工務店とはどんな仕事をする会社なのか？その業態や選び方

仕事内容で分けられる工務店の種類

工務店にもさまざまな会社があります。従業員を大人数抱える規模の大きな会社もあれば、個人が経営する小規模のものまでさまざまです。業態から工務店を大まかに以下のように分類できます。

一つは独立自営型の工務店です。住宅設計の注文を受け実際に施工を行うことがおもな業務であり、営業から施工まで全てを自社の社員で賄います。社員数が比較的多いのが特徴で、そのため広いエリアにも対応することができるほか、融資や保証の相談にも対応できたり、自社独自の工法を用いているところがあったりといった特徴があります。

次に地域密着の施工特化型の工務店は、営業活動のための専門の人材がおらず、知人や既存顧客からの紹介によって仕事を受注していることが多いのが特徴です。設計事務所案件にも対応できるような技術のある会社もなかにはあります。

分譲住宅会社やハウスメーカーからの下請けで施工することに特化している工務店もあります。住む側にとって、こうした下請け型の工務店とは直接接する機会がないため、ほとんど存在を意識しないでしょう。分譲住宅会社の案件を下請けする工務店は、早く安く大量に作れることが強みであり、ハウスメーカーの案件を下請けする工務店は、そのメーカーの定める基準にしっかり対応できるという特徴があります。

以上、3つの業態の工務店以外にも、おもにリフォームを手がけるリフォーム専門型の工務店や、不動産会社の手がける建築条件付き土地において建築を引き受ける不動産会社担当型の工務店もあります。

これら2つの業態の工務店と住む側が直接契約を結ぶことはほとんどありません。顧客が新築住宅を直接依頼するのは、最初に挙げた施工特化型の工務店か、その次に挙げたハウスメーカーの下請け型の工務店かどちらかでしょう。

工務店の具体的な仕事

以上のように、工務店と一口に言っても業態は会社ごとに異なっており、その仕事内容もそれに応じて異なります。ただ、まずは工務店の基本的な仕事内容を押さえておきましょう。

注文を取るためにはまずどの会社でも営業から始まると考えたくなりますが、実際は専門の営業担当者を在籍させている工務店はそれほど多くありません。ハウスメーカーの場合、営業マンが顧客に対して粘り強くアプローチすることはよくありますが、工務店の場合、そもそもそれができるほどの従業員数を擁しているところが少ないのです。

営業活動をする以前に現在進行中の施工などで手一杯ですから、成約に向けて積極的に追客したいと思っても、現実的にできないところがほとんどでしょう。こういう工務店の窓口は社長自ら務めています。注文する側としては、最初から直接社長に相談できるため工務店の見極めがしやすく、また、いざ成約となってからも安心して任せられるというメリットがあります。

注文を受けた後は実際の施工に入ります。ただし、専門の設計担当者がいる工務店はそれほど多くありません。設計は設計事務所に任せて、実際の施工だけを行うという工務店が多いです。工務店を選ぶ際はここも見極めのポイントとなるでしょう。設計する力があるのか、そうでないなら提携の設計事務所にしっかりした設計力があるのかということが判断のポイントです。

設計を行う場合は、何度も打ち合わせを繰り返しつつ、デザイン、仕様、具体的な間取りなどを絞り込んでいきます。そして、決定した内容を設計書にまとめ、それに沿って施工を始めることになるのです。

営業や設計などに専門の人材を受けない工務店もありますが、どのような工務店でもその仕事の中心は施工業務です。施工業務では、現場監督を中心として実際に作業する職人や大工が家を作ります。もちろん実際の作業に携わる職人や大福の仕事は重要ですが、それを束ねる現場監督の仕事も多岐にわたる内容で、すべてが重要です。

現場監督の仕事にはさまざまなものがありますが、おもに工程面、安全面、品質面の3つの管理業務に分けられるとみてよいでしょう。工程面では、受注した工事の予算を決めて実際のスケジュールを組み、資材の発注をして必要であれば専門業者の手配も行います。

現場では作業の具体的な段取りを決め、職人に指示を出します。その際、安全面にも気を配って適切な環境を整えなければなりません。工事が始まる前には近隣住民に挨拶回りを行い、理解を得ておくことも重要です。

そのほか、計画通りに工事が進んでいるか確認したり、法律上の検査に立ち会ったりといった仕事もあります。規模の小さな工務店であるほど現場監督が担う業務は多岐にわたり、営業、見積もり、図面や資料の作成、地鎮祭の手配までが業務の範疇です。

建築後のメンテナンスも工務店の仕事

工務店の仕事は新築住宅の建築だけではありません。

建築した住宅のメンテナンスや点検も重要な仕事です。住宅を新築する場合、工事が終わって住宅が完成してもそこで付き合いが切れるわけではありません。その住宅に住み続ける間はずっと工務店にお世話になる必要があります。

住宅の点検やメンテナンスは他の業者に依頼することもできますが、やはり実際に建てた工務店がその住宅のことをいちばんよく知っています。何十年もの付き合いになることも珍しくないですから、工務店に依頼する場合は、それだけ長期間にわたって住まいの安全を任せられるかということをじっくり吟味しなければならないのです。

工務店の仕事は住宅の建築の大部分を担います。設計の段階から完成まで、そして完成後のメンテナンスまで、一貫して受け持つのが本来の仕事です。ただ、最近では工務店にもいろいろなタイプがあります。得意でない部分は外注して他社と分業して作業に当たるというところも多いです。

良い仕事をする工務店を選ぶために

最後に、住宅づくりを依頼することになった場合に備えて、工務店の選び方を押さえておきましょう。まず今の時代、会社のホームページを持っていることは必須条件です。

家づくりに対してこだわりがある工務店なら、ネットで積極的に情報を発信しています。また、これまでの施工実績を確認するためにもホームページは重要です。その意味では見学会に行くのも良い方法です。どんな住宅を建てているのか実際に自分の目で確認できますし、スタッフの対応力もチェックできます。

また、会社の場所も重要です。ホームページを見て気に入った工務店があっても、住宅を建てる場所から離れていては移動だけで時間がかかってしまいます。

工務店との付き合いは住宅が完成するまでではなくその後のメンテナンスも含む長期的なものですから、いざというときはすぐに来てもらえることが重要です。車で1時間以上かかるような遠方の工務店を選ぶと不便に感じられるでしょう。

まとめ

工務店にもさまざまな種類があることがわかりました。すべてを自社で手がける規模の大きなところもあれば、得意でないところは外注してできるところだけに集中しているところもあり、また大手の下請けを専門としているところも…とさまざまです。

いずれにせよ、工務店とは長い付き合いになることが多いので、実際に利用する場合は、社長や担当者とコミュニケーションを取って、安心して任せられるかを見極めることが重要になります。

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