資金調達に必要な費用とは|コストを抑える方法や調達方法を紹介
- 資金調達にかかる費用は何か?
- 資金調達コストの種類や計算方法は?
- 資金調達コストを抑えるための方法は?
企業が資金調達を行う際は、銀行からの借入金に対する利息が必要になります。
事業拡大や新規事業への参入にあたって、資金調達が必要な場面があるでしょう。資金調達にかかる費用の種類や計算方法を理解しておかないと、企業の信頼度が落ちたり、返済不能に陥ったりする可能性があります。
本記事では、資金調達を行いたい経営者に向けて、資金調達の方法や必要な費用について解説するため、ぜひ参考にしてください。
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資金調達を行うには費用がかかる
企業が事業を行うために必要な資金を調達するには、費用がかかります。資金調達の代表的な2種類の方法と、それぞれに必要な費用は以下のとおりです。
- 銀行からの借り入れ:借入金に対する利息が必要
- 投資家(株主)からの投資:配当金が必要
銀行や投資家は、企業が事業を発展させて収益を向上させることを期待して融資を行います。実際には事業が軌道に乗らないリスクがあるため、リスクに応じたリターンとして利息や配当金を支払う必要があります。
資金調達を行う必要性
資金調達を行う必要性や理由はさまざまですが、代表的なものとして以下が挙げられます。
資金調達を行う理由 | 具体例 |
---|---|
事業の継続 | 原料や商品の仕入れ |
設備投資 | 新しい生産設備や店舗設備の導入 |
事業拡大 | 新店舗オープン・新規事業への参入 |
「事業に必要な資金を確保する」という目的のほかにも、会社の信用力を上げるために資金調達を行うという考え方があります。
計画的な資金調達を行い返済実績が積み重なると、企業の社会的な信用度が向上します。金融機関から「この企業は返済能力がある」と評価されれば、今後も安定して資金調達を受けられることにつながるのです。
企業が事業を展開する上で、資金調達は必要不可欠といえるでしょう。
資金調達に必要な費用の種類
資金調達に必要な費用には、主に以下3つの種類があります。
- 負債コスト
- 株式資本コスト
- 内部留保コスト
各々の項目の内容や、誰に対して支払うコストなのかを具体的に解説します。
負債コスト
負債コストは、銀行への支払い利息・金利といった、金融機関(銀行)からの借り入れにより資金調達を行う際にかかるコストを指します。
計算式は、負債コスト=支払利息の利率×(1−法人実効税率)となります。法人実効税率は法人の区分に応じて設定される数値ですが、概算時は30%で計算される場合が多いです。
支払利息の利率は、会社の信用力により変動します。社会的信用が低い状態では、高い利息が必要となり、負債コストが大きくなります。
負債コストが大きくなると、キャッシュフローが厳しくなり、返済不能に陥るリスクがあります。負債コストは経営のための費用として損金に計上できるため、節税効果が得られるメリットがあります。
株式資本コスト
株式資本コストは、株式を発行する際に必要なコストです。株主・投資家に対して支払うリターン(配当金)が株式資本コストに該当します。
株式資本コストの金額や利率には明確な数値が存在しません。投資におけるリスクの大きさや株価の変動を加味して、CAPM(Capital Asset Pricing Model)という計算方法を用いて算出されます。
負債コストと違って返済の義務はありませんが、リスクの大きい事業を行う際は株主へのリターンも大きくなるため、株式資本コストも高くなります。経営者がすべての株式を保有している中小企業・ベンチャー企業などは、株主資本コストは発生しません。
内部留保コスト
内部留保コストは、自社の利益により資金調達を行う際に必要なコストです。
本来、株式会社が得た利益は「配当」という形で株主へ還元すべきものです。還元するよりも事業に投資した方が多くの収益を上げられると企業が判断した場合、資金を自社内にとどめるケースがあります。これが内部留保コストです。
事業への投資用に資金を確保できるメリットがありますが、内部留保した資金は一般的に株主資本と同等以上のリターンとする必要があります。内部留保した方が収益性が高くなると判断して行うものであるため、相応のリターンが求められます。
内部留保コストが増えると留保金課税が適用され、追加徴税されるため注意しましょう。
資金調達コスト(WACC)の計算方法
資金調達を行うために必要なコストは、負債コスト・株式資本コストをそれぞれの時価で加重平均して算出します。この計算により算出されたコストをWACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト)と呼びます。
計算式は、WACC=Re×{E/(S+D)}+Rd×(1−t)×{D/(E+D)}です。
(Re:株主資本コスト Rd:負債コスト D:負債 E:株主資本 t:法人税率)
基本的に、資金を調達して事業を行う際は、その収益率がWACCを必ず超えている必要があります。企業の価値や経済性を評価するための指標にもなっており、事業拡大・設備投資を行うべきか判断するための基準といった役割を持っています。
資金調達の費用を抑えるための施策
資金調達に必要な費用を抑えるには「企業の業績を上げ、企業の社会的信用度を高める」ことが必要です。信用度が高まると、融資先から「投資を行なってもリスクが少ないだろう」と判断され、負債コスト・株主資本コストの両方を下げられます。
他にも、資金調達の際に以下の施策を行うことで、コストの抑制が可能です。
- 損益計算書を作成して具体的な資産を示す
- 返済計画を策定してリスク情報を開示する
- 不動産を担保にして金融機関の金利を下げる
一方で、ただコストが下がればいいという話でもありません。高い利益を期待できるのであれば、利率が高くても積極的に資金調達を行う場面も出てきます。資金調達により収益が向上し、社会的信用度を高められれば、資金調達費用を下げることにつながります。
目先のコスト抑制だけに目を向けず、中長期的な視点を持つことが重要です。
費用を抑制できる代表的な資金調達方法
資金調達における代表的な方法は以下のとおりです。
- 公的機関からの融資
- 銀行からの融資
- 増資
調達方法により、調達先や利息などが異なるため、それぞれ具体的に解説します。
公的機関からの融資
もっとも代表的といえる資金調達手法が、公的機関からの融資です。日本政策金融公庫をはじめとする「政府系金融機関」から融資を受ける方法です。低金利で融資を受けられますが、審査に1〜2ヶ月ほどの時間を要するデメリットもあります。
最も低い金利では、0.6%の特別利率で融資を受けられますが、その分条件や審査が厳しくなります。基準利率でも1.08%からとなっており、コストの低い調達方法といえるでしょう。
銀行からの融資
銀行からの融資は、公的機関より金利が多少上がるものの、資金調達コストの低い調達方法です。
融資を受けるためのハードルや金利は、メガバンク・地方銀行・信用金庫などさまざまですが、金利の低いものであれば2〜3%で融資を受けられます。
全国信用保証協会連合会に保証人となってもらうことで、審査のハードルが下がり低金利で融資を受けられる「保証付融資」の利用が可能です。
信用保証料が必要ですがメリットは大きく、中小企業の43.5%が信用保証協会を利用していると信用保証協会連合会のサイトで公開されています。
増資
企業が新しい株式を発行し、資本金を増やす方法が「増資」です。
金融機関から融資を受けるケースと異なり、返済義務がないメリットがあります。リスクの大きい事業を行う際は株主へのリターンが大きくなり、コストが増加する点がデメリットです。
経営が悪化した際は、株主・投資家に経営権を奪われるリスクもあります。すぐに返済を求められないとはいえ、計画的な返済計画の立案が重要です。
まとめ
企業が事業を存続・拡大させる上で、資金調達は避けては通れない道です。資金調達に必要なコストの種類や、費用を抑えられる調達方法を理解して、適切な返済計画を立案しましょう。返済実績ができれば、企業の信用力が高まり、より費用を抑えられるようになります。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。
また、銀行業務に精通した税理士が適任かと思います。銀行マンも所詮サラリーマンですので、融資を実行するにも、それなりの理由を本部に説明できなければ、通すことはできないでしょう。
そうはいっても、口先だけで虚像を作ることはできませんので、経営者自身が真摯に経営に向かっている姿を見せることこそ、肝要でしょう。
このことは、交渉する税理士や公認会計士にも同じことが言えます。口先だけでは、その本質を見破られて、通ったはずの融資さえも断られかねません。会話を通り越して、本質を見極めてください。おそらく、銀行マンの方が一枚も二枚も上手だと思いますので。
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