健康診断が経費対象の助成金・補助金4選!利用時の注意点や費用軽減の方法も紹介
- 健康診断に使える助成金とは?
- 健康診断に助成金を利用する際の注意点とは?
- 助成金以外で健康診断の負担額を減らす方法は?
健康診断に利用できる助成金は産業保健関連の助成金が廃止されている影響で、選択肢が少ないのが現状です。ただし、地方自治体や一般社団法人が提供する助成金制度を利用すると、健康診断の自社負担を減らせます。
この記事を読むと、健康診断に使える助成金や利用時の注意点などに関して理解できます。従業員の健康維持をサポートし、働きやすい職場環境を整えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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健康診断に活用できる助成金・補助金4選
健康診断が経費対象に含まれる助成金・補助金制度は以下の4つです。
- 人材確保等支援助成金
- 特殊健康診断の実施に対する補助金
- 地方自治体の健康組合が管轄する助成金
- 一般社団法人の助成金
制度ごとに要件や支給額の上限などをみていきましょう。
人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
人材確保等支援助成金とは離職率低下に向け、職場環境の改善や柔軟な働き方の実現に取り組む企業を支援する制度です。雇用管理制度助成コースには健康づくり制度が経費対象に含まれており、健康診断の実施も健康づくり制度の一環として捉えられます。
雇用管理制度助成コースを利用する際は、以下の要件を満たさなければなりません。
- 健康づくり制度の導入に関する雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局から認定を受ける
- 雇用管理制度整備計画に基づき、計画期間内に健康づくり制度を導入する
- 計画期間終了から1年以内に離職率を目標の数値以下に抑える
申請手続きでは労働者名簿や就業規則 、事業所確認票など、さまざまな帳簿や書類の提出が必要です。審査を通過すると最大57万円の助成金が得られますが、2022年4月から新規申請の受付は中止されています。
離職率に関して
離職率はまず雇用管理制度整備計画の作成時に、30%以下になっていなければなりません。離職率を30%以下に抑えたうえで、離職率が雇用管理制度整備計画の作成時よりも目標数値以下になることが必要です。
離職率の目標数値は以下のとおり、雇用保険一般被保険者の人数により変動します。
雇用保険一般被保険者の人数 | 1~9人 | 10~29人 | 30~99人 | 100~299人 | 300人以上 |
---|---|---|---|---|---|
離職率の目標値 | 15% | 10% | 7% | 5% | 3% |
参照:厚生労働省
たとえば、雇用保険一般被保険者の人数が50人で計画作成時の離職率が20%の場合、目標である離職率は7%です。20%-7%=13%で、評価時には現状の離職率より13%減少していることが求められます。
特殊健康診断の実施に対する補助金
一般財団法人あんしん財団が管轄する補助金制度になります。特殊健康診断では有機溶剤や特定化学物質、鉛など、有害物質が人体に悪影響をおよぼしていないか、診断するのが目的です。
補助金を利用した場合、健康診断の受診にかかった2分の1まで補助金が支給されます。補助金申請の手続きをおこなう際は、以下の書類提出が必要です。
- 補助金申請書
- 宛名や法人名が記入済みの領収書のコピー
- 宛名や法人名が記入済みの明細書のコピー
参照:あんしん財団
補助金申請書は利用する制度によって書類のフォーマットが異なるため、注意しましょう。
地方自治体の健康組合が管轄する助成金
厚生労働省の管轄する助成金で健康診断に利用可能な制度は少ないため、地方自治体の健康組合が管轄する助成金を利用するのも1つの選択肢です。たとえば、東京実業健康保険組合の補助金制度を利用したとしましょう。
30歳未満の被保険者には2,000円、30歳以上の被保険者には4,500円を上限に補助金を支給します。胸部X線検査や尿検査、血圧測定などが主な支給対象です。
参照:東京実業健康保険組合
愛知県情報サービス産業健康保険組合の健康診断助成金支給事業を利用した場合は、健康診断の内容によって支給額が変動します。個々の概要を以下の表にまとめました。
特定健診 | 一般検診 | 生活習慣病健診 | 人間ドック | 共同・全国巡回女性健診 | |
---|---|---|---|---|---|
対象者 | ・保険者名称が「愛知県情報サービス産業健康保険組合」と記載されている方 ・20歳以上の被扶養者 |
・保険者名称が「愛知県情報サービス産業健康保険組合」と記載されている方 ・被保険者 ・20歳以上の被扶養者 |
・保険者名称が「愛知県情報サービス産業健康保険組合」と記載されている方 ・35歳以上の被保険者 ・35歳以上の被扶養者 |
・保険者名称が「愛知県情報サービス産業健康保険組合」と記載されている方 ・40歳以上の被保険者 ・40歳以上の被扶養者 |
・保険者名称が「愛知県情報サービス産業健康保険組合」と記載されている方 ・35歳以上の被扶養者 |
補助の上限額(1人あたり) | 7,000円 | 8,000円 | 21,000円 | 30,000円 | 自己負担額:3,000円 |
健診機関 | ・全国の契約健診機関 ・その他の健診機関 |
特定検診と同じ | 特定検診と同じ | 特定検診と同じ | ・愛知県および愛知県隣接地域 ・東京の会場 ・大阪の会場 |
申請期限と手続き | 健診受診年度の翌年度の6月末日(当組合到着分) | 特定検診と同じ | 特定検診と同じ | 特定検診と同じ | 実施開始の約1カ月前に対象者の自宅へ申込書を郵送し、はがきやWebから申請 |
上記以外にも補助金・助成金制度はあるため、自社に合った制度を探してみましょう。
一般社団法人の助成金
あんしん財団以外の一般社団法人でも健康診断に利用可能な助成金を提供しています。たとえば、神奈川県トラック協会が管轄する「運転者健康診断受診促進助成事業」が一例です。
運転者健康診断受診促進助成事業は体調不良が原因での事故発生を防ぐため、ドライバーの健康診断受診を促しています。制度を利用した場合、1人あたり3,000円の補助金を最大200人分まで受給が可能です。
参照:神奈川県トラック協会
申請手続きでは以下の書類提出が求められます。
- 運転者健康診断受診促進助成申請書
- 受信した医療機関での請求書のコピー
- 領収証や振込票など支払いを証明する書類のコピー
健康診断に助成金を活用する際の注意点
助成金の申請手続きに移行する前に、以下3点を把握しておきましょう。
- 国の産業保健関連の助成金は多くが廃止されている
- 助成金はすぐに支給されない
- 対応すべき作業が多い
上記の内容を理解しておくと、時間の無駄や申請手続き後のトラブルを避けられる確率が高まります。
国の産業保健関連の助成金は多くが廃止されている
厚生労働省が管轄する助成金で健康保険に適用できる制度は少ないです。ストレスチェック助成金や心の健康づくり計画助成金など、産業保健関連の助成金の多くは数年前に廃止されました。
人材確保等支援助成金の雇用管理制度助成コースは、健康診断が経費対象に含まれているものの、再開の目途は立っていません。
地方自治体の健康組合や一般社団法人が管轄する助成金制度の方が選択肢は多いため、どちらかを利用するのが無難です。
助成金はすぐに支給されない
どの組織が管轄する助成金・補助金制度を利用する場合でも、一旦自社で健康診断費用を負担しなければなりません。助成金の受給申請をおこなうタイミングは医療機関で健康診断を受診し、費用を支払った後になるためです。
提出書類の内容や要件の確認にも時間がかかるため、健康診断を受診してから助成金が支給されるまで数カ月以上かかるケースも珍しくありません。
助成金申請の流れや支給されるタイミングを間違えて覚えないよう、注意しましょう。
対応すべき作業が多い
助成金申請では要件確認や書類作成に加え、選択した制度によっては雇用管理計画の作成が必要です。従業員に申請手続きを依頼した場合、担当者は通常業務と並行して手続きを進めなければなりません。
特定の従業員に業務量が偏ると、業務負担の増大によって業務効率の低下や業務の属人化が発生します。経営者自身が申請を進めた場合は慣れない作業に手間取り、想定よりも多くの時間がかかる可能性もあるでしょう。
申請手続きを効率的に進めるには、専門家に相談するのがおすすめです。手続きの進め方や書類作成で記入すべき内容を熟知しており、正確かつスムーズな仕事ぶりが期待できます。
助成金以外で健康診断の負担額を減らす方法
健康診断の実施にともなう自社負担を減らす方法には、助成金以外で以下3つの選択肢が挙げられます。
- 協会けんぽの生活習慣病予防健診を利用
- 産業保健総合支援センターに相談
- 健康診断代行サービスを利用
自社の条件に見合う助成金が見つからない場合、上記サービスや専門機関の利用を検討しましょう。
協会けんぽの生活習慣病予防健診を利用
協会けんぽの生活習慣病予防健診とはがんや心疾患など、生活習慣が原因での病気を予防するために受ける診断です。協会けんぽが被保険者を対象に、通常の健康診断やがん検診などにかかる費用の一部を補助します。
補助金を受給した場合の自己負担額を以下の表にまとめました。
自己負担額 | |
---|---|
一般健診 | 最高5,282円 |
眼底検査(医師の判断で実施した場合) | 最高79円 |
子宮頸がん検診単独 | 最高970円 |
付加健診 | 最高2,689円 |
乳がん検診(40~48歳の方) | 最高1,574円 |
乳がん検診(50歳以上の方) | 最高1,013円 |
子宮頸がん検診 | 最高970円 |
肝炎ウイルス検査 | 最高582円 |
参照:協会けんぽ
上記の表は2024年度の自己負担額で、2025年度は負担額が変わる可能性があります。最新の情報を収集したうえで、利用するかどうかを判断しましょう。
産業保健総合支援センターに相談
従業員数が50人以下の事業場は、産業保健総合支援センターへの相談を検討してみましょう。産業保健総合支援センターとは産業医や保健師、人事労務担当者などに対し、メンタルヘルス対策を中心に情報発信をおこなう機関です。
従業員数が50人以下の事業場に対し、産業保健総合支援センターでは無料サービスを提供しています。医師による健康診断の結果を踏まえた面接指導、体調管理に関する従業員からの相談対応など、充実した産業保健サービスを利用できる点が特徴です。
産業保健総合支援センターは全国47都道府県に設置されており、事業場の拠点を問わず利用しやすい点もメリットに挙げられます。
健康診断代行サービスを利用
健康診断代行サービスとは一定の料金を支払う代わりに、健康診断の実施に必要な業務全般を外部の企業へ委託できるサービスです。以下に利用できる主なサービス内容をまとめました。
- 医療機関の選定と契約
- 健康診断の受診対象者へ案内を通知
- 医療機関と健康診断の受診予約を調整
- 予約管理
- 医療機関からの請求書を回収
- 健診費用の精算
- 検診結果のデータ化
- 定期健康診断結果報告書に関するデータ入力および報告書の作成
健康診断代行サービスの導入は企業側と従業員側、双方にメリットをもたらします。企業側は労務管理者の業務負担を軽減できる点がメリットです。
医療機関との契約~労働基準監督署への報告書提出まで、一連の作業を依頼先に任せられるため、労務担当者は別の業務に労力を割けます。
一方、従業員側は手続きのデジタル化や相談窓口の設置などによって、健康診断を受診しやすくなる点がメリットです。
健康診断や助成金に関しては社労士に相談
社労士は労働や社会保険に関する法律に精通している専門家です。健康診断やストレスチェックの実施、休職者の職場復帰支援など、労働安全衛生に関するさまざま内容を相談できます。
客観的な立場から自社の職場環境を分析してもらえるため、これまで気づかなかった課題も把握できるでしょう。
社会保険労使法に基づき、助成金の申請手続きは社労士の独占業務です。税理士や行政書士など、別の士業には助成金の申請手続きを依頼できません。
助成金を活用して健康診断を実施する場合は、ホームページ上で助成金申請の支援実績を確認しましょう。実績が豊富な社労士に依頼すると正確かつ素早い仕事ぶりが期待でき、受給確率が高まります。
まとめ
健康診断の費用負担軽減に助成金を活用する場合、地方自治体や一般社団法人が管轄する制度を利用するのがおすすめです。厚生労働省が管轄する産業保健関連の助成金は廃止が相次ぎ、選択肢がほとんど残されていません。
助成金ごとに提出書類や要件は異なるため、早めに準備を進めておく必要があります。助成金の申請手続きを効率的に進めたい場合は、社労士に依頼するのがおすすめです。
「比較ビズ」を利用すると、必要事項を入力する2分程度で条件を満たした社労士事務所が提示されます。サイトの利用に費用は発生しません。
助成金申請が得意な社労士をお探しの方は、ぜひ比較ビズをご利用ください。

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もしも今現在、
- 助成金申請代行業者の選び方がわからない
- 助成金の種類や申請条件がわからない
- 申請書類の作成が難しい
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の社会保険労務士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。
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