内装工事の耐用年数とは?減価償却の計算方法と会計処理時の勘定科目も解説

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2024年09月13日
内装工事の耐用年数とは?減価償却の計算方法と会計処理時の勘定科目も解説
この記事で解決できるお悩み
  • 内装工事の耐用年数とは?
  • 内装工事に関連した支出の勘定科目は?
  • 内装工事の耐用年数を会計処理する際の注意点とは?

「内装工事の耐用年数はどれくらい?」「内装工事の仕訳方法は?」とお悩みの方、必見です。内装工事の耐用年数とは、建物や設備が正常な使用状態で性能を維持できる期間のことです。メーカーが定める耐久年数とは異なり、基準は国が定めます。

この記事では、内装工事を検討している方へ向けて、国税庁が定める耐用年数を解説します。内装工事の耐用年数と減価償却の計算方法も紹介するため、内装工事の会計処理のノウハウがわかるでしょう。

内装工事にまつわる会計処理でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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内装工事の耐用年数とは?

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内装工事の耐用年数の仕組みは、次の2つのポイントから理解できます。

  • 建物や設備が正常な使用状態で性能を維持できる期間
  • メーカーが設定する耐久年数とは異なり国が定める

建物や設備が正常な使用状態で性能を維持できる期間

耐用年数とは、建物や設備などが正常な使用状態にある限り、その機能や性能を維持できる期間のことです。内装工事の耐用年数は、一般的には材料や設備の耐用年数に基づいて計算されます。

壁や天井の塗装やクロスなどの表面材料は10年程度、フローリングやカーペットなどの床材は15年程度とされています。算出された年数はあくまでも目安であり、実際の耐用年数は使用環境やメンテナンス状況により異なります。

メーカーが設定する耐久年数とは異なり国が定める

内装工事の耐用年数は、内装業者やメーカーが設定する耐久年数とは異なります。業者やメーカーが提示する耐久年数は「メーカーが継続使用できると判断した期間」を指すためです。

耐用年数は、減価償却で資産価値を算出するために国が定めた基準です。

耐用年数 会計上の見積もりに基づいて、ある固定資産が有用とされる期間のこと
減価償却 固定資産の価値が減少する前提に基づき、固定資産の価値を定期的に減らしていくこと

参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

内装工事では品目や材料に応じて定められた耐用年数が異なるため、事前に正確な数値を把握する必要があります。

内装工事の減価償却は法定耐用年数をもとにおこなう

「耐用年数」と「減価償却」は、固定資産の取り扱いに関する会計上の概念です。設置された固定資産が有用である期間を見積もった考え方を指します。内装工事により設置された建具や照明などの固定資産は、問題なく使用できる期間(耐用年数)が決まっているためです。

たとえば照明器具が5年間有用であると見積もられた場合、5年間の期間を耐用年数とします。5年間にわたり減価償却され、資産価値が徐々に減っていくイメージです。

国税庁が示す内装工事の耐用年数一覧

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国税庁が提示している内装工事の耐用年数を、次の3つの項目に分けて紹介します。

  • 内部造作物の耐用年数
  • 室内の内装工事に関する耐用年数
  • 内装用の電気機器に関する耐用年数

内部造作物の耐用年数

内装工事で作られた内部造作物は、造作物を設置した建物の耐用年数を基本として適用します。建物の構造物であってもなくても考え方は変わりません。

建物の構造や用途により変動する建物の耐用年数は、以下のとおりです。

建物の構造 耐用年数(事務所用) 耐用年数(飲食店用) 耐用年数(店舗用)
鉄骨鉄筋コンクリート/鉄筋コンクリート 50年 34年
(木造内装部分3割超の場合。3割以下の場合は41年)
39年
れんが造/石造/ブロック造 41年 39年 39年
金属造
(骨格材の肉厚が4mm超)
38年 31年 34年
金属造
(骨格材の肉厚が3〜4mm)
30年 25年 27年
金属造
(骨格材の肉厚が3mm以下)
22年 19年 19年
木造または合成樹脂造 24年 20年 22年
木造モルタル造 22年 19年 20年

参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

内装工事費用の仕訳は「建物」の勘定科目です。内装工事で設置された作り付け家具やパーテーションなどの複数の造作物は、1つにまとめられて処理されます。

室内の内装工事に関する耐用年数

室内の内装工事に関する耐用年数は、次の要素から総合的に判断されます。

  • 使用する材料
  • 設備の種類
  • 使用環境
  • メンテナンスの状況

以下は一般的な耐用年数の目安です。

床材 15年
壁面材 10年
天井材 10年
エアコン 6年
内装建具(ドア、窓など) 20年

参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

内装用の電気機器に関する耐用年数

内装用の電気機器に関する耐用年数は、次の要素から総合的に判断されます。

  • 製品の品質
  • 使用環境
  • メンテナンスの状況

以下は一般的な耐用年数の目安です。

照明器具 5年
スイッチ・コンセント 10年
電話・インターホン 6年
電子レンジ・電気ポット・トースター 5年
換気扇 10年

内装工事の勘定科目

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内装工事のおもな勘定科目は、次の2つです。

  1. 建物
  2. 建物付属設備

勘定科目1. 建物

内装工事に関する勘定科目「建物」は、事務所や店舗を建設する工事費用を計上する項目です。建築に必要な総額を「建物」で会計処理します。

建物が完成する前に会計処理が必要なケースでは「建築仮」で計上することもあります。勘定科目「建物」は新築の建築物にのみ用いるもので、リノベやリフォームでは該当しません。

勘定科目2. 建物付属設備

内装工事に関する勘定科目「建物付属設備」は、水や電気・ガスなど水道高熱設備を対象にしています。建物内部の設備工事の勘定科目は、原則的に建物付属設備です。

建物付属設備には、新品購入や新規取付工事費用が含まれるほか、修繕費も該当します。多くの場合リノベーションやリフォームで発生した費用は、建物付属設備に計上します。

内装工事の減価償却の計算方法

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内装工事にかかる費用は、資産として計上されたあと、資産価値が償却されます。内装工事に関する資産の減価償却の計算方法は以下のとおりです。

1. 資産の取得価額を決定 内装工事にかかった費用や、機器や設備の取得費用を合計した額が、資産の取得価額となる
2. 資産の残存価額を決定 耐用年数が終了した後、資産を売却した場合の予想される売却価格が、資産の残存価額となる
3. 資産の償却期間を決定 内装工事に関する資産の償却期間は、耐用年数として決定
4. 年次償却費を計算 年次償却費は「(取得価額−残存価額)÷ 耐用年数」で計算

減価償却の計算には「定額法」と「定率法」がありますが、内装工事は「定額法」での減価償却が定められています。定額法は、内装工事の取得原価を一定期間で均等割償却する方法です。

定額法の減価償却計算

内装工事の取得原価÷耐用年数=年間の償却費用

内装工事の減価償却方法に悩んでいる方は、定額法を前提に計算をしましょう。取得原価や耐用年数などの必要な情報は正確に把握する必要があります。

内装工事に関連する減価償却の計算例

内装工事の減価償却の計算例を紹介します。

・取得価格が1,000万円、耐用年数が10年、残存価格が100万円の場合

(1,000万円−100万円)÷ 10年=90万円/年

上記の条件の内装工事に関する資産の場合、毎年90万円の減価償却費が発生します。税務上の規定や企業の会計方針によって、異なる計算方法が用いられる場合もあるため事前に確認しましょう。

内装工事の耐用年数から会計処理する際の注意点2つ

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内装工事の耐用年数を会計処理する際の注意点は、次の2つです。

  1. 取得価格を明確化する
  2. 費用の償却開始時期を決定する

注意点1. 取得価格を明確化する

内装工事において耐用年数を決定するためには、取得価格の明確化が欠かせません。内装工事には直接的な費用と間接的な費用が含まれるため、取得価格を正確に算定しましょう。

たとえば、直接的な費用には設計や施工費用が含まれますが、間接的な費用には建築設備の移設や解体費用などが含まれます。

取得価格が不明確である場合、正確な耐用年数の算定や償却費用の計算ができず適切な会計処理ができません。内装工事に関する請求書や領収書などを保管し、確実に取得価格を把握する必要があります。

注意点2. 費用の償却開始時期を決定する

内装工事の耐用年数を決定する際、費用の償却開始時期を適切に決定することが重要です。償却開始時期は内装工事の完成時期や取得時期により異なるため、正確に把握しましょう。会計処理上、償却開始時期を決定しなければ正しい申告ができません。

内装工事が完成した時点で償却を開始するのが一般的ですが、内装工事が完成した後も設備の取り付けやメンテナンスなどが必要な場合があります。使用時期が遅れた場合は、償却開始時期を後日にずらせます。

まとめ:内装工事の耐用年数は項目ごとに異なる

内装工事の耐用年数は項目ごとに異なるため、事業者は工事内容や目的などに応じて適切な耐用年数を設定する必要があります。正しい耐用年数を設定することで、確定申告の際に償却費を計算でき、節税も可能です。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

クライアントが内装工事を行った際に、時々見受けられるのが、見積書の細かな一項目づつで固定資産判定を行っている場合です。例えば、雑工事だから経費処理であるとか、仮工事の項目で経費処理してたりとかです。見積もりの半分近くを経費処理していたケースもあり、驚いています。一塊の内容が、細かく明細で分かれている資産は基本的に一体で考えるべきでしょう。

また、内装工事を個別の資産で考えている方も見えます。建物付属設備で15年償却をよく見る気がします。基本的には建物の耐用年数で償却すべきでしょう。ただ、スケルトンでテナントを賃借した場合は、建物付属設備で15年償却はありうる処理になります。建物本体が家主所有だからです。固定資産は、実態をしっかり見て、勘定科目を決めるようにしてください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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