株式会社KAKERU CREATIVE STUDIO

西新宿にある「男性専用」の美容室。ビジネスパーソン、お洒落に気を遣う若い男性、これからおしゃれを楽しみたい男性、それぞれにリーチする美容室の設計を行いました。

西新宿の男性専用美容室。日中はビジネスパーソンが多く、また住宅エリアも徒歩圏内であるエリアの「男性専用美容室」として次の三点を意識して設計を行いました。

一つ、男性が、ビジネスパーソンが訪れたくなるような空間であること。
訪れたくなる空間、とは、サロンの提供するサービスの質は勿論のこと、「そこに通うこと」それ自体にステータスを感じられなくてはいけません。比較的多くの男性心理にリーチ出来る空間のテイスト。それは、シンプルさ、荒々しさ、そして清潔感です。その為、内装のテイストは極力引き算のデザインを意識し、コンクリート剥き出しの空間に白い箱が挿入されたような、荒々しさとクリーンさ、その両方が感じられるデザインとしました。

二つ、「過度に洗練され過ぎていないこと」。
男性専用、ビジネスパーソンが対象であるということは、これまでサロンの利用に馴染みがなかった潜在的なユーザーも顧客対象となります。そうした、普段美容室に足を運びにくいと感じている方の持つ理由の大きな要因に「おしゃれすぎて自分には場違いでないか」「恥ずかしい」という、心理的なバリアです。これを極力感じにくくする為に、大らかな表情の木材、DIYのパーテーション、ホームライクな待合ソファなど、意図的にハズしのデザインを行うことで、良い意味で隙のあるサロンとしました。
また、上記の一、二を意識したデザインを行うことで、目指すべき意匠の構築と、底コストの両立を達成しています。

三つ、動線を徹底的に整理すること。
男性がメインターゲットであるということは、施術時間が比較的短時間であることを意味します。その為、客動線とスタッフ動線が交錯するようなレイアウトはNG。広くない店内でプランを実現する為に、各ポイントにスタッフが「逃げられる」スペースを作って、施術を行いつつも、お客様の移動を疎外しないように設計しました。これにより、スタッフ間の連携がしやすく、効率の良いオペレーションが出来る空間を作ることができました。

上記三点のポイントで設計デザインを行うことで、スタッフにとっても使いやすく、またユーザーにとってはサービスも相まって絶妙に居心地の良い空間が出来上がりました。
また、YouTube動画も制作することで、オンラインでもファン作りを行える美容室となり、独自のポジションを築き上げてらっしゃいます。

大手美容メーカーとのコンペからスタートした案件であった為、単純なデザインとしての魅力と、低コストを実現させる必要がありました。また、あまりスケジュールがなかったこともあり、工事期間も短縮できる作りである事も前提に設計をスタートさせる必要がありました。
材料や仕上げの種類、壁の位置の調整など、徹底的に引き算を意識することで、結果、スッキリとした男性性を感じられる、オーナーの志向に寄り添った空間を作り上げることが出来ました。