孤独なSEO担当者に捧ぐ、マニアックなアルゴリズム事情
もしも今現在、
- 検索アルゴリズムの変更でサイト流入が減ってしまった
- 外部リンクがもらえない
- 上位表示されるキーワード選定ができない
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数のWeb制作会社に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。
Googleのアルゴリズム変動は、良い意味でも悪い意味でも事業に多大な影響を与えます。SEO対策は非常に重要であるものの、投資の側面が強いため、会社での稟議もなかなか通らず、コンサルを雇わずにインハウスで頑張っている担当者も多いのではないでしょうか。
そんな孤独な担当者に向けて、今回は特別に、マニアックなアルゴリズムの最新動向について深堀りします。ゲストには、「再検索キーワード調査ツール」を筆頭に様々なSEOツールを開発する柏崎 剛さんをお迎えし、聞き手役は比較ビズでCMOを務める森井が行います。
東京都杉並区出身、1979年9月17日生まれのSEOコンサルタント。株式会社コンテンシャルの代表取締役。その他にも法人役員・SEO顧問を複数社兼任。「柏崎剛SEO対策ドットコム」を運営し、体験や経験をもとにしたノウハウを公開。また、多様なSEOツールを開発、提供している。著書に『目からウロコのSEO対策「真」常識(幻冬舎)』がある。
「比較ビズ」の立ち上げメンバーとして2013年に入社。SEO・リスティングなどSEM全般の知見が深く「比較ビズ」を月間100万PVまで成長させた。今はマーケティング全般を指揮する立場として活躍中。
昨今のSEO状況と検索行動の変化
資金力のある企業が優遇されるアルゴリズム
森井
最近のGoogleの上位表示ページって、SEOを意識した似たようなページが並び、そのなかで勝っているページって被リンクが多い、または指名検索数が多い企業じゃないですか。知名度低い企業は勝てないのか?と萎えてしまう担当者もいるのではないでしょうか。
柏崎
どんどん知名度やDR比重高めの傾向になっていますね。土俵に乗ってないとそもそも戦えないっていう、つまんない世界になっちゃったと思ってます。
DR(ドメインレーティング)とはSEO分析ツールのAhrefsの指標で、被リンクの強さを100点満点で評価している。
森井
たとえばですが、今から歯医者や税理士などで開業したとしても、今のSEOで戦うのはかなり厳しいと思ってるんですね。アクセスを増やすためにコラムを書いたとしても、大手や有名企業が強いため、昔に比べて上位表示の難易度が爆上がりした印象があって。
柏崎
全国展開しているような会社があると、順位で勝つのは難しい状況ですからね。ただ、Googleはそもそも広告を使って欲しいんで、ある意味その検索結果で正しいんですよ。
森井
確かにGoogle側からすれば、企業が頑張ってSEOで集客を確立されたところで、何もメリットないですもんね。
柏崎
ちっちゃい事務所を上位に挙げる理由もないですし。「地場で露出したいんだったら、最初は広告使ってよ」というのがGoogleのスタンスなのでしょう。
森井
結局ページ側でいくら頑張ってリライトしても、他の要因で上位表示できないなら、小手先のSEOを学ぶより、被リンクを集めたり、サイテーションを強化する必要があると思うのですが...。
柏崎
そうですね。ただ、結局ドメインパワーやサイテーションの部分が競合と同レベルになった段階で、順位を争うとなると、ページ側の部分も当然重要になってくるので、優先度はともかく、SEOの重要性は引き続き変わらないと思います。
SGEは敵か味方か
柏崎
難易度が上がっているとはいえ「弱者はSEOを諦めて広告をやるべき」とは思っていないです。それこそSGEとかは活用余地があります。
SGEとはGoogleの検索結果にて、生成AIが回答する検索体験のこと
森井
そもそも今、SGEの浸透率ってどんなもんなんですか?
柏崎
Search Labsで申請をしないとSGEは表示されません。一時期は2024年2月に一般開放すると告知されていましたが、今は告知が取り下げられ、うやむやになっています。
森井
じゃあ全体の95%ぐらいはSGEが表示されないんですかね。
柏崎
99%くらいじゃないですか?僕みたいな業者や、リテラシー高いSEOの担当者さんが利用しているだけで、一般ユーザーはほぼ利用していないはずです。
森井
SGEが一般に解放されたら、自然流入のマイナス影響が恐ろしいですね。
柏崎
Bingもそうですが、AIの回答がSERPsの上に配置されますからね。ただ、SGEって結構面白くて、弱者にチャンスがあると思うんです。
SERPs(サープス)とは検索エンジンで表示されるページから、広告やGoogleマップなどの部分を省いた、自然検索結果のページ。
森井
弱者にチャンスですか。
柏崎
検索意図をすべて汲み取ったような網羅的なページや、大手が運営するようなページが引用として活用されがちなイメージがあると思うけど、実態はそうではない。
森井
そうなんですか。
柏崎
検索意図や事象に対して、端的に短文で要点だけをまとめたページを好む傾向にあります。強調スニペットの仕様に近い感じです。SERPsの検索順位と連動しているわけではないんです。
森井
上位表示されている検索結果の中から、回答を生成しているのかと推察していましたが、そうではなかったんですね。
柏崎
はい。ですから、SGEは戦略的にアプローチできると考えています。SGEに表示されるために、一般的なSEO対策とは違い、AIが好むような文章の書き方があったりします。
森井
アプローチするメリットは、自分が書いた文章がGoogleに盗まれてしまうけれど、引用元としてSGEのところに乗ってくるので、そこからのクリックで流入が見込めるってことですか?
柏崎
そのとおりです。当然本来のクリック率より下がる可能性が高いですが、SGEで露出が増えるのはブランディングにもなります。SGEで評価される=最終的には他のページだったり、他のオーガニック検索だったりで好影響があるので、出ないよりは出した方がいいです。
Googleは強者に、Bingは弱者に優しい?
森井
そういえば、BingやYahoo!で色々動きあるじゃないですか。
柏崎
Yahoo!は2025年に別エンジンになるようですね。
森井
色々SEOが大変になりそうですね。Googleだけだったのが、BingにYahoo!に...。
柏崎
そうですね。逆にいうと、今まではGoogle一強で、Googleに表示されなければ話にならないという状態から、YouTubeやTikTok、X(旧Twittter)などのSNSが登場して、そもそも検索エンジンで検索しないユーザーが増えています。
森井
確かに若い世代はググらないって聞きますね。
柏崎
具体的なデータはなく傾向なのですが、ここ最近、Googleの検索の利用者が減少し、Bingのシェアが急成長しているんですね。AIが珍しいというのもありますし、Googleだとまともな検索が出ないっていうところも背景にあるかと思います。
森井
Bingは4、5年前のGoogleみたいな部分が結構あると思っていて。
柏崎
あー、ありますね。
森井
今のGoogleは、信頼性に重きを置いているので仕方がないですが、大手企業を盲目的に信用して上位表示し、実態のない企業や個人に厳しいっていうのがあって。Bingは実態のない企業や個人に優しい印象がある。ウチの比較ビズもGoogleではちょっと厳しい評価なのですが、Bingでは結構順位がいい(笑)。
柏崎
Bingは弱者に優しいところがありますからね(笑)。
Googleはまだ全知全能ではない
ユーザー行動の因数分解は難しい、だからこそABテストを
森井
Bing関連で、Microsoftの話だと「Clarity」。ヒートマップ見れるだけでなく、ユーザーがどういうページ遷移を辿り熟読していたのかを動画で見ることができ、しかもすべて無料で利用できるってヤバくないですか。
柏崎
僕も使ってます。とんでもないですよね。
森井
ヒートマップツール業者がかわいそうになるクオリティで。さらに人工知能(Copilot)の機能が導入され、ユーザー行動の動画を勝手に要約してくれたりとかあって、いつも感動しているんですね。ただ、めちゃくちゃいいなぁと思う反面、イマイチ活用できていなくて...。
柏崎
ああー、難しいですよね。わかります。
森井
ここよく見られてる=需要があるから上部に配置したらいいよねって思い、変更したりするのですが、スクロール率が落ちてしまったり、(10秒以下の滞在となり)エンゲージメント率が低下しちゃったりするケースがあって。
柏崎
ありますよね。今の文脈があるからこそ、後半の部分に注目が集まっている可能性がありますもんね。
森井
SEOの勉強とかしてると、ヒートマップやユーザー行動見るのが正義だよっていうのがあって、ロジックはわかるんですね。ユーザーのために記事を作っているので。とはいえヒートマップや動画、エンゲージメント率の調理方法って難しい。
柏崎
難しいですね。主観になりがちなんで、一番いいのはABテストするとかですね。仮説はある程度は主観になっちゃうと思うんですけど、1個に絞らずに、決めつけじゃなくて「こういうデータがあるから、こういう傾向なんじゃないか」といったように、テストする軸を何個か用意しないと。そのうえで、ABテストをするのが重要です。
ユーザーを監視する謎通信?
森井
ウチの場合、ABテストするために、最終指標(KGI)は順位とし、KPIにユーザー行動を置いたんです。でもGA4ってエンゲージ率80%とかって出るものの、内訳がわからないじゃないですか。
柏崎
そうですね、デフォルトの設定ではわからないですよね。
森井
そこで詳しく内訳が見れるように、BigQueryやLooker Studioを活用して、可視化できるようにしたんですよ。
弊社の比較ビズでは全ての記事で順位、セッション、CVR、滞在時間の平均値と中央値、ページ遷移率、各スクロール率を計測しています。
森井
そこまで分解したら順位とエンゲージメント率との相関関係が出ると思ったんですね。エンゲージ率が高いもしくは、スクロール率が60%以上の率が高ければ、やっぱり順位高いよねって。そしたら全く相関関係なかったんですよ。
柏崎
(笑)
森井
ユーザー行動の分析、どうしよう。っていう感じになっちゃって。
柏崎
たしかに、そうなんですよね、ヒートマップ同様に、一見改善の余地が出てきそうな、すごいいいデータっぽいの出てくるんですけど、 結局どう調理していいかわかんなかったり、そもそも調理しようがなかったりしますよね。
森井
ユーザー行動が改善しても順位が全然変わらないというか、むしろ下がっちゃうとか。
柏崎
そうですよね。ただ、Googleがユーザー行動を詳細に見ているのは事実です。Safariも同様ですが、GoogleのChromeは個人情報保護法などの流れがあるものの、「どういうところを検索して、どこをクリックして、どのような行動をしたか」ビーコンみたいなのが入っていて、暗号化しつつもデータを取っているんじゃないかと思います。パケットなんかを見ていても、なにかを通信しているようなので、僕はこれを「謎通信」なんて呼んでいます(笑)。
森井
スマートスピーカーのAlexaが、ユーザーの知らぬところで個人情報を収集していた的な話と似てますね。
柏崎
それで面白い話があって。Androidの端末で、スマホの前でスニーカーの話をしていたら、検索行為をしていないのに、数週間後にリターゲティング広告でスニーカーの広告がしつこく配信された、というのがありました。
森井
それはホラーな話ですね。リタゲ広告がストーカー広告と揶揄されるのも納得できます。
帰納法的ユーザーファースト
柏崎
とにかくテック系企業はCookie規制などで世の中が厳しくなっているものの、ユーザーの行動を細かく見ています。そのため記事やページはとにかくユーザーファーストであるかを考える必要があります。
森井
柏崎さんってSEOの色んなツールを開発されているので、凄く失礼ですが、ユーザーファーストという言葉は意外でした。もっとハック的なことを考えているのかと。
柏崎
基本的には数値主義ですよ。感情的な部分は何の役にも立たないと思っているので、数値しか見ていないです。ユーザーファーストである、というのはGoogleがユーザー行動を見ているので結局そこにいきつくんです。
皆さんが思うほど、googleはそんな賢くなくて。賢いとこは賢いんですけれど、毎日膨大なページをクロールする際に、人間と同様のレベルで理解して順位を決めているか、といったらそうではなく、結局は訪れたユーザーの行動を見て、そのページの善し悪しを判断しています。全知全能の神ではありません。
だから、ユーザー行動を無視して、文章量を無駄に増やすような施策は順位下げる要因になりえます。
Ahrefsは有能だが、similarwebの方が正確?
森井
Ahrefsとかsimilarweb(※以下シミラーと表記)とかも、ブラウザのプラグインからユーザー行動を収集して分析しているんでしたっけ?
柏崎
Ahrefsは他の検索エンジン同様にクローリングによる情報収集ですが、シミラーはおっしゃるとおりで、ビーコンによる収集を行っています。統計学を元に、これぐらいのアクセスだろうって算出しています。
森井
弊社では昔シミラーを使っていたことがあり、今ではAhrefsに一本化しているのですが、とにかくAhrefsが優秀で。ただ、Ahrefsの訪問者数ってあるじゃないですか?
柏崎
はいはい。
森井
Ahrefsの訪問者数が最近当たっていないんですよ。そこで複数のサイトを運用していたりするので、GA4側との乖離値を調べた結果、だいたい実数の30〜40%だったんです。Ahrefsの訪問者数に2.5〜3倍掛ければ、実数になる感じ。
柏崎
なるほどなるほど。
森井
で、久しぶりにシミラーで調査したら、ドンピシャな訪問者数を当ててきたんですよ(笑)。ちょっと怖くなるくらい。
柏崎
シミラーの精度凄いですもんね。シミラーは界隈では先駆者ということもあり、昔と比べて精度が向上してきた印象があります。ただ結構高いですよね。個人の方が気軽に利用できない金額じゃなかったかと。
森井
高いですね。Ahrefsがお手頃価格なだけかもしれませんが......。
カニバリって実際どうなの?
森井
ユーザー行動を踏まえてリライト業務していると、どうしてもカニバリ(重複)問題に遭遇するのですが、どう思います?最近はもう関係ないんじゃないかなと思っていて。
カニバリとはユーザーにとって同じようなコンテンツを提供して、Googleに重複コンテンツとして取り扱われてしまう事。詳しくは「カニバリゼーションを起こす重複コンテンツの解消法」を参照ください。
柏崎
同意です。
森井
たとえば、「税理士とは」「税理士 費用」「税理士 選び方」などのクエリを獲得したいと思い、「税理士とは」をピラーとして、「費用」や「選び方」をクラスターとするじゃないですか。
柏崎
はいはい。
森井
「税理士 とは」のピラー記事に「費用」「選び方」の内容を入れた方がベターなので、それらの内容を入れるのですが、その際に「費用」「選び方」の元ページから内容をコピペしてしまうと、カニバリのリスクが発生すると思うんですよね。
柏崎
はい。
森井
とはいえ、リライトしても、本来の「費用」ページに乗っている内容と整合性が破綻しないようにしつつ、でも間違った内容にしてはダメで...とかやっていると、全然ユーザーファーストじゃないじゃん!となり、凄い無駄な時間が発生していると思うんですね......。
柏崎
僕はあんまりカニバリ気にしてないんですよ。ちょっと前までのGoogleであれば、カニバリの問題は関係あったんですけど。今はカニバってペナルティに該当するとは公言されていないですし、気にしなくていいと思いますね。
森井
そうなんですね。
柏崎
とにもかくにも、ユーザーファーストな文章を考える方が大切です。そのうえで、今のケースならコピペでもいいかもですが、「とは」で検索してきた人が知りたい「費用」と、最初から「費用」で検索してきた人が知りたい「費用」は違う可能性もあるので。とにかくユーザーの心理に寄り添うことが重要となります。
森井
今の言葉、頭にスッと入って来ました。SEO対策頑張っていると、いつの間にかユーザーファーストではない判断になってしまいがちなのですが、とにかくユーザーのことだけを考えようと思います。
EEATを攻略せよ
ストーリーで勝ち取る指名検索
柏崎
今後は、EAT※(以降EEATをEATと表記します)の重要性がさらに高まってくると思います。変なやつであれば変なやつでよくて、炎上しちゃってもよくて、とにかく注目してもらわないと、箸にも棒にも掛からない。
EEEATとはGoogleが提唱している経験・体験(Experience)、専門性 (Expertise)、権威性 (Authoritativeness)、信頼性 (Trust)ので構成された指標。詳しくは「E-E-A-Tとは?SEOに重要な4つの要素を徹底解説」を参照ください。
森井
Youtuberっぽいですね。
柏崎
何か1つでも、このサービス・ツールが面白いでもいいですし、この会社のこいつが面白いとかでもいいです。とにかく指名検索を増やさないと、Googleでは戦えないと思いますね。
森井
このEATを、人ではなく、企業に持たせるってのは可能ですか?あまり属人化しちゃっても、退職リスクがあるので怖いのですが......。
柏崎
企業でもいいです。ナレッジパネルってあるじゃないですか。あれを表示するためのデータの集合体がナレッジグラフで、個人と組織を分類して評価しています。
柏崎
法人企業(組織)としてEATを強化していくのであれば、「社内でこう言った取り組みをしています」「僕らはこういったことが目標で、そのために○○をしています」といった、目的とか意義をどんどん出していかないと、何の会社かGoogleに理解してもらえない。
森井
SGEでAIが最適解を教えてくれるから、単にユーザーのニーズを満たすだけではダメということでしょうか。
柏崎
そのとおりです。だから個性ですよね、間違っていてもいいし、ちょっと突飛なことでもいいんだけど「僕らはこうで、こういう目的があって、だから○○が△△で」っていうことを、しつこいぐらいプッシュしていかないと評価されない。
森井
ECの領域と似ているなと思って。独立した背景や信念とかをアピールした自社ECサイトの商品が、Amazonや楽天とかのモールで安く売っていたとしても関係なく売れるよね、みたいな。
柏崎
そのとおり、ストーリーですよね。同じものでもね。もはや指名検索が取れれば、SEOの話でもなくなっちゃうんですけど。
森井
確かにブックマークとれちゃえば、競合なんて概念は無くなりますもんね。
サイテーションにおけるトピクラの応用
柏崎
自分の名前を検索したときとか会社を検索したときに、3件くらいしかでてこないとかあるじゃないですか。残りは法人リストを公開するようなページや過去の求人ページとかがズラッと並んでいる感じの。
森井
めちゃくちゃわかります。ウチがそんな感じです。
柏崎
それだとやっぱり、Google側としては小さな会社で、下手すりゃ架空会社なのか?と判断する可能性があるので、活動内容をはじめ、色んなところで色んな話をして「指名検索での検索結果ページを充実させる」というのが重要です。言い換えれば、これがサイテーション施策ですね。
森井
ちょうどウチが、SEOはずっと力を入れてやってきたんですけど、サイテーションとかPRって全くやってきてなくて、その辺の動きをやろうってなって、その1発目が今日なんですよね。
柏崎
なるほど。どんどん会社のメンバーとして「こう言った活動してます」とアピールしていきましょう。会社がピラーとしたら、クラスターになるメンバーも1つのEATになるので。「そこまで会社に思い入れないよ」っていうのは、あるとは思うんですけど、やはりメンバーの方が組織を盛り上げていくのは必要です。
森井
弊社は比較ビズっていうメディア事業を大きくしていきたい、指名検索を増やしていきたいんですけど、社名はワンズマインドで。他のIT系企業を見てると、自社サービス名と社名を一緒にしているケースが多いじゃないですか。
柏崎
一緒の方が都合がいいですからね。指名検索=メディアにもなる、会社名にもなる方が。御社も「株式会社比較ビズ」にした方がいいですよ(笑)。事業としてそこに全振りしたっていうのは、Googleも評価してくれますし。
森井
社名変更......。それは重た過ぎるテーマですね(笑)。
今のSEOは一点突破が決め手
森井
ちょっと前まではドメイン(被リンク的な側面)が強ければ、どんなジャンルの記事を書いても上位表示できる、といった、弱肉強食な世界がありましたが、最近はドメイン(事業的な意味合い)との親和性が低いようなキーワード狙っても、上位表示されない傾向にありますよね。
柏崎
あるあるですね。実際に、1つの分野でうまく行って、他業界へ事業を展開した瞬間に、メインドメインの評価が落ちたような人を周りに見ています。派生する事業に権威を分散させることになり、専門性がバラけてしまうので、ビジネスマンとしては優秀ですが、SEOに関しては厳しくて、評価を下げる原因になってしまう。SEOはとにかく一点突破っていうのが今のところ重要です。
森井
それらは総インデックス数からの割合で見てるんですか?たとえば「SEO」のメディアを作成したとして、「SEO」と関係のないようなページ数が少ないなら、「SEO」に関するページの割合が多い=専門性が高い的な。
柏崎
その考えで間違ってはいませんが、ページ数や割合というより、私は流入するユーザー層がどうなのかを重要視しています。
森井
読者の属性ですか。
柏崎
たとえば僕のターゲット層(ユーザー層)はキーワードとかマーケターとかの属性となるのですが、それらと関係のない層が流入してしまうと、パーソナライズ化されたデータが薄まるため、専門性が薄まり、もともとのターゲット層となっていたページが上位表示しづらくなり、EATも弱まる可能性があります。
森井
「他人のシマを荒らすんじゃねぇ」みたいな意識が、Googleにあるんですかね。
柏崎
かもしれないですね、意外と人間臭い(笑)。とにかくページ数を増やしていくのであれば、より盤石にその事業に対して専門性を上げられるようなページを拡充していく方向性で進めるべきです。
造語で唯一無二の指名検索獲得
森井
ちなみに「指名検索」増やすには、極論CMを打ちまくれば、と思っちゃうのですが、どう思います?
柏崎
CMももちろんいいと思いますが、大切なのは「〇〇株式会社で検索」と訴求することです。電車の中吊り広告の例ですが、某医療系クリニックはそういった訴求で広告を展開していき、指名検索数を伸ばし、信頼度を上げてきた過去があります。
森井
ウチも積極的に「比較ビズ」の認知を向上するために積極的に予算投下して露出したいと思ってるんですね。
柏崎
はい。
森井
ただ、結局スポットでやっても認知につながらないので、定期的に露出していく必要があるものの、そうなると結構なコストとなるので、明確なKPIを設定する必要があり、とはいえKPI設定がとにかく難しい......。で、全然進められず。
柏崎
難しいですよね。とくにtoBだとパイが少ないので。「指名検索どうやって増やしたらいいですか」という質問をいただくことはあるんですけど、まさに僕がやっているところで。僕の指名検索は、書籍出したときが一番伸びたんですけど、おっしゃるとおり一時的なもので。
瞬間最大風速がバーっと大きくなるんですけど、年々売り上げとかも落ちてきますし、これをどうやって続けるかな、と考えた時に「再検索キーワード」だったんですよ。
参照元:再検索キーワードツール
柏崎
「再検索キーワード」って造語なんですよ。正式には関連キーワードとか、LSI(Latent Semantic Indexing)とかって言ったりするんですけど。
一部の界隈で、再検索する時に使うから「再検索キーワード」と呼んでいて、僕もそっちのほうがしっくりきたので、ツールと一緒に広めていったんです。他のSEOツールやSEO系企業も「再検索キーワード」という言葉を使い始め、少しずつ認知してもらえるようになりました。
森井
流れに乗って競合他社が使い出したことに対しては、どう思っていたんですか。
柏崎
ラッキーぐらいに思ってましたね。
森井
結果として、柏崎さんのお名前と「再検索キーワード」の認知が広まったからですか?
柏崎
そうですね。ひとりでやっているだけで、誰も参入してこないというのは、全然注目されていないということなので。「再検索キーワード」の認知が広がったなかで、「柏崎の再検索を使いたい」といったニーズから「再検索 柏崎」の流入が増えてきたんです。
森井
「造語により指名検索数を増やす」という考え、簡単ではないと思いますが、確かに唯一無二の施策で、副次的にEATにも多大な恩恵がありそうですね。柏崎さんの再検索キーワードツールは、ウチでも数年前から愛用しているのですが、とても重宝しています。
柏崎
ありがとうございます。そういった状況下で、色んなキーワードツールを出したんですね。見出し調査ツールであるとか、トピッククラスター調査ツールであるとか。それにより「SEOに関するキーワード+柏崎」という指名検索が伸びていったんですね。
森井
弊社でも色々使っているんですが、すべて無料で提供されていて。凄いですね。
柏崎
今はAIを活用した「Blog Creator」という新しいツールを開発中で、近日公開予定なので、楽しみにしておいてください。
追記:2月6日に公開されました。
AI搭載でSEOに強いブログ記事作成支援ツール『Blog Creator』を「ConoHa WING」で提供開始
あとがき
AIの生成コンテンツが溢れつつあり、GoogleのSGEにより、正解を回答してくれる未来が近づきつつある昨今、単に記事の独自性を追求するだけでなく、サイトやメディアの存在理由を、読者だけでなくGoogleにも示すことが大切だと学びました。
弊社の比較ビズでは、毎週のSEO会議で、最新情報を共有する時間を設けていますが、しばしばGoogleのランキング基準についての議論に偏りがちです。しかし、それ以上に、一つ一つの記事に丁寧に取り組み、ユーザーファーストの姿勢を貫くこと、そしてそのためのリソースを投資することが、一番重要なのかもしれません。
時代の流れと共に変わるSEOの戦略。しかし、常に変わらない「ユーザーファースト」を今一度、チーム内で徹底していこうと思います。
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
もしも今現在、
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