建設業で活用できる補助金・助成金はある?活用するメリットや申請方法を解説!
- 建設業で活用できる補助金・助成金の内容は?
- 建設業で補助金・助成金を活用するメリットは?
- 補助金・助成金はどのように申請するの?
建設業の会社や個人事業主が活用できる補助金・助成金には「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」があり、種類も豊富です。
この記事では、建設業の経営者向けに、建設業で活用できる助成金・補助金を紹介します。記事を読み終わった頃には、助成金の申請方法や活用するメリットがわかるでしょう。
「資金調達で補助金や助成金を活用できないだろうか」「申請が難しそう」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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建設業で活用できる補助金・助成金10選
建設業で活用できる補助金や助成金は数多く準備されています。少しでも支出を抑えるために、補助金・助成金は非常に有効です。建設業で活用できる補助金・助成金の中から以下10種類を紹介します。
- 建設技術研究開発助成制度
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 建築BIM加速化事業
- 住宅エコリフォーム推進事業
- 人材確保等支援助成金
- 雇用調整助成金
- 特定求職者雇用開発助成金
- 働き方改革推進支援助成金
1. 建設技術研究開発助成制度
専門的な研究をしている企業には建設技術研究開発助成制度がおすすめです。建設分野に特化した補助金で、建設技術の高度化や国際競争力の強化が主な目的です。企業や研究所から優秀な提案が出された場合、予算の範囲内で補助金が交付されます。
「GEOTETS工法による農地等の水環境保全、土壌汚染の拡散防止に関する研究」(有限会社さかわ土木工業)や「液化炭酸ガスと3次元曲りボーリングを組み合わせた地盤凍結システムの高度化に関する研究」(ケミカルグラウト株式会社)などが採用されています。
2. 小規模事業者持続化補助金
中小企業のために設置されているのが小規模事業者持続化補助金です。商工会の管轄地域で事業を営んでいる小規模事業者を対象とし、販路開拓や業務効率化などの取り組みを支援するために補助金が交付されます。
対象となる範囲は広く、広報費やウェブサイト関連費、開発費などが該当します。補助率は最大で3分の2、補助金の上限額は通常枠50万円、賃金引き上げ枠や後継者支援枠では200万円です。
3. ものづくり補助金
建設業を営む方はものづくり補助金を活用することもできます。ものづくり補助金は、資本金3億円以下、常勤従業員数300人以下の建設業を含む中小企業もしくは個人が対象です。補助事業実施期間内に支払いが完了した経費が補助されます。
補助金の対象となる支払いは、単価50万円以上のシステム構築費、技術導入費、専門家経費などです。それぞれの費用に対する補助金の上限は以下のとおりです。
補助上限額 | |
---|---|
技術導入費 | 経費総額(税抜き)の3分の1 |
専門家経費 | 経費総額(税抜き)の2分の1 |
外注費 | 経費総額(税抜き)の2分の1 |
知的財産権等関連経費 | 経費総額(税抜き)の3分の1 |
海外旅費 | 経費総額(税抜き)の5分の1 |
通訳・翻訳費 | 経費総額(税抜き)の5分の1 |
4. IT導入補助金
建設業でITツールの導入を検討している場合IT導入補助金を利用可能です。対象となるのは中小企業や小規模事業者で、ソフトウェアの購入費用やクラウド利用料、ハードウェア購入費に対して補助金が交付されます。
通常枠(A・B類型)に加え、サイバー攻撃への対策を推進する補助金、会計ソフトや決済ソフトの導入を支援するデジタル化基盤導入枠が設置されています。それぞれの補助率や補助額は以下のとおりです。
補助率 | 補助額 | |
---|---|---|
通常枠(A類型) | 1/2以内 | 5万〜150万円未満 |
通常枠(B類型) | 1/2以内 | 150万〜450万円 |
セキュリティ対策推進枠 | 1/2以内 | 5万円〜100万円 |
デジタル化基盤導入類型 | 3/4もしくは2/3以内 | 機能により上限350万円 |
5. 建築BIM加速化事業
建設業でBIMの利用を検討している企業は建築BIM加速化事業を活用できます。BIMとは「ビルディング・インフォメーション・モデリング」と呼ばれ、3次元の建築モデルにコストや管理情報などすべての情報を蓄積することで業務を効率化するワークフローです。
建築BIM加速化事業では、BIMライセンス費用やモデラー費用、コーディネーター費用などが補助の対象です。建築物の延べ床面積ごとの補助額は以下のとおりです。
設計費 | 建設工事費 | |
---|---|---|
1,000?以上10,000?未満 | 2,500万円 | 4,000万円 |
10,000?以上30,000?未満 | 3,000万円 | 5,000万円 |
30,000?以上 | 3,500万円 | 5,500万円 |
6. 住宅エコリフォーム推進事業
住宅のリフォームを請け負っている建設業者が利用できるのが住宅エコリフォーム推進事業です。住宅の省エネ化を推進するための補助金で、とくに太陽光発電の利用や断熱性能の向上などを利用してエネルギー収支をゼロ以下にする住宅(ZEH)への回収を対象としています。
建設業者が住宅エコリフォーム推進事業に応募するためには、事業者登録が必要です。登録後に工事着手、申請した場合の補助率や上限額は以下のとおりです。
補助率 | 上限額 | |
---|---|---|
省エネ診断 | 3分の1 | - |
省エネ設計 | 3分の1 | - |
省エネ改修(建替え含む) | 11.5% | 戸建住宅512,700円/戸、共同住宅2,500円/? |
7. 人材確保等支援助成金
建設業が利用できる補助金は建設に関するものだけではなく人材確保等支援助成金のように人材確保を目的としたものもあります。人材確保等支援助成金は、労働環境の向上や人材の定着を目的としたキャリアアップシステムのための支出を助成するものです。
人材確保等支援助成金は全部で9つのコースにわかれているのが特徴です。離職率低下の目標を達成した場合や、労働環境向上事業を実施した場合に費用の一部が助成されます。コースによって、条件が事業の実施か目標の達成かで異なるため注意が必要です。
8. 雇用調整助成金
雇用の維持が必要な建設業者には雇用調整助成金がおすすめです。雇用調整助成金は事業活動を縮小しなければならない事業主が対象の助成金です。とくに休業、教育訓練、出向のための費用が助成されます。
条件は中小企業・中小企業以外の企業のうち、最近3カ月間の月平均売上が前年同期と比較して10%以上減少していることです。休業、出向、教育訓練に対する受給金額は以下のとおりです。
中小企業 | 中小企業以外 | 対象労働者1人あたりの上限額 | |
---|---|---|---|
休業・出向の実施 | 3分の2 | 2分の1 | 8,355円 |
教育訓練実施時の加算 | 1人1日あたり1,200円 | 1人1日あたり1,200円 | - |
9. 特定求職者雇用開発助成金
長期にわたって雇用されるのが困難な人を雇用する企業に対して交付される特定求職者雇用開発助成金があります。障がい者や高齢者など、厚生労働省が指定する、雇用されるのが困難な人を雇用した場合に助成金が受け取れます。
特定求職者雇用開発助成金を受けるためには、単に雇用するだけではなく雇用期間が継続して2年以上であることが求められます。短期労働者以外の者を雇用した場合、支給額や助成期間は以下のとおりです。
支給額 | 助成対象期間 | |
---|---|---|
高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母など | 60万円 | 1年 |
重度障害者等を含む身体・知的障害者 | 120万円 | 2年 |
重度障害者 | 240万円 | 3年 |
10. 働き方改革推進支援助成金
時間外労働の削減や有給休暇の取得を進めている企業に対しては働き方改革推進支援助成金が交付されます。労務管理担当者への研修や就業規則・労使協定の作成・変更、人材確保の取り組み、労務管理用ソフトウェアの導入などを行った中小企業に交付される助成金です。
助成金額は成果目標や取り組みの種類により異なります。36協定について時間外・休日労働時間数の縮減、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下の上限設定、所轄労働基準監督署長への届け出を行った場合、100万円から200万円の助成金が交付されます。
建設業で補助金・助成金を活用するメリット3つ
建設業で利用できる補助金や助成金を活用することには大きなメリットがあります。主なメリットは以下の3つです。
- 返済の必要がない
- 種類が豊富で自社にあったものを選べる
- 事業の信頼度が上がる
1. 返済の必要がない
補助金や助成金のメリットは、返済の必要がないことです。補助金や助成金は、国や地方自治体が交付するもので、企業に対して返済を求めるものではありません。
補助金や助成金以外の資金調達方法として挙げられるのが融資や株式発行です。融資は利息を付けて返済する必要があり、株式発行は株主に対して配当金を支払わなければなりません。返済不要の補助金や助成金は、企業にとって大きなメリットがあります。
2. 種類が豊富で自社にあったものを選べる
人材確保のための助成金や働き方改革を実施するための補助金など種類が豊富です。自社にあったものを選びましょう。どの補助金が自社に合うのか相談窓口で情報を得ることも可能です。
補助金や助成金は、複数の制度を併用することもできます。条件を満たせば申請可能であるため、できるだけ多くの補助金や助成金を利用するようにしましょう。
3. 事業の信頼度が上がる
補助金や助成金には審査があり、審査に合格することで事業の信頼度が上がります。国や地方自治体の厳しい審査に通過した場合、顧客も安心して業務を任せられるでしょう。顧客へのアピールポイントにもなり、新規案件の獲得につながります。
建設業で補助金・助成金を活用するデメリット3つ
建設業で補助金や助成金を利用することには大きなメリットがありますが、デメリットも知っておかなければなりません。補助金や助成金を利用するデメリットは以下の3つです。
- 情報収集が必要になる
- 基本的に後払いで支払われる
- 課税対象になるおそれがある
1. 情報収集が必要になる
補助金や助成金を利用するデメリットとして挙げられるのが、詳しい情報収集が必要になる点です。補助金や助成金には細かな条件が決められており、事前に事業者として登録が必要なものもあります。締切日はいつなのか、補助金が撤廃されていないかなどを確認しましょう。
補助金や助成金を活用する前には、ホームページや窓口で詳しい情報を尋ねる必要があります。具体的な条件や補助金額、対象となる事業を確認しておけば、締め切り前に申請が行えるでしょう。
2. 基本的に後払いで支払われる
補助金や助成金の別のデメリットは、基本的に後払いで支払われることです。銀行からの融資や株式発行で得た資金は、出費の前に確保可能です。一方、補助金や助成金は、実際に支払った金額の一部が補助される形です。
資金が潤沢でない建設業者の場合、補助金や助成金の対象となる事業を行うための資金さえ確保できないおそれがあります。その場合、補助金や助成金を申請する前に資金繰りが悪化し、資金調達が間に合わなくなる可能性があります。
3. 課税対象になるおそれがある
補助金や助成金の別のデメリットは、課税対象になるおそれがあることです。法人の場合には法人税、個人事業主の場合は所得税に含まれます。根拠となる法令に非課税となる記載がある場合のみ非課税の対象です。
補助金や助成金が課税対象になる場合、法人税や所得税が高額になるおそれもあります。法人税、所得税は所得区分によって税率が定められているため、補助金・助成金により所得が増える点に注意が必要です。
補助金・助成金申請の4ステップ
補助金・助成金を申請する際には、以下の4つのステップを踏む必要があります。
- 補助金・助成金の情報収集
- 申請書・必要書類の作成
- 審査
- 補助金・助成金の支給
1. 補助金・助成金の情報収集
建設業者が補助金や助成金の申請をする場合、最初に情報収集を行わなければなりません。自社にあった補助金や助成金はあるのか、どのような事業が対象となるのか、補助を受けても実施する価値があるのかなどの疑問を解消する必要があるでしょう。
補助金や助成金の多くは、国や地方自治体のホームページでリーフレットが掲載されています。条件や補助率、上限額などほとんどの情報はホームページで集められるでしょう。疑問点や不明点がある場合、専用の窓口で詳しい情報を得られます。
2. 申請書・必要書類の作成
補助金や助成金の情報を集めたあと、申請書や必要書類を揃えなければなりません。申請書はホームページからダウンロードできるのが一般的です。必要書類は補助金や助成金ごとに異なるため注意が必要です。
必要書類に不備があった場合、再提出が求められたり審査に通らなかったりするおそれがあります。申請期限間近で書類を提出した場合、再提出によって期限切れになることもあるため、前もって必要書類の準備を始めるようにしましょう。
3. 審査
補助金や助成金の申請書類提出後、国や地方自治体の審査に移ります。書類審査の場合、申請者である企業や個人ができることは特にありません。審査結果が出るまでに1カ月から3カ月ほどかかる場合もあることを覚えておきましょう。
補助金や助成金の種類によっては、面接を受けなければならないケースもあります。事業計画や実施した事業の内容を尋ねられるため、わかりやすく回答できるように準備しましょう。
4. 補助金・助成金の支給
補助金や助成金の審査に合格したあと、指定の口座に決められた金額が入金されます。支給額に間違いがないか確認しましょう。
補助金や助成金が確定申告の対象になる場合、申告漏れが起こらないような対策も必要です。
まとめ
建設業で活用できる補助金や助成金は、小規模事業者持続化補助金や人材確保等支援助成金など10種類以上あります。自社にあったものを選びましょう。
返済不要である、事業の信頼度が向上するなどのメリットがある一方で、細かな情報収集が必要、課税対象になるなどのデメリットもあるため、吟味しましょう。
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