請書(うけしょ)・注文請書とは?収入印紙の必要性や基本の書き方を解説

合同会社RASH
監修者
合同会社RASH CEO 望月 昌一
最終更新日:2024年04月16日
請書(うけしょ)・注文請書とは?収入印紙の必要性や基本の書き方を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 請書とは何?
  • 請書の作成方法を知りたい
  • 請書の作成時に収入印紙が必要?

「請書とはどのようなときに必要?」「請書の作成手順を知りたい」とお悩みのビジネスマン、必見です。請書・注文請書とは、受注側が発注側に対し、求められた仕事を請け負う意思表示をするために作成する文書です。

この記事では、請書の作成方法や作成時に必要な書類を解説します。契約書との違いやよくある質問も紹介します。

最後まで読むことで、請書の概要が理解できるでしょう。業務上、発注・受注が発生する方はぜひ参考にしてください。

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請書(うけしょ)・注文請書とは仕事請負の受諾を示す文書

請書(うけしょ)とは、受注側が作成し発注側に渡す文書です。発注側に対し、求められた仕事を請け負う意思表示をするために作成します。

注文を請け負うことから、文字どおり「注文請書」と呼ばれる場合もあります。請書は発注請書・同意書・確認書と表記されることもあり、正式な表記名が定められているわけではありません。

請書は発注者からの「注文書・発注書」に対して発行される

請書は、発注者が注文を確約するために発行する文書「注文書・発注書」に対する返答の役割があります。注文の請負いを確約する請書は、発注者からの注文が確約されない限り単独で作成・発行されません。

発行した請書は、発注側に渡ることで取引契約を成立させる意味があります。たとえば設備を長期間借りて利用するリース契約の場合、リース会社から請書が送られてきます。

請書は、現金やクレジットカードの決済かつ商品・サービスの引渡しで完結するBtoC取引においては一般的に用いられません。締め払い・納品後の後払いなど、主に組織間の信用取り引きで交わされます。

請負内容を記録・契約成立させる役割を持つ

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請書は請負内容の記録や、契約成立の証拠が主な役割です。本来、取引契約は口約束でも成立しますが、信用取り引きでは契約が完了するまでのプロセスが長く、合意を示す文書を用いることがあります。

商品の引渡しと決済が同時に完結する店舗取引に比べ、信用取引は成約の基準があいまいになりやすいためです。請書は、成約の証拠にあたる文書の1つに挙げられます。

請書における収入印紙の必要性

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請書・注文請書は、原則的にルールに従った収入印紙の貼り付けと消印が求められます。収入印紙とは、経済的な取引のために作成した書類に課せられる税(印紙税)を支払うために発行する証票です。

事実上の契約合意に至ったと示す請書・注文請書は、印紙税の課税対象となる「2号文書」に該当するためです。注文書に対して発行された請書が、発注者に渡った時点で「契約が成立した」とみなされます。

2号文書とは

請負に関する契約書。「請負」とは、民法第632条《請負》に規定する請負をいい、完成すべき仕事の結果の有形、無形を問わない。

参照:第2号文書|国税庁

収入印紙が必要なケースと不要なケースは、次のとおりです。

収入印紙が必要 請書の取引金額が1万円以上
収入印紙が不要 物品売買・電子文書

収入印紙が必要:請書の取引金額が1万円以上

1万円以上の請書は以下の表に従った印紙税と同じ金額の収入印紙を貼り、消印しなければなりません。請書に貼るべき収入印紙の金額(=印紙税の金額)は「請書に記載された取引金額」が対象です。請書の取引金額が1万円未満であれば非課税です。

請書に記載された取引金額 印紙税
1万円未満 非課税
1万円以上、100万円以下 200円
100万円以上、300万円以下 400円
200万円以上、300万円以下 1,000円
300万円以上、500万円以下 2,000円
500万円以上、1,000万円以下 1万円
1,000万円以上、5,000万円以下 2万円
5,000万円以上、1億円以下 6万円
1億円以上、5億円以下 10万円
5億円以上、10億円以下 20万円
10億円以上、50億円以下 40万円
50億円以上 60万円
取引金額の記載がないもの 200円

印紙税の対象である請書の取引金額は「消費税」を含みません。たとえば、取引金額が税込110万円であれば印紙税が400円かかりますが、税別100万円+消費税表記にすると印紙税は200円で済みます。

参照:国税庁「No.7102 請負に関する契約書」

収入印紙が不要:物品売買・電子文書

継続した売買契約の場合を除き、物品売買に関連する請書は、収入印紙ルールの対象外です。1万円以上の取引金額が記載されるすべての請書・注文請書が印紙税の対象になるわけではありません。

「請書・注文請書」には、建設工事や物品売買に関連する有形的なもの、サービスや役務の提供に関連する無形的なものが含まれます。一般的に物品売買に関する請書は、収入印紙の貼り付け・消印は不要です。

電子メールやFAXで送信された請書は「電子的な文書のやり取り」に該当し、印紙税が課税されません。印紙税の対象は「紙の文書」であるためです。

請書の印紙税の負担は発注者・受注者が協議して決める

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請書の印紙税をどちらが負担するかは、発注側・受注側の協議・話し合いで決められる場合が一般的です。請書の印紙税は、負担者が法律により定められてはいません。印紙税の対象である請書は1部しか存在しないため、印紙税は発注側と受注側の連帯した納税を基本としています。

請書・注文請書の書き方・記載すべき項目

請書・注文請書の書き方、記載すべき項目は次のとおりです。

  1. 発行日(取引日)
  2. 発注者情報・受注者情報
  3. 注文内容・金額
  4. 納期・納品方法・支払い条件

項目1. 発行日(取引日)

発行日(取引日)とは、請書・注文請書を発行した日付、あるいは取引が成立した日付です。注文書・発注書の日付と同日以降にしなければならないため、注意しましょう。

仕事の依頼を確約する注文書は請書に先立つ存在であり、請書が注文書に対する返答とみなされるためです。取引の流れを明確にするために、請書の発行日は注文書の日付以降で作成する必要があります。

項目2. 発注者情報・受注者情報

請書・注文書作成では「発注者」と「受注者」を明確にする必要があります。国税庁の参考資料では、発注者情報は氏名(企業名)のみですが、氏名以外に次の項目の記載がおすすめです。

  • 担当者名
  • 企業の所在地住所
  • 電話番号

企業名を記載する場合は「(株)」「(有)」の略称を使わず「株式会社」「有限会社」と正式名称で記載しましょう。

項目3. 注文内容・金額

請書・注文請書には、具体的な注文内容や金額を記載します。大切なポイントは、発注側・受注側で認識の違いが生じないことです。

注文内容には、取引成立までの流れのなかで共通で認識できる「案件名」を記載するケースもあります。最終的に合意に至った見積書番号の併記も一般的です。

請書の金額は、注文内容が複数に渡る場合は品目ごとの項目を設けます。それぞれの金額を明記すると確認がとりやすいためです。印紙税の計算を想定し、本体価格と消費税は分けて記載すると処理を進めやすくなります。

項目4. 納期・納品方法・支払い条件

納期は最低限、下記の項目を請書に記しましょう。

  • 納期
  • 納品方法
  • 支払条件

事前に合意した取引条件に従い、注文書や発注書と同じ内容で記載します。請書と注文書の内容が異なる場合、納品時にトラブルを招く可能性があります。納期以外にも発送事項や納品場所など注意事項があれば記載しましょう。

請書と契約書の違い:法的効力の強さ

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「請書」と「契約書」はいずれも契約内容を証明する文書ではあるものの、法的効力の強さが大きな違いです。請書・注文請書は注文書の対となり取引契約を成立させる役割を果たすのみである一方、契約書には法的な効力があります。

請書・注文請書は「注文内容を遵守する誓約書」として、受注側から一方的に発行される文書です。原則的に請書は、発注者に対する強制力を持ちません。

契約書は、両者が合意した契約内容を文書に残し、お互いの権利と義務を明確にする文書です。契約書には、契約が破られた場合の違約金や損害賠償などを求める強制力が保証されています。

請書と請求書の違い:「依頼の受諾」と「料金の請求」

請書と請求書の違いは、次のとおりです。

請書 依頼の受諾
請求書 料金の請求

請書に類似した文書に、請求書が挙げられます。請書が依頼を受諾したことを示すのに対し、請求書は金額を請求する役割があります。請求書は会計処理で必要になるケースが多く、請書を作成した場合でも別途請求書を作成するとスムーズです。

まとめ:請書とは受注側が作成する文書

請書は受注側が作成する文書で、発注書への返答の役割を果たします。1万円以上の金額では収入印紙が必要になり、印紙税は税抜きで計算する点がポイントです。

納品時のトラブルを避けるため、請書の記載内容には十分注意しましょう。正確な請書作成のためには、専門家への依頼がおすすめです。

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よくある質問とその回答

  • 請書の読み方は?

    請書は「うけしょ」と読みます。「せいしょ」と読むには一般的に誤りとされているため、注意しましょう。

  • 収入印紙の消印にはどのような意味がある?

    請書・注文請書に限らず、課税文書に収入印紙を貼り付ける場合は「消印」が必須です。収入印紙に消印することで「印紙税を納税した」とみなされるためです。消印していない収入印紙の再利用を防止する目的もあります。

  • 請書に収入印紙の貼り付け・消印をしなかったら?

    収入印紙の貼り付け・消印のされていない請書であっても、契約の効力がなくなるわけではありません。印紙税は、あくまでも課税文書に対する税金であるためです。

    収入印紙の貼り付け・消印がされていない請書は印紙税の納付を怠ったと見なされます。税務調査で発見されれば「過怠税」のペナルティを課されるケースがあるため注意しましょう。

監修者のコメント
合同会社RASH
CEO 望月 昌一

【集客/マーケティングの代行/コンサルティング/研修】【ホームページ制作/システム開発】と、国内初を自負する【行動経済学/脳科学/心理学の理論や根拠】を組み合わせたサービスを提供。お客様伴走型のサービスにアイデアを乗せて「一緒に盛り上がるサービスを考える」ことを得意とする。

「請書および注文請書のやり取り」において、次のポイントを意識することが重要です。正確な情報と明確な条件の記載が必須であり、契約の意図や条件を文書に明記することで後のトラブルを防ぎます。

具体的には、契約の範囲、価格、支払い条件、納期、保証内容などの詳細を記載し、どちらのパーティもその内容に同意する必要があります。

また、書類の交換は正式な通信手段を利用して確実に行い、受け取ったことの確認を取ることが望ましいです。これにより、双方の理解と合意の下でスムーズに業務を進行できます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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