秘密保持契約書の役割や項目とは？便利なテンプレートも紹介

秘密保持契約書の役割

秘密保持契約とは、営業上や業務上、または技術上などで知り得た相手の秘密情報を、第三者に開示するなど目的外に使用することを禁止するための契約です。この契約は口頭でも成立しますが、通常は秘密保持契約書として書面にします。

なぜ書面にする必要があるかというと、それによって契約を結んだ当事者同士に守秘義務が発生したことが明白になり、情報漏洩のリスクをより軽減できるからです。

書面に残すということは、何かがあった時に相手に損害賠償を請求できることを明らかにすることですので、口頭のみの契約ではなく、契約書を作成することが望ましいことは言うまでもないでしょう。

秘密保持契約書に記載すべき事項

秘密保持契約書には、いくつか記載しておくべき項目があります。相手方から受け取った場合も同様に、これらの項目をチェックしておきましょう。

契約書のタイトル

秘密保持契約書の冒頭には、何の契約なのかを明示するタイトルを記載します。

契約目的

秘密保持契約書を作る目的を明示します。業務委託の可否や新規取引の検討のためなど、内容はさまざまですが、目的を明らかにしておくことで、目的外での秘密の利用を予防できます。

定義

秘密情報とは具体的に何なのか、その定義を明示します。定義を記載することで契約書内に明示された情報が秘密情報と明らかになるのですが、逆に言えば、ここに明示しなかった情報については秘密情報とはならないため、もし漏洩が発生した場合でも契約違反とはなりません。その点は注意すべきでしょう。

目的外での使用を禁止

秘密情報について、契約の目的に必要な場合以外の使用を禁止します。この条項がないと、相手がその情報を利用して競合商品やサービスを作った場合でも、責任が取れなくなってしまうので重要です。

複製の制限

秘密情報を含む資料の複製を認めるのか認めないのか、その制限について明示します。

秘密保持の義務

秘密情報を渡された側がどんな義務を負うべきなのかを明示します。

秘密情報の廃棄や変換

契約が終了した時に、秘密情報を記載した資料などについて、その廃棄や返還の仕方について定めた項目です。ただちに資料を廃棄、もしくは返還すると契約書で明示しておくと、契約終了後に自社の秘密情報が相手側に残り、漏洩してしまうといったリスクを防げます。

義務にしない事項

秘密保持契約を交わしても、それ以降の取引で義務にならない事項がある場合は、契約書にて明示しておきましょう。

保証

秘密情報の開示において、開示する方がその権利を所持していることを保証するための条項です。

知的財産権の取り扱い

相手に渡す秘密情報の中には、自社の知的財産権についての情報も含まれている場合があります。そういう場合、秘密情報を提供するからといって知的財産権まで譲ってしまうわけではないということを、契約書内で明らかにする場合があります。

情報漏洩の際の措置

秘密情報の漏洩があった場合、どのような措置を取るのかを記載する場合もあります。

権利や義務の勝手な譲渡の禁止

秘密保持契約において発生した権利や義務を、契約相手の許可を得ずに、第三者に勝手に譲渡できないことを明示する場合があります。

損害賠償について

秘密情報の漏洩時に、相手に対して損害賠償が請求できることを明示します。

契約有効期間と終了後の残存条項

秘密保持契約が有効な期間を明示するとともに、契約が終了した後も効果が持続する項目がある場合は、それについても記載しておきましょう。

準拠法

国際間の取引では、どちらの国の法律を適用するのか、準拠法を明示しておきます。

契約書の作成年月日

秘密保持契約書を作成し、締結に至ったら、その日付を記載しておきます。また、当事者双方の署名と押印も必要です。

秘密保持契約書のテンプレートを提供するサイト

秘密保持契約書には盛り込むべき情報が多く、契約のたびにいちいち作成するには手間がかかります。そんな時に役立つのがテンプレートです。以下に、秘密保持契約書の優良なテンプレートを無料で公開しているサイトを紹介しますので、必要に応じて利用してみてください。

bizocean

こちらのサイトでは、会員登録することで、サイト内に公開されている数万点ものテンプレートを無料でダウンロードすることができます。掲載されているテンプレートは、秘密保持契約書だけでなく、あらゆる種類の文書がありますので、登録しておいて損はないでしょう。

経済産業省

経済産業省のサイト内に公開されている「秘密情報の保護ハンドブック」内に、秘密保持契約書のテンプレートがあります。

秘密保持契約書のテンプレートはネット上にたくさんありますが、それぞれ条項や文言が違うため、実際の契約ではそれらの違いを調整するための余計なプロセスが発生してしまうデメリットがあります。

その点、経済産業省が公開しているテンプレートは、企業法務の専門家が作成したものなので、安心です。非常にバランスが取れた内容で、使い勝手にも優れています。どのテンプレートがよいか迷った時は、こちらを選ぶと間違いがないでしょう。

秘密保持契約書の注意点

秘密保持契約書を作ったら、契約相手にも署名と押印をしてもらう必要があるため、郵送することが多いでしょう。その場合、注意しなければならないのが郵送の仕方です。

秘密保持契約書は紛れもなく重要書類ですので、確実に相手に届いたか、記録を残す必要があります。郵送する場合は普通郵便ではなく、特定記録郵便や簡易書留などを利用しましょう。

普通郵便はポストに投函されますが、場合によってはポストから盗まれるリスクもあります。その点、特定記録郵便や簡易書留なら、配達状況もネットで確認できます。簡易書留は直接相手に手渡しで届けることができるので、より安心です。

まとめ

秘密保持契約書は、自社の秘密情報を守るための非常に重要な書類です。提供した情報を外部に漏洩されてしまうことは当然ながら大きなリスクですが、相手から情報を提供される場合も、その取り扱いには十分気をつけなければなりません。契約条項は詳細までチェックし、双方ともに有益な契約ができるよう、最新の注意を払って作成しましょう。

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