棚卸資産の仕訳方法とは?記録方法や注意すべき2つのポイントも解説!

三井公認会計士・税理士事務所
監修者
最終更新日:2024年09月17日
棚卸資産の仕訳方法とは?記録方法や注意すべき2つのポイントも解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 棚卸資産の仕訳例は?
  • 棚卸資産の商品有高帳への記録方法は?
  • 棚卸資産仕訳のポイントは?

「棚卸資産を正確に処理したいけれど、どのように仕訳をすればいいのかわからない」と悩んでいる方は必見です。この記事では、棚卸資産の仕訳例や記録方法を解説します。最後まで読めば、正しい棚卸資産の仕訳方法がわかるでしょう。

棚卸資産の仕訳は、仕入れや販売の時期に応じた会計処理が求められます。正確に棚卸資産の仕訳をするためには、日ごろからこまめな記録が必要です。消費税の扱いや仕訳のポイントも解説しているため、棚卸資産の仕訳でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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棚卸資産の仕訳とは

貸借対照表

棚卸資産の仕訳とは、棚卸で把握した資産を決算のために分類する作業です。棚卸とは企業や店舗にある商品の在庫数を把握する作業を指します。棚卸は企業が抱えている資産を把握し、純利益を計算するために必要です。

棚卸資産の仕訳は、仕入や販売の時期にあわせて会計処理をしなければなりません。期首(期の始め)に残っている棚卸資産、期中に購入した棚卸資産を、正確に仕訳する必要があります。

棚卸資産の3つの仕訳例

棚卸資産の3つの仕訳例を紹介します。

  1. 期首の棚卸資産
  2. 期中に仕入れた棚卸資産
  3. 期中に販売した棚卸資産

仕訳例1. 期首の棚卸資産

期首の棚卸資産は、まだ利益になっていない企業の資産です。貸借対照表上では、前期末の棚卸資産と同じ金額が記載されていなければなりません。

例:前期に15万円の商品が6個売れ残った場合

前期に15万円の商品が6個売れ残って棚卸資産となる場合、期首の棚卸資産も同様に15万円×6個=90万円となります。

今後販売して企業の利益となる在庫なため、所有する現金や建物などと同様に「資産」として扱う点がポイントです。損益計算書の仕入勘定として記載するため、棚卸資産勘定を増減させる仕訳はしません。

仕訳例2. 期中に仕入れた棚卸資産

期中に仕入れた棚卸資産は、会計処理の仕訳をします。借方に仕入れの価格、貸方に買掛金の金額を記載しましょう。重要なポイントは、仕訳の際に付随費用を含む点です。付随費用とは、商品の価格の他にかかる運送費や梱包費を指します。

たとえば単価1万円の商品を100個仕入れた際、運送費が5万円かかったとしましょう。仕訳では、商品の価格100万円だけではなく、運送費も含めて仕訳を行います。記入例は、以下のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
仕入 1,050,000円 買掛金 1,050,000円

仕訳例3. 期中に販売した棚卸資産

期中に仕入れた商品を販売した場合にも、仕訳が必要です。借方には売掛金、貸方には売上金額を記載します。たとえば、11,000円の商品を5個販売したのであれば、以下の記載が必要です。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 55,000円 売上 55,000円

棚卸資産の仕訳に必要な「商品有高帳」とは

ポイント_虫眼鏡

棚卸資産の仕訳では「商品有高帳」への記録が非常に重要です。商品有高帳とは、商品の種類ごとの個数の変動を詳細に記録している帳簿を指します。

一般的に商品有高帳に記入する必須項目は次のとおりです。

  • 日付
  • 摘要
  • 受入(入庫)
  • 払出(出庫)
  • 残高

棚卸資産で有用な商品有高帳への2つの記録方法

商品有高帳の記録方法は以下の2種類があります。併用する場合も多いので、両者の仕組みを理解しましょう。

  1. 継続記録法
  2. 棚卸計算法

記録方法1. 継続記録法

「継続記録法」は、商品の仕入れや販売をした際に数量を記録する方法です。常に記録が取られているため、現時点の在庫を把握しやすい点がメリットです。

仕入れや販売のたびに記録を取る事務作業が増えることに注意しましょう。継続記録法を用いれば、期末時点で本来あるべき棚卸資産の数が正確にわかります。

記録方法2. 棚卸計算法

「棚卸計算法」もしくは「定期棚卸法」は、商品を仕入れたときにのみ商品有高帳へ数量を記入する方法です。販売時に数量を記入しない点で、継続記録法と大きく異なります。期末に資産の棚卸を実施した段階で、はじめて棚卸資産の数が把握可能です。

棚卸計算法は販売数をカウントしない代わり、計算で算出します。期首の棚卸資産、商品有高帳に記載されている仕入れ数から期末の在庫数を引き、間接的に販売数を計算する手法です。

棚卸資産の仕訳の2つのポイント

棚卸資産の仕訳のポイントは、次の2つです。

  1. 日頃から仕訳をする
  2. 適正資産を目指す

ポイント1. 日頃から仕訳をする

棚卸資産の仕訳は、毎月行うことが理想です。企業によっては、棚卸資産の決算時にのみ仕訳をするケースもありますが、月次棚卸をすると在庫管理がスムーズになります。月ごとの在庫把握により、適正在庫を保ち、仕入れ量をコントロールできるでしょう。

毎月棚卸資産の仕訳をすると、在庫数のズレや不良在庫に早く気付ける点もメリットです。こまめに処理しておけば、ずれが生じた段階を特定しやすく決算時の負担を軽減できます。

ポイント2. 適正資産を目指す

棚卸資産の仕訳では、適正資産の維持が大切です。在庫が多すぎても少なすぎてもリスクがあることを意識しましょう。

在庫が多すぎると、不良在庫を抱えてしまうリスクが高まります。在庫の保管料や人件費がかかる点にも注意が必要です。

反対に棚卸資産が少なすぎると、利益を得る機会を失ってしまいます。品揃えが少ないと顧客が離れるケースもあるでしょう。棚卸資産が適切な範囲に収まるように、在庫管理と仕訳を正確に実施することが大切です。

棚卸資産の仕訳における消費税の扱い

チェック

棚卸資産の仕訳における消費税の処理は、経理の方式によって異なります。原則的に棚卸資産は、消費税抜きで記載します。ただし税込経理方式を採用している場合、必ず税込で管理しましょう。

  • 棚卸表は税抜き記載が一般的
  • 原則的には税抜き経理や税抜き仕訳

棚卸表は税抜き記載が一般的

棚卸資産を管理する棚卸表は、原則的に税抜きで記載します。とくに消費税の経理処理方法の1つである「税抜き経理方式」を採用している場合は、棚卸も経理方式のルールに準じましょう。

棚卸資産の管理において、税抜きと税込を混合することはできません。仕訳の前に税込みにするか税抜きにするか決めてから作業を開始する必要があります。

原則的には税抜き経理や税抜き仕訳

もっとも一般的な処理は、税抜き経理・税抜き仕訳です。税抜き額で帳簿に記帳し、税抜き額をベースに経理処理を進めます。

取引先が税込み経理方式を採用しているケースでは、取引上の金額は税込み、自社内の経費処理は税抜きになる点に注意しましょう。

まとめ:棚卸資産は継続的な仕訳が正確な処理のカギ

棚卸資産の仕訳は期首や期中に、必要に応じて実施します。申告時のトラブルを防ぐためにも、商品有高帳を作成し、継続的に仕入数や販売数を把握しましょう。適切な在庫管理や仕入れは、業績向上のカギです。

比較ビズでは、棚卸資産の仕訳や決算に強い税理士や公認会計士を探している方のためにサービスを提供しています。地域ごと、得意分野ごとに資格保有者を比較できるので、自分にぴったりの税理士が見つけられます。棚卸資産の仕訳方法に悩んでいる方は、ぜひ比較ビズをご利用ください。

監修者のコメント
三井公認会計士・税理士事務所
代表 三井 岳

東京都世田谷区にて会計事務所を運営している。大手監査法人での経験を生かして、税務顧問、決算支援、内部統制導入支援及び研修講師等の業務を行っている。顧客目線でのサービス提供を特長として、個人から上場会社までの幅広い規模・業種の対応を行っている。

棚卸資産に関する仕訳を起票するにあたっては、商品有高帳への記録が必須といえます。記録の方法には、「継続記録法」と「棚卸計算法」がありますが、いずれの方法のメリット・デメリットを踏まえて選択する必要があります。

すべての棚卸資産をいずれか1つの計算法で計算しなければならないわけではないため、営業上で常に在庫数の把握が必須となる商品在庫は「継続記録法」、備品等の貯蔵品在庫は管理の手間を踏まえて「棚卸計算法」といったことも可能となっています。

また、継続記録法を採用した場合においても、記録した帳簿上の在庫数と実際の在庫数が整合するかを確認するため、少なくとも期末には実地棚卸を行うことが望まれます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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