税理士費用は経費にできる?勘定項目・仕分けの例や源泉徴収の有無を解説
- 税理士費用は経費計上できる?
- 税理士費用の勘定科目は?
- 税理士費用には源泉徴収がかかる?
税理士費用の申告方法を知りたい個人事業主や経営者の方は必見です。この記事では税理士費用が経費にできるかを解説します。最後まで読めば、申告時の勘定科目や仕分けの基準がわかるでしょう。
事業に関連する税理士費用は、経費に計上できます。ただし、源泉徴収の有無は支払い側と受け取り側の事業形態により異なるため注意が必要です。源泉徴収が発生した際の仕訳方法も解説しているため、税理士費用の経費計上でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
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税理士費用は原則的に経費計上できる
税理士費用は原則的に経費に計上できます。経費計上の対象は、個人・法人が所得税や法人税などの正確な納付のために税理士に依頼した費用です。
- 事業にかかわる業務の税理士費用は経費計上できる
- 相続に関する税理士費用は経費にならない
事業にかかわる業務の税理士費用は経費計上できる
事業にかかわる業務であれば、税理士費用は経費の対象です。日々の記帳や確定申告・決算書作成などの業務を税理士に依頼した費用は、経費として計上できます。
税理士費用を経費とする際、契約や支払いの形態は関係ありません。毎月顧問料を支払う顧問契約でも、確定申告の代行だけを依頼するスポット契約でも、事業に関連していれば経費計上できます。ただし税理士費用を経費に計上するには、適正な仕訳が求められる点に注意しましょう。
相続に関する税理士費用は経費にならない
相続のために税理士に業務を依頼した場合、経費には計上できません。相続は事業の運営に関する費用ではなく、個人の手続きに該当するためです。
日ごろ事業に関する業務を依頼している税理士に相続手続きを依頼する場合、慎重に処理しましょう。事業の経費に混同しないよう、明細を分けて管理する必要があります。
税理士費用を経費にする際の勘定科目
税理士費用を経費にする際は、一般的に下記のいずれかの勘定科目を用います。
- 支払手数料
- 支払報酬料
- 支払顧問料
- 業務委託料
建設業を除き、会計処理でどの勘定科目を利用するか明確な法規制はありません。4つから自社の状況に照らして適切な勘定科目を選びましょう。
注意したいのは、継続的な顧問契約を結んだ場合、月ごとに勘定科目を変えると確定申告や決算での集計処理が煩雑になる点です。税理士費用の仕訳に用いる勘定科目を決めたら、同じ勘定科目を使い続けましょう。
勘定科目1. 支払手数料
「支払手数料」は手数料を経費計上する際に利用する勘定科目です。税理士や弁護士の費用だけではなく、次の費用にも適用されます。
- 銀行
- クレジットカード
- 為替の手数料
- フランチャイズ料
勘定科目に「支払手数料」を用いた場合、補助科目に「税理士費用」と記入しておくとより明確です。少々手間がかかりますが、仕訳の際は申告時に管理しやすいようていねいな管理を心がけましょう。
勘定科目2. 支払報酬料
「支払報酬料」は、社外の専門家へ業務を依頼した費用を経費計上するときに利用される勘定科目です。弁護士や社労士と顧問契約を結んだ場合や、デザイナーにデザインを依頼した場合なども支払報酬料が該当します。
税理士以外の専門家へ業務を依頼していなければ、単純に「支払報酬料」への計上で問題ありません。ほかに専門家への業務依頼があれば、識別できるよう補助科目に「税理士費用」と記載しましょう。
勘定科目3. 支払顧問料
「支払顧問料」は専門家と顧問契約を結んだ費用を経費計上するための勘定科目です。契約の例には次の専門家が該当します。
- 税理士
- 弁護士
- 会計士
「支払報酬料」と似ていますが「支払顧問料」は長期的な契約を指します。顧問契約(支払顧問料)かスポット契約(支払報酬料)で区別して管理しましょう。
月々の顧問契約を結んでいる税理士に、追加で業務を依頼する場合「支払顧問料」に仕訳できます。たとえば継続的な帳簿管理を顧問契約で依頼し、スポットで確定申告業務を依頼する場合、スポット依頼も「支払顧問料」の仕訳になる仕組みです。
勘定科目4. 業務委託料
「業務委託料」は自社の業務の一部を、社外の個人に依頼した費用の勘定科目です。一般的には「外注」にあたる依頼に用いられる勘定科目ですが、税理士費用を経費計上する際にも利用できます。
「業務委託料」には多くの費用が該当します。計上している費用項目がなにを指すのか混乱しないよう、必ず補助科目を設定しましょう。
税理士費用の源泉徴収の有無
税理士費用には、源泉徴収が発生するケースとしないケースがあります。
源泉徴収が発生しないケース | ・報酬を支払う側が個人であり、給与を支払っていない、もしくは「常時2人以下の家事使用人のみ」に給与を支払っている ・報酬を支払う側が給与所得者である ・報酬を受け取る側(=税理士)が法人である |
---|---|
源泉徴収が発生するケース | 「発生しないケース」に当てはまらない場合 (報酬を支払う側が法人、報酬を受け取る側が個人など) |
下記の条件で、源泉徴収が発生する場合としない場合にわけて仕訳の具体例を紹介します。
- 税理士費用30,000円
- 現金支払い
- 勘定科目は「支払手数料」
源泉徴収が発生しないケース
源泉徴収が発生しない場合は、下記のように仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
源泉徴収が発生するケース
100万円以下の報酬に対する源泉徴収額は支払金額の10.21%です。(100万円を超える部分は「(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円」)
税理士費用30,000円の10.21%にあたる3,063円を源泉徴収し「預り金」として一時的に計上するため、下記のように仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料 | 30,000円 | 現金 | 26,937円 |
預り金 | 3,063円 |
個人事業主が税理士を利用する4つのメリット
個人事業主が税理士を利用する主なメリットは、次の4つです。
- 正確な確定申告ができる
- 業務負担を軽減できる
- 税務調査への対応を任せられる
- 経費計上ができる
メリット1. 正確な確定申告ができる
税理士は税金計算のプロであるため、依頼すると正確な確定申告ができる点がメリットです。税理士を通じて経費計上の可否や減価償却方法、節税方法を学べます。
税理士なしでの申告は、知識不足による判断ミスを起こしかねません。脱税の意図の有無に関係なく、申告漏れがある場合は追徴税のペナルティが課されてしまいます。税理士に依頼することでミスを防げるため、正確な確定申告が可能です。
メリット2. 業務負担を軽減できる
税理士への依頼のメリットは、業務負担が軽減できる点です。正確な税金計算・納税には日々の記帳が欠かせません。個人事業主の場合、本業に時間をとられて記帳をおろそかにするケースもあります。
税理士に依頼すると、記帳の作業が領収書や通帳のコピーなどを提出するだけで終わるため、事務処理が簡単です。日々の事務作業を大きく減らし、業務効率が向上します。
メリット3. 税務調査への対応を任せられる
税理士に依頼すると、税務調査への対応を任せられる点がメリットです。税理士が立ち会えば正確な申告内容の提示ができ、ペナルティを避けられる可能性が高くなります。
税務調査は、職員による指摘への返答や適切な資料準備がないと、追徴税が課される仕組みです。税理士がいればいつでも税務調査を受けられる環境が整い、想定外の調査でも心配がありません。
国税庁や税務署が、納税者が正しく税金を申告しているか・納めているかを確かめる調査のことです。帳簿の確認、税務職員による指摘や質問などが行われます。
メリット4. 経費計上ができる
税理士費用を利用するメリットは、経費計上ができる点です。税理士費用は経費に該当するため、計上することで節税効果があります。
税理士費用を経費計上する際は、仕訳に注意しましょう。依頼方法や期間に応じて最適な勘定科目が異なるため、適した方法での管理が必要です。
税理士費用の相場
税理士費用の相場は、依頼する業務内容次第です。「月々の顧問契約を結ぶ場合」と「確定申告代行のようにスポットで依頼する場合」にわけて紹介します。
月々の顧問契約を結ぶ場合 | 月額3万円〜 |
---|---|
確定申告代行のようにスポットで依頼する場合 | 10万円〜 |
月々の顧問契約を結ぶ場合の相場:月額3万円〜
税理士と月々の顧問契約を結ぶ場合の費用相場は月額3万円〜です。年商1000万円未満で月1回の打ち合わせを依頼する契約では、月3万円程度の顧問料を想定しましょう。売上や利益が大きくなるほど考慮すべき事項が増えるため、基本的に顧問料も高くなります。
記帳代行、給与計算や保険料計算がデフォルトで含まれるかオプションで追加するかは、依頼する税理士次第です。依頼前に確認しましょう。
確定申告代行のようにスポットで依頼する場合の相場:10万円〜
税理士にスポットで確定申告代行や決算書作成を依頼する場合の費用相場は、10万円程度です。月々の顧問契約をしていても、確定申告や決算書作成は別料金であるケースに注意しましょう。
一般的に確定申告や決算書作成費用は、月額顧問料金の4〜6カ月分です。顧問契約と同様、売上および利益が大きくなるほど業務が複雑化するため、依頼料金が高くなります。
まとめ:税理士費用の経費計上では源泉徴収の有無に注意
税理士費用は原則的に経費計上できます。源泉徴収の有無は個人・法人によって異なるため、該当ケースを正確に把握しましょう。
確定申告や決算書作成におけるトラブルを避けるためには、税理士への依頼は有効な手段です。税理士を選ぶ際は、複数の見積もりを取得し条件を比較することで、最適な選択肢が見つかります。
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大学卒業後、東京の大手ITベンダーや監査法人にて事業企画職や会計士としての実務に長年携わる。その後、自身が相続を経験したことを契機として2014年に相続専門の個人会計事務所を地元で開業。現在は阪神間(主に神戸市・芦屋市・西宮市)で相続税をはじめとする各種税務申告や生前の相続対策相談など、相続に纏わる様々なサービスを数多く手掛けている。
一方、法人の役員や個人の事業主が相続税の申告を税理士に依頼して報酬を支払ったとしても、その費用は主たる事業とは何ら関連がなく役員又は事業主が個人的に負担すべきものですから、記事にある通り事業の経費として処理することはできません。
また、相続税を計算する上で債務控除の対象となるのは、相続開始時点で既に存在する被相続人の債務で履行が確実なものに限られていますので、相続人等が相続税の申告の為に要した税理士報酬は債務控除の対象にはなりませんのでご注意下さい。
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