確定申告の医療費控除とは?医療費控除の適用に必要な書類と申請手順

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2023年07月14日
確定申告の医療費控除とは?医療費控除の適用に必要な書類と申請手順
この記事で解決できるお悩み
  • 確定申告の医療費控除とは?
  • 医療費控除を適用させる際に必要な書類は?
  • 医療費控除を確定申告で適用させるやり方は?

「医療費控除を確定申告で適用させたいが、必要な書類や申請手順がわからない…」という方必見!

この記事では医療費を支払った方に向けて、 確定申告で医療費控除を適用させる際に必要な書類について解説します。最後まで読めば、確定申告で医療費控除を適用させるやり方もわかります。

医療費控除を申告することで、支払った医療費を所得から差し引け、支払うべき税金も軽減できます。確定申告で医療費控除を適用させる際の注意点も紹介しているため、確定申告を行う事業者やサラリーマンもぜひ参考にしてください。

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確定申告の医療費控除とは?

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確定申告の医療費控除は、所得税法に基づいて、個人が支払った医療費の一部を所得から差し引ける制度です。具体的には、自分や配偶者、扶養している親族などの医療費が対象となります。医療費控除の対象となるのは、主に以下の医療費です。

  • 診療費:病院や診療所での診察や治療にかかった費用
  • 医薬品代:処方箋に基づいて販売された医薬品の購入代金
  • 入院費:入院した際の食事代、看護費、手術費などの費用
  • 歯科治療費:歯医者での治療や入れ歯の費用
  • 眼科治療費:眼鏡やコンタクトレンズの費用、手術費用

医療費控除を受けるためには、条件があります。たとえば、支払った医療費の合計額が所得の一定割合を超える必要があります。一部の医療費は対象外とされたり、自己負担額や保険金などが差し引かれたりする場合もあるため注意が必要です。

医療費控除の計算方法

医療費控除の受けられる目安は、年間の医療費の合計が所得の5%を上回っているか、もしくは10万円を超えているかどうかです。具体的には、以下の算式で計算された金額が医療費控除の適用金額となります。

医療費控除の計算方法

医療費控除の受けられる額=支払った医療費の合計額−{(所得金額合計×5%)または10万円どちらか少ない金額}

確定申告で医療費控除の適用に必要な書類一覧

医療費控除の申告には、正確な書類の提出が必要です。確定申告で医療費控除の適用に必要な書類は、以下のとおりです。

医療費控除の明細書 税務署や国税庁HP「医療費控除の明細書【内訳書】」からダウンロード可能
医療費の領収書を確定申告に添付する必要はないが、5年間の保管義務がある
確定申告書 令和 年分の所得税及び復興特別所得税の申告書(確定申告書B)を利用
医療通知書 個人が所属している健康保険組合から送られてくる書類
医療保険者から交付を受けた医療費通知を添付すると、明細書の記入を省略できる
本人確認書類 確定申告書を提出する際に、マイナンバーカードが必要

確定申告で医療費控除を適用する方法

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ここからは、確定申告で医療費控除を適用する方法を解説します。

  1. 医療費の明細を集める
  2. 医療費の合計を計算する
  3. 所得の5%を計算する
  4. 医療費控除の申告書を入手し記入する
  5. 確定申告書を提出する

1. 医療費の明細を集める

医療費控除を確定申告で適用するために、支払った医療費の明細や領収書を集めましょう。病院での診察や治療の際に支払った診療費や処方された医薬品の代金、入院費、歯科治療費、眼科治療費などが含まれます。

明細を集める際は、日付や金額、支払先の名前や住所などが明確に記載されているか確認します。明細が紛失した場合に備えて、領収書のコピーを取っておくことも重要です。

2. 医療費の合計を計算する

医療費控除を確定申告で適用するために、支払った医療費の合計額を計算します。高額療養費制度の払い戻し分や保険会社から支払われた保険金が、すでに差し引かれている場合があります。年中に実際に支払った医療費額とその後保険や制度により補填された金額を正確に把握しましょう。

医療費の合計

実際に支払った医療費=支払ったすべての医療費の合計−保険金や制度によって補填された金額

支払った医療費の正確な合計額を把握することで、医療費控除の申告書への記入がスムーズに行えます。

3. 所得の5%を計算する

医療費控除を確定申告で適用するために、所得の5%を計算しましょう。まず、確定申告時の所得を確認します。所得は給与所得や事業所得、不動産所得など、個人の収入により異なります。

所得の5%を計算するために、所得に対して5%を掛けましょう。たとえば、所得が10万円の場合、所得の5%は1万円です。

所得の5%を計算することにより、医療費控除の適用範囲を判断できます。1月1日〜12月31日の1年間の総所得金額が200万円未満の場合は、1年間の医療費が総所得金額の5%を超えると適用対象になります。

総所得金額が200万円を超える場合は?

医療費控除は10万円をベースとしているため、総所得金額が200万円を超える場合は実際に支払った医療費合計10万円を超える部分が適用対象になる。
「医療費控除額=実際に支払った医療費合計額−10万円」

4. 医療費控除の申告書を入手し記入する

医療費控除を確定申告で適用するために、確定申告書医療費控除の明細書を入手し、正確に記入します。所得の範囲や医療費控除額など、具体的な項目を記入しましょう。

5. 確定申告書を提出する

医療費控除の申告書を確定申告書に添付し、必要な書類や証拠と共に提出します。提出期間は、通常2月16日〜3月15日に行います。提出後は税務署からの審査や確認を待ち、通知や確定申告結果を受け取ったあと、医療費控除が適用されたかを確認しましょう。

必要に応じて、追加の情報提供や訂正が求められる場合があります。申請後、医療費控除の還付金は通常、1カ月〜1カ月半後に支払われます。支払い方法には、指定した銀行口座への振り込みや最寄りのゆうちょ銀行・郵便局で受け取りが可能です。

確定申告で医療費控除を適用させる際の注意点3つ

ここからは、確定申告で医療費控除を適用させる際の注意点を3つ紹介します。

  1. 医療費の領収書は5年間保管する
  2. すべての医療費が控除対象になるわけではない
  3. 医療機関からの証明書や診断書を取得する

1. 医療費の領収書は5年間保管する

医療費の証拠として、領収書や明細は5年間保管しましょう。万が一、申告内容に関して問題が生じた場合や追加の証拠が必要な場合に備えて、領収書を保管しておく必要があります。

保管する際は、領収書の紙版だけではなく、デジタル形式でも保管できると便利です。領収書のコピーを取り、外部のデータストレージやクラウドサービスに保存することで、長期間の保管を確保できます。

2. すべての医療費が控除対象になるわけではない

主に医療費控除の対象とならないものは、以下の費用です。

  • 美容整形費用
  • 健康診断費用
  • 義歯や補聴器などの一部の装具費用
  • 疾病の予防や健康増進目的の予防接種、サプリメントなど
  • 通院のためのタクシー代や駐車料金

医療費控除の対象となる医療費は国税庁HPから確認できるため、何が控除対象にならないかを判断しましょう。控除対象となる医療費を正確に把握し、申告書に適切に記載することが重要です。

セルフメディケーション税制は併用できる?

セルフメディケーション税制は、自己負担で購入した特定の医薬品や医療機器に対して税制上の優遇措置を受けられる制度です。
医療費控除を行っている場合、セルフメディケーション税制は併用できず、どちらか片方のみ申告できます。

3. 医療機関からの証明書や診断書を取得する

特定の疾患や障がいにより医療費控除の対象になる場合、医療機関からの証明書や診断書を取得する必要がある可能性があります。医療機関からの証明書や診断書の発行には時間がかかる場合があるため、余裕を持ち手続きを進めましょう。

発行された証明書や診断書は、確定申告書と一緒に提出するために保管しておきましょう。領収書と同様に、5年間以上の保管が必要です。医療機関からの証明書や診断書は、医療費控除の対象となる特定の疾患や障害を明確に示すために重要です。

まとめ

医療費控除を申告することで、支払った医療費を所得から差し引け、支払うべき税金も軽減できます。初めての確定申告や、医療費控除に関しての申請方法に不安がある方は、税理士に依頼することが可能です。

比較ビズには、確定申告や医療費控除に関する専門知識を持つ税理士が多数在籍しています。税理士は、適切な手続きや条件を理解しており、正確かつ効率的に処理できます。スムーズで正確な控除を適用させるために、まずは比較ビズへの相談から始めてみてください。

よくある質問とその回答

  • 年末調整で医療費控除はできる?

    年末調整では、医療費控除を適用できません。年末調整は、給与所得者の源泉徴収税額の計算と調整を行う手続きですが、医療費控除は個人の確定申告で行われる控除方法です。

    医療費控除を受けるためには、年末調整ではなく、確定申告を行う必要があります。確定申告では、自身が支払った医療費を申告書に記載し、控除の対象となる金額を計算して適用できます。

  • 医療費控除はいくらからした方がいい?

    生計を共にする家族の医療費合計が年間10万円以上(または年間所得の5%、いずれか少ないほう)の場合、医療費控除の申請をしてみましょう。

    特に会社員の場合は、過去に支払った医療費が還付金として戻ってくる可能性があるため、医療費控除の申請をおすすめします。

監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

「医療費控除」とは医療費の支払額の一部を所得控除することを言います。記事にも記載されていますように、病気の治療にかかった費用が「医療費控除」の対象となっており、美容整形などの病気の治療ではない費用については「医療費控除」の対象とはなりません。

その他にも医療費控除の対象とならない支払いをいくつか列挙してみます。
・美容整形
・リラクゼーション目的のマッサージ
・美容を目的とした歯のオールセラミック治療
・健康維持のために購入した健康補助食品
・異常がみられなかった場合の人間ドックや健康診断の費用

医療費控除の対象となる治療を行っており、確定申告を行っていない方は、還付の手続きを行いましょう。国税庁の確定申告書等作成コーナーや一般の作成ソフトを使えば、初めてでも簡単に確定申告書を作ることができます。 確定申告が必要かどうかを調べておき、必要な場合は自分に合った方法で手続きを行いましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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