複合機の耐用年数は?減価償却における2種類の計算方法や注意点を解説

株式会社ビジネスクロース
監修者
株式会社ビジネスクロース 代表取締役 山口嘉太
最終更新日:2024年09月19日
複合機の耐用年数は?減価償却における2種類の計算方法や注意点を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 複合機の耐用年数は?
  • 減価償却の計算方法は?
  • 複合機が中古の場合の注意点は?

複合機の購入やリース契約を検討する際、耐用年数が気になっていませんか?複合機の耐用年数は5年と定められていますが、減価償却の計算方法によって毎年どれだけの金額を経費計上できるか異なります。
この記事では、複合機の耐用年数や減価償却の計算方法、購入やリース契約時の注意点についてまとめました。オフィスに複合機の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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複合機の耐用年数は5年

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一般的に、複合機の耐用年数は5年と定められています。耐用年数とは、国税庁が税金を課す際の基準として定めている年数を意味します。(主な減価償却資産の耐用年数表
実際に複合機を使用できる年数を表している訳ではないため注意が必要です。

減価償却を行う際には耐用年数を基準に計算を行うため、複合機の場合は購入費用を5年に分割して経費として計上できます。

複合機の減価償却の計算方法

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複合機を減価償却する際には、2つの計算方法があります。

  • 定額法(毎年同じ金額で計上する)
  • 定率表(償却金額が毎年変動する)

 

定額法(毎年同じ金額で計上する)

定額法とは、毎年一定額の償却額で経費計上を行う方法です。「取得金額×償却率」で計算を行い、複合機の償却率は「0.200」とされています。減価償却資産の償却率等表
取得金額とはシンプルな購入金額だけではなく、購入する際に必要な運賃や手数料なども含めた金額を指すため注意しましょう。

計算方法が非常にシンプルな点が定額法の特徴です。例えば、複合機の取得金額が100万円だった場合、毎年の経費計上額は「100万円×0.200=20万円」となります。残存価額として複合機本体に1円の価値を残す必要があるため、最後の1年のみ計上額は「20万円-1円=19万9,999円」となります。

定率表(償却金額が毎年変動する)

定率法とは、毎年の未償却残高から一定の割合で償却を行う方法です。初年度の償却金額が最も大きくなり、年数の経過につれて償却金額が減少していく点が大きな特徴となります。

定率法で減価償却を行う場合、次の2つの金額を求める必要があります。

  • 減価償却金額=未償却残高×定率法償却率
  • 償却保証額=取得金額×保証率

定率法では「償却保証額」という最低金額が決められており、この金額を下回らないように償却を行わなければいけません。下回った場合、下回った年度から償却期間が終了する年まで「改定償却率」を用いた別の基準で計算を行います。

定率法償却率 改定償却率 償却保証率
複合機 (耐用年数5年) 0.400 0.500 0.108

参照:減価償却資産の償却率等表

100万円の複合機を購入した場合、償却保証額は「100万円×0.108=10.8万円」となります。償却保証額の10.8万円を下回らないよう、4年目からは改訂償却率である0.500が適用されます。

減価償却金額 未償却残高
1年目 400,000円
(1,000,000円×0.400)
600,000円
(1,000,000円-400,000円)
1年目 240,000円
(600,000円×0.400)
360,000円
(600,000円-240,000円)
3年目 144,000円
(360,000円×0.400)
216,000円
(360,000円-144,000円)
4年目 108,000円
(216,000円×0.500)
108,000円
(216,000円-108,000円)
5年目 107,999円
(108,000円-1円)
 
残存価額 1円
(108,000円-107,999円)
 

残存価額として複合機本体に1円の価値を残す必要があるため、最後の1年(5年目)のみ償却金額は「108,000円-1円=107,999円」となります。

減価償却における注意点

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減価償却はルールが複雑であり、ミスが起こりやすくなっています。税務調査で指摘されないよう、注意すべき点をおさえておきましょう。

  • 耐用年数を間違えないようにする
  • 償却中の資産を処分する際は手続きを行う
  • 減価償却には現金支出が伴わない

耐用年数を間違えないようにする

固定資産には1つずつ細かく耐用年数が定められおり、複合機の場合は5年とされています。耐用年数を誤って計算した場合、過年度分については訂正ができないので注意しましょう。

償却中の資産を処分する際は手続きを行う

償却中の複合機を廃棄・処分する場合、それによって生じた損失を「固定資産除却損」として計上する必要があります。この処理を忘れてしまった場合、すでに廃棄済の複合機に対して償却資産税がかかり続けてしまうため、必ず手続きを行いましょう。

減価償却には現金支出が伴わない点に注意する

複合機の購入時には現金支出が生じますが、減価償却費を計上する際に現金の動きはありません。減価償却に相当するキャッシュが社内に保留される形になります。

決算に必要なキャッシュフロー計算書を作成する際には、この前提に基づいてキャッシュフローを算出する必要があるため頭に入れておきましょう。

複合機を購入する場合のメリット

複合機を購入することで、多くのメリットが得られます。

  • 所有権を得ることができる
  • 契約期間の縛りがない
  • 少額減価償却資産の特例が使える場合がある

所有権を得ることができる

複合機を購入した場合、所有権を得られるため自由な使い方が可能です。使用途中で不要になった場合は、自由に売却や譲渡ができるという大きなメリットが得られます。

契約期間の縛りがない

リースを行った場合は基本的に契約期間内の解約が不可能となっていますが、購入の場合は使用期間の縛りがありません。好きなタイミングで新しい商品に乗り換えることができます。

少額減価償却資産の特例が使える場合がある

中小企業や個人事業主の場合、少額減価償却資産の特例を利用することで購入した年度に、一括で経費として計上することができ節税になります。

複合機を購入する場合のデメリット

  • 初期費用がかかる
  • 減価償却の事務処理が必要になる
  • 税金がかかる

初期費用がかかる

複合機を購入した場合、高額な本体費用に加えて搬入・設置・設定費用が必要になります。複数台の同時購入を検討している場合、一気に数百万円のキャッシュが減ることになるため注意しましょう。

減価償却の事務処理が必要になる

複合機を購入した場合、以後5年間は減価償却を行う必要があります。経理部のない中小企業や個人事業主にとっては経理作業の手間が発生します。利益をおさえて節税できる利点がありますが、耐用年数や償却保証額に注意して事務処理を行いましょう。

税金がかかる

複合機は固定資産であるため税金がかかります。償却資材の固定資産税率は1.4%となっています。法定耐用年数で定められた5年間は払い続ける必要があるため、注意しましょう。

100万円で購入した複合機の固定資産税は5年間で2万7,600円となります。

複合機をリース契約する場合のメリット

複合機を購入する場合のメリットは以下のとおりです。

  • リース料金は経費扱いできる
  • 初期費用がかからず月々固定の支払額になる
  • 減価償却や固定資産税がかからない

リース料金は経費扱いできる

複合機を購入した場合は減価償却を行った分のみが経費扱いとされますが、リースの場合は毎月のリース料金全額を経費として計上できます。毎月の支払金額をおさえるだけでなく、経費扱いできることは企業にとって大きなメリットです。

初期費用がかからず月々固定の支払額になる

複合機を導入する場合は多額の初期費用がかかります。リース契約を行った場合、初期費用が不要なだけでなく、運搬・初期設定を含めた作業をリース会社が全て代行します。使用量に大きな変動がない場合、毎月固定の支払額で複合機が利用できます。

減価償却や固定資産税がかからない

リース契約を行った場合、複合機の所有権はリース会社にあるため、減価償却や固定資産税の計算といった経理作業が不要です。複合機を何十台も揃える必要がある大企業では、経理作業の負担が軽減されます。

複合機をリース契約する場合のデメリット

複合機をリース契約することで生じるデメリットも存在します。

  • 途中解約ができない
  • リース会社の審査が必要
  • 中古の複合機を導入できない

途中解約ができない

リース契約は一種の金融取引であり、基本的に契約期間内の解約ができません。移転や廃業などやむを得ない理由で契約を解除する場合、残りのリース料金を全額払う義務が生じます。契約を行う際には慎重に検討する必要があります。

リース会社の審査が必要

リース契約は金融取引であるため、審査が必要になります。融資ほど厳しい基準ではありませんが、審査に通らなければ複合機をリースで借りることはできません。

中古の複合機を導入できない

複合機のリースを行う場合は新品のみの契約となります。費用を抑えるために中古の複合機をリースすることはできないため、注意しましょう。

中古の複合機の場合の耐用年数は1年

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耐用年数を過ぎた中古の複合機を購入した場合も減価償却を行い、経費として計上できます。法定耐用年数の20%を計上できるため、複合機の場合は1年間で経費計上することになります。

耐用年数を過ぎた中古品を導入することで大幅に費用が抑えられるため、問題なく使える場合は使い続けることをおすすめします。リース契約の更新時に、契約期間が満了した際にその機器を買い取るといった選択肢が与えられることもあります。

まとめ

複合機の減価償却の計算方法には、定額法・定率法の2種類があります。減価償却の経理処理を行う際にはさまざまなルールが定められているため、十分な情報収集を行いましょう。

複合機を導入する場合、購入とリース契約の2つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを正しく把握した上で、財政状況などを踏まえて自社に適した導入方法を選びましょう。

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監修者のコメント
株式会社ビジネスクロース
代表取締役 山口嘉太

東京都千代田区出身。オフィス機器販売店を5年間経て株式会社ビジネスクロースを設立、代表取締役就任。累計1,000社以上の中小企業のオフィス機器周りをサポートし、コスト削減を実現。現在は、外資系企業、上場企業のオフィス機器も担当。オフィス機器の他に、営業コンサルティング、営業研修など幅広い分野で活動中。

複合機の法定耐用年数は5年の為、リース期間は3年〜7年で選べます。各複合機メーカーはメンテナンス、保守を最長7年まで対応してもらえるので7年間は機械の故障や不具合が生じても安心して複合機を利用できます。

5年を超えるリース期間の場合、リース料金が下がるので月額の支払いが安くなりますが、印刷枚数が多く増える企業の場合は、長期のリース期間ですと故障頻度も高くなりリスクがありますので短いリース期間の方が大きなメリットがあります。

対応年数が過ぎた複合機でも使用頻度が少ない機械であれば故障リスクも少なく長く利用できますので、リース期間が終了後、利用してきた機械を買い取る選択肢も検討しても良いでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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