通関業者とフォワーダー・乙仲の違いは?業務内容やおすすめ大手5社を紹介
- 通関業者とフォワーダー・乙仲の違いは?
- そもそも通関業者とは?
- どんな業務を代行してくれる?
「海外と荷物のやり取りをしたい」「どの業者に依頼すればいい?」とお悩みの方、必見です。通関業者、フォワーダー、乙仲の違いは、規定している法律、許可人、業務内容が異なります。
この記事では通関業者とフォワーダー・乙仲の違いを解説します。最後まで読めば、ニーズに適した業者に依頼するノウハウがわかるでしょう。
貿易や輸送手配のサポートをどこへ依頼すればいいかお悩みの方はぜひ参考にしてください。
もしも今現在、
- 通関とフォワーダーでどっちがいいかわからない
- 複雑な通関業務を丸投げしたい
- 依頼できる業務内容がわからない
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通関業者・フォワーダー・乙仲の違い
通関業者・フォワーダー・乙仲は役割が似ている部分もありますが、担当できる業務が異なります。3者の違いは以下のとおりです。
規定している法律 | 許可人 | 主な業務内容 | |
---|---|---|---|
通関業者 | 通関業法 | 財務大臣 | 貿易に関する法的手続きの代行やアドバイス |
フォワーダー | 貨物利用運送事業法 | 国土交通大臣 | 輸送手配の代行やアドバイス |
乙仲 | 港湾運送事業法 | 国土交通大臣 | 海貨輸送手配の代行やアドバイス |
通関業者とフォワーダーの違い
通関業者とフォワーダーの違いは、業務内容です。輸出入に関する法的・税務的手続きは通関業者に、輸送の手配はフォワーダーに依頼します。輸出したい貨物を、通関業者に依頼して税関手続きを完了させ、フォワーダーに依頼して海外のバイヤーの元まで届けるイメージです。
近年では通関業者とフォワーダーとの違いがなくなりつつある点に注意しましょう。輸送や輸送手配を担当する通関業者が増え、通関業務を担当するフォワーダーが増えているためです。
通関業者と乙仲の違い
通関業者と乙仲の違いは、担当する業務の範囲です。乙仲とフォワーダーはほとんど同じ役割を果たすため「通関業者と乙仲の違い≒通関業者とフォワーダーの違い」と考えて差し支えありません。
海上輸送する貨物の税関手続きの代行を依頼するケースでは通関業者を、港への搬入・搬出や輸送手配の代行を依頼するケースでは乙仲を探しましょう。乙仲も通関業務を担当できる会社が増えているため、通関業者と乙仲との違いもなくなりつつあります。
通関業者・フォワーダー・乙仲の業務内容
通関業者・フォワーダー・乙仲の業務内容は、次のとおりです。
通関業者 | 貿易に関する法的手続きを代行 |
---|---|
フォワーダー | 国際輸送業務の全体的な手配を代行 |
乙仲 | 海貨輸送手配の代行やアドバイス |
それぞれの業務内容をくわしく解説します。
通関業者:貿易に関する法的手続きを代行
通関業者は、貿易に関する法的手続きを代行します。通関業者の業務は次の流れで進めます。下記以外では、税関検査や処分などイレギュラーな場合にも対応が求められます。
輸出する場合の業務の流れは以下のとおりです。
- 必要書類の準備
- 保税蔵置場への貨物搬入
- 税関官署への搬入申告
- 税関への輸出申告
- 輸出許可の確認
輸入する場合の業務の流れは以下のとおりです。
- 必要書類の準備
- 保税地域への貨物搬入
- 税関への輸入申告
- 関税・消費税の立替納付
- 輸入許可の確認
フォワーダー:国際輸送業務の全体的な手配を代行
フォワーダー(貨物利用運送事業者)の業務は、貨物利用運送事業法にもとづき国土交通大臣の許可を受けて輸送業務の全体を手配することです。「貨物利用運送事業者」に含まれる「利用運送」の定義は下記のとおりです。
(前略)「利用運送」とは、運送事業者の行う運送(実運送に係るものに限る。)を利用する貨物の運送をいう。
フォワーダーは利用運送を請け負う業者であるため、基本的に自社の運送手段を持っていません。貨物の所有者と船会社・航空会社・鉄道会社を仲介し、輸送を手配します。一般にフォワーダーは、国際輸送を手配する業者を指します。
乙仲:海貨輸送手配の代行やアドバイス
乙仲の業務は原則的に「定期的な海上貨物の仲介」です。「乙仲」の名は、1947年まで効力を持っていた海運組合法により規定されていた「乙種仲立業」の略称です。同法はすでに廃止されているため、現在「乙仲」の業種は法的に存在しません。名称だけが残り慣習的に用いられています。
乙仲に明確な定義はありませんが、人やシーンに応じて港湾運送事業法に規定される港湾運送事業者やフォワーダーを示すイメージです。国際輸送の現場においては「乙仲≒フォワーダー」の認識でおおむね問題ないでしょう。
通関業者を利用するメリット
通関業者を利用するメリットは次の2つです。
- 輸出入業務を簡略化できる
- コストカットできる
輸出入業務を簡略化できる
通関業者を利用するメリットは、輸出入に関する業務を簡略化できる点です。輸出入に関する書類の作成や申請は手間がかかるため、代行しないと作業に大きく時間を奪われます。
とくに下記は、知識と経験が要求される複雑な業務です。プロに依頼することで自社の負担が減り、貨物の輸出入がスムーズになります。
- 輸出入に必要な書類作成や申請
- 関税や消費税の計算
- 処分が下された際の不服申し立て
コストカットできる
通関業者を利用すると、社内に通関業務要員を配置する場合に比べてコストカットできるメリットがあります。通関業務を担当するためには知識とスキルが必要で、通関業務をこなせるスタッフを雇うためには人件費がかかるためです。
頻繁に輸出入を行わない企業にとっては、優秀で人件費の高い人材を雇用するよりも通関業者へ外注した方が安く済むでしょう。低コストでスポットの輸出入を遂行するためには、通関業者への依頼がおすすめです。
フォワーダー・乙仲を利用するメリット
フォワーダーや乙仲を利用するメリットは下記の2点です。
- グローバルな物流システムを構築できる
- 業務を効率化できる
グローバルな物流システムを構築できる
フォワーダー・乙仲を利用すると、グローバルな物流システムを構築できるメリットがあります。自社の物流網やコネクションがない土地でも、すみやかに輸送手配が可能です。
知識や経験がない状態から物流を整える場合、時間や労力がかかり成果を得られるまでに時間を要します。フォワーダー・乙仲に物流手配を依頼することで、貨物の種類、重さや量を問わずスムーズに輸送を始められます。
業務を効率化できる
フォワーダー・乙仲に依頼すると業務を効率化できるメリットがあります。海外に向けた輸出入の場合、各国の輸送ルールを把握する必要があるためです。専門的な知識があるプロに業務を任せることで、調べものや準備にかかる時間を短縮できます。
フォワーダー・乙仲がいれば、国ごとに異なるルールを自社で調べる必要がありません。手配もしくはアドバイスを受けられるため、貨物の輸送がスムーズかつ低リスクで進められます。
通関業者・フォワーダーを探す際の5つのポイント
通関業者・フォワーダーを探す際は、次の5つのポイントを押さえましょう。
- 業務範囲
- 実績の有無
- 過去の不正の有無
- AEO認定の有無(通関業者)
- 専門的な分野
ポイント1. 業務範囲
通関業者・フォワーダーを探す際は、業務範囲を確認しましょう。たとえば通関業務だけを代行してくれるのか、輸送手配まで担当してくれるのかを事前に明確にする必要があります。
重要なのは、通関業者やフォワーダーの業務範囲が自社のニーズに適しているかです。通関業務しか請け負わない通関業者の場合、輸送手配まで頼むことはできません。ギリギリで別の会社を新しく探さなければならない状況を避けるため、必ず業務範囲を事前に確認しましょう。
ポイント2. 実績の有無
運営歴が長く実績が豊富な通関業者を選びましょう。通関業者の実績が少ないと、税関検査の対象になりやすい傾向にあります。税関検査とは、違法行為を防ぐために、貨物が申告内容と一致しているか確かめる検査です。
やましいことがなければ検査を受けても大きな問題はありませんが、時間と手間がかかります。通関業者の実績が豊富でもランダムで税関検査の対象に選ばれる可能性はあるため、あらかじめ注意しましょう。
ポイント3. 過去の不正の有無
過去に不正を行なった通関業者は避けましょう。税関検査の対象になりやすいためです。税関検査が続くと自社が税関からの信頼を失うリスクもあります。
過去に不正のある会社は、サービスや料金体系においても誠実ではない可能性が想定されます。故意・過失を問わず不正がなかったかあらかじめ確認しましょう。
ポイント4. AEO認定の有無(通関業者)
引用:AEO制度パンフレット
通関業者の信頼性を見極めるためには、AEO認定を受けているかどうかを確認しましょう。「AEO認定」とはセキュリティとコンプライアンスへの意識が高い業者を財務省が認定し、税関手続きの迅速化のメリットを与える制度です。
「AEO認定を受けていない=信頼できない」わけではありません。AEO認定業者に依頼するためには、貨物主への要求水準も上がります。AEO認定はあくまで参考になる指標の1つであり、必須条件ではないと念頭におきましょう。
ポイント5. 専門的な分野
会社ごとの得意ジャンルも、通関業者を選ぶ際に気をつけたいポイントの1つです。通関業者によって国や商材の得意ジャンルがあり、手続きのスムーズさに影響するためです。
輸出入のルールや必要な手続きも国や商材により異なるため、通関業者を選ぶ際は自社のニーズに適しているか確認しましょう。実績の豊富な専門業者でも、得意ジャンル以外は知識が浅い可能性もあります。
通関業者・フォワーダーを選ぶ際の注意点
通関業者・フォワーダーを選ぶ際の注意点は、次の3つです。
- 「輸入代行業者」は通関業者ではない
- 乙仲とフォワーダーは同じ意味で用いられることがある
- 自社の通関手続きをおこなう場合は許可が必要ない
注意点1. 「輸入代行業者」は通関業者ではない
輸入代行業者は通関業者ではないため、通関業務を依頼できません。
通関業者 | 他社の貨物の通関業務を代行する |
---|---|
輸入代行業社 | 自社の貨物として輸入し、国内で転売する |
輸入代行業者が輸入している貨物の持ち主は、転売先の企業ではなく代行業者です。通関手続きをする対象が自社の貨物であるため、輸入代行業者の通常業務では通関業としての許可が必要ありません。多くの輸入代行業者には通関手続き代行を依頼できないため、注意しましょう。
注意点2. 乙仲とフォワーダーは同じ意味で用いられることがある
現在ではフォワーダーと乙仲は基本的に同じです。より厳密には「海貨専門のフォワーダー≒乙仲」と言えます。用語の意味に迷った際は、海上輸送の手配をする業者と考えましょう。
戦前は乙種仲立業が海運組合法によって規定されていたため、伝統的には乙仲は海貨輸送を主な業務とします。フォワーダーが扱う貨物は海上輸送されるものに限りません。飛行機や鉄道によって運ばれる貨物もフォワーダーが輸送手配を担当する対象です。
フォワーダーと乙仲それぞれの業務範囲が拡大するにつれ、両者の違いは縮小しています。現在では明確な区別は存在せず、個人や会社の習慣によって呼び分けられている実状です。
注意点3. 自社の通関手続きをおこなう場合は許可が必要ない
自社の商品の通関手続きを社内の人間がする場合、財務大臣の許可は必要ありません。通関業法の許可が必要と定められているのは「他人の」手続きを代行する場合のみであるためです。
「通関業務」とは、他人の依頼によってする次に掲げる事務をいう。
引用:通関業法 第二条
代行に報酬が発生するか否かの規定はありません。知り合いの会社に無料で代行を頼むケースでも、依頼を受ける側には許可が必要であるため注意してください。
フォワーダーのおすすめ大手5社
大手フォワーダーのおすすめは、次の5社です。
- 日本通運株式会社
- 株式会社阪急阪神エクスプレス
- 株式会社近鉄エクスプレス
- 日本郵船株式会社
- 西日本鉄道株式会社
日本通運株式会社
日本通運株式会社は、海外に700の拠点を抱えるフォワーダーです。1937年設立で長い歴史があり、実績豊富で信頼できる会社です。
日本通運株式会社では美術品や医薬品などの幅広い貨物の取り扱い実績があります。輸出入が困難な貨物でも柔軟に対応できる経験があり、イレギュラー対応も安心です。
株式会社阪急阪神エクスプレス
株式会社阪急阪神エクスプレスは、とくにアフリカと東欧に強いネットワークがあるフォワーダーです。食品や工業製品などの手配に加え、希少動物の取引実績もあります。
貨物受託以外にも、書類作成や通関手続きも依頼可能です。貨物輸送を全体的にサポートする体制が整っているため、なるべく手間をかけずに処理したい方に適しています。
株式会社近鉄エクスプレス
株式会社近鉄エクスプレスは、中国やインドに強みがあるフォワーダーです。日本発の航空便を専門に担当します。1970年創業で、50年以上の歴史があるベテランの会社です。
食品や工業製品をはじめ、医薬品の輸送も請け負った実績があります。対応可能業務には書類作成から通関手続きまで含まれるため、全体的な輸送のサポートを依頼可能です。
日本郵船株式会社
日本郵船株式会社は、1885年創業の老舗企業です。世界最大手の海運会社で、信頼して仕事を任せられます。貨物専用の航空機を保有しており、急ぎの輸送にも対応できる可能性があります。
原油や鉄鉱石など特殊な貨物の輸送実績があり、複雑な依頼でも相談できます。コンテナ便の定期便を運航しており、安定した物流を重視する企業に最適です。
西日本鉄道株式会社
西日本鉄道株式会社は、政府に依頼されて緊急支援物資を輸送した実績がある輸送会社です。航空機では規格外の貨物の輸送も請け負い、通常の輸送ができなかった貨物でも運べる可能性があります。
西日本鉄道株式会社の強みは、取扱いの難しい繊細な貨物の運搬ができる点です。超精密機械や生鮮食品など、壊れやすいものでも信頼して依頼できます。書類作成から通関手続きまで、全体的な輸送の手配を任せられる点もメリットです。
まとめ:通関業者やフォワーダーは依頼内容にあわせて選ぶ
通関業者・フォワーダー・乙仲は、請け負える業務が異なります。通関手続きのみを依頼するのか、輸送の全体的な手配を依頼するのか、ニーズにあわせて最適な依頼先を見つけることが大切です。
依頼できる内容を精査し、もっとも条件に適した業者を選ぶためには、複数社への見積もり取得が欠かせません。1社のみに絞り依頼先を探すと、費用相場や一般的なサービス内容がわからないまま契約に至る可能性があるためです。
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?どこまでの業務を担ってくれるのか
?過去に豊富な実績があるか
?過去に不正を働いていないか
?得意ジャンルは何か
?お見積書をいただく
であります。
越境ECなど、個人でも海外を視野に入れてビジネスを広げられる時代になりました。会社ごとの得意ジャンルや費用が異なるため、通関業者に依頼する際はお見積書を請求して比較することが大切です。
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
もしも今現在、
- 通関とフォワーダーでどっちがいいかわからない
- 複雑な通関業務を丸投げしたい
- 依頼できる業務内容がわからない
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の通関業者に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで最適な企業を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。