資金調達手段「ファクタリング」を徹底解説!活用による影響は?

株式会社経営支援センター
監修者
株式会社経営支援センター 代表取締役 高濱有志
最終更新日:2023年02月10日
資金調達手段「ファクタリング」を徹底解説!活用による影響は?
この記事で解決できるお悩み
  • ファクタリングって何?
  • ファクタリングは安全?
  • ファクタリングの活用方法は?

「資金調達の方法は金融機関だけではなくファクタリングもあるって聞いたけどよくわからない…」「ファクタリングって本当に安全な方法?」という疑問をお持ちの方必見!

この記事では、金融機関からの融資以外にも資金調達手段として活用できるファクタリングについて解説。最後まで読めば、ファクタリングの安全性もわかります。

なぜ金融機関からの資金調達と異なるのか、ファクタリングの仕組みについても解説。金融機関の融資枠に不安がある経営者の方は、違いについても説明していますので、ぜひ参考にしてください。

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ファクタリングとは

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ファクタリングとは、保有する売掛金(信用販売)を現金化することで資金調達ができる方法です。運転資金を迅速に調達でき、与信枠とは関係ない便利な方法です。

売掛金をファクタリング会社に売却するため、決算書に影響はでません。取引先に、資金難を悟られることなく運転資金を調達できます。

資金調達方法の1つ

ファクタリングは、銀行融資や政府補助金など、ほかの資金調達方法の代替として利用できます。従来の融資よりも利用しやすく、多くの場合、承認されるまでに時間がかかりません。

金融機関をはじめとする、ほかの資金調達方法のように、決算書の借入金の額が増加もなく、取引先に負債額が知られたり、金融機関に返済能力の有無を問われることがありません。

一見すると便利なように見えますが、ファクタリングにはリスクとコストがともなうため、自社に適した資金調達方法であるかどうかを検討することが必要です。

ファクタリングの仕組みを解説

ファクタリングの方法は、2社間と3社間があります。

従来のファクタリング契約では、事業者は売掛債権をファクタリング会社に売却します。ファクタリング会社は「売掛金の請求書の金額」を基本として、お金を支払います。売掛金の請求書をファクタリング会社に売約しその代金を受け取るようなものです。

ファクタリング会社は、売掛金の金額を前払いします。その後ファクタリング会社は、顧客(取引先)から売掛金を回収し、顧客はファクタリング会社に直接請求書の金額を支払います。

ファクタリング会社はもともとの支払額と割引額(手数料)の差額を事業者に支払い一連の流れが完了です。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングの場合、資金調達を必要としている売主がファクタリング会社に売掛債権を売却し、売主が直接顧客から代金を回収します。

ファクタリングの最も代表的な形態で、取引先に売掛債権の譲渡が知らされないメリットがある反面、手数料は高めに設定される傾向があります。

2社間ファクタリングの一般的な流れは次のとおりです。

  1. ファクタリング会社に売掛債権売却の申し込み
  2. 売掛債権をファクタリング会社に売却
  3. ファクタリング会社から手数料を引いた代金を受領
  4. 取引先から売掛金を回収したらファクタリング会社に一括返済

3社間ファクタリング

売主が代金を回収し管理する責任を負うため、あまり一般的ではありません。3社間ファクタリングの場合、売主が取引先から代金を回収し、手数料分をファクタリング会社に支払います。

3社間ファクタリングの一般的な流れは次のとおりです。

  1. ファクタリング会社に売掛債権売却の申し込み
  2. 取引先から売掛債権の売却について承諾をもらう
  3. 売掛債権をファクタリング会社に売却
  4. ファクタリング会社から手数料を引いた代金を受領
  5. 取引先からファクタリング会社に直接支払い

ファクタリングは本当に安全?

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結論を言えば、ファクタリングは資金調達が必要な事業者にとって安全な方法です。しかし注意点もあります。ファクタリングは一般的に安全で透明性の高い資金調達方法と言われています。

ファクタリング契約を結ぶと、多くの場合は数日以内に入金があり、返済額は利用者である企業の信用力に基づいています。

従来の資金調達手段を利用できない経営者にとっては、金融機関の与信枠は関係ないので魅力的な選択肢です。

ファクタリングの種類によっては注意が必要

一般的にファクタリングは、大きく分けて「資産担保型」と「債権担保型」の2種類あります。加えて、最近話題になっているのが給与ファクタリングです。

資産担保型 在庫などの資産を担保にして融資を受ける。
債権担保型 発注型融資のこと。
前金を受け取って注文を完了し、顧客から支払いがあったときに返済する。
給与ファクタリング 企業の定期的な給与支払いを担保に融資を受ける。

最近話題になっている、給与ファクタリングをくわしく解説します。

給与ファクタリング

給与ファクタリングは「ペイロールファクタリング」と言われています。企業の定期的な給与支払いを担保に融資を受ける方法です。

資金注入が必要な場合に有効ですが、返済条件を無理なく満たせるかどうか確認が必要です。高い手数料がかかるため慎重に検討する必要があります。

ファクタリング業者を装ったヤミ金融業者

ファクタリング会社を装った高利貸しにも注意が必要です。不当に高い金利や手数料を請求することが多く、抜け出すことが困難な場合もあります。ファクタリング契約を検討するときは、ファクタリング業者の実績や事業内容をしっかり調査し、見極めることが大切です。

高額な手数料に注意

ファクタリングの利用には、業者によって隠れた手数料を請求されることがあるため注意が必要です。(参照:金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」ファクタリング契約を結ぶ前に規約をよく読み、手数料はしっかりと確認しましょう。

手数料の具体的な金額の提示がない場合、ファクタリングが安全な理由の1つである「透明性」がないのと同じです。

ファクタリングで資金調達するメリット3つ

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ファクタリングを資金調達の手段として利用するメリットは大きく3つあります。

  • 銀行融資より早く資金調達できる
  • 金融機関の融資枠には影響されない
  • 貸倒れリスクがない

この3つの内容について、詳しくみていきましょう。

銀行融資より早く資金調達が可能

ファクタリングは、短期的に必要な資金を迅速に調達することが可能です。売掛債権は一般的に48時間以内に送金されるため、従来の銀行融資よりも大幅に早く資金を調達することができます。

特に債権者への返済や追加備品の購入など、資金を迅速に調達する必要がある企業にとって、非常に有益な資金調達手段です。

金融機関の融資枠には影響されない

ファクタリングの資金調達は、事業者の金融機関に対する与信枠に影響を受けません。事業者と資金提供者の間に融資が発生しない、ファクタリング特有の取引形態があるためです。

ファクタリング会社が利用している金融機関は、売掛金の残高に応じて必要な金額を支払うだけです。

企業は与信枠を気にすることなく、必要なときに売掛債権を限度額とし、必要な金額を簡単に調達することができます。

貸倒れリスクがない

ファクタリングの場合、貸倒れリスクがないことがメリットです。ファクタリング会社は不払いのリスクを引き受け、債務者から代金を回収する責任を負います。そのため、事業者は代金回収やそれに伴う費用・手数料を気にする必要がありません。

ファクタリングを利用した資金調達方法例

ファクタリングを利用した融資方法の一例を紹介します。

売上が減少し、税金など必ず支払う分の資金調達も臨めない状態の会社がありました。

この会社は環境の変化を受け、売り上げが上向きかけている兆しがあります。売上よりも仕入れや外注費が先行するため、金融機関に融資の依頼に行きましたが、債務超過から「返済能力がない」と判断され資金難に陥りました。

このとき取引先の1つから「御社と引き続き取引をしたい」と連絡があり、売掛金の買取りを提案してもらいました。

このように、取引先が「どうしてもこの会社でなければ困る」と判断した場合、ファクタリングを提案し承諾してくれるケースもあります。

ファクタリングによる影響

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ファクタリングは、一部の事業者が従来の融資枠を利用できない場合に利用する、代替的な資金調達方法です。ファクタリング会社に企業の売掛金を買い取ってもらうことで成立します。

たとえば、60日後に期日が来る売掛金を持っている企業がファクタリングする場合、通常の支払いサイトより早い30日以内に現金化される可能性があります。ファクタリングの手数料は、支払いサイトが長ければ長いほど高くなるため、結果的に高い手数料を支払うことになります。

このほかにも、影響として考えられるものに次の2つが挙げられます。

  • 取引先との関係悪化の可能性
  • 取引契約の内容によっては利用できない

取引先との関係悪化の可能性がある

ファクタリングを利用することで、運転資金を調達できます。一方で、取引先の承諾が必要な場合があり、関係悪化の可能性も無視できません。

承諾の有無によって関係悪化になる可能性は低いですが、資金難になっていると判断されると、継続的な取引を考えた場合に対象から外れる可能性があります。

取引契約の内容によっては利用できないことがある

ファクタリングは多くの企業にとって資金調達の選択肢になりますが、状況によっては利用できない場合もあります。取引契約の条件として、売掛債権の売却を禁止している場合や現金取引を行っている会社は不可能です。

売り上げの計上と同時に現金入金している場合、売掛金を所有していないためファクタリングできません。

売掛金を直接集金で回収、毎月30日に回収した場合でも売掛金は発生していますが、入金明細が残らないため売掛金の存在を証明できません。売掛先が外国企業の場合、ファクタリング会社によってはリスクを負ってくれない場合もあります。

まとめ

ファクタリングは、銀行融資や補助金の代替となる資金調達の方法です。業者の選定に誤りがなければ安全性は高く、契約内容も透明性が高いのが特徴です。

しかし利用するファクタリングの方法によっては、取引先の信用を失う可能性もあります。決算書を痛めない資金調達方法として有効ですが、ファクタリング業者の調査をはじめ、利用するときはよく検討するのがいいでしょう。

監修者のコメント
株式会社経営支援センター
代表取締役 高濱有志

東京都生まれ。大学卒業後、金融機関勤務を経て、税理士業界へ転職。長崎の税理士業界で16年の実務経験。その中で、のべ1,000社以上の決算業務に従事し、相続税申告も経験。顧客から事業承継やM&Aに関する相談及び業務が増加してきたことに合わせて、2015年に税理士法人から独立し、株式会社経営支援センターを設立、代表取締役に就任。事業承継支援・M&A支援を中心に経営コンサルタント業務を行っている。

IT技術の進歩により、様々な情報が電子化されました。債権も電子化されることでファクタリングによる資金調達手法が進化してきました。DX(デジタルトランスフォーメーション)がさらに進み、ファクタリング分野でもさらなる進化が行われることと思います。より使いやすくなる一方それを活用する方にも今まで以上の注意が必要になってきます。

ファクタリングにより資金調達の幅が広がりますが、その手法が自社の資金調達にとって有効かどうかの見極めをすることがより一層求められます。様々ある資金調達の一つとして位置づけ、そのメリット・デメリットをしっかり認識した上で、ファクタリングを実行していただきたいです。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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