法務相談の費用相場は?企業法務の弁護士費用や専門家選びのポイントも解説
- 法務相談の費用相場は?
- 企業法務の弁護士費用は?
- 法務相談を専門家に依頼する際の注意点は?
健全な企業活動を営むために、業務上の法的なトラブルを未然に防ぐべく「法務相談」を活用する企業が増加しています。度重なる法改正やコンプライアンス遵守に向けて、ビジネスパートナーとなる専門家への依頼費用を把握しておきましょう。
本記事では法務相談の費用相場や企業法務の弁護士費用を紹介しています。最後まで読めば、最適な依頼先がわかるため「どの程度費用をかけるべきか、どこに依頼するべきかわからない」とお悩みの方はぜひ参考にしてください。
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法務相談の費用相場
法務相談とは、企業の活動にともない発生する法的な業務(企業法務)相談のことです。法務相談を専門家に依頼する経路と費用相場は、大きくわけて以下の2パターンがあります。
弁護士と顧問契約を結ぶ | 月額5万円程度 |
---|---|
法律事務所に時間あたりの単価で依頼する(タイムチャージ制) | 1時間あたり5,000円〜1万円 |
それぞれの詳細を踏み込んで解説します。
顧問弁護士への依頼は月額5万円程度
弁護士と顧問契約を結ぶ場合は、月額5万円程度が相場です。顧問契約を結ぶことで、企業活動における法務トラブルの相談をいつでも求めることができます。
顧問弁護士に依頼できる業務内容の例は以下のとおりです。
- 書類作成・リーガルチェック
- 社内における法的トラブルへの対応・相談
- コンプライアンスへの対応・相談
- 法的トラブルの事前予防
月額顧問料の範囲で対応できる業務量はあらかじめ定められているため、契約時に確認しておきましょう。詳細は依頼する弁護士によって異なるものの、おおむね「月3時間程度の時間を要する相談」を月額顧問料の範囲内で対応することが一般的です。
月額顧問料の範囲を超える業務の依頼には別途費用が発生しますが、通常のクライアントと比較して10%〜30%割引されることが多いです。
タイムチャージ制は1時間あたり5,000円〜1万円
弁護士と顧問契約を結ばずに、時間報酬で依頼する場合の相場は1時間あたり5,000円〜1万円です。なかには「初回のみ相談料1時間無料」を謳う法律事務所もあります。
法務相談ののちに業務を依頼する場合は、別途「着手金」や「成功報酬」の形で請求が発生します。
弁護士費用の基礎知識
企業法務に関する相談から解決までにかかる費用のうち、代表的なものを以下にピックアップしました。
概要 | 特徴 | |
---|---|---|
相談料 | 口頭や電話、メール、FAXなどで回答できる簡易な相談にかかる費用 | 初回無料となる事務所もある |
着手金 | 事件や法律事務を依頼する際にかかる費用 | 依頼した業務の成功・不成功にかかわらず返金されない |
報酬金(成功報酬) | 依頼した業務の解決時にかかる費用 | 「経済的利益の〇%」の形で定めるケースが多い |
顧問料 | 契約によって定められた業務を継続的に行う場合にかかる費用 | 毎月一定額を支払う |
日当・実費 | 遠方への出張や、事務処理にかかる費用 | 料金体系は事務所によって異なる |
上記のほか、依頼内容や事務所によっては手数料や調査費用などがかかる場合もあります。契約前に必ず説明があるため、不明点は事前に確認しましょう。
【依頼内容別】企業法務における弁護士費用の相場
法務相談ののち、実際に以下の業務を依頼した場合にかかる費用の相場を説明します。
- 会社破産
- 事業再生
- 会社設立
- 事業継承
- M&A
- 労務・労働問題
あくまで大まかな相場であるため、詳細は個別の事務所へ問い合わせをして確認しましょう。
1. 会社破産
会社を破産する際にかかる弁護士費用の相場は以下のとおりです。
- 相談料:1時間あたり5,000円〜1万円
- 着手金:55万円〜(別途裁判所への予納金が約20万円かかる)
- 成功報酬:0円〜50万円or経済的利益の5%〜15%
総額の目安は50万円〜105万円ですが、会社の負債額や関係者数などによって変動します。
特に経営状況が悪化している状況では、費用の工面や資産の売却などを計画的に行わないと「破産したくてもできない」状況になりかねません。専門家と入念な打ち合わせのもと進めることをおすすめします。
2. 事業再生
事業再生にかかる弁護士費用の相場は以下のとおりです。
- 相談料:1時間あたり5,000円〜1万円
- 着手金:250万円〜
- 成功報酬:着手金の2倍程度
総額の目安は750万円程度ですが、会社破産のケースと同様に会社の負債額によって変動します。弁護士に事業再生を依頼することで、どのような手法が最も適しているかも含めて計画を策定してくれます。
3. 会社設立
会社設立にかかる弁護士費用の相場は10万円程度です。具体的な対応業務は以下のものが挙げられます。
- 法務相談
- 定款の作成・リーガルチェック
- 登記業務
- 認可申請手続き
会社設立後のトラブルを少なくしたい場合は弁護士依頼を検討しましょう。
4. 事業継承
事業継承に関する弁護士費用は会社の規模や事業継承の方法などによって変動しますが、大まかな相場は以下のとおりです。
- 相談料:1時間あたり5,000円〜1万円
- 着手金:会社の総資産の5%程度
- 成功報酬:経済的利益の10%程度
事業継承には、主に「親族への継承」「従業員への継承」「M&A」の3つの方法があります。弁護士に依頼すると、どの方法が最適なのかアドバイスがもらえることに加え、事業継承にかかる時間も短縮できます。
5. M&A
M&Aにかかる弁護士費用の相場は以下のとおりです。
- 相談料:1時間あたり5,000円〜1万円
- デューデリジェンス(事前調査):50万円〜
- 契約書作成・確認:50万円〜
総額は100万円程度が目安ですが、デューデリジェンスにかかる費用は会社の規模や内容によって大きく変動します。M&Aには法的手続きがつきまとうため、弁護士に依頼のうえで行うことが合理的かつ一般的です。
6. 労務・労働問題
残業代未払いや解雇、ハラスメントなどのトラブルにまつわる弁護士費用の相場は以下のとおりです。
- 相談料:1時間あたり5,000円〜1万円
- 着手金:10万円〜30万円
- 成功報酬:経済的利益の10%〜15%
総額は30万円〜60万円が目安ですが、事件の詳細によって費用は変動します。労働問題は従業員側が復讐目的で訴訟を提起するケースもあるため、弁護士が交渉することで被害を最小限に抑えることができます。
法務相談を専門家に依頼しない場合のリスク
法務相談における費用は企業の売上に直結しないため、できる限り削減したいものです。それでも法務相談を専門家に依頼するべき理由は「想定外の不利益を被る可能性を限りなくゼロに近づける」ために他なりません。
以下では法律のプロに法務相談をしない場合のリスクを具体的に解説します。
自社が不利な立場に追い込まれる
トラブルが生じた際、被害を最小限に食い止めるためには「スピーディな対応」が必要不可欠です。たとえば金銭を請求されるトラブルが生じた際、速やかに対応しなければ支払額が大きくなる可能性があります。
早い段階で専門家に相談をすることで「反論の材料となる法律の規定」のような先手を打つ知識を伝授してもらえます。
トラブルの火種が小さいうちは、相談のみで問題が解決する可能性もあります。懸念がある場合は早めの相談をおすすめします。
法的リスクを未然に回避できない
企業法務には、トラブルが発生した際に対応する「臨床法務」と、トラブルが発生する前に対応する「予防法務」の考え方があります。予防法務は、健全な企業活動の基盤を整える手段として近年特に重要視されている概念です。
たとえば労働法にもとづいて従業員の残業管理を適切に行わなければ、社員から訴訟を起こされる事態を回避できなくなるでしょう。このような事態を防ぐためには、企業法務の専門家にいつでも相談できる体制を構築することが大切です。
不要なトラブルは、業務の停滞や想定外の出費を招きます。予防法務は安定した経営を行ううえで必要不可欠な考え方です。
法改正への対処が遅れる
頻繁に行われる法改正に対し、自力で適切な対処をするのは困難です。法改正への対処が遅れると、気付かぬうちに違反を犯し、社員から多額の損害賠償を請求される危険性が高まります。
法改正へ速やかに対処する最も確実な方法は、企業法務に精通した専門家にサポートを依頼することです。結果として、罰則や責任を追及されるリスクを最小限に抑えることにつながります。
法務相談の専門家を選ぶ際の注意点【3選】
法務相談の依頼先を選定する際の注意点は以下のとおりです。
- 依頼内容に応じた相談先を検討する
- 企業法務の実績を確認する
- 費用を比較したうえで依頼する
選び方のポイントもあわせて解説します。
1. 依頼内容に応じた相談先を検討する
法務相談の依頼先は弁護士だけではありません。依頼内容例と対応する専門家の一覧は以下のとおりです。
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | |
---|---|---|---|
会社設立・増資などの登記 | 〇 | 〇 | × |
書類作成 | 〇 | 〇 | 〇 |
許認可申請 | 〇 | × | 〇 |
定款認証 | 〇 | 〇 | × |
法人税申告 | 〇 | × | × |
原則として、法律事務は弁護士以外行うことができません。たとえば「内容証明郵便の作成」は司法書士や行政書士にも依頼可能ですが、送付後の訴訟や交渉は別途弁護士に依頼する必要があります。
自社が求めているサポートに適した依頼先を検討することが大切です。
2. 企業法務の実績を確認する
法務相談の依頼先は、企業法務の実績が豊富な専門家を選びましょう。法律の専門資格を有していても、すべての専門家が企業法務に精通しているとは限りません。
法的なリスクマネジメントはもちろん、経営的な視点を持って自社のパートナーとして適切なタイミングでアドバイスをくれる専門家が最適です。企業法務における実績やビジネスセンスを十分に確認したうえで依頼を検討しましょう。
3. 費用を比較したうえで依頼する
弁護士費用は、各法律事務所が自由に設定できます。そのため弁護士費用には明確な相場が存在せず、事務所によって費用に大きな差があるのが実情です。
依頼を検討する際は、複数の依頼先の費用を比較することが大切です。腕のいい専門家は抱えている案件が多く、費用が高額になる傾向があるものの、必ずしも手腕と費用は一致しません。まずは無料の法務相談を活用し、専門家との相性や信頼性を確認することが重要です。
近年は中小企業も弁護士と顧問契約を結ぶケースが多くなっていますが、相談の回数が少ない場合はタイムチャージ制が適している場合もあります。
まとめ
本記事では、法務相談の費用相場や企業法務の弁護士費用を解説しました。企業法務においては「予防法務」の考え方が最も重要で、トラブルが発生してからの動き出しでは手遅れになる可能性があります。日ごろから小さな疑問を相談できる環境を整えておくためにも、信頼できる専門家とのコネクションを大切にしましょう。
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行政書士は、弁護士とは異なり、トラブルの当事者間に介入したり、訴訟に対応したりできません。弁護士法で制限されており、非弁行為に当たるためです。 しかし、許認可や契約書作成業務などを通して、トラブルのリスクを減らす、「予防法務」には対応できます。将来において法的トラブルが発生しないよう、リスク管理をするという役割です。
トラブルに対応するより未然に防ぐ方が、社会的信用などの面から考えても望ましいと言えます。行政書士によって、得意とする分野が異なりますので、依頼したい分野や業務内容により、選択するとよいでしょう。
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もしも今現在、
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