得があるため確定申告の必要があります。

メルカリが副業で所得額が20万円を超える場合

メルカリを副業として利用している人は、メルカリでの所得が20万円を超えるとき確定申告が必要です。たとえば、会社員として勤務をしながら、ハンドメイド製品をメルカリで販売している人は所得が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。

メルカリ以外での雑収入がある場合は、合算した総所得で判断しましょう。

専業主婦・学生のメルカリユーザーで所得額が48万円を超える場合

専業主婦や学生でメルカリを利用して収益を上げている人もいるでしょう。専業主婦と学生の場合は、メルカリでの所得が48万円を超えるときに確定申告が必要になります。

世帯主の扶養家族となっている場合は、48万円まで認められている配偶者控除・扶養控除が適用できなくなってしまうため、注意しましょう。

メルカリで譲渡所得を得た場合

メルカリで30万円を超える貴金属などを販売して譲渡所得を得た方は、原則として確定申告が必要です。副業としての譲渡所得が20万円以内、専業としての譲渡所得が48万円以内であれば確定申告は不要ですが、譲渡所得が総合課税である点に注意しましょう。

譲渡所得の金額を算出する計算式は以下のとおりです。

所有期間5年以内
(短期譲渡所得額)
譲渡価額(販売金額)ー(取得費 + 譲渡にかかった費用)− 50万円
所有期間5年超
(長期譲渡所得額)
譲渡価額(販売金額)−(取得費 + 譲渡にかかった費用−50万円)×2分の1

参照:国税庁「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」

メルカリで得た所得は確定申告が不要でも住民税の申告が必要

条件に当てはまらず確定申告が不要の人でも住民税の申告は必要です。住民税をはじめとした地方税と国税は、地方自治体により所得控除の種類・金額が異なります。所得税がかからない所得額であっても住民税がかかる場合があります。

確定申告をしている場合は住民税も申告されるため不要ですが、確定申告していなければ住民税の申告が必要なため、注意しましょう。

確定申告で知っておくべき3つの基礎知識

家とTAX(税金)

確定申告で知っておくべき基礎知識は、以下の3つです。

  1. 納税する所得税額の計算方法
  2. メルカリの所得は雑所得・事業所得・譲渡所得
  3. 事業所得の場合は青色申告が可能

正しく確定申告するために重要な情報であるため、申告内容に間違いがないよう理解をしておきましょう。

1. 納税する所得税額の計算方法

確定申告によって納税すべき所得税額を算出するには、以下の計算式を用います。所得税の金額に復興特別所得税を加算しましょう。

所得税額の計算方法

所得税の金額=課税所得金額×税率−控除額

復興特別所得税の金額=所得税の金額×2.1%

所得控除とは、個人の事情にあわせて税負担を軽減させる制度で「生命保険料控除」や「ひとり親控除」など15種類定められています。

参照:国税庁 所得控除のあらまし

税率は、所得金額に応じて5%〜45%の7段階で区別されています。たとえば、所得が400万円の場合は税率が20%です。詳しくは、国税庁のホームページを参照してください。

2. メルカリの所得は雑所得・事業所得・譲渡所得

メルカリの所得は、雑所得・事業所得・譲渡所得の3つにわけられます。

  • 雑所得:さまざまな雑多な所得で、税率は一律
  • 事業所得:事業を営んで得た所得で、税率は所得額に応じて異なる
  • 譲渡所得:資産や権利の譲渡による所得で、税率は資産の種類によって異なる

メルカリで得られた所得は、会社員の副業の場合は「雑所得」本業の個人事業主の場合は「事業所得」です。貴金属・絵画などの所得は「譲渡所得」に区分されることが一般的です。

雑所得は他の所得との損益通算(黒字の所得から赤字の所得を控除する)ができません。譲渡所得は譲渡所得同士の損益通算が可能であり、事業所得は他の所得との損益通算が可能になります。

メルカリの所得が事業規模であれば、確定申告によって給与所得からメルカリの赤字を差し引けます。

3. 事業所得の場合は青色申告が可能

個人事業主の開業届を提出しているメルカリユーザーの場合、メルカリの所得を青色申告で確定申告ができるでしょう。青色申告であれば、最大65万円の特別控除を適用可能・赤字を3年間繰り越せるなど、税制上の優遇措置が得られます。

青色申告をする場合は、開業届とともに青色申告承認申請を提出し、複式簿記での記帳が必要になるため注意しましょう。

メルカリの確定申告方法:1. 収支計算

メルカリの確定申告で必要な収支計算の方法を解説します。

  1. メルカリの必要経費として認められるもの
  2. 青色申告を行う場合は複式簿記での帳簿記帳が必要
  3. 領収書などの証憑保存が必要

経費として認められている項目を把握し、利用した経費の証憑は保存しておく必要がある点に注意しましょう。

1. メルカリの必要経費として認められるもの

メルカリで得た所得が雑所得の場合、基本的に収支計算書は不要ですが、事業所得であれば収支計算が必要です。メルカリの販売履歴から総収入をチェックする必要があります。

販売履歴の確認方法は以下のとおりです。

  • アプリで確認する方法:サイドメニュー>売上・振込申請>売上履歴
  • WEBサイトで確認する方法:マイページ>売上・振込申請>売上履歴

必要経費は自身で記録しておきましょう。経費計上できる項目は、以下のとおりです。

商品・品物の原価 仕入れ代金、材料費など
販売手数料 メルカリに支払う手数料
振込手数料 銀行振込で支払った際の手数料
買い付け・仕入にかかった交通費 公共交通機関の交通費、ガソリン代、駐車場代など
送料・梱包費 商品・品物の梱包と発送費用
インターネット通信費 メルカリへの記載、購入者との連絡に用いた通信費など
※プライベートでも使う場合、家事按分が必要
水道光熱費・家賃 作業時の電気代や水道代など
※自宅の場合、家事按分が必要

プライベートで利用した経費とメルカリの業務で利用した経費を分けるために家事按分を行います。家事按分とは、プライベートと共有している経費を事業利用の費用と切り分ける方法です。

白色申告の場合は合理的に区分可能であれば、家事関連費を按分して経費計上できます。青色申告の場合、比率に応じた分を経費計上可能です。

2. 青色申告を行う場合は複式簿記での帳簿記帳が必要

白色申告の場合は簡易的な記帳が認められているため、お金の流れが明確であれば問題ありません。

最大65万円の控除のために青色申告をする場合は、複式簿記での記帳が必要です。現在は会計ソフトが安価で利用できるため、項目・数字を入力するだけで帳簿が簡単に作成できるでしょう。

3. 領収書などの証憑保存が必要

メルカリ事業の支出を裏付けるものとして領収書・請求書・レシートなどの証憑書類を保管しておく必要があります。確定申告時に提出する必要はありませんが、白色申告の場合で5年間、青色申告の場合で7年間の保管義務がある点に注意しましょう。

メルカリの確定申告方法:2. 収支内訳書・青色申告決算書の作成

メルカリの確定申告手順、2つめのステップは、収支計算の結果をもとに収支内訳書や青色申告決算書の作成です。

  1. 収支内訳書・青色申告決算書の作成
  2. 青色申告の場合は損益計算書などの追加資料を作成

白色申告では収支内訳書、青色申告で青色申告決算書が確定申告で必須の提出書類となります。

1. 収支内訳書・青色申告決算書の作成

収支内訳書・青色申告決算書とは、定期的に帳簿付けした結果を内訳書・決算書で記入・作成する書類のことです。それぞれ「一般用」「農業所得用」「不動産所得用」が用意されていますが、メルカリの確定申告の場合は「一般用」を使いましょう。

2. 青色申告の場合は損益計算書などの追加資料を作成

メルカリの所得を青色申告したい場合、確定申告書・青色申告決算書のほかに損益計算書の添付が必要です。最大65万円の特別控除を得たい場合は、賃借対照表の添付やe-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿保存)が必要となります。

白色申告であれば、確定申告書・収支内訳書のみで問題ありません。

メルカリの確定申告方法:3. 確定申告書の作成

メルカリの確定申告方法、3つめのステップは、収支内訳書や青色申告決算書の内容をもとに確定申告書の作成です。確定申告書は、以下の流れで作成します。

  1. 確定申告書を準備する
  2. 源泉徴収票を準備する
  3. 作成した確定申告書を提出する

1. 確定申告書を準備する

メルカリで得られた所得は「雑所得」「事業所得」もしくは「総合譲渡」に該当します。確定申告書の一表にある「所得から差し引かれる金額」の内訳となる二表を忘れずに記入しましょう。

国税庁のホームページからダウンロードでき、記入方法も確認できます。

2. 源泉徴収票を準備する

メルカリでの所得が副業である場合、本業として働いている会社からの源泉徴収票を準備します。確定申告書用紙には、源泉徴収票に書かれている金額から転記するものが多いです。

会社員の場合、所得税や住民税は会社が納めており、副業で得た収益に対する納税額を確定申告にて明らかにする必要があります。

3. 作成した確定申告書を提出する

作成した確定申告書と収支報告書をセットにして提出しましょう。確定申告書の提出は、税務署に直接持っていくパターンと、e-Taxを利用した電子申請のパターンがあります。

確定申告書の書き方に不安がある人は、税務署に持参してアドバイスを受けることができます。e-Taxを利用すると自宅から申請でき、青色申告の場合は最大65万円の控除ができる点がメリットでしょう。

メルカリの確定申告で注意すべき2つのポイント

個人事業主_パソコン

メルカリの確定申告で注意すべき2つのポイントを解説します。

  1. 副業が会社にばれないために住民税を普通徴収で納付する
  2. 確定申告をしないと追徴課税が課される

会社で副業が認められておらず、会社にばれないようにするためには住民税の納め方を普通徴収にしましょう。

1. 副業が会社にばれないために住民税を普通徴収で納付する

副業を認めている会社も増えてきましたが、禁止している会社も多くあります。会社に副業がばれてしまうのは、確定申告時の住民税が原因です。会社の経理担当者は、住民税が急に増加した人を見て、別の収入があることが把握できるためです。

会社にばれないための対策として、確定申告時に住民税を「普通徴収」で納付するようにしましょう。普通徴収の場合、自宅に振込用紙が送られてきて、コンビニや銀行で支払う流れになります。

確定申告時に住民税を「給与から差引き」にすると、本業の会社から住民税を納めます。

2. 確定申告をしないと追徴課税が課される

メルカリで20万円以上の所得が発生した人は、必ず確定申告をしなければなりません。確定申告を怠ると、本来の納税額に加えて、延滞税や無申告加算税などの追徴が行われる可能性があります。

所得が20万円以下のため確定申告をしない人も、後から指摘されたときに答えられるように年間の収支を取りまとめておくと安心です。

まとめ

メルカリで得た所得は、販売している商品や所得額に応じて確定申告をしなければなりません。日々の収入記録と利用した経費の記録を残しておき、正しいルールに則って確定申告をしましょう。

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監修者のコメント
税理士
佐藤 憲亮

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

メルカリで取引をしたことにより得た所得は、全てが自動的に事業所得になるのではなく、所得者の状況、取引内容により、事業所得にあたるのか、雑所得にあたるのかの判断が必要です。

一般的にはメルカリでの取引がが事業的な規模で行われているのかにより判断を行いますが、その事業的規模であるかどうかの判断は、複数の観点から総合的に行う必要があります。なお、総合的な判断を行う際は、下記項目を検討していく必要があり、これらをご自身の取引に当てはめて検討してみましょう。

・反復・継続・独立して行っているか
・有償性があるのか
・自己の計算と危険において行っているか
・その収入で生活をしているか等の生活状況
・社会通念上、事業として認識されているか
・帳簿書類などを適正に作成、保存しているか

細かい論点は他にもありますが、まずはこれらを用いて総合的に判断します。事業所得となる場合は青色申告等の特典を受けることができますが、副業的な小規模なものと判断できる場合は、雑所得として申告することになりますのでご注意ください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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