ECサイトのマーケティングはどうすべき?特徴やポイントを徹底解説

株式会社E-team
監修者
株式会社E-team 代表取締役 江口 弘起
最終更新日:2023年10月03日
ECサイトのマーケティングはどうすべき?特徴やポイントを徹底解説

ECサイトに適したマーケティングをECマーケティングなどと言いますが、従来の手法とは何がどう違うのでしょうか。 ビジネスでサイト運営を行う以上、集客や売上など達成すべき数値を定め、それを伸ばすためにさまざまな施策を講じることは必須です。 ここではECサイトでのマーケティングについて、EC(電子商取引)マーケットならではの特徴や専門用語、戦略のコツや課題などを踏まえて徹底解説します。

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ECサイトのマーケティングは何が違うのか

いずれのサイトであれ、ビジネスで運営するからには企業の業績に貢献しなければなりません。 特に商品やサービスを販売するサイトであれば、アクセス数だけでなくサイトそのものの売上数値ももちろん重要です。基本的にECサイトの売上は以下の計算式で求められます。

  • アクセス数×CVR×客単価

実店舗であれば来店者数となるところが、ECサイトの場合はアクセス数となるのがポイントです。また、CVRはコンバージョン率を表しますが、サイトへのアクセスした人のうち、何パーセントの人が運営者が目論んだ行動を実行したかという率です。

たとえば、ショップであれば商品購入率になるでしょうし、法人営業のサイトであれば資料ダウンロード率や問合せ率に定めることもできます。いずれにせよ、いかにたくさんのユーザーをサイトへ集め、目的の行動を取ってもらうかが重要であり、これらの数値を伸ばすために施されるのがECサイトのマーケティング施策です。

そもそもマーケティングとは?

ここで一度、従来のマーケティングについてもおさらいしておきましょう。マーケティングとは、自社の商品やサービスを効率良く販売するための手段ですが、そのためにはまず顧客をよく知らなければなりません。 ターゲットとする顧客がどのような人物なのか、どのような状況に置かれているかを理解することにより、ニーズを的確に満たす必要があります。

近代マーケティングは1900年代のアメリカから始まり、自動車生産でトップを取ったフォード社の販売戦略だというのが定説です。 といっても、もっとずっと古くから各国に同様の考え方は存在しており、いかに客の要望を見出して商売するかは商人の基本とも言えるでしょう。

時代が変わり、インターネットで商品やサービスを販売するのが当たり前になった現代においても、基本的なマーケティングの考え方は変わることがありません。

ECサイトならではのマーケティングのポイントとは

マーケティングの基本的な考え方は変わらないとしても、ECサイトである以上、従来の手法とは大きく異なる点があることは事実です。 ECサイトならではのマーケティングのポイントは以下の3点です。

ターゲットとエリア

ECサイトに垣根はなく、その気になれば世界中の人々に向けてビジネスを行うことも可能です。ただし、単にWebサイトを開設すればそれで良いわけもありません。 まず、実店舗のように顧客の顔が見えない分、より緻密なターゲットの設定とエリアの抽出が必要です。

事前にどのようなターゲットに向けてビジネスを展開するかを確定することが最も重要であり、そのターゲットがいるエリアを抽出することがポイントです。 闇雲に数撃てば当たるといったやり方では、ほぼ成功は見込めないでしょう。

データ分析

サイト訪問者がどのような行動を取り、結果としてどのような成果を得られたかは、行動履歴などのデータから解析することが重要なポイントです。 顧客の顔や行動が見えない分、細かくデータを収集して分析し、必要な改良を加えていくことが求められます。

また、こうしたサイクルはECサイトを運営する限り継続し、スピーディにこまめな対応を実施する体制も必要です。

コミュニケーション

対面ではなく顧客の顔も見えないとなると、コミュニケーションを取るのが難しいと感じる運営者も少なくないでしょう。 だからこそ、顧客とは積極的にコミュニケーションを取り、商品やサービス、ブランドのファンを育成する手法が重要です。

SNSの活用なども盛んに行われていますが、企業として顧客に好きになってもらう努力は必要です。

ECサイトへ人を呼ぶためのマーケティング施策

一にも二にも、自社のECサイトに人が来てくれなければ運営は立ち行きません。 このサイトへの集客は多くの運営者、経営者の難題であり、最も重要なマーケティングポイントだと言えます。

どんなに人気のあるサイトでも、サイトを見に来てくれるすべての人が商品やサービスを購入してくれるわけではありません。 CVの確率を上げるためにはパイを広げるしかなく、そのために集客は最も重要な施策となります。

また、ECサイトならではの特徴として、人が集まればそこで売上に直結しなくても情報が拡散される確率が上がり、ブランドやショップの認知度向上につながる期待があります。 そのため、多くのECサイトが採用しているのが、インターネット広告を利用し、広くユーザーへ露出するマーケティング手法です。

それでは具体的にどのような広告があるのか、解説していきましょう。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告はバナー広告とも言われ、Webサイトの上部バナーとして表示されます。 ユーザーの目に留まりやすく、商品画像やブランドロゴなどを表示すれば認知度向上につながるでしょう。

ただ、単体より併用が多く、ほかの広告との合わせ技で費用対効果を上げるマーケティング手法が多く採用されています。

SNS広告

LINEやInstagram、TwitterやFacebookといったさまざまなSNSプラットフォームを利用した広告です。 生活に密着し、もはや見ない日はないほどのSNSですから、その場を利用しない手はありません。

また、利点として、SNSはユーザーの年齢や性別、エリアなどがすでに登録されていることが挙げられます。 プロフィールや閲覧履歴などからターゲットの絞り込みが容易なため、より効果的に広告表示させるマーケティング戦略が採れることが人気の理由です。

リスティング広告

リスティング広告は、PPC、検索連動型広告とも言われますが、非常に多く見られる広告のタイプです。

たとえば、Web検索エンジンを利用したときに、検索結果画面でまっさきに「広告」表示の付いたサイトが表示されるでしょう。 これがリスティング広告です

多くのユーザーの目に留まりやすく、最もアクセス獲得率が高い広告だとも言われます。

まとまった予算が必要となりますが費用対効果は高く、運用を請け負う広告代理店も数多くあります。 ただし、広告代理店への手数料がかかるため、そこはあらかじめ計算しておきましょう。厳しいですが、代理店に頼らず自社で運用する手段もあります。

アフィリエイト広告

今では日本でもすっかり定着したアフィリエイト広告は、成果報酬型広告とも言われます。 個人のアフィリエイターなどのサイトに広告を掲載してもらい、CVにつながれば報酬を支払うというルールになっています。

広告主としてはほとんどリスクがなく、低予算で実施できるため人気がありますが、これ単体ではやはり弱いため、ほかの広告と連動して実施されることが多いでしょう。

マーケティングで重要となるSEO対策

ECサイトのマーケティングで課題となりやすいのがSEO対策です。

SEOというのは、直訳すると「検索エンジン最適化」となります。 具体的には、ユーザーが検索エンジンで自社サイトに近しいものを調べたときに、自社サイトを検索結果に上位表示させるための対策です。

成功させるためには、検索アルゴリズムが自社サイトを「適したサイトである」と判断する必要があり、いかにして良いサイトであると理解してもらえるかが課題となります。 ユーザーは何かを調べているときに早く答えを知りたいと考えるため、ページが後ろに行けば行くほど来訪してもらいにくくなってしまいます。

SEO対策はECサイトのマーケティングにおいても課題ですが、あれこれ手を考える前に、充実した質の高いコンテンツを提供することや継続してこまめに情報発信し続けることが何より大切です。

コンテンツSEOとは?

コンテンツSEO、コンテンツマーケティングという言葉がありますが、質の高いコンテンツを継続発信することにより、検索エンジンから集客を伸ばすマーケティング手法を指します。

質が高いと認められやすいのは、文章や画像、動画などでユーザーのニーズに応えられる充実したコンテンツが多数用意されていることです。 ユーザーが見て満足する、ためになる、役に立つと感じるコンテンツを継続して発信することは容易ではありませんが、それがCVにつながるなら大いに有意義な施策と言えます。

ECサイトでCVにつなげるためのマーケティング施策

さまざまな手段で集客に成功したとして、次に着手しなければならないのがCV率のアップです。 せっかくアクセス数を伸ばしても、結果的に求める成果につなげられなければ売上にはなりません。

これまで多くのECサイトが実施してきたマーケティング施策において、CV率アップに効果が高いと評価されている内容を紹介します。

ランディングページ最適化

ランディングページというのは、ユーザーがサイトにアクセスしたときに最初に見るページです。 まさにランディング=着地ページになりますが、そこで良いイメージを持てなければ、おそらくユーザーは瞬時に離脱してしまうでしょう。

たとえば、何かを探しているユーザーが「ここにはなさそうだ」と感じれば離れてしまいますし、それ以前になかなか表示されない、情報がわかりにくい、使いにくいといった問題があれば同様です。 こうしたことでせっかくの見込み客を逃してしまうリスクを避けるのが、ランディングページ最適化です。

ユーザーインターフェースの改善

ユーザーインターフェースはUIとも言いますが、簡単に言えばユーザーの目に見えるすべての部分を指します。 つまりサイトのデザインはもちろん、情報の一つひとつすべてがUIです。

見た目の良し悪し、使い勝手の良し悪し、わかりやすいわかりにくいといった細かな部分までこだわることにより、ECサイトの業績は左右されることを忘れないでください。 ランディングページも大事ですが、ランディングページから飛んだ先の情報が整理されていなければ、結局離脱されてしまいます。

サイト内検索の見直し

サイトの中から知りたい情報を探せるのが、サイト内検索です。 ただ、サイト内検索といっても一種類ではなく、サイト全体を対象にした検索方法でも検索窓にユーザーがキーワードを打ち込むタイプから、カテゴリメニューまでさまざまあります。

たとえば、洋服ならトップなのかボトムなのか、サイズ、色、価格帯など、ユーザーに探しやすくする仕分けはたくさん考えられます。 ユーザー目線で調べやすく、ほかの魅力的な商品も目にできる工夫があればCVにつなげやすいでしょう。

レコメンドの実装

実店舗のように店員が直接勧めることはできないため、商品を閲覧したユーザー、カートに入れたユーザーに、別商品を勧める機能がレコメンドです。 いかにも押し付けるようになっては逆効果の場合もありますが、同様の商品を紹介する、よりお得な商品を紹介するといったレコメンドであれば、好印象となるでしょう。

たとえば、色違い商品がある場合やキャンペーンなどでセット商品がある場合は、レコメンドによる購入率のアップが期待できます。 大手ショッピングモールなどでは、リピーターに対し過去に購入した商品の表示などもよく実装されています。

カゴ落ち対策

ユーザーとして覚えのある人もいるでしょうが、一度カートに入れた商品を、最終的には購入せず離脱してしまうことをカゴ落ちと言います。 この原因は千差万別なため一概に言えませんが、少なくとも同様の原因があるのであれば改善をしなければなりません。

システムの不具合なら当然のこと、入力のわずらわしさ、合計金額の予算オーバー、配達や支払い方法の不備など想定される部分は企業として検証し、改善が求められます。

ECサイトでリピーターを獲得するためのマーケティング施策

ECサイトにとって、何度も定期的に来てくれるユーザーはとても大切な固定客です。 いかにしてこのリピーターの数を増やすかは重大な課題と言えます。実店舗でもさまざまな囲い込みのマーケティング手法がありますが、顔の見えないECサイトではどのような施策が考えられるでしょうか。

メールマガジン配信

アフターフォローはオンラインショップの基本であるため、配送時のメッセージの同封や購入後のサンクスメールなどで顧客に良い印象を与えることは大切です。

それに加えて、メールマガジンを配信すると、ユーザーに定期的に新商品やサービスなどの情報を通知することができます。 ECサイトのことを思い出してもらうだけでも大きなチャンスになりますので、体制を整えましょう。

ポイント付与

クーポンやポイント付与に絡めて会員登録をしてもらう方法があります。 なんのメリットもないとなかなか個人情報は入力しませんが、ユーザーが自身でそのハードルを越えた場合、かなり高い確率でリピーターとなります。

また、登録時だけでなく、常時5%割引などの会員特典は非常に有効です。 リピート購入を続けてくれる会員にはVIP待遇を行うなど、特別なメリットを提供することも大切です。

リターゲティング広告

リターゲティング広告というのは、一度でもECサイトを訪れたユーザーに対する広告表示です。 予算が必要ですが、費用対効果が得られやすいため、一定数以上のユーザー訪問数があるECサイトなら一度検討してみるのも良いでしょう。

まとめ

ECサイトにはECサイトならではのマーケティング施策があります。

専門用語などがあり、慣れない方もいらっしゃるでしょうが、基本的には実店舗で実施するマーケティング施策と考え方はなんら変わりません。 多くの人を集客し、購入してもらえる工夫を施し、リピーターになってもらうためにさまざまな課題を解決し、最適な環境を整えることになります。

オンラインならではの特徴としては、顧客の顔がリアルに見えない分、データを駆使すること、SNSなどほかのメディアと連携することなどが挙げられます。 ECサイト自体もスピーディに変わっていますし、マーケティング手法もそれに合わせてどんどん更新されていきますので、常に最新の情報をチェックしつつ、サイト運営にあたってください。

ECサイトは集客と追客のバランスが大切であり、新規顧客が来なければリピーターも獲得できませんが、固定客化できないと、いつまでたっても新規を追うことになってしまいます。 定期的に効果検証を行い、課題を見つけて改善を続ける姿勢が何より大事であり、継続して質の高いコンテンツを提供し続けることが重要です。

監修者のコメント
株式会社E-team
代表取締役 江口 弘起

2006年に博報堂系デジタル広告会社に入社、総合広告会社のデジタルプランナーに従事。2012年にフリーランスとして独立する傍ら、複数のITスタートアップの取締役を務め、事業組織開発・企業ブランディング・マーケティング等の事業推進に関わる一切を担う。2020年に株式会社E-teamを設立。代表取締役兼UXプロデューサーとして、主に民間企業のマーケティングDXとSDGs導入を支援。SDGs地方創生公認ファシリテーター。

ECサイトマーケティングの最大の落とし穴は、「お客様の顔」が見えず、アクセス数やCVRやリピート率といった「数字」にこだわり本質的な課題が見えなくなりがちな点です。

日々GoogleAnalytics等のアクセス解析ツールと睨めっこしながら「SNS広告経由で欲しいターゲット層からのアクセス数が増えた」「CVRが下がったから入力フォームを改善しよう」といったPDCAを継続することは素晴らしいことですが、見えるのは定量的な“数字”でしかありません。

ECサイトを店舗と置き換えて考えてみると理解できると思いますが、サイトへのアクセスは店舗に来てくれるお客様一人一人であり、アクセス数字の増減だけでは分からない「一人一人の気持ち」があることを忘れてはならないでしょう。

サイトに来てくださるお客様を店舗に置き換えて、「ファーストビューのイメージ=店舗の外観の装飾」「購入までのサイト遷移=店舗の内装・商品の並べ方・お声がけ」「購入後の商品発送=支払い後のレジでの包装」と考えると、自然とホスピタリティが高く気持ちの良いECサイトになることでしょう。

顧客企業との会話はPV/UU/CVR/LTVなどのレポートを見ながら施策を検討することが多いですが、数字の先にあるお客様の顔を思い浮かべながら心地よい接客コミュニケーションをオンラインで実現し意識することが大切ではないでしょうか。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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