EUCとは?メリット・デメリットや3つの課題を解説
- EUCとは?
- EUCのメリット・デメリットは?
- EUCの今後の課題は?
「自社の業務効率にEUCを勧められたけど、そもそもEUCがどのようなものかわからない...」とお悩みのシステム開発担当者、必見です。
EUCとはシステム管理部門ではなく、エンドユーザーが主体的にシステムの構築や運用管理に携わることを指します。管理部門の仲介が不要で、デバイスや場所を選ばず作業できるため業務効率がアップすると期待されています。
本記事では、EUCの概要やメリット・デメリット、課題を解説します。記事を読み終わった頃には、EUCの本質や活用方法を理解して自社のシステム開発に活かせるでしょう。
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EUCとはエンドユーザーが主体的にシステム構築に携わること
EUCとは、システム管理部門ではなく、エンドユーザー(実際にシステムを利用する従業員)が主体となってシステム構築に携わることです。「End User Computing(エンドユーザーコンピューティング)」の頭文字を取ってEUCと呼ばれています。
システムを利用する従業員がシステムの開発・構築・運用を自主的に行えるため、組織全体でシステムの育成が可能です。システムを利用する際に技術部門の仲介が不要になるため、円滑なシステム運用が期待できるでしょう。
以前のEUC:エンドユーザーが端末を操作してデータ処理を実行
EUCは1970年代後半に登場し、メインコンピュータだけではなく、エンドユーザーの端末で情報処理を実行できる点が特徴でした。専門的な技術を要する大型コンピュータで管理し、専門技術者にデータの入出力を依頼してシステムを利用します。
利用者はシステムを利用できるものの、システムの構築や開発は不可能でした。1つの大きなコンピュータを専門技術者だけではなく、システムを利用する従業員も操作できることがEUCの始まりです。
現在のEUC:個別のアプリケーションを利用者が開発・運用
現在のEUCは、業務に必要なシステムの利用だけではなく、エンドユーザーがシステムの構築・開発・運用まで行うことを指します。1990年代後半ごろには従業員1人ひとりにパソコンが与えられ、従業員主導によるシステム運用が普及しました。
システムの利用にとどまらず、業務で必要なアプリケーションの開発やシステム構築が可能です。専門技術者の仲介なしでシステムを利用できるため、円滑な業務が可能になり業務効率の向上が期待できます。
運用には一定のルールが必要
EUCの運用には、一定のルールが必要といわれています。無秩序にシステムの構築・開発が行われると、自社のIT部門や管理部門の統制がおよばなくなるためです。従業員の判断でシステムの構築・開発ができたとしても、一定のルールを設ける必要があるでしょう。
EUCの3つのメリット
EUCのメリットは、以下の3つが挙げられます。
- セキュリティ強化につながる
- デバイス・場所を選ばずに作業できる
- 管理しやすくなる
EUCは、エンドユーザーそれぞれが構築・開発・運用できるシステムのため、セキュリティ面の強化や業務効率の向上に長けています。システムを複数人で利用する場合は、EUCを活用するといいでしょう。
1. セキュリティ強化につながる
EUCは、機密データの管理がしやすいためセキュリティの強化につながります。機密データがユーザーのデバイス上ではなくアプリケーションサーバにあるためです。エンドユーザーそれぞれではなく、メインサーバーで管理できます。
デバイスの紛失や盗難が発生した際にも、デバイスアクセスを適切にコントロールすることで機密データの管理が可能です。システム全体の管理を一律で行えるため、エンドユーザーは安心して利用できます。
2. デバイス・場所を選ばずに作業できる
EUCを導入することで、エンドユーザーはデバイス・場所を選ばずに作業できます。アプリケーションサーバにアクセスできれば、必要なシステムを利用できるためです。
ユーザーは使用するデバイスを選択でき、アプリケーションサーバにアクセス可能であれば場所を選ぶ必要がありません。オフィスだけではなく、リモート作業も可能になるため業務体系の幅が広がるでしょう。
3. 管理しやすくなる
EUCを導入することで、企業はシステムの管理がしやすくなります。アップデートや新機能のインストールなど、必要な管理を一括で行えるためです。
すべての機能を1カ所で実行できるため、デバイスごとのアップデートは必要ありません。パソコンやタブレット・OSごとにアップデートを行うと、必要以上の労力がかかります。
エンドユーザーはデバイスのアップデートを行う必要がないため、通常業務や収益を生み出すシステム開発の業務に集中できるでしょう。
EUCの3つのデメリット
EUCのデメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 属人的側面が強くなる
- 情報処理が遅くなる
- いずれ不要となるシステムが生まれてしまう
EUCはエンドユーザーがシステムを開発できるため、どうしても属人的な側面が強くなります。スクリプト言語を使用してコーディングするため、情報処理に時間がかかる点もデメリットといえるでしょう。
自由にシステム構築ができるため、作成したものの使用頻度が少ないシステムが発生し、不要なシステムの管理が必要になります。
1. 属人的側面が強くなる
EUCは、どうしても属人的な側面が強くなります。新規作成されたシステムは、作成者にしかロジックや機能の詳細がわからないためです。システムの作成者が部署異動をしたり退職したりすると、メンテナンスや仕様変更が難しくなります。
組織のルールとして、新しくシステムを開発した場合は「システムのマニュアル」を作成し、組織全体での共有が大切です。システム開発者だけではなく、誰でもメンテナンス・仕様変更が可能な体制づくりが重要になるでしょう。
2. 情報処理が遅くなる
EUCを導入した場合、どうしても情報処理が遅くなる可能性があります。EUCはスクリプト言語によるコーディングが多いためです。スクリプト言語とは比較的容易に記述や実行を可能にする言語で、命令に対して順序立てて解釈します。
命令の数が多いほど順番待ちしている命令が増えるため、時間がかかってしまう仕組みです。EUCツールを分割して実行する命令数をできるだけ少なくすると、処理スピードが速くなる可能性があります。
3. いずれ不要となるシステムが生まれてしまう
EUCを導入すると、いずれ不要となるシステムが生まれてしまう可能性が高いです。「こんなシステムがあったら便利だ」と自由な発想で作成できる反面、実際には使われていないシステムが発生する可能性があります。
作成されたシステムやアプリケーションを管理する部門を設け、不要なシステムを整理するといいでしょう。
EUCの活用に適した3つのケース
EUCの活用に適したケースは、以下の3つが挙げられます。
- 在宅勤務の導入を検討している場合
- BYODを導入している場合
- コールセンターを運営している場合
EUCは企業のシステム導入において画期的な手法ですが、業務内容によって向き不向きがあります。在宅勤務・BYODの導入やコールセンターを運営している場合は、EUCの導入がおすすめです。
1. 在宅勤務の導入を検討している場合
在宅勤務の導入を検討している場合は、EUCの活用を検討しましょう。EUCを導入することで、場所を選ばずに業務を遂行できるためです。システムにアクセスできるデバイスと環境が整っていれば、利用する場所を選びません。
在宅勤務に限らず、Web会議ツールを活用して出張先から会議に参加したり、顧客との電子契約を可能にしたりします。事務所にいなくても通常業務を可能にしたい場合は、EUCの導入がおすすめです。
2. BYODを導入している場合
BYODを導入している場合は、EUCを活用するといいでしょう。BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員がプライベートで使用しているスマートフォンやノートPCの使用を許可することです。
EUCを導入することで、アップデートを一括で管理できます。個々のデバイスを利用する場合はセキュリティ面に不安があるため、EUCを活用して安心して利用できる環境を構築しましょう。
3. コールセンターを運営している場合
コールセンターを運営している場合は、EUCの活用がおすすめです。近年、コストパフォーマンスに優れたクラウド型のコールセンターシステムが増加しています。クラウド型にすると、PCと電話をつなぐ機能や自動音声応答などの利用が可能です。
従来のコールセンターのように従業員を1つの施設に集める必要がないため、在宅勤務やサテライトオフィスワークなど働き方の柔軟性を高められます。
EUCの3つの課題
EUCの課題は、以下の3つが挙げられます。
- データセンターの不具合がすべてのエンドユーザーに影響する
- 同時接続ユーザー数の増加に対応できる規模が必要になる
- EUCの複雑さがリスクの増大につながる可能性がある
EUCはすべての機能をデータセンターに集約しているため、データセンターに不具合が起きた場合はすべてのエンドユーザーに影響が出ます。
1つのデータセンターにすべてのエンドユーザーがアクセスするため、ユーザー数にあわせた規模が必要になるでしょう。EUCを効果的に活用するには、導入後の活用方法を見据えたうえで構築することが重要です。
1. データセンターの不具合がすべてのエンドユーザーに影響する
EUCを導入すると、データセンターの不具合がすべてのエンドユーザーに影響します。データセンターに集約したデータをエンドユーザーがそれぞれのデバイスで利用するためです。
データセンターで一元管理できる点はメリットですが、大元のデータベースで異常が起こるとすべての機能が停止するリスクがあります。
2. 同時接続ユーザー数の増加に対応できる規模が必要になる
EUCを導入する場合は、同時接続ユーザー数の増加に対応できる規模が必要になります。予想以上にユーザー数が増えたり急激にユーザー数が増加したりすると、EUCの体験の質が低下する可能性があるためです。
同時接続ユーザーが急激に増えると、動作の待ち時間が伸びたり動作が重く感じたりします。どのようなシステムで、どれくらいのユーザーが利用するのかを事前に把握することが大切です。導入後、徐々に規模を拡大する場合は余裕のある規模設定が必要となるでしょう。
3. EUCの複雑さがリスクの増大につながる可能性がある
EUCの複雑さが、リスクの増大につながる可能性は否めません。EUCのアプリケーションが複雑になると、パフォーマンスや可用性・セキュリティなどに問題が生じる可能性があるためです。
EUCの構築段階では、新たに開発されるシステムの内容は把握しきれていません。エンドユーザーのデバイスで作成されたデータが「いかなる形でも漏洩しない」とすることは難しくなるでしょう。
まとめ
EUCは、システムのエンドユーザーが主体的にシステム構築・開発・運用を行うシステム体系です。技術管理者の仲介を必要とせず、エンドユーザーはシステム開発ができます。機密データはメインサーバで管理できるため、セキュリティ面の強化も可能です。
エンドユーザーは自分が使いやすいデバイスを利用でき、場所を選ばずにどこでも作業できます。在宅勤務や出張先からのシステム利用など幅広い業務体系を構築できるでしょう。
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になります。既存のドキュメント類や現場で働く方々に対する質問紙調査及びヒアリング調査等によって、現状の理解を図ります。その後、調査結果を整理し、組織内に眠る課題の抽出、EUC展開による潜在リスクや顕在リスクについて分析評価します。
続いて、DX/IT専門家の立場から課題に対する改善策、対応方針を検討し、実施計画書をまとめます。最後に、計画に従いながらEUCを展開し、予実管理を進めていき、必要に応じてフォローアップを行います。
EUC立ち上げ時、DX/IT専門家と上手く連携を図ることで、将来的なトラブルを未然に防止することに繋がります。
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