個人事業主の散髪代やスーツ代は経費にできる?計上できるケースや勘定科目を解説
- 個人事業主の散髪代やスーツ代は経費計上できる?
- 個人事業主の散髪代やスーツ代を経費計上するときの勘定科目は?
個人事業主の散髪代やスーツ代を経費計上できるケースは、メディア出演、広告用撮影があるときなどです。経費にできる条件を理解し、適切な勘定科目で処理しましょう。
この記事では、個人事業主の散髪代やスーツ代を経費計上できるケースや勘定科目について解説します。最後まで読むと、散髪代やスーツ代を経費計上できるかを判断できるでしょう。
「散髪代やスーツ代を経費として計上したい」という個人事業主の方はぜひ参考にしてください。
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散髪代が事業に貢献するなら経費としても大丈夫
美容院や理容室の利用に関しては、基本的に一般的な支出である「家事費」とみなされます。そのため、大抵は会社の経費として計上することができません。
ただし、散髪をしたことで売り上げや企業価値が向上したと証明できる場合には、経費として処理することが認められています。税務署が適切な事業支出として認めるケースとしては、以下の4つが考えられるでしょう。
- メディアへの出演
- 動画の収録
- 広告用媒体の撮影
- ヘアケアに関連したサービスの営業
メディアへの出演
テレビや雑誌の対談などメディアへの出演オファーがあり、そのために髪型を整える必要があるというケースでは、基本的に散髪代が経費として認定されます。経理書類に計上する項目としては「雑費」が適切でしょう。
テレビにコメンテーターや専門家として出演する場合、映像が記録として残るので事業と関連した出費であることが証明しやすいという利点があります。
ラジオに出演する場合は、スタジオでの収録風景やスタッフと打ち合わせしている様子などを写真や動画で撮影しておくと良いでしょう。雑誌の撮影に参加する場合も、打ち合わせの記録や対談の様子が掲載されている記事を保管しておくのが賢明です。
メディアへの出演を経費計上の理由とする場合には、美容院や理容室の領収書に記載されている日付が撮影日もしくは収録日と合致していなければなりません。こうした詳細は税務署の調査が行われる時に重要なデータとなりますので、必ず経理書類もしくは領収書に記載しておくようにしましょう。
動画の収録
事業に関連したアイテムやサービスの解説動画をYouTubeなどの動画サイトでアップしている場合、動画の収録に備えて美容院や理容室を利用したというケースでは、散髪代が経費として認められる可能性は高くなります。
特に、事業内容がYouTuberとしての活動であれば、撮影前に散髪代の支出が発生するというのは十分理解できることです。この場合、勘定項目は「雑費」を選択すると良いでしょう。
動画の撮影と美容院や理容室を利用したタイミングが合っていることを証明できるようにしておくのは大切です。ですから、毎回撮影日や時間、場所などをきちんと書類に記録しておき、税務署から問い合わせを受けたならすぐに提示できるようにしておきましょう。
動画チャンネルが会社の名義で運用されているのであれば問題ありません。一方、個人事業主が本業とは別に個人として動画チャンネルを運営している場合、撮影前の散髪代は会社の経費として認められないので注意しておきましょう。
広告用媒体の撮影
会社の宣伝用としてポスターやチラシ、パンフレットを作成することは珍しくありません。また、公式サイトを立ち上げるにあたり、会社概要のページに代表者の写真を掲載するというのもよくあることです。
こうした自社の広告用媒体を製作するにあたって撮影が必要となり、そのために美容院や理容室を利用したというケースでは、散髪代が経費として認定される可能性があります。
経費を計上する項目としては「宣伝広告費」がふさわしいでしょう。税務署から質問を受けた時に答えやすいよう、製作した広告とその日付、撮影を依頼したカメラマンなど、関連する情報とその領収書などをまとめておくのが賢明です。
ヘアケアに関連したサービスの営業
美容やヘアケアなどと関連した商品やサービスを提供している場合、事業主の身だしなみは業績へ大きく影響します。ですから、クライアントへ営業で訪問する前に美容院を利用するというのは理解できることでしょう。この場合、散髪代を計上する項目としては「雑費」が適しています。
事業経費として申請する際には、営業のタイミングと散髪代の領収書に記載されている日付が一致していることを確認しましょう。また、訪問したクライアントの名前なども領収書やメモに残しておくと安心です。
スーツが経費となるケースとは
散髪代の他に、ビジネスパーソンの必需品であるスーツも経費として申請できる場合があります。ただし、衣料品の経費計上に関してはかなり限定された条件になることを覚えておきましょう。個人事業主で申請が認められうるケースとしては以下の2つが挙げられるでしょう。
- 事業内容が司会や講師である
- クライアントのオフィスで就業している
事業内容が司会や講師である
事業内容がイベントの司会であったり、外国語やセミナーの講師だったりする場合、業務を遂行するためにスーツの着用は必須となるでしょう。こうしたケースでは、スーツの購入資金に関して按分計算を行い、一定の割合を事業の費用として申請することが可能です。
写真や動画で就業中の様子を撮影しておくと税務署からの問い合わせが来た時に淀みなく説明することができるでしょう。
クライアントのオフィスで就業している
システムエンジニアやプログラマーとしてクライアントのオフィスに就業しており、先方の社内規則でスーツ着用が必須とされている場合、スーツの購入費用を経費として計上できる可能性があります。
基本的に支払った全額の申請は難しく、勤務日数に応じた按分計算が必要となるでしょう。領収書と合わせてクライアントとの契約内容や先方の社内規則写しなどを用意しておくと安心です。
まとめ
「営業をするために散髪代を支払った」というだけでは基本的に経費として認められません。散髪代を経費として計上するためには、そのタイミングでどうしても髪型を整える必要があったという合理的な説明が求められるのです。
ですから、散髪代を経費にしようと考えている個人事業主は、会社の売り上げとどのような関係性があるかを明確に説明できるよう用意しておきましょう。
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1967年生 静岡県出身 法政大学経営学部経営学科卒業。証券会社の法人営業、投資信託委託会社を経て、主体的な生き方を求め税理士業界へ。税務会計に携わって27年、地場中小企業中心に上場企業、IT・ネット関連、メディア・広告、大規模宗教法人・社会福祉法人など多くの税務顧問を務め、京都府包括外部監査補助者(2004年)、地域公益法人の監事(2019年〜)に就く。圧倒的な経験と多彩なクライアントから得たノウハウを創業間もない起業家にリーズナブル価格で提供したいとの思いから創業支援センターを立ち上げている。
事業者が日常的に支出する散髪代やスーツ代は必要経費とは認められません。又、これらの日常支出を必要経費とする魔法はありません。通常生活をする上で、事業の有無に関わりなく必要な生活費の一部と考えられるからです。
一方、事業を遂行する上でどうしても散髪やスーツが必要な局面、或いはその方が収益向上を期待できる場合がありますね?
そのような場合には家事費であっても、業務に直接必要であったことが明らかに区分できる、その区分できる金額に限り必要経費算入可能です。重要なキーワードは”直接”と”明らか”で、当否のカギを握るのが「WHY(なぜ?)」と「エビデンス(証拠)」です。
口頭で説明しただけでは説得力はありません。「なぜそのイベントにその経費が必要なのか?」という理由とイベントの実在性及び経費とそれを結び付ける日付に関する証拠が必要です。税務調査等で困らないように予め用意しておきましょう。場合によっては帳簿の摘要欄にその旨を記載しておくことも効果的です。
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