株式会社ClorieDesign

　本計画は、クリニックと薬局それぞれの事業が独立した経営でありながら、建築計画において 患者様が利用しやすいよう、視認性、安全性を考慮し相互の利便性を図るというものでした。
　千葉県流山市おおたかの森に建設地が決定したことを受け、建築計画の骨格となるディテールを作り上げる為地域や街を知ることから始めました。
　建築主様の事業コンセプトとうまく融合させること、個性と協調性のバランスをとることを念頭に置き、調査とエスキスを進めました。
　基本的な外観デザインのディテールは「おおたかの 森に自然に佇んでいるような景観」と定めることができ、意匠としてはいかに装飾をせずに自然体であるかを重視しました。
　その中でも、個性と協調性という 相反する要素の両立を目指しました。北側からの景色は、手前に診療所、奥に薬局が見えます。

重なって見えることを「協調性」と捉えています。

　白い壁の水平線に診療所、薬局とが連なるよう配置計画を検討し、外観のデザインを個々に独立させながらも一体的に描き上げました。薬局の大きなガラス面と、格子がアクセントとなり、 敷地の手前から奥すべてがこの計画の豊かな表情となっています。
　また、低い水平線が連続しているような視覚的効果をもたらせるため、診療所と薬局の庇、一階大開口窓 の高さを揃え、それらに柔らかく灯りがともるよう意匠を凝らしました。

業務概要の通り、建築設計（意匠設計、構造設計、設備設計）、デザイン（ファサード、内装、照明、インテリア）、建築施工（新築請負工事、外構請負工事）、設計・施工監理、行政申請業務（保健所、確認審査機関、市役所、消防）に加えて、事業計画策定における相談・フォロー、不動産取引における相談・フォロー、金融機関窓口・申請関係における相談・フォローなど多岐にわたる事業遂行のためのタスクをフォローさせていただきました。

コロナ禍であったこともあり、発熱外来の対応を急遽建築中に計画することとなり、ワクチンの許認可申請期間の早期対応が起因しておりましたが、事業開始予定日を2か月早めるというご協力ができたのも、事業者様のフォローを多岐に行わせていただいたことが寄与したものと思われます。

早期事業開始に至った後に、コロナウイルスに対するワクチン接種、発熱等の患者様の相談や対応を行うことができる診療機能をすぐに地域で発揮することができたとご報告をいただけました。　また、クリニックの評価もグーグルにおいて4を超えるものとなっており、多数の評判を頂けるコメントも拝見いたしました。

医療における建築は、構造物をつくるという手段をもって、医師や医療従事者の毎日の労務の負担軽減や患者様の利便性や快適性を創造するといった基本的な機能のポテンシャルを高めるということが大切だと考えます。そのうえで、本案件においては事業者の末永い経営を一緒に描き、意匠性をもたせて地域に根付いた象徴的なクリニックを築くことができたのではないかと思います。