コンサルティング契約とは何?契約書に記載すべき内容を解説!
- コンサルティング契約とはどのような契約?
- どのようなケースでコンサルティング契約を結ぶ?
- コンサルティング契約書に含めるべき項目は?
コンサルティング契約書を作成する場合「どのような項目を含めればいいのか」とお悩みの方は必見!
コンサルティング契約は経営改善や新規事業の立ち上げなどの課題を抱える企業・個人事業主が結ぶ契約です。
この記事ではコンサルティング契約書に記載すべき内容を解説しています。最後まで読めば、コンサルティング契約についての理解が深まるでしょう。
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コンサルティング契約とは問題解決やアドバイスを提供する契約
コンサルティング契約とは、会社の経営問題や新規事業の立ち上げなど難しい問題を解決するためのアドバイスや相談、指導を行う契約です。とくに経営が思わしくない企業は、経営コンサルタントとコンサルティング契約を結び、専門的な知識やノウハウを受けることが少なくありません。
混同されがちであるアドバイザリー契約は助言や相談をメインにしており、計画の立案と実行、従業員への指導を含むコンサルティング契約とやや異なります。
コンサルティング契約が準委任契約にあたるケース
コンサルティング契約は、通常準委任契約にあたるとされます。準委任契約とは、民法第656条で「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する」と定められており、法律行為ではない仕事を委任する契約です。
通常経営コンサルタントは、特定の仕事を完成させるわけではなく、委任を受けてアドバイスやデータ分析、相談、指導を行います。コンサルタントが成果物の提出を求められないケースでは、準委任契約であると考えましょう。
コンサルティング契約が請負契約にあたるケース
コンサルティング契約は通常準委任契約ですが、請負契約にあたるケースもあります。請負契約とは、民法第632条によれば「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」契約です。
重要なポイントとなるのは「仕事を完成すること」です。コンサルティング契約で、特定の仕事を完成させることが含まれているケースでは、請負契約と見なされる可能性があります。たとえばコンサルティングの一環としてホームページを作成する、新規事業で展開する商品を納品するなどのケースが該当するでしょう。
コンサルティング契約を結ぶ4つのケース
コンサルティング契約を結ぶのは主に以下の4つのケースです。
- 経営不振から立ち直るため
- 新規事業を立ち上げるため
- M&Aを行うため
- 日常的に経営へのアドバイスを受けるため
1. 経営不振から立ち直るため
コンサルティング契約を結ぶ企業は、経営不振から立ち直りたいと考えている場合があります。企業が経営不振に陥った場合、不振の理由がわからないことも珍しくありません。理由がわからないまま経営改善を行うのは非常に困難です。
経営コンサルタントは会社の経営状況を客観的に分析し、経営不振の理由を見つけることが可能です。もっとも効果的な経営改善策を提示してくれるでしょう。
2. 新規事業を立ち上げるため
企業が新規事業を立ち上げる際にも、コンサルティング契約を結ぶケースがあります。経営が順調な企業であっても、新規事業をはじめる前には入念な準備が必要です。新規事業が軌道に乗るまでは、豊富な経験を持つコンサルタントの知識や経験が役立つでしょう。
コンサルタントは、新規事業の営業戦略や市場調査、事業内容の精査、人材の確保、人員の配置など、重要な業務を個人又はチームで行います。新規事業の戦略をほとんどコンサルタントに任せるケースもあれば、業務の一部分だけを依頼して費用を抑えるパターンもあるでしょう。
3. M&Aを行うため
コンサルティング契約はM&Aでもよく用いられます。M&Aは企業の合併や買収のことであり、企業にとって非常に大きな決断・プロジェクトです。多くの企業はM&Aの知識や経験、交渉力を持っていないため、コンサルタントに業務を依頼することが多くなるでしょう。
M&Aを専門に受任しているコンサルタントは、弁護士や税理士、公認会計士など他の資格を持っている場合も多く、専門家の観点から有用なアドバイスをしてくれます。M&Aでは買収する相手企業の選定、契約交渉、デューデリジェンス、クロージングなどのプロセスがあるため、コンサルタントの助けが不可欠です。
4. 日常的に経営へのアドバイスを受けるため
コンサルティング契約は、特別なプロジェクトがなくても締結できます。日常的に経営へのアドバイスを受けたい企業はコンサルティング契約を結ぶべきでしょう。
とくに公認会計士や税理士の資格を持つ経営コンサルタントの場合、税務業務や節税の相談ができる点が大きなメリットです。中小企業診断士を持つコンサルタントと契約すると、中小企業の成長戦略の立案・実行、資金調達の支援、金融機関の紹介などの恩恵を受けられる可能性があります。
コンサルティング契約書に含めるべき内容8つ
コンサルティング契約書に含めるべき内容は、主に以下の8つです。
- 業務内容と範囲
- 責任範囲
- 報酬と支払方法
- 契約期間
- 知的財産権の帰属
- 秘密保持
- 契約解除
- 損害賠償
1. 業務内容と範囲
コンサルティング契約書に含めるべき項目として、業務内容と範囲が挙げられます。コンサルティング契約ではアドバイスや指導など形のないものを扱うため、何に関するコンサルティングなのか明確にしておかなければなりません。
たとえば、会社の経営改善を全体的に任せるのか、特定のプロジェクトに特化した業務を委任するのか契約書にはっきり記載すべきです。業務内容があいまいなまま契約を進めると、大きなトラブルの原因となります。コンサルティング契約に含まれない業務を明記することも有効です。
2. 責任範囲
コンサルタントの責任範囲も、コンサルティング契約書に記載すべき項目の1つです。コンサルティング契約は、コンサルタントがきちんと仕事をしても成果が出るとは限りません。
コンサルタントがどの程度まで責任を取るのか、責任が報酬にどのように反映されるのか契約書に記載しておきましょう。請負契約の場合、どのような成果物を納品する必要があるのか契約書に含めることが重要です。
3. 報酬と支払方法
報酬と支払方法は、コンサルティング契約書でもっとも重要な項目の1つです。コンサルタントは顧問契約型、時間契約型、成果報酬型など契約形態によって報酬や支払方法が異なります。コンサルティング契約書には、以下の項目を含めるといいでしょう。
- 報酬の計算方法
- 報酬の支払方法
- 報酬の支払期限
業務に従事した時間で報酬を計算するのか、成果物を報酬の対象にするのかによって計算方法は大きく変化します。すべての業務が終わってから報酬を支払うのか、月ごとの支払いかなども決めておくことでトラブルを防げるでしょう。
4. 契約期間
コンサルティング契約書には、契約期間も記載する必要があります。コンサルティング契約は、一定期間にわたって業務を行うことが一般的であるため、いつからいつまでコンサルティングを受けるのか明記しなければなりません。
契約期間の記載で重要なポイントは、契約満了時の取り扱いです。双方から申し出がなければ自動的に契約を継続する、申出がなければ自動的に契約が終了するなどの選択肢があります。
5. 知的財産権の帰属
コンサルタントが何かの成果物を作成・納品するケースでは、知的財産権の帰属を契約書で明確にしておくべきです。成果物の知的財産権の帰属が明確でない場合、コンサルティング契約終了後に成果物をめぐってトラブルが発生するおそれがあります。
たとえば、コンサルタントが知識や経験をもとに作成したレポートやマニュアルは、委託者が利用できるように利用権を設定可能です。一方、コンサルタントが制作したホームページやプログラムなどは、契約終了後も委任者が使い続けることが前提であるため、著作権を放棄してもらう旨を記載する必要があるでしょう。
6. 秘密保持
コンサルティング契約書では、秘密保持の項目を含めなければなりません。コンサルタントは経営改善や事業戦略の業務を行ううえで、さまざまな秘密情報を目にします。会社の情報を守るため、秘密保持の項目は必須といえるでしょう。
秘密保持には、以下の内容を含めるべきです。
- 秘密情報の定義と範囲
- 秘密情報の開示・漏洩の禁止
- 秘密保持の例外
- 秘密保持の期間
- 契約終了後の秘密情報破棄や返還
秘密保持に関しては、別途秘密保持契約書を作成するケースもあります。
7. 契約解除
コンサルティング契約書には、契約解除を含める必要があります。コンサルタントが適切に業務を行わなかった場合、契約期間の途中でも契約を解除できるようにしておくべきです。
重要なポイントは「どのようなケースで契約解除できるのか」という点です。契約解除できるケースを明文化しておくことで、トラブルを防げます。契約解除可能な例として、以下のケースが挙げられるでしょう。
- 双方の信頼関係が損なわれた場合
- コンサルタントが合理的な理由なく委託者の依頼を断った場合
- 秘密保持契約に違反した場合
8. 損害賠償
万が一大きなトラブルが発生した場合に備え、コンサルティング契約書には損害賠償についても記載しておくべきです。損害賠償は民法第416条第1項により「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする」と定められています。
民法では、コンサルタントの債務不履行によって発生した損害に対して賠償請求可能です。コンサルティング契約で損害賠償の範囲を広げる、あるいは狭める場合には、契約書への記載が不可欠です。
民法で定められた範囲を超える損害賠償をコンサルタントが受け入れる可能性は低いため、多くの場合コンサルタントに支払う報酬の範囲内で損害賠償できる内容になります。
コンサルティング契約が請負契約であれば印紙税がかかる
コンサルティング契約書を作成する際、請負契約のケースのみ収入印紙の貼付、印紙税の納付が求められます。国税庁のホームページによれば、契約金額に応じた収入印紙の額面は以下のとおりです。
収入印紙の額面 | |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 1,000円 |
300万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
注意すべき点は、準委任契約か請負契約か判断されるのは、契約の名称ではなく内容である点です。準委任契約と契約書に書かれている場合でも、成果物の納品が報酬の条件に含まれていれば請負契約と見なされる可能性が高いでしょう。
まとめ
コンサルティング契約は、起業が課題を解決するためコンサルタントに指導やアドバイス、経営戦略の立案・実施を依頼する契約です。経営改善を目指す企業や新規事業を立ち上げようとしている企業は、有能なコンサルタントの力を借りて課題を解決できます。契約書に含めるべき点を検討し、トラブルを未然に防ぎましょう。
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2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業部署・企画部署にて責任者を務める。(在籍中は、MVPやマネジメント賞など、多数受賞。)
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者、事業企画を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。新規事業の立上げ〜収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、採用〜組織の構築、Webマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、業務システムの導入・運用、融資を中心とした資金調達〜財務のコンサルティングを得意としている。
また、個人でも中小企業の融資を支援するサービス「中小企業の融資代行プロ.com」を運営するなど、一貫して中小企業を支援することを生業にしている。
コンサルティングは無形商材(目に見えない価値)を提供するので、「何を」「どこまで」「どのように」実行するのか、どうしても曖昧になりがちです。そして、これを完全に具体的にすることもまた、不可能です。
そのため、具体的な成果指標や納期の設定はもちろんのこと、プロジェクトの進捗管理や報告体制、機密情報保護など、基本的な部分くらいはおさえておくようにしましょう。
ただし、あまりに契約書を「超具体的にすること」「完全に自社優位にすること」にこだわると、コンサル会社も契約のリスクを感じるため、今度はコンサルティング会社から依頼を断れるケースも十分に考えられるため、あくまで契約交渉はほどほどにしておきましょう。
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