利益率の計算方法を徹底解説!高めるポイントとは?
- 利益率の計算方法は?
- 利益率を向上させるにはどうしたらいい?
- 利益率を計算する際の注意点は?
「利益率の計算方法は?」「利益率を向上させたい」とお考えの経営者や個人事業主の方、必見です。利益率は売上総利益率や売上高営業利益率をはじめ5種類あります。
この記事では、利益率の計算方法や利益率を向上させるために行うべきことを解説します。最後まで読むと、会社の業績の見直しに取り掛かれるでしょう。
エクセルを用いた利益率の計算方法や利益率を計算する際の注意点も解説するため、経営管理に慣れていない方もぜひ参考にしてください。
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【種類別】利益率の計算方法
利益率とは「売上に対する利益」の割合のことです。たとえば、売上が1,000万円である場合に利益が200万円であれば、利益率は20%となります。 利益率には以下の5つの種類があります。
- 売上総利益率
- 売上高営業利益率
- 売上高経常利益率
- 売上高税引前当期純利益率
- 売上高当期純利益率
それぞれの内容や計算方法を解説します。
1. 売上高総利益率
売上高総利益率は、売上高に対する粗利益(売上高から売上原価を差し引いた利益)の比率です。以下の計算式で求められます。
売上総利益率=(売上総利益÷売上)×100
売上高総利益率は、原価に対して販売価格を高く保てている状況、つまり会社の商品等のブランド力の高さや仕入れコスト・製造コストの低さが伺えます。売上総利益率が低い場合は原価率が高い、販売する商品の競争力が落ちているなどの原因が考えられます。
2. 売上高営業利益率
売上高営業利益率は、売上高において営業利益が占める割合です。営業利益とは、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた利益のことです。売上高営業利益率は以下の計算式で求められます。
売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100
販売費および一般管理費には、家賃や水道光熱費、広告費、通信費、スタッフの給与などが含まれるでしょう。
売上高営業利益率が高ければ、企業の販売力が強く、本業においてコストを抑えた効率良い経営が行われているといえます。売上高営業利益率が低い場合、本業での収益性が低い、運営コストが高いことを示唆している可能性があります。
3. 売上高経常利益率
売上高経常利益率とは、売上高に占める経常利益の割合のことです。営業利益に営業外収益をプラスし、営業外費用を引くことで経常利益を算出できます。売上高経常利益率の計算式は以下のとおりです。
売上高経常利益率=経常利益(=営業利益+営業外収益−営業外費用)÷売上高×100
営業外収益には預金の利息や配当金や雑収入があり、営業外費用には融資を受けた際に支払う利息や雑損失などが含まれます。売上高経常利益率を見ると、企業の日常的な事業活動でどの程度の利益が得られているのか把握できるでしょう。本業のみで利益を上げている企業の場合、営業外収益がないため売上高経常利益率の計算は必要ありません。
4. 売上高税引前当期純利益率
売上高税引前当期純利益率とは、売上高に占める税引前当期純利益の割合です。売上高税引前当期純利益率は以下の計算式で求められます。
売上高税引前当期純利益率=税引前当期純利益÷売上高×100
税引前当期純利益は経常利益に特別利益を足し、特別損失を引いて計算します。特別利益とは、長期間保有している資産の売却益や固定資産の売却益で、特別損失とは、固定資産や資産の売却損や、企業の経営活動とは直接関わりのない特別な要因で生じた損失のことです。
法人税や法人市民税などは支出に含まれません。売上高税引前当期純利益率を見れば、その年にどれだけの利益が生み出されたのか把握できるでしょう。一時的な収入や損失も含むため、内訳の確認も行うべきです。
5. 売上高当期純利益率
売上高当期純利益率とは、売上高に占める当期純利益の割合のことです。売上高当期純利益率は以下の計算式で求めます。
売上高当期純利益率=当期純利益÷売上高×100
当期純利益とは、税引前当期純利益から住民税、事業税、法人税を引いた1つの会計期の最終的な利益です。売上高当期純利益率を計算することで、すべての収入と支出を反映させた最終的な利益率がわかります。今期の傾向を把握し、来期以降の戦略を立てるためにも大いに役立つでしょう。
エクセルを用いた利益率の計算方法
企業の利益率の計算式はエクセルを用いて簡単に計算できます。利益率は(粗利益÷売上金額)×100で求めます。エクセルに必要な項目は以下のとおりです。
- 月度
- 売上金額
- 粗利益
それぞれの数値を以下の表のように入力します。利益率の項目には、計算式{=(粗利益の行番号÷売上金額の行番号)×100}を入力することで、自動的に計算されます。
A列 | B列 | C列 | D列 | |
---|---|---|---|---|
1行 | 月度 | 売上金額 | 粗利益 | 利益率 |
2行 | 1月 | 100,000円 | 10,000円 | 10% |
3行 | 2月 | 200,000円 | 5,000円 | 2.5% |
エクセルの自動計算により、1月の利益率が10%であることがわかります。
利益率の目安は2.0〜3.4%
一般的に売上高営業利益率の目安は2.0%〜3.4%、売上高経常利益率は3.1%〜6.5%です。2021年に経済産業省が実施した企業活動基本調査(2020年度実績)によれば、主要産業の売上高営業利益率と売上高経常利益率は以下のとおりです。
売上高営業利益率 | 売上高経常利益率 | |
---|---|---|
製造業 | 3.4% | 6.5% |
小売業 | 2.8% | 3.1% |
卸売業 | 2.0% | 2.0% |
業界によっても利益率の目安にはかなりの違いがあり、製造業は2017年から減少傾向に、卸売業・小売業は2019年から増加傾向にあります。
利益率向上のために行うべきこと5つ
利益率を向上させるために、以下の5つの施策が有効です。
- 売上数を増やす
- 販売単価を増やす
- 原価を減らす
- 人件費を減らす
- 固定費を減らす
複数の施策を同時に行うことも検討できます。支出を減らしすぎると必要な業務が回らなくなるおそれがあるため注意が必要です。
1. 売上数を増やす
利益率向上に欠かせないポイントは、売上数の増加です。売上数が向上することで、付随して売上高・利益率も向上するでしょう。売上数を向上させるため、営業・販売方法の改革や価格の見直しが必要になる場合もあります。
売上数を伸ばすことは重要であるものの、顧客に商品を購入するよう圧力をかける、調査せずに販売価格を変更するなどの施策は避けなければなりません。同業他社の価格調査、顧客のニーズの把握により、ユーザーにメリットがある価格設定にすることで、効果的に売上数を伸ばせるでしょう。
2. 販売単価を増やす
利益率を高めるため、販売単価を増やすことも1つの方法です。単に価格を上げると顧客離れを起こすおそれがあるため、単価アップを受け入れられる付加価値をつけられるかがポイントとなります。
高単価でも購入する顧客を獲得するため、販売チャネルを増やすことも検討できるでしょう。ECサイトやデリバリーサービスを導入して高単価な商品を購入する顧客層を開拓できる可能性があります。
3. 原価を減らす
利益率を上げるため、商品の原価を減らす手もあります。商品の販売価格は据え置き、原価を減らせれば利益率は上がるでしょう。原価を削減するため、商品の素材を変える、外注費を削るなどの施策があります。
原価を下げることに注力すると品質が低下するおそれがあります。低品質な商品の提供は、急激な顧客離れにつながります。商品の品質を維持できる範囲での原価削減が重要です。
4. 人件費を減らす
人件費の削減も、利益率向上の有効な手段です。人件費は製造コストのなかで大部分を占めます。製造工程の多くは自動化されていますが、最終チェックは人が行わなければならない分野も少なくありません。
利益率の低さが人件費に起因している場合、必要人員の再検討や労働環境の見直し、労働時間の短縮などの施策を実施してみましょう。
5. 固定費を減らす
利益率を高めるため、固定費を減らす努力は欠かせません。固定費は毎月出ていく支出であるため、削減できれば利益率の向上が一層容易になります。 以下のような固定費が削減できるかどうか検討してみましょう。
- 家賃
- 水道光熱費
- 損害保険料
- 広告宣伝費
固定費を削減する方法として、利益の上がっていない店舗を閉鎖する、実店舗からECサイトに移行する、保険を見直すなどの方法が挙げられます。
利益率を計算する際の注意点2つ
利益率を計算する際、以下の2つの点に注意しましょう。
- 利益率は原価に対する利益の割合ではない
- 粗利率(売上総利益率)が高ければいいわけではない
利益率を計算する際、考慮に入れるべき点です。内容をくわしく確認しましょう。
1. 利益率は原価に対する利益の割合ではない
利益率は、売上に対する利益の割合であり、原価に対する割合ではありません。販売価格を決定する際に考慮しなければならない点です。利益率10%を目指す場合、原価÷(100%−利益率)で価格を決定します。
原価1,000円の商品を販売し、利益率10%を目指しているとしましょう。利益率は利益100円÷売上1,100円=で9.1%となります。このケースでは、1,000÷(100%−10%)=1,111円で販売する必要があります。
原価に利益率をかけると100円であるため、1,100円で商品を販売するのは間違いです。
2. 粗利率(売上総利益率)が高ければいいわけではない
利益率を計算する際、粗利率(売上総利益率)が高ければいいわけではありません。
売上総利益率が高ければ売上に対する利益が高いといえますが、販売費が高い場合、売上のわずかな減少により業績が大きく落ち込むおそれがあるでしょう。
以下の2つの会社を例に解説します。
売上高 | 粗利率 | 販売費 | 営業利益 | |
---|---|---|---|---|
A社 | 1億円 | 50% | 3,000万円 | 2,000万円 |
B社 | 1億円 | 30% | 1,000万円 | 2,000万円 |
A社、B社ともに営業利益は2,000万円です。一見問題ないように思えますが、売上がそれぞれ6,000万円に下がると、以下のような結果になります。
売上高 | 粗利率 | 販売費 | 営業利益 | |
---|---|---|---|---|
A社 | 6,000万円 | 50% | 3,000万円 | 0円 |
B社 | 6,000万円 | 30% | 1,000万円 | 800万円 |
A社は一気に営業利益が0円となり、資金繰りに苦労することになるでしょう。利益率の高さだけに注目するのではなく、販売費や固定費を含めた全体の収支を考慮すべきです。
まとめ
利益率は、企業の経営状況を知るうえで欠かせない指標です。利益率を高めることは会社の業績の向上に直結します。固定費の削減や売上数の向上により、利益率を上げる努力を続けましょう。
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