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独立開業税理士として成功するためには?ポイントや集客方法などを解説!

更新日:2023年04月24日
独立開業税理士として成功するためには?ポイントや集客方法などを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 独立開業税理士のメリットとデメリットとは
  • 独立開業税理士の年収が知りたい
  • 独立後に成功するためのポイントとは

独立開業税理士として働く魅力は、自由な働き方と高収入獲得が望める点です。勤務税理士と異なり、労働時間や休日に関する縛りはありません。仕事の受注も自身の意向に沿った形で自由に選択できます。

さらに、顧客と信頼関係を構築し多くの仕事を受注できれば、数千万円規模の年収を獲得可能です。しかし、独立前に用意周到に準備してきたとしても、集客や営業が上手くいかず思うように仕事を受注できていない方もいらっしゃるでしょう。今回の記事では、独立後に請け負う仕事内容・集客方法・成功するためのポイントなどについてまとめました。

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独立開業税理士とは?

独立開業税理士とは、自身で税理士事務所を開き、税務代理・税務種類作成・税務相談などの業務全般を基本的に一人でこなす税理士のことです。立場としては個人事業主に該当し、仕事の受注から働き方まで全て自身の意向に基づき判断できます。

労働時間や休日に関する規定も存在せず、自由な働き方を実現できる点が魅力です。さらに、仕事で獲得した報酬は全て自身の手元に入るため、仕事量が増えれば高収入を獲得できる点も魅力の一つです。

ただし、自身で顧客獲得に向けて営業を掛けないといけず、顧客から仕事を依頼されない限り、無収入の状態が続きます。また、自身の代わりに仕事を代わりにこなす存在もいないため、体調やスケジュールを管理する能力も重要です。

勤務税理士とは

勤務税理士は税理士法人や会計事務所と雇用契約を締結し、税務書類の作成や税金処理に関するアドバイスを行います。給与や福利厚生が保障されており、安定した働き方が望める点がメリットです。勤務税理士は社員税理士と所属税理士の2種類に分けられ、所属税理士は社員税理士は税理士事務所内での「役員」として位置づけられます。

税理士法人は2人以上の税理士が在籍していないと法人化できない一方、法人化すると拠点を増やすことも可能です。事務所規模を将来的に大きくしたい場合は、社員税理士を選択するのがおすすめです。

そして、所属税理士は所属先で税理士としての実務経験を積みながらスキルやノウハウを磨いていき、社員税理士や開業税理士へのステップアップを図ります。自身から顧客と接触を図り案件を受注できる環境が法改正によって整備されましたが、トップの快諾が必要です。

独立開業税理士になるための道のりとは?

独立税理士として働くためには、以下の4つの手順を踏む必要があります。

  1. 税理士試験で5科目合格
  2. 日本税理士会連合会への登録
  3. 税理士登録の実施
  4. 独立開業に向けての準備

一つ一つのステップを詳しくみていきましょう。

?税理士試験で5科目合格

税務署に一定期間勤務している方や別の士業資格を所有している方(弁護士や公認会計士など)を除き、税理士資格を取得するためには税理士試験に合格をしないといけません。税理士資格を得るためには、会計学2科目と税法科目3科目の合計5科目での合格が条件です。

一度に全ての科目への合格は難しく、数年掛けて5科目の合格を目指す形が一般的な流れです。税理士試験は科目合格制度が採用されており、ライフスタイルや勉強のペースに合わせて受験科目を選択できます。

表:税理士資格の試験科目

会計学 税法
内容 ・簿記論
・財務諸表論
・所得税法
・法人税法
・相続税法
・消費税法
・酒税法
・国民徴収法
・住民税法
・事業税
・固定資産税
合格条件 2科目合格 3科目合格

?日本税理士会連合会への登録

税理士として仕事を行うためには、日本税理士会連合会への登録が必要です。ただし2年の実務経験を登録条件として求めており、実務経験が無い場合、税理士資格を取得してもすぐに仕事ができるわけではありません。

しかしこれは税理士試験後の期間だけに限定しているわけではありません。税理士法人や会計事務所で働きながら資格取得を目指すこともできるのです。体力的にも精神的にもハードになりますが、最短で税理士として働くことを目指すのであれば、税理士事務所で働きながら資格取得を目指す形が効率的なルートです。

実際、税理士業界は高齢化と受験者の減少で人手不足に悩まされており、税理士事務所は税理士資格を持つ人材に限らず、科目合格者の募集も行っています。早期に科目合格を果たし税理士事務所で実務経験を積めれば、独立開業税理士として働くためのスキルやノウハウを身に付けられます。

?税理士登録の実施

税理士試験への合格と2年以上の実務経験を積んだ後、税理士名簿への登録を行います。日本税理士会連合会のサイトに、税理士登録申請書・身分証明書・住民票のコピーなど提出すべき書類が記載されているので、提出漏れがないよう慎重に作業を進めてください。

参照:日本税理士会連合会【登録に必要な提出書類等】

書類提出後は各地域の税理士会による面接や調査が行われ、「登録適当」と認められれば、税理士として活動できます。書類に記載する申請地域=独立開業を検討している地域となるため、事前に日本税理士会連合会のサイトで検討地域でどのくらいの税理士が活動し、税理士事務所がどのくらいあるかを確認しておきましょう。

注意:検討地域の決め方

税理士や税理士事務所が多いと、新規顧客を獲得できる可能性は低くなるため、注意が必要です。同時に仕事の依頼が望める企業が多いかどうかをチェックしておくと、独立開業後に集客方法をどのように行っていくか見通しを立てられます。

独立開業に向けての準備

続いては独立開業に向けての準備を進めていく段階です。色々な準備がありますが、ここでは大きく2つについて説明していきましょう。

  • 資金調達
  • 開業場所選び

資金調達

開業資金は事務所備品や広告物をどこまで揃えるかによっても変動しますが、500万円は用意してください。独立後に集客が上手くいかず、無収入に陥ることも考えられるからです。金銭的不安はプレッシャーや焦りに直結し、仕事の質を落とす結果となるため、開業資金を多く準備しておくに越したことはありません。

また、開業資金を十分に用意できない場合、金融機関から借り入れるのも一つの選択肢です。例えば、日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用した場合、開業後2年以内であれば無担保・無保証で融資を受けられます。

開業場所選び

開業場所の物件選びは、事務所をどのように活用していくかがポイントです。大きく2つの形があるので簡単にまとめました。

  • 訪問型

    ターゲット顧客を効率的に回りやすいエリアを選択すると、移動時間を抑えられる。

  • 顧客来訪型

    最寄駅や駐車場から近い場所を選択するなど、顧客が足を運びやすいかどうかをチェックする必要がある。

そして、支出を抑えるため、自宅を事務所として運用するのも一つの選択肢です。自ら顧客の元へ赴く形を選択すれば、事務所の家賃を削減できます。事務所の開業選びを行う必要も無くなり、独立開業に向けての準備を効率的に進められます。

税理士が独立開業するために必要な費用とは?

独立開業税理士として仕事をスタートする際に、必要な経費を下記の表にまとめました。

費用 内訳や特徴
税理士登録費用 15万〜18万円/年 ・登録免許税
・手数料
・支部会への入会金
・都道府県によって、料金は変動
税理士会費 10万〜15万円/年 ・税理士資格維持
・都道府県によって、料金は変動
事務所経費 場所次第 ・自宅開業の場合、事務所経費は無料
・レンタルオフィスの場合、年間25万〜40万円程度に削減可能
・都内に事務所を構えた場合、最低400万円以上資金が必要
IT機器 10万円〜30万円 ・PC
・会計ソフト
・税務ソフト
・クラウドサービスのソフトを導入すれば、月額費用は数千円程度へ削減可能
その他 25万円〜106万円 ・ホームページ
・名刺
・ロゴ
・チラシ
・備品購入

税理士登録や資格維持には一定の経費が掛かりますが、費用を支払わないと税理士として働けません。税理士資格の維持に必要なランニングコストは、他の士業と比較してもさほど高いとは言えず、必要経費と考えるのが妥当でしょう。士業の資格維持に掛かる年間費については以下の通り。

資格 年間費
社会保険労務士 7万円〜10万円
公認会計士 12万円〜12.6万円
税理士 10万円〜15万円
弁護士 50万円〜110万円

また、事務所を構える場合大きく2つの方法があります。

レンタルオフィスを利用する場合

レンタルオフィスを利用する場合は、毎月2〜3万円家賃が掛かりますが、自宅開業と同様に初期費用を削減できます。インターネット環境や備品も揃っているので、すぐに仕事を始められる点もレンタルオフィスを利用する大きなメリットです。

賃貸事務所を構える場合

賃貸事務所を構える場合、多額の資金が必要になります。例えば、都内で最も安い大田区で20〜30坪の事務所を構えた場合でも、毎月20万円の賃料が発生します。調達できる独立資金にも限りがあるため、事業が軌道に乗ってから事務所を構えても遅くはありません。

独立開業税理士として請け負う仕事内容とは?

独立開業後にクライアントから依頼される仕事内容は、以下の6種類です。

  • 税務代理
  • 税務書類作成
  • 税務相談
  • 記帳代行
  • 会計参与
  • 資金調達

税理士の独占業務に該当する税務代理・税務書類作成・税務相談を中心に仕事をこなし、顧客を増やしていく形が一般的な流れです。税務相談は、税金に関する知識が乏しい企業や個人事業主から相談を受ける機会も多く、丁寧な説明が求められます。

好印象を残せれば、税務代理・税務書類作成・コンサルティング案件を受注できる可能性も高まるので、丁寧な仕事ぶりを心掛けてください。

税務代理

税務代理は、法人税や所得税の納税申告や予定納税額の減額申請など、税務全般の手続きを納税者に代わり行う業務です。税務代理は税理士法に基づき限られた士業資格を持つ者にしか行えない業務で、税理士が請け負う中心業務の一つです。

特に確定申告の代理申請は、顧客からの依頼件数が多い業務です。近年はe-Taxを利用する個人事業主も増えており、税理士へ確定申告の依頼をしやすい環境ができつつあります。

また、納税猶予の申請や予定納税額の減額承認申請が認められず、国税庁の調査対象となった場合、納税者の代わりに国税庁と様々な意見を交わすのも税理士の役割です。

税務書類作成

税務書類作成は企業や個人事業主の代わりに、税務署に提出する書類を代理で作成することです。確定申告・年次決算書・償却資産税申告書の作成などを行い、税務手続きがスムーズに進むようサポートします。

税務書類の作成代行は、税理士資格を持っていない限り作業を代行できません。無資格者が行うと罰則が科せられるため、税理士に業務が集中する独善業務の一つです。

主な税務書類業務内容は以下の5つ。

  • 確定申告書
  • 決算書
  • 償却資産税申告書
  • 総勘定元帳
  • 法人税や消費税の予定申告書

税務相談

税務相談は節税対策・税務書類の作成方法・資金繰りに関してなど、税金に関する様々な相談を企業や個人事業主から受ける業務です。

税理士以外が税務相談を受けると納税額が変動する可能性があるため、税理士以外は税務相談を受けることができません。また、税務相談は税務代理や税務書類作成をどの税理士に依頼するべきかどうか、顧客が税理士との相性を確かめるために行っている側面もあります。

顧客から信頼を得られれば、税理士の独占業務やコンサルティング案件を受注できる可能性が高まるため、相手のニーズに応じた柔軟な対応が求められます。

税務相談の主な内容は以下の5つ。

  • 企業の節税対策
  • 帳簿の付け方
  • 資金繰り
  • 確定申告書の作成方法
  • 税務調査の立ち会い

記帳代行

記帳代行は伝票・仕訳帳・現金出納帳などから、お金の支出入を会計ソフトへ入力することです。記帳代行は税理士の独占業務ではなく、日商簿記3級以上の知識を持つ者であればスムーズに対応できます。

ただし、給与計算・請求書発行・振込代行など、経理代行に該当する業務とセットで記帳代行を税理士に依頼するケースが一般的です。経理代行は税理士にしか作業を任せられないため、経理業務の実務経験者がいないベンチャー企業や個人事業主から業務を依頼されるケースが多いです。

会計参与

会計参与は賃貸対照表・事業報告書・損益計算書など、計算書類を取締役と共同で作成する役目を担うことです。必要に応じて、作成した計算書をステークホルダーへ開示します。

会計参与は監査役が不在の非公開会社から依頼されるケースが一般的です。つまり、会計に関するプロフェッショナルとしての役割を期待されており、税理士または公認会計しか、会計参与の役目を担えません。正確な計算書類を作成して、経営状態の透明性を高め、取引先や金融機関からの信頼を高めます。

資金調達

資金繰りに悩みを抱えている中小企業やベンチャー企業をサポートする業務です。具体的には、必要な事業計画書の作成方法や融資担当者の交渉サポートなど、金融機関から融資を受けられるようにすることが目的です。

また、信頼関係構築に成功し、経営状態を内通しているクライアントからは、国や地方自治体に申請する給付金の申請書作成〜提出まで代行業務を依頼される場合があります。給付金の申請業務はニーズが高く、仕事の幅を拡げることにもつながるため、メリットが多い業務だと言えます。

独立開業税理士の報酬相場とは?

独立開業税理士が、企業や個人事業主と顧問契約を締結した場合に得られる報酬の相場をまとめました。企業と個人事業主で費用が異なる点は、業務量の違いです。

近年はフリーランスとして働く方も増加しているため、企業との顧問契約締結が難しい場合は、個人事業主との顧問契約締結や確定申告のサポートを行うのも一つの選択肢でしょう。

表:企業と顧問契約を締結した場合

年間売上 顧問料/訪問頻度別(月額)
年12回
顧問料/訪問頻度別(月額)
年4回
顧問料/訪問頻度別(月額)
年2回
顧問料/訪問頻度別(月額)
年1回
記帳代行(月額) 決済申告(年額)
1,000万円以下 2.5万円 2万円 1.5万円 1.2万円 +0.5万円 10万円
3,000万円以下 3万円 2.5万円 2万円 1.7万円 +0.7万円 15万円
5,000万円以下 3.5万円 3万円 2.5万円 2.2万円 +1万円 20万円
7,000万円以下 4万円 3.5万円 3万円 2.7万円 +1.2万円 25万円
1億円以下 4.5万円 4万円 3.5万円 3.2万円 +1.5万円 30万円
5億円以下 6万円 5.5万円 5万円 4.5万円 +3万円 35万円
5億円以上 要相談 要相談 要相談 要相談 要相談 要相談

表:個人事業主と顧問契約を締結した場合

年間売上 顧問料/訪問頻度別(月額)
年12回
顧問料/訪問頻度別(月額)
年4回
顧問料/訪問頻度別(月額)
年2回
顧問料/訪問頻度別(月額)
年1回
記帳代行(月額) 決済申告(年額)
1,000万円以下 2万円 1.5万円 1.2万円 1万円 +0.5万円 8万円
3,000万円以下 2.5万円 2万円 1.7万円 1.5万円 +0.7万円 10万円
5,000万円以下 3万円 2.5万円 2.2万円 2万円 +0.9万円 12万円
7,000万円以下 3.5万円 3万円 2.7万円 2.5万円 +1万円 13万円
1億円以下 4万円 3.5万円 3.2万円 3万円 +1.2万円 15万円
1億円以上 要相談 要相談 要相談 要相談 要相談 要相談

独立開業税理士の年収とは?

日本税理士会連合会が2014年に発表した「第6回税理士実態調査報告書」の結果を下記にまとめました。独立開業税理士の平均年収は744万円です。給与所得で報酬を得る社員税理士の方が、平均年収886万円と独立開業税理士を上回る結果となりました。

ただし、独立開業税理士は売上が全て自身の手元に入るため、顧客数や仕事量が増えるほど高収入を獲得できます。1,000万円越えは珍しくなく、中には3億円以上稼いでいる方もいます。

一方、所属税理士の平均年収は597万円でした。基本的には所属している税理士法人や税理士事務所で与えられた仕事をこなす形になるので、独立開業税理士や社員税理士ほど高収入は望めません。

表:税理士の年収比較

給与収入 開業税理士 社員税理士 所属税理士
300万円以下 31.4% 9.4% 12.0%
500万円以下 16.7% 12.0% 28.0%
700万円以下 12.0% 14.8% 31.7%
1,000万円以下 13.5% 23.4% 18.8%
1,500万円以下 11.0% 20.7% 6.0%
2,000万円以下 5.0% 8.9% 0.8%
3,000万円以下 3.4% 5.6% 0.6%
5,000万円以下 1.5% 1.9% 0.02%
5,000万円以上 0.5% 0.7% 0.02%
無記入 5.0% 2.6% 2.8%

ただし、安定した給与と福利厚生が保障されており、金銭的不安に悩まされるケースは少ないでしょう。一般的な会社員と比べても、所属税理士の平均年収は高水準です。PRTIMESが発表した2021年における会社員の平均年収は、約445万円でした。

同時期に調査したデータではないため一概に比較はできないものの、所属税理士は会社員の平均年収よりも150万円以上多くの収入を得ており、安定した生活が望めます。

参考元:【2022年最新】日本の「平均年収」「年収中央値」を調査【PRTIMES】

独立開業税理士として働くメリット

独立開業税理士として働くと以下3点のメリットを得られます。

  • 自由度の高い働き方を実現できる
  • 高収入を獲得できる
  • 定年を気にせず働ける

一つ一つ内容をみていきましょう。

自由度の高い働き方を実現できる

独立開業税理士は所属先と雇用契約を締結する勤務税理士と違い、労働時間や休日に関する規定がありません。例えば、家族との時間を確保するため、19時以降は仕事をしないといった働き方が可能です。一方、高収入を得るために、土日もフルタイムで仕事に打ち込むといった働き方も選択できます。

全て自身の意向に沿った形で仕事を進められるため、ストレスを抱えず充実した日々を送れます。また、独立開業税理士は自分自身で仕事を引き受けるべきか、判断できる点もメリットの一つです。

仕事が軌道に乗ってくれば、気持ち良く取引ができるクライアントの案件や高単価案件のみに注力でき、効率的に稼げます。

高収入を獲得できる

独立開業税理士になると、社員税理士や所属税理士よりも多くの収入を獲得することが可能です。仕事で得た報酬は全て自身の手元に入るため、スキルや経験を積んで多くの仕事をこなすほど、収入を伸ばせます。

上記の調査結果では独立開業税理士の平均年収は744万円でしたが、大手税理士法人を経営している独立開業税理士も含めた場合、平均年収は約3,000万円になると言われています。独立開業税理士は年収差が大きいため、中央値で見た1,000万円前後が実情を反映している可能性が高いですが、中央値で見た場合でも社員税理士よりも高収入を獲得できます。

多くの収入を稼いでいる独立開業税理士は複数の企業と顧問契約を締結し、節税対策や資金繰りに関するコンサルティング業務を行っている点がポイントです。顧問契約先が増えるほど安定した売上を確保できるため、幅広い分野の知識を習得し仕事の幅を拡げられると、収入を伸ばせます。

定年を気にせず働ける

独立開業税理士は定年を気にせず、好きなタイミングまで仕事を続けられます。早い段階で複数の顧客と良好な関係を築ければ、勤務税理士時代よりも遥かに多くの生涯年収を獲得でき、金銭面の不安を抱えず生活できます。

また、本業以外で稼ぎやすくなる点も独立開業税理士として働く魅力の一つです。幅広い知識・コミュニケーション能力・ライティングスキルが求められますが、セミナー講師や書籍出版に挑戦し、新たな収入源を獲得できます。

そして、これまで培ってきたノウハウや経験を伝えることにもつながり、新たな独立開業税理士の育成にも貢献できます。

独立開業税理士として働くデメリット

独立開業税理士として働くデメリットは以下の3点です。

  • 全てが自己責任
  • 新規顧客獲得に苦戦
  • 会計ソフトやAIの普及で仕事が減少

これまでとは違い、仕事の責任やプレッシャーは一人で背負わないといけません。病気や事故に遭った場合に代わりを務めてくれる方もいないため、体調管理やスケジュール調整に今まで以上に気を配る必要があります。

また、勤務税理士時代の担当顧客をそのまま引き継げないため、新たに顧客獲得に向けての営業をこなしていかないといけません。

全てが自己責任

仕事で失敗をしたとしても、全ての責任が自分自身に降りかかります。勤務税理士と違い、助けてくれる上司や先輩はいません。仕事に穴を開けないよう、健康管理やスケジュール管理には細心の注意を払う必要があります。

また、独立当初は仕事が軌道に乗るまで、企業経営やマーケティングに関する勉強に注力しないといけず、プライベートな時間を確保できる余裕はありません。

懸命に営業や勉強に励んだとしても、仕事の成果に結びつく保証がない点も精神的に辛くなる要因の一つです。安定して仕事が得られるまで、収入が不安定な期間を耐えられるかどうかが、独立開業税理士として成功するための重要な要素となります。

新規顧客獲得に苦戦

勤務税理士として担当していた顧客を引き抜くことは禁止されており、独立後は一から顧客獲得に向けて営業しないといけません。税理士として優秀な方が、必ずしもすぐに新規顧客を獲得できるとは限らないのです。

営業には、提案力・課題発見力・コミュニケーション能力が求められます。相手の表情や会話内容からどういった悩みを抱えているのか、どういった提案を行うべきか、把握する能力が重要です。営業が苦手な場合は顧客から仕事を得られるまで時間が掛かり、経営にも多大な圧迫が掛かります。

また、全ての顧客と相性が良いとは限りません。スムーズにコミュニケーションが交わせないと感じたら無理に固執せず、次の見込み顧客へアプローチを掛けてください。効率良く多くの方と接触するためには、気持ちの切り替えの早さも重要です。

会計ソフトやAIの普及で仕事が減少

クラウド型の会計ソフトを手軽に利用できる環境が整い、簿記の知識に乏しくても記帳できる環境が整いつつあります。これまで税理士に記帳代行を依頼した企業や個人事業主も会計ソフトを利用し、外注せずに対応している割合が増えています。

顧客側にとってはコスト削減のメリットが望める一方、税理士にとっては仕事の依頼が減少するため、歓迎できない事態です。また、今後は入金確認や勘定科目の仕分け作業など、単純な事務作業はAIが行う形が増えていきます。

AIの方が人間が作業するよりも処理スピードや正確性に優れており、税理士に仕事を依頼するメリットが薄れるからです。経営コンサルティングやフィンテックへの対応など、新たな分野への挑戦が求められています。

独立開業税理士が活用可能な集客方法

新規顧客獲得のために活用できる集客方法を表にまとめました。ホームページ・ブログ・SNSは、不特定多数の方へ低コストで情報を発信できる点が強みです。複数のツールを活用すると、効率的に集客アップへつなげられます。

また、税理士紹介サービスは手数料や契約金を払わなければいけませんが、営業活動をしなくとも新規顧客を獲得できます。自身で案件を選べるため、営業力に不安を抱える独立開業税理士にとっては利用価値のあるサービスの一つです。

表:各集客方法のメリットとデメリット

方法 メリット デメリット
ホームページ ・実績、得意分野、人柄をアピールできる
・経営や税金に関する情報を発信し、興味を惹き付ける
・無料でも作れる
・クオリティが低いと、顧客からの関心を失う
・定期的な更新が求められる
・基本的には待ちの営業になる
ブログ ・低コストで集客が望める
・コミュニケーションが取れる
・利用のハードルが低い
・デザインやプログラミングの知識は必要無い
・成果が出るまで時間が掛かる
・SEO知識やライティングスキルが求められる
・記事を定期的に掲載するための時間を確保しないといけない
SNS ・拡散力に優れる
・不特定多数の方へ低コストで情報を発信できる
・認知度向上や集客が望める
・コミュニケーションが取れる
・効果が出るまで時間が掛かる
・炎上するリスクもある
・悪評の拡散も早い
税理士紹介サービス ・新規顧客への営業を一任できる
・営業活動に掛けていた時間を有効活用できる
・案件を選べる
・情報発信が苦手でも、新規顧客を獲得できる
・手数料が発生する
・契約金が低い
・営業スキルが身に付かない
・多くの仕事をこなす必要がある
web広告 ・ターゲット層に絞った情報発信ができる
・低予算で広告を掲載できる
・即効性に優れる
・広告ごとの特徴や仕組みに関する事前調査が必要になる
・ターゲット層が曖昧だと、訴求効果は低下する
・日々の検証と改善が求められる
クライアントや他の士業からの紹介 ・継続的な依頼が望める
・仕事を依頼する前から信頼を寄せている
・営業活動の手間が省ける
・自身と相性が良いとは限らない
・案件を断りづらい
・顧客との関係が悪化する
・事前に他の士業の方とのパイプ作りが必要になる
銀行からの紹介 営業活動の手間が省ける ・銀行とのコネクションが必要になる
・地域に根差した税理士に優先して案件が依頼される
・案件を断りづらい

税理士として独立後に成功するためのポイントとは?

独立開業税理士として安定して仕事と収入を得るためのポイントは以下の4点です。

  • 自身のキャパシティを理解する
  • 得意分野を明確化する
  • 経営コンサルティングの案件へ挑戦する
  • 人脈を拡げる

一つひとつ内容をみていきましょう。

自身のキャパシティを理解する

独立開業税理士は病気や怪我をした際、代わりとなって働いてくれる方はいません。仕事を詰め込み過ぎて体調を崩さないよう、規則正しい生活リズムと十分な睡眠時間の確保を徹底し、体調維持に努めてください。また、自身のキャパシティを把握し、仕事量やスケジュールを調整することも重要です。

キャパシティ以上の仕事を抱えると期限内に仕事を終えることへの優先順位が高くなり、成果物の品質を担保できません。体調不良を招くリスクも高くなり、期限内に依頼された仕事を終えられず、顧客へ迷惑をかける形となります。安定して稼働できる状態を維持するためにも、独立開業税理士には自己管理の徹底が求められます。

得意分野を明確化する

不動産業界の企業案件に強い、資産税に特化しているなど、自身の得意分野の案件を集中的に引き受けるスタイルを明確化し、他者との差別化を図ってください。専門分野に特化することで知識やノウハウをさらに深く蓄積でき、自身の強みを明確に打ち出せます。

また、他の税理士よりも質の高いサービスを提供できるようになり、価格競争からも脱却できます。そして、独立開業税理士が少ない分野に参入すれば唯一無二の地位を確立でき、仕事が途切れる心配もいりません。

経営コンサルティングの案件へ挑戦する

スキルや知識の習得が必要ですが、経営コンサルティングの仕事を引き受けるのも、独立開業税理士として仕事の幅を拡げられる方法の一つです。まず、税理士と経営コンサルタントでは、コンサルティング内容が異なる点を理解しましょう。

  • 税理士が行うコンサルティング・・・税金や会計処理に関する内容
  • 経営コンサルタント・・・マーケティング戦略立案・市場分析・事業再生案提示など、企業の経営状態改善に向けての提案

分析力・コミュニケーション能力・課題発見力が経営コンサルティングでは重視されるため、同じコンサルティング業務でも求められるスキルや提案内容は異なります。ただし、市場での競争激化による業績の伸び悩みによって、中小企業を中心に経営面でのサポートを求めている企業は多いです。

独立開業税理士はこれまで培ってきたノウハウや経験を活かし、企業の経営状態を正確に把握した経営戦略を提案できる点が武器になります。経営コンサルティングは無資格でも行えるので、案件を引き受けるために資格取得を必要としない点も一つのメリットです。

また、経営コンサルティングの費用相場は契約形態によっても変動しますが、顧問契約を締結すると月20万円〜50万円ほどの報酬が得られます。時間契約やスポットでの案件受注もできるため、税理士の独占業務と並行しながら仕事の幅を拡げられます。

人脈を拡げておく

同業者や他士業の方と交流を深めるのも、独立開業税理士にとって重要な仕事の一つです。特に独立当初は今後のキャリアや仕事の進め方など、わからない点も多く、一人では不安になることも多いでしょう。セミナーや勉強会に参加し、先輩の独立税理士に顔を覚えてもらうと有益な情報や仕事を回してもらえる確率が高まります。

また、TwitterやFacebookを活用した税理士同士の交流も盛んに行われており、気になる方へメッセージを送り、情報収集に努めるのも一つの選択肢です。そして、税理士として働いていると、一人では処理できない案件に直面する場合もあります。

弁護士・司法書士・社労士などは、税理士と同様に独占業務を抱えており、税理士が関わることはできません。クライアントからの紹介や士業交流会で他士業の方と知り合い、今後の仕事につなげてください。

まとめ

今回の記事では主に以下の5点についてまとめてきました。

  • 独立開業税理士のメリットとデメリット
  • 独立後に請け負う仕事内容
  • 独立開業税理士の年収
  • 集客方法
  • 成功するためのポイント

開業税理士は自由な働き方を実現しつつ、スキル次第で高収入を望める点がメリットです。複数の企業と顧問契約を締結している場合やコンサルティング案件を多数受注している開業税理士の場合、年収が3,000万円を超えている場合も珍しくありません。

ですが、独立当初は集客面で苦労します。勤務税理士時代の担当顧客を独立後に引き抜くことが禁止されており、自らクライアントを獲得するために営業を掛けないといけません。提案力やコミュニケーション能力に不安を抱えている場合、どのようにクライアントを獲得すればいいか悩んでいる方も多いでしょう。

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待っているだけで仕事が獲得できる「比較ビズ」とは

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山近 百花
執筆者

法政大学法学部政治学科卒業後、アパレル系の販売職に勤める。全国の店舗対抗の接客スキルを競う大会にて審査員特別賞を受賞した。現職のワンズマインドでは前職の接客経験を活かし前期の営業成績TOPになるまでに至る。営業業務を行う傍ら、現場で見聞きした意見や見地をもとにメディア運用業務も行う。

税理士・公認会計士の案件一覧

  • 【顧問税理士・確定申告など】税理士・会計士への相談・問合せ

    税理士・公認会計士 > 税理士・公認会計士
    • 総額予算 相場が分らない
    • 依頼地域 兵庫県

    [依頼業務] 顧問税理士 確定申告 税務相談 経営コンサル [会社規模] 2〜5名 [年商] 1000万以下 [利用中の会計ソフト] 財務応援 [事業内容] 小売 [相談内容] 不動産取得、売買など また店舗には毎月、また数か月に一度来ていただけるのか、教えて頂きたい。

    ヒアリング済
    • 総額予算 3万円まで
    • 依頼地域 福岡県

    [依頼業務] 顧問税理士 確定申告 記帳代行 税務相談 税務調査対策 経営コンサル 資金調達・融資 [会社規模] 2〜5名 [年商] 1000万以下 [利用中の会計ソフト] [事業内容] 水道設備業等 [相談内容] 今も税理士さんにお願いしていますが、会社の業績があまり良くないので、顧問料を安く抑えたい。

    ヒアリング済
  • 決算の見積もり依頼

    税理士・公認会計士 > 決算申告
    • 総額予算 7万円まで
    • 依頼地域 東京都

    [依頼・相談したい内容] 弊社は9月末決算の会社です。 売り上げは1000万円弱ですが、純利益は70万円程です。 月次は自分で弥生会計で管理をしていますので、決算申告のみをお願いしたいと思っております。 [御社の業種] 不動産業 [会社規模] 1名〜5名 [売上規模] 1000万以下 [決算書、税務報告書の有無] 有り [税理士、会計士の切り替え/追加を望む理由] [今後の税務顧問・決算について] 満足できれば頼みたい [税務代 …

  • 税理士・会計士への相談・問合せ

    税理士・公認会計士 > 税理士・公認会計士
    • 月額予算 月3万円まで
    • 依頼地域 大阪府

    [依頼業務] 確定申告 税務相談 会社設立 [会社規模] 1名 [年商] 500万以下 [利用中の会計ソフト] 弥生 [事業内容] 溶接、製缶業 [相談内容] 経理に関しては無知のため、記帳の仕方や、節税方法など、細かく教えていただきたい。 なるべく近い方が希望です。

  • 税理士・会計士への相談・問合せ

    税理士・公認会計士 > 税理士・公認会計士
    • 総額予算 予算上限なし
    • 依頼地域 岐阜県

    [依頼業務] 税務調査対策 [会社規模] 1名 [年商] 1000万以下 [利用中の会計ソフト] わくわく確定申告 [事業内容] フリーランスのシステムエンジニア [相談内容] 11/11に税務調査があるため、その対策をしたい

    ヒアリング済

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