山口特許事務所

この発明は大型の「工事用袋体」です。
災害発生時の復旧工事、あるいは仮設工事に積み上げて使います。
封入する土砂は約２トン。人力では扱えません。

＜本願発明＞
特許になった発明の請求項の記載はほぼ下記のとおりでした。

【前提条件】
　大型土のう用の土木工事用袋体である。
　織地を用いた袋本体20と、
　袋本体20を吊るための織地を用いた吊りベルト30とを具備する。
　吊りベルト30の一部に複数の吊り手31を形成してある。
【着色について】
　袋本体20および吊りベルト30の全体が緑色系に着色してある。
【紫外線吸収剤について】
　袋本体20および吊りベルト30を構成する織地の原糸が同一の着色糸。
　紫外線吸収剤または反射剤を含んでいる。

＜拒絶理由通知＞
審査の段階では以下のような文献が引用され、拒絶が通知されました。

　引用文献１：工事用袋体（色の限定無し）
　引用文献２：緑色の多目的袋

すなわち引用文献１と引用文献２を組み合わせれば本願発明は容易である、という指摘です。

＜反論＞
上記の拒絶理由に対し、緑色であることによる「耐久性」「鳥類による被害を避ける」「悪印象を払拭」「景観への配慮」等の効果を主張して反論しました。
これらの効果は出願時に明細書に明記していたため、反論はスムーズに認められました。
その結果、ほぼ色彩の限定によって出願から７か月という短期間で特許されました。

山口特許事務所では発明者様とのインタビューで根ほり葉ほり聞き出します。ご当人が気づいておられなかったことを掘り起こす場合も。