ISO認証の取得費用相場とは?取得までの流れ・勘定項目も解説
- ISO認証とは?
- ISO認証取得にかかる費用とは?
- ISO認証取得までの流れとは?
「ISO認証の取得を検討しているけど、費用相場がわからない」とお悩みの方必見です。
ISO認証は、企業が国際的な品質基準を遵守し、競争力を高めるための重要な手段です。ただし、ISO認証を取得するには認証費用・設備費用・研修費用がかかります。
本記事では、ISO認証の取得から維持・更新まで、必要な費用相場を項目ごとに解説します。記事を読み終わったころには、スムーズなISO認証取得の計画が立てられるでしょう。
もしも今現在、
- どのコンサルタントに依頼したらいいかわからない
- 見積もり金額を安く抑えたい
- 継続的に費用が発生するのか知りたい
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の経営コンサルタントに一括で相談ができ、各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。相談したからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。
ISO認証とは?
ISO認証は、国際標準化機構(ISO)が定める品質管理や環境管理、情報セキュリティ管理などの国際規格に基づいた認証制度です。特定の組織がISOが定める規格に適合していることを証明するものであり、一般的には第三者機関によって審査・認証されます。
組織がISO認証を取得することで、組織の品質管理や環境管理、情報セキュリティ管理などが国際的な基準に準拠していることが証明されます。そのため、組織の業務効率化や顧客満足度の向上、国際市場での競争力強化などが期待できるでしょう。
ISOは国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称で、国際的な標準化団体として活動する非政府組織です。スイスのジュネーヴに本部があり、各国の業界や組織が共通の基準に基づいて活動するための枠組みを提供しています。
ISOマネジメントシステム規格とは?
ISOはモノ規格のほかに、マネジメントシステム規格も規定しています。ISOマネジメントシステムの認証は原則1国に1機関ある認定機関から認定された審査登録機関(認証機関)によって与えられることが一般的です。
日本では公益財団法人 日本適合性認定協会(JAB)が、審査登録機関(認証機関)を認定しています。JABが認定している審査登録機関は2022年12月時点で36存在しますが、他の認定機関が認定している審査登録機関も存在するため、正確な存在数は不明とされています。
参照元:公益財団法人 日本適合性認定協会:認定されたマネジメントシステム認証機関
ISO認証の種類
ISOマネジメントシステム規格は、目的や達成すべき目標に応じて複数が用意されています。代表的なISOマネジメントシステム規格は以下のとおりです。
ISO認証の種類 | 概要 |
---|---|
ISO9001(品質マネジメントシステム:QMS) | 商品やサービスなどの品質向上が目的 |
ISO14001(環境マネジメントシステム:EMS) | 自然環境や労働環境などの改善が目的 |
ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム:ISMS) | 情報資産の保護が目的 |
ISO22000(食品安全マネジメントシステム:FSMS) | 食品衛生手法の向上が目的 |
ISO認証取得の費用相場・内訳
ISO認証取得の費用相場・内訳は以下のとおりです。
- マネジメントシステム構築費用
- ISO審査費用
- 設備費用・諸経費
ISO認証取得にかかる費用は「従業員数」「適用範囲」のほかに「認証を取得するISO規格の種類」の要因で大きく変動します。
1. マネジメントシステム構築費用
ISO認証を取得するには、マネジメントシステム構築にかかる費用が必要です。おおまかな費用相場は以下のとおりです。
企業規模(従業員数) | 費用相場 |
---|---|
15名以下 | 50万円〜 |
20名前後 | 60万円〜 |
50名以上 | 100万円〜 |
一般的には、最低で50万円程度、場合によっては200万円前後になるケースがあります。従業員数が多いほど仕組みづくりが複雑になるため、コンサルティング費用は高額になるでしょう。
依頼するISOコンサルティング会社によっても費用・サービス内容が大きく異なります。なかには「ISO取得までの期間」に応じた月額制を採用する会社もあります。
2. ISO審査費用
ISO認証を取得するために必ずかかる費用が、ISO認証機関へ支払う審査費用です。新規にISO認証を取得する際は、認証までの審査は2段階実施されます。
費用の内訳は「ISO登録料」「第1段階審査料」「第2段階審査料」「審査員の交通費・諸経費」となります。
ISO審査費用は審査機関によっても異なるほか、取得するISO規格の種類・企業規模・適用範囲に応じて変動するでしょう。
ISO規格の種類 | 企業規模(20名程度) | 企業規模(50名程度) |
---|---|---|
ISO9001 | 40万円〜 | 100万円〜 |
ISO14001 | 40万円〜 | 100万円〜 |
ISO27001 | 50万円〜 | 120万円〜 |
上述の例は、本社あるいは工場など、一箇所のみの取得を前提にしたケースです。ISO審査費用は最低でも40万円程度から、100万円を超える場合もあると考えておくべきでしょう。
複数のISO認証を取得することで費用は増えていきます。
3. 設備費用・諸経費
取得するISO規格によっては、マネジメントシステムを構築するにあたって設備投資や、付随する諸経費が必要な場合もあります。たとえば、情報セキュリティマネジメントシステムを構築する際には、入退出管理システムの設置が求められる場合があるでしょう。
ただし、品質マネジメントシステムをはじめとした構築では、設備投資が必要になることはほぼありません。ISO認証取得に必要な費用の大部分は「マネジメントシステム構築費用」「ISO審査費用」です。
ISO認証は取得後も維持・更新費用がかかる
ISO認証の有効期限は3年間です。以降もISO認証を継続するためには「更新審査」と1年ごとの「維持審査」が必要になります。
取得後抑えておきたいポイントは以下のとおりです。
- ISO認証の維持・更新費用
- ISO認証取得後のコンサルティングの有無
- 維持負担軽減のためにもISOコンサルタントの活用がおすすめ
審査には審査費用が必要であり、ランニングコストが毎年かかります。
1. ISO認証の維持・更新費用
ISO認証取得後の維持審査である「定期審査」は、取得1年後および2年後に実施されます。費用相場は企業規模や適用範囲によっても異なりますが、おおよそ新規ISO認証取得費用の3分の1程度を見ておくべきでしょう。
審査の種類ごとの費用相場は以下のとおりです。
審査の種類 | 費用相場 |
---|---|
新規ISO認証取得 | 100万円 |
1年後のISO定期審査 | 33万円 |
2年後のISO定期審査 | 33万円 |
3年後のISO更新審査 | 66万円 |
4年後のISO定期審査 | 33万円 |
たとえば、取得時の費用が100万円であれば、1年後の定期審査で33万円程度、2年後の定期審査で33万円程度がかかるイメージです。
一方の「更新審査」は、新規ISO認証取得後、3年ごとに実施されます。費用相場は、おおよそISO認証取得費用の3分の2程度です。
取得時の費用が100万円であれば、3年後の更新審査で66万円程度がかかるイメージです。もちろん、更新審査後は1年ごとに「定期審査」を受けなければなりません。
2. ISO認証取得後のコンサルティングの有無
マネジメントシステムを改善するにあたって、ISOコンサルタントのサポートが必要であれば、コンサルティング費用が発生します。
ただし、小規模な企業や特定の業界では、ISOコンサルタントによるサポートが必要ないケースがあります。規模が小さいためリソースが限られている場合や、業界が標準的な手法やプロセスをすでに採用している場合は、外部のコンサルタントに頼る必要がないことも多いです。
構築後の運用・改善を自力でできているのであれば、ISOコンサルタントへの依頼は不要といえるでしょう。
3. 維持負担軽減のためにもISOコンサルタントの活用がおすすめ
運用・改善を自力でできるマネジメントシステムとは、管理しやすく、運用が容易、改善のしやすいマネジメントシステムです。マネジメントシステムを構築するためにも、優秀なISOコンサルタントを活用することがおすすめです。
ISO費用の税務上の扱いと勘定項目
ISOにかかる費用の税務上の扱いと、勘定科目を説明しましょう。
- ISOにかかる費用の税務上の扱い
- ISO費用の勘定科目
ISOにかかる費用の税務上の扱いは、通常、経費として処理されます。組織がISO認証を取得するために支払った費用は、通常の経費として会計処理され、利益の算定時に控除の対象になります。
ISOにかかる費用の税務上の扱い
ISOにかかる費用は一般的に経費として処理されますが、具体的な内容によって異なります。たとえば、ISO認証を取得するための認証費用は経費として処理され、課税所得から経費を差し引くことができ、税金の節税効果が期待できるでしょう。
ISO認証を取得するために設備やシステムを導入する場合は、一部が償却資産として扱われ、一定期間にわたって償却される場合があります。
ISO費用の勘定科目
ISO費用を会計処理する際には、以下の勘定科目が使用されます。
認証費用 | ・ISO認証を取得するために支払った費用のこと ・認証料や審査費用など |
---|---|
設備投資費用 | ・ISO認証を取得するために設備やシステムを導入した費用のこと ・品質管理システム導入にかかるソフトウェアやハードウェア購入費用 |
研修費用 | ・ISO認証を取得するために行なう従業員の研修費用のこと ・ISO規格に関する研修や教育プログラムの費用など |
ISO認証取得までの流れ
ISO認証取得までの流れは以下のとおりです。
- キックオフ
- ISO規格の知識を学ぶ
- 現状分析
- 要求事項への対応策検討
- マネジメントマニュアルの作成
- 内部監査員の教育
- マネジメントシステムの運用・改善
- ISO審査機関による審査・認証
- マネジメントシステムの継続的な改善
ISO認証取得までの流れを把握しておくことで、スムーズな認証取得が可能となるでしょう。
1. キックオフ
最初のステップは、取得するISO規格の種類と適用範囲を決め、全従業員に対してISO規格取得を宣言する「キックオフ宣言」です。最初のステップであるキックオフ宣言からISO認証取得まで、中心的な役割を果たすのが経営者です。
ISO認証取得はマネジメントシステムを構築・改善して企業を成長させます。認証取得が目的ではありません。
2. ISO規格の知識を学ぶ
マネジメントシステムを構築するために担当者・メンバーを従業員から選抜し、プロジェクトチームを結成しましょう。取得するISOマネジメントシステム規格に関する知識を学びます。
一般的には、ISOコンサルティング会社が提供する研修会・セミナーが活用される場合がほとんどです。担当者が独学で知識を習得する場合もあります。
3. 現状分析
現状の業務内容・手順を洗い出し、ISOマネジメントシステム規格の要求事項と比較しながら、現状分析を行いましょう。ポイントは、業務のすべてをマネジメントすることではなく、マネジメントすべき要素を明確にすることです。
4. 要求事項への対応策検討
ISOマネジメントシステム規格の要求事項を満たすために、業務内容・手順を改善していく対応策を検討します。重要なポイントは、管理しやすく、運用の容易なマネジメントシステム構築を念頭に置いた対応策を検討することです。
システムが複雑化して運用の手間が増えてしまってはいけません。ISO認証取得後の運用も視野に入れ、改善のしやすさも重視しておくべきでしょう。
5. マネジメントマニュアルの作成
決定した対応策を元に、マネジメントシステムを運用していくためのマニュアルを作成します。作業の手順書・帳票などの整理・作成なども同時に実施します。
ISOコンサルタントに依頼する場合でも、マニュアル作成は社内プロジェクトチームが担当するケースは珍しくありません。
6. 内部監査員の教育
構築したマネジメントシステムが適切に運用されているか自社内の「内部監査員」が各部署を監査しなければなりません。内部監査を担当する「内部監査員」を選出し、役割を果たせるように教育・育成が必要です。
内部監査員の教育はISOコンサルタントが担当する場合がほとんどです。コンサルタントが立ち会って、実際の内部監査を実施しながら指導・育成していく場合もあります。
7. マネジメントシステムの運用・改善
作成されたマニュアルを元に、構築されたマネジメントシステムを運用・改善します。マニュアルどおりに業務を遂行しても、現場の実情に沿わない・必要な手順・ルールが抜けているケースが出てきます。内部監査を重ねがら、運用しながら見直すべき点を改善していきましょう。
ISOマネジメント規格では、経営者自ら運用状況をチェックする「マネジメントレビュー」が定期的に実施されるのも特徴です。ISOコンサルタントがマネジメントレビューに参加し、経営者に助言を与える場合もあります。
8. ISO審査機関による審査・認証
構築したマネジメントシステムを、ISO審査機関に審査・認証してもらうステップです。審査中はISOコンサルタントの発言が許されていないため、立会は可能なものの、担当者への助言のみに徹する場合がほとんどです。
第一段階目の登録審査を受けるまでの間に、最低1回のPDCAを実施していることが条件となります。
9. マネジメントシステムの継続的な改善
ISO認証取得後も、構築されたマネジメントシステムは継続的に運用・改善されなければなりません。
新規に取得したISO認証は「3年間のみ有効」です。ISO認証を維持していくためには、維持審査・更新審査をパスする必要があります。
都度、審査内容を満たすマネジメントシステムが維持・運用されているかを確認しましょう。
ISOコンサルタントとは|ISO認証取得を代行するサービス
ISOコンサルタントは、組織がISO認証を取得する際に支援する専門家です。コンサルタントの特徴は以下のとおりです。
- ISO認証の自力取得は負担と時間がかかる
- ISOコンサルタントに代行依頼できる業務
- 必要なサービスだけ個別に利用できる会社の活用がおすすめ
コンサルタントはISO規格に関する専門知識を持ち、組織が規格に準拠し、認証を取得するためのプロセスをスムーズに進める手助けをします。必要に応じて活用しましょう。
ISO認証の自力取得は負担と時間がかかる
ISO認証の取得は、組織にとって大きな負担と時間がかかる作業です。まず、ISO規格に関する深い理解が必要です。規格の要件や適用範囲を理解するだけでも多くの時間がかかります。
さらに、組織内のプロセスをISO規格に合致させるためには、既存のプロセスの分析や改善が必要です。関係者との綿密なコミュニケーションや多くのリソースが必要です。
ISO規格に従って文書を整備し、内部監査を実施するためにも時間と労力が必要でしょう。
ISOコンサルタントに代行依頼できる業務
ISOコンサルタントは、企業がISO規格に適合し、品質管理や環境保護などで優れたパフォーマンスを発揮するための支援を提供します。
ISO認証の準備や実施・内部監査の実施・トレーニングと教育・外部監査対応の支援・継続的な改善の支援などの業務を担当します。
必要なサービスだけ個別に利用できる会社の活用がおすすめ
ISOコンサルティング会社は、組織が必要とするサービスだけを個別に利用できる柔軟なサポートを提供します。組織は自身のニーズにあわせてコンサルティングサービスを選択し、コストを最適化できるでしょう。
ISOコンサルティング会社は組織の要求に迅速に対応し、必要に応じてサービスを追加する柔軟性もあります。組織はISO認証の取得プロセスを効率的に進められるでしょう。
まとめ
ISO認証を取得することで、企業は信頼性や競争力の向上、顧客の信頼獲得などの利点を得ることができます。ISOコンサルタントに取得を依頼することで、よりスピーディなISO取得が可能となるでしょう。
「比較ビズ」の場合、必要事項を入力する2分程度の手間で、ISOコンサルタントをスピーディーに探せます。複数の会社に無料で相談できる点もポイントです。コンサルタントの選定に迷うことがあれば、ぜひ利用してみてください。
また、他のISOマネジメントシステムやJIS、船級認証などの追加認証を今後行う可能性が予めわかっている場合は、同じ第三者認証機関で追加認証登録可能かどうかもよく調べておくと効率よく円滑に手続きが進められるため、認証登録後のことも考慮して選ぶとより良いでしょう。
しかし、どんなに慎重に選定しても一度で自社に最適な第三者認証機関が見つかるわけではなく、認証登録後に第三者認証機関変えたいと思う企業も少なくありません。
ですが、そのような場合でも費用をかけて手続きをすれば組織の意向で第三者認証機関間の登録の移転を行うことも可能ですので、悩んでいる場合は移転したい第三者認証機関に一度相談してみると良いでしょう。
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
もしも今現在、
- どのコンサルタントに依頼したらいいかわからない
- 見積もり金額を安く抑えたい
- 継続的に費用が発生するのか知りたい
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の経営コンサルタントに一括で相談ができ、各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。相談したからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。
発注ガイド
経営コンサルタントのお役立ち情報
編集部オススメ記事
- コンサルの基礎を知る
- コンサルの種類と役割
- コンサルの選び方
- スポットコンサルの活用方法
- デューデリジェンスの種類と意味