司法書士が相続手続きで対応できることは?費用相場や他士業との違いを紹介

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2023年08月04日
司法書士が相続手続きで対応できることは?費用相場や他士業との違いを紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 司法書士が相続手続きで対応できることは?
  • 相続手続きにおける司法書士の費用相場は?
  • 相続手続きの際の税理士・弁護士との違いは?

「司法書士に相続手続きをお願いするとよいと聞いたけど、すべての業務に対応できるの?」と、相続手続きでお悩みの相続人の方、必見です。

相続手続きの相談は司法書士がおすすめです。司法書士は、相続に関する幅広い業務に対応しています。税務関係は税理士、紛争の場合は弁護士など、内容によって対応できないため注意しましょう。

本記事では、司法書士が相続手続きで対応できることや費用相場を解説します。記事を読み終わった頃には、司法書士が相続時に対応できる内容を理解してスムーズに相続手続きを行えるでしょう。

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司法書士が相続手続きで対応できること

本を開いているビジネスマン

司法書士が相続手続きで対応できることは、次のとおりです。

  • 相続人調査
  • 相続財産調査
  • 相続方法の選択
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預貯金の名義変更
  • 不動産の登記
  • 遺言信託
  • 家族信託
  • 成年後見

司法書士は、相続に必要な手続きを幅広くカバーできます。被相続人が亡くなる前に、遺言信託・家族信託などの生前対策に関する業務も対応可能です。

一方で、相続税に関する手続きや相続人同士の紛争解決はできません。税に関することは税理士、トラブル解決は弁護士と、司法書士にできないことはそれぞれの専門家に依頼しましょう。

相続人調査|戸籍謄本を取り寄せて家族関係を調べる

被相続人が亡くなり相続財産がある場合は、財産を相続する「相続人」を調べる必要があります。司法書士は、代理で戸籍謄本の取り寄せが可能です。被相続人の家族の代わりに、家族関係を調べて相続人を割り出せます。

相続人調査に必要な戸籍謄本は、被相続人が生まれたときから死ぬまでの間のすべての戸籍を洗い出さなくてはいけません。戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で発行されます。亡くなった場所と本籍地が違ったり、相続人の本籍地がバラバラだったりすると取り寄せに手間がかかるでしょう。

司法書士に依頼することで、戸籍謄本を取り寄せる手間が省けて、これまで把握できていなかった相続人の存在まで見つけられます。

相続財産調査|金融機関や市区町村に問い合わせる

相続財産の調査は、司法書士に依頼すると便利です。相続財産は複数の金融機関や市区町村に存在している可能性があり、調査に手間と時間がかかります。把握できていない相続財産が出てくる可能性があるため、プロに任せてしっかりと調べましょう。

相続財産は現金・預貯金・土地などのプラス財産と、借金のマイナス財産にわけられます。相続する場合は、プラス財産だけの相続はできません。トータルでマイナス財産のほうが大きくなる場合は、相続放棄をするケースもあります。

相続方法の選択|単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選ぶ

相続方法を選択する際は、司法書士に相談しましょう。相続人は、相続が開始してから3カ月以内に相続方法を選択しなければなりません。相続方法は、単純承認・限定承認・相続放棄の3つです。

  • 単純承認:プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続人が受け継ぐ方法
  • 限定承認:プラスの財産を限度額としてマイナスの財産を相続する方法
  • 相続放棄:プラスの財産もマイナスの財産も受け継がない方法

限定承認は、相続財産がどれくらいあるのか把握できていない場合に選択されます。相続放棄は、マイナスの財産が大きくなる場合に選択されることが多いです。

限定承認と相続放棄を選ぶ場合は、司法書士に書類を作成してもらい3カ月以内に家庭裁判所に申し出ます。間に合わない場合は、自動的に単純承認が選択されるため注意が必要です。

遺産分割協議書の作成|遺産の分け方を話し合い書面に残す

司法書士は、遺産分割協議書の作成ができます。遺産分割協議とは、相続人が複数存在する場合に遺産の分け方を話し合う場です。話し合いの内容を書面に残したものが、遺産分割協議書になります。

司法書士が遺産分割協議に出席し、円満に話し合いが進めば問題ありません。相続人同士の意見が割れて紛争に発展する場合は、弁護士に交渉役を依頼します。司法書士は話し合いの内容をまとめられても、紛争の解決はできないため注意しましょう。

預貯金の名義変更|預貯金・有価証券などの名義変更・解約分配を行う

預貯金・有価証券の名義変更は、司法書士に依頼しましょう。相続財産に被相続人の預貯金・有価証券がある場合は、銀行・証券会社に対して解約・名義変更の手続きが必要になります。

解約・名義変更を行わなければ、相続人の所有物にはなりません。司法書士は、相続人の代わりに手続きが可能です。

被相続人が複数の銀行口座を所有している場合は、各金融機関ごとに手続きが必要になり手間がかかるため、代行してもらうと楽に進められます。解約した預貯金を複数の相続人で分ける場合には、司法書士に間に入ってもらい分配するといいでしょう。

不動産の登記|被相続人が所有する不動産の名義変更を行う

相続財産に不動産が含まれており、不動産の登記が必要な場合は司法書士に依頼しましょう。被相続人が不動産を所有している場合は、相続人に名義変更する必要があり、不動産の名義変更は不動産の相続登記が必要になります。

不動産の所有権に関する登記は、司法書士と弁護士だけが代理人として申請が可能です。弁護士が相続に関与している場合でも、不動産の登記だけは司法書士に依頼するケースがあります。

遺言信託|遺言書作成のアドバイスや保管を行う

司法書士は、遺言信託に対応しています。遺言信託とは、遺言作成のアドバイス・遺言書の保管・遺言の執行の手続きを引き受けることです。信託銀行に依頼できますが、司法書士と比べると費用が高い傾向にあります。

生前に遺言書を作成しておくと、遺産分割協議を行う必要がありません。相続人の負担を大幅に軽減できますが、被相続人が1人で作成するのは難しいでしょう。司法書士は、遺言書の作成から遺言の実行まで依頼できるため安心して任せられます。

家族信託|生前に被相続人の財産を信頼できる家族に委ねる

家族信託とは、生前に被相続人の財産を信頼できる家族に委ねることです。家族信託に関する業務は、司法書士に依頼できます。

被相続人が生前に信託契約を交わすことで、被相続人の健康状態に左右されずに適切に財産管理が可能です。遺言書と同じように財産を委ねる相続人を決められますが、実際に財産の受け渡しを確認できる点が異なります。

成年後見|生前に判断能力が低下した人のために財産の管理を行う

司法書士は、成年後見人の業務ができます。成年後見人とは、生前に判断応力が低下した人のために財産管理を行う人です。

被相続人が生前に認知症で判断応力が低下した場合に、本人の生活に必要な手続きを行えます。不動産や預貯金などの財産管理や、福祉・医療サービスの利用契約締結・支払いなどです。

司法書士の費用相場は10万円以内に収まるケースが多い

司法書士の費用相場は、10万円以内に収まるケースが多いです。相続財産の内容によって費用が異なりますが、被相続人の子が相続人で不動産の相続登記を行うケースを考えてみましょう。

対象不動産が土地・建物それぞれ1筆のみの場合は、遺産分割協議書の作成を含めても10万円以内に収まる可能性が高いです。司法書士の相続手続きに関する費用の相場は、以下のとおりです。

  • 相続人調査:2万〜6万円
  • 相続財産調査:3万〜7万円
  • 戸籍謄本の収集:1,000〜2,000円/1通
  • 遺産分割協議書の作成:4万〜6万円/1通
  • 相続手続き・遺産整理の一括代行:14万〜20万円

相続はどの士業に相談すればいい?

老人 終活 

相続に関することは、司法書士・行政書士・税理士・弁護士の4つの士業に相談できます。司法書士は相続手続き全般に対応できますが、税に関する相談や紛争の解決はできません。各士業によって専門分野が異なるため、それぞれの特徴を確認しましょう。

相続に関して幅広くカバーできる「司法書士」

司法書士は、相続に関して幅広くカバーできます。不動産の相続登記は専門分野のため、相続財産に不動産が含まれている場合は安心です。不動産登記や名義変更の代行・各種書類の作成・成年後見人の業務など、業務範囲は多岐にわたります。

司法書士は相続手続きに関して幅広い知識がありながら、弁護士よりも費用を抑えられる点がメリットです。相続財産の分配で紛争が起きた場合や相続税の相談がない場合は、司法書士がおすすめといえるでしょう。

官公庁への許認可に関する手続きは「行政書士」

行政書士は、官公庁への許認可に関する手続きができます。相続財産のなかに、許認可の手続きが必要なものが含まれている場合は行政書士に依頼しましょう。

行政書士は、司法書士に比べると料金を最も安く抑えられますが、不動産登記の手続きは行えません。できること・できないことがあるため、司法書士と行政書士の両方に登録している方が多いです。

相続税や贈与税など税務に関する相談は「税理士」

税理士は、相続税や贈与税など税務に関する相談が可能です。税務処理は、司法書士・行政書士・弁護士には相談できません。

税理士事務所のなかには「相続手続きを行なっています」と書かれた事務所もありますが、基本的に税理士は相続手続きはできません。提携している司法書士・行政書士が相続手続きを進め、相続税の申告が必要な場合に税理士が対応します。

相続人同士の争いが起きそうなケースは「弁護士」

弁護士は、相続人同士で争いが起き、解決して欲しいときに活躍します。遺産分割協議の過程で紛争が起こった場合は、司法書士では相続人に代わって交渉できません。

トラブルが起きてしまったときは、弁護士に依頼しましょう。弁護士は基本的に相続手続きは行いませんが、争いが解決して相続手続きに入る場合にそのままサポートしてくれる弁護士もいます。

【結論】相続人の争いがなく幅広い対応を求める場合は「司法書士」

Business相談

相続に関して揉め事はなく、順調に相続手続きを進められそうなときは、司法書士がおすすめです。相続手続きに関する広い知識を持ち、広範囲の業務を受け持ちます。弁護士に依頼するよりも費用が安く、相談しやすいでしょう。

遺言信託・家族信託など、生前の相続財産に関する相談も可能です。不動産登記が専門分野のため、相続財産に不動産が含まれているときは司法書士に依頼しましょう。

まとめ

相続手続きの相談は、司法書士がおすすめです。財産の調査や遺産分割協議書の作成・不動産の相続登記など、相続に関する業務を幅広く受け持ち、生前の相続に関する相談も可能です。

不動産の相続登記は司法書士の専門職になるため、相続の相談を弁護士に依頼しても不動産登記だけは司法書士にお願いすることになります。税務関係は税理士・紛争の場合は弁護士など、対応できない業務があるため注意しましょう。

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監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

司法書士に相続登記を依頼する場合には、必要となるものはだいたい下記の通りとなります。

・名義変更が必要な不動産の情報(固定資産税の通知書・登記簿謄本等)
・登記識別情報もしくは登記済証(不動産の権利証)※原則不要ですが必要となる場合があります。
・各相続人のご実印
・各相続人の印鑑証明書
・各相続人の身分証明書

基本的に依頼人は、上記のものを用意いただいたうえで司法書士から送付される書類への書名捺印等を行っていくだけです。司法書士事務所の方で戸籍等行政書類の取得・相続人の確定作業・必要書類の作成・法務局への登記申請手続き等を行いますので、ご自身で手続きを行う時とくらべると大幅な時間と手間の節約になります。

また、この相続確定作業を行った際に、相続人が把握されていない相続人が確認されたり、ご本人が思っていなかった相続関係であった事がわかった場合には相続をめぐる交渉が必要であったりトラブルが発生したりすることがあります。このようなときには弁護士を介して手続きを進めていくことになります。

さらに、相続税等のように相続に関係して税が発生するような場合には税理士への相談・依頼が必要となります。 こういった場合の各士業への窓口としても司法書士事務所をご利用いただけますので、まずはご相談ください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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