特定調停のやり方はどうすれば良い?費用はどれくらいかかる?
- 特定調停の費用はいくら?
- 特定調停は全部自分でできる?
- 特定調停で借金は減らせる?
特定調停は安いといっても、費用がいくらかかるか不安な方も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定調停にかかる費用について、自分でする場合と弁護士に依頼する場合をそれぞれ解説します。特定調停を使った債務整理を検討中の方は、必見です。
特定調停のデメリットも合わせて解説します。特定調停を使った債務整理を検討中の方や特定調停で借金が減らせるか気になる方は、ぜひ最後までお読みください。
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特定調停とは債務者の経済的再生を図る手続き
特定調停とは、民事調停の特例として定められた多重債務者が生活の立て直しを図る手続きです。生活の立て直しを図る目的のため、手続きの費用は安く済みます。
特定調停というのは,債務の返済ができなくなるおそれのある債務者(特定債務者)の経済的再生を図るため,特定債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を行うことを目的とする手続です。
特定調停の流れは、次のとおりです。
- 特定調停の相談
- 特定調停申立書の作成
- 特定調停の申立て手続き
- 債権者への通知
- 調停期日当日
- 調停終了
特定調停の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
特定調停を自分でする場合の費用
特定調停を自分でする場合の費用は、次の2種類。
- 裁判所に支払う費用
- 自分で準備する書類の費用
裁判所には、特定調停に必要な手数料を支払います。自分で準備する書類の費用は、市区町村役場や法務局で書類を発行する際に必要です。
裁判所に支払う費用
裁判所に支払う費用には、申立手数料と手続費用の2種類があります。
申立手数料の支払いは、収入印紙です。金額は簡易裁判所ごとに変わりますが、債権者1社につき500円程度となります。
手続費用の支払いは、郵便切手です。申立手数料と同じく、簡易裁判所ごとに金額が違います。特定調停の相談をする際に、裁判所で確認しましょう。
参考として、東京簡易裁判所の費用を紹介します。
申立手数料 | 手続費用 |
---|---|
1社につき500円 | 切手430円分(84円切手5枚,10円切手1枚) |
自分で準備する書類の費用
自分で準備する書類には、次のようなものがあります。
債務者 | ・財産明細書関係 ・権利者一覧表 ・住民票の写し |
---|---|
債権者が企業の場合 | ・登記事項証明書(履歴事項証明書) ・代表者事項証明書(資格証明書) ・契約書類 |
住民票の写しは、市区町村役場で発行します。自治体により金額が異なり、相場は300円〜350円程度です。
債権者が法人の場合、債権者の登記事項証明書と代表者事項証明書が必要になります。請求先は債権者の本店所在地がどこであっても、住まいの最寄り法務局で発行可能です。
登記事項証明書は「履歴事項証明書」と「現在事項証明書」の2種類。特定調停に必要なのは「履歴事項全部証明書」です。登記事項証明書と代表者事項証明書の費用は、発行依頼方法で3パターンにわかれます。
法務局窓口・郵送で発行を請求し窓口・郵送で受け取る | 1通各600円 (郵送の場合、別途返信用切手代が必要) |
---|---|
オンラインで請求し郵送で受け取る | 1通各500円 (速達や簡易書留希望の場合、別途料金が必要) |
オンラインで請求し法務局窓口で受け取る | 1通各480円 |
参照:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局
特定調停を弁護士に依頼する場合の費用
特定調停は弁護士への依頼も可能です。弁護士に依頼したときの相場は、2万円〜4万円。自分で特定調停をするよりも高くなります。
任意整理の弁護士費用の相場は、3万円〜5万円+減額分の10%〜20%です。任意整理と変わらない費用を払うなら、安く済ませられる特定調停の意味がないとも言えます。
特定調停が持つ5つのデメリット
特定調停には、費用を安く済ませられるメリットだけでなくデメリットもあります。特定調停が持つデメリットは、次の5点です。
- 平日行われる調停に出なければならない
- 自分で書類を作る必要がある
- 特定調停をしていることが周囲に知られてしまう
- 過払い金請求は別途しなければならない
- 調停が失敗するリスクがある
1. 平日行われる調停に出なければならない
民事調停規則8条により、特定調停は申立人の出廷が原則です。裁判所の開廷は、基本的に平日のみ。複数の債権者に対して調停を起こしている場合、調停のたびに休みを取るのは現実的ではありません。
やむを得ない事情で代理人に出廷を依頼する場合は、代理人許可申請書と必要書類を裁判所に提出します。弁護士と司法書士以外を代理人にするときは、裁判所の許可が必要です。
代理人は「紛争の実情に詳しい者」でなければいけません。家族にも借金の状況を伝えていない場合があるため、「紛争の実情に詳しい者」を代理人にするのは実際難しいでしょう。
2. 自分で書類を作る必要がある
特定調停は、書類作成から資料収集、財産の調査まですべて債務者が行います。書類の不備で調停が失敗するリスクもあり、通常とは違ってかなり気をつかう書類作成です。
財産の調査も慎重に行う必要があり、特定調停では、債務者が書類を作成する負担が大きくなりがちです。
3. 特定調停をしていることが周囲に知られてしまう
特定調停では、裁判所からの郵送物は申立人である債務者のもとに郵送されます。民事訴訟法103条により、調停関係の郵送物の送付先は、自分の住所か職場に限定されます。
任意整理の場合は、申立人の代理人である弁護士や司法書士の事務所に送付することが可能です。
郵送物が自宅や会社に届く特定調停では、特定調停をしていることが周囲に知られるリスクが高くなってしまいます。
4. 過払い金請求は別途しなければならない
特定調停では、基本的に調停委員の提案によって減額の割合が決まります。調停員は債権者・債務者双方の意見を聞いて提案するため、債務者の希望に応じた減額は難しい傾向です。
多く利息を支払っていたとしても、自分の利益を極力減らしたくない債権者は、利息分である過払い金の返還請求にまで応じてくれる可能性は非常に低いでしょう。
5. 調停が失敗するリスクもある
債務者に返済能力がなく他の債務整理が適していると調停委員が判断した場合は、民事調停法13条により特定調停の申立てが却下されるときがあります。
(調停をしない場合)
第十三条 調停委員会は、事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、事件を終了させることができる。
特定調停は、必ず行われるとは限りません。申立てが却下される場合があることは覚えておきましょう。
特定調停から任意整理など他の債務整理に行くケースもある
支払能力のなさを理由として、特定調停ではなく自己破産を勧められる場合も。 他の債務整理をすることになると、特定調停のためにかけた時間やお金が無駄になってしまいます。
特定調停は、自分に返済能力があるかどうかをきちんと考えたうえで申立てすることが大切です。
まとめ
特定調停は、資料作成から債権者との話し合いまですべて自分ですることから、債務が減らない可能性があります。確実に債務を減らしたい場合、弁護士や司法書士といった専門家へ依頼して別の債務整理をすることがおすすめです。
確実に債務を減らすにはどれだけ費用がかかるか不安になるときもあるでしょう。弁護士や司法書士は、初回は無料相談をしているケースが大半。無料相談を受けてから、特定調停を使うか他の債務整理にするか決めても大丈夫です。
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1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。
その管轄裁判所にご自身で申立てを行い調停委員のサポートを受けながら債権者との話し合いを行い、将来利息をカットするなどの減額の成立を目指していく制度が特定調停です。
ご自身で行うことが可能な手続きであり、他の債務整理に比べて費用面が安く済むのがメリットです。
しかし、専門家を通さない手続きであるため、債権者との合意が成立しづらく調停が不成立に終わる可能性が高いというのが最大のデメリットです。実際に特定調停の成功率は3〜15%程度と言われています。手間と時間をかけて特定調停を行っても不成立に終わってしまうと、結局他の債務整理手続きを行わなければなりません。
また調停委員は必ずしも債務整理の専門家がついてくれるというわけではないので、調停が成立したとしても逆に自身にとって不利な調停内容に終わることもあります。
今後特定調停が債務者の方にとって利用しやすい制度に代わっていく可能性はありますが、少なくとも現状の運用であれば申立人にとって負担が大きく、不成立に終わる可能性が高いお勧めしづらい制度という事になります。
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