主要ハウスメーカーの保証内容はどのようなもの？比較するポイントを徹底解説！

ハウスメーカーの保証を比べる3つのポイント

主要ハウスメーカーの保証を比べる際のポイントは以下の3つです。

最適なハウスメーカーを選定するうえで、ハウスメーカー各社の保証を比較しながら検討することが重要です。

1. 基本的な保証・アフターサービスの内容

ハウスメーカーを選ぶ際、各社の基本的な保証やアフターサービスの内容を把握しておくことは非常に重要です。ハウスメーカー各社は他社との差別化を図るため、独自の保証・アフターサービスを用意しています。

たとえば、初期保証を20年もしくは30年と長めに設定するのはその一例です。シロアリ駆除・対策を無償提供するハウスメーカーや、寒冷地・豪雪地帯のアフターサービスを手厚くしている工務店もあります。基本的な保証といっても、メーカーごとに内容が異なることを覚えておかなければなりません。

2. 延長保証・最長保証期間の条件

ハウスメーカーの基本的な保証に加え、延長保証や最長保証期間の条件を確認する必要があります。チェックすべき項目は以下の2つです。

通常、初期保証期間終了後の延長保証では、補修やメンテナンスを有償で実施することが1つの条件です。ただし初期保証を過ぎた住宅の補修・メンテナンス費用は高額になることが少なくありません。ハウスメーカーによって異なる保証の条件を比較検討することがポイントです。

3. 定期点検の内容と費用

初期保証・最長保証期間とともに、住宅の定期点検やメンテナンスも比較する必要があります。定期点検・メンテナンスの時期・タイミングはハウスメーカーによって異なり、内容もさまざまです。

初期保証終了後、定期点検によって判明した不具合に関しては有償でのメンテナンス・補修になるケースが多いため、どの程度の費用が予想されるか比較するのもいいでしょう。

ハウスメーカーには10年間の瑕疵担保責任がある

ハウスメーカーには、10年間の瑕疵担保責任があります。瑕疵担保責任とは、住宅の見えない部分の不具合についても、引き渡しから10年間は売主に責任があるとするものです。

2000年4月1日から施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、瑕疵担保責任が義務化されています。加えて2009年10月1日に施行された「住宅庇護担保履行法」により、新築住宅の「建物の主要な構造部分になる部分」「雨漏りに影響する部分」について、10年間の保証が確約されていることを覚えておきましょう。

主要ハウスメーカー10社の保証・アフターサービス比較

主要ハウスメーカーの保証・アフターサービスを比較検討できるよう、各社のサービス内容を紹介します。以下の主要ハウスメーカー10社を比較しましょう。

パナソニックホームズ株式会社

「パナソニックホームズ株式会社」は、大阪府豊中市に本社を構え、住宅新築・リフォームなどの建築請負事業、不動産仲介・賃貸管理などの不動産事業、住宅システム部材販売事業を手がけるハウスメーカーです。

初期保証35年（沖縄エリアは20年）が用意され、保証延長工事を実施することで、最長60年までの延長保証が可能です。対象商品であれば、万一の地震による建て替えや補修を最長35年、最高5,000万円まで保証する「地震あんしん保証」を適用できます。24時間365日の相談窓口も用意されているため安心です。

ミサワホーム株式会社

「ミサワホーム株式会社」は、東京都新宿区に本社を構えるハウスメーカーです。基本構造35年、雨漏り30年、シロアリ10年、設備機器5年と、手厚い初期保証が特徴でしょう。保証終了時の耐久性診断・耐久工事により、建物が存続する限りの保証延長が可能です。

11カ月目から30年目までは無料点検が受けられることもうれしいポイントの1つです。30年目以降は10年ごとに有料点検が実施され、保証延長の条件とされます。

積水ハウス株式会社

「積水ハウス株式会社」は、大阪市北区に本社を構え、戸建住宅、不動産事業、都市開発事業などを幅広く手がけるハウスメーカーです。基本構造・雨漏りを含め、30年間の初期保証を確約するほか、必要な有料点検・工事を実施することで、建物が存続する限り永年保証する「ユートラスシステム」を用意しています。

初期保証が終了したあとも、有料点検・工事を実施することで10年間の延長保証を得られる点がポイントです。メンテナンス情報を蓄積・更新する台帳「いえろぐ」や24時間365日対応の「カスタマーズセンター」など、アフターサービスも充実しています。

大和ハウス工業株式会社

「大和ハウス工業株式会社」は、大阪市北区に本社を構え、住宅を含む建築事業、都市開発事業、海外事業などを幅広く展開するハウスメーカーです。商品によってやや異なりますが、基本構造・雨漏りに関する初期保証は30年です。

有料メンテナンス工事を実施することにより、最長60年までの保証に対応するほか、施主の希望があれば60年以降の保証も可能です。延長可能な初期保証10年のシロアリ保証、10年間の設備機器保証も適用され、24時間365日のサポート体制とともに手厚いプログラムが用意されています。

加えて、大和ハウスのオーナー限定Webサイト「ダイワファミリークラブ」で、維持管理に役立つ「住まいの履歴書」も閲覧可能です。

住友林業株式会社

「住友林業株式会社」は、東京都千代田区に本社を構え、住宅・建築事業、木材建材事業、資源環境事業、海外住宅・不動産事業などを展開するハウスメーカーです。基本構造・雨漏りに関する30年の初期保証、有料メンテナンス工事による10年ごとの保証延長で、最大60年までの保証に対応しています。

60年目までの計12回にわたる無料点検を実施するのは、耐久性が自慢の自社部材を活用できるためです。住まいに関する困りごとに24時間365日対応するコールセンターも設置しており、リフォーム・外構を気軽に相談できる点も大きなメリットです。

セキスイハイム

「セキスイハイム」は、東京・大阪に本社を構える積水化学工業株式会社のグループ企業として、住宅・不動産事業を展開するハウスメーカーです。建設エリア、商品に応じて期間に若干の違いはあるものの、引渡後2年目まで3回の定期点検、5年目以降5年ごとの定期診断を無償で提供しており、適切な補修・メンテナンスを実施することで30年の保証が受けられます。

邸ごとにメンテナンスのプログラムが準備されており、最適な時期に案内してくれるのもうれしいポイントでしょう。同社の磁器タイルを使った外壁であれば、30年間の保証が可能です。24時間365日対応のサポート体制も万全です。

三井ホーム株式会社

「三井ホーム株式会社」は、東京都新宿区に本社を構え、三井不動産グループの関連企業として住宅建築事業、建築資材・設備機器製造販売事業などを展開するハウスメーカーです。同社では、60年間の長期保証を前提とした保証制度「キープウェル60」を提供しています。

10年目以降の10年ごとの定期点検（30年目まで無料）を実施し、必要な有料メンテナンス工事を行うことで、建物の主要な構造部分を最長60年間保証する内容です。雨漏り・シロアリ保証に関しては、10年ごとの必要なメンテナンス工事・処理を実施することで無制限の保証も得られます。

株式会社一条工務店

「株式会社一条工務店」は、東京都江東区・静岡県浜松市の本社のほか、全国500カ所の拠点を持つハウスメーカーです。同社では10年目、15年目、20年目の無償定期点検を実施しており、必要であると認められた有料メンテナンス工事を行うことにより、基本構造30年の長期保証を提供しています。

インターネット回線で太陽光発電の状況を見守るモニタリングシステム、発電量のリアルタイムチェック、修理依頼のできるアプリ「i-サポ」を用意しているのは同社ならではの特徴でしょう。迅速に対応できる体制を整えた「アフターサポートセンター」も心強い存在です。

タマホーム株式会社

「タマホーム株式会社」は、東京都港区に本社を構え、建設・設計・不動産業・保険代理業などの事業を展開するハウスメーカーです。同社では初期保証の10年間に加え、15年目以降5年ごと60年目までの点検を無償で提供しており、10年目以降、必要な有償工事を実施することで最長60年までの保証延長が可能です。

基本構造・雨漏りに加え、シロアリに関しても延長保証の対象で、土台にヒノキ材を利用するなど、シロアリに強い家作りに自信を持つ同社ならではの保証内容であるといえます。10年間の地盤保証制度も付帯しており、地盤沈下の発生に備えられるのも強みです。

アイフルホーム

「アイフルホーム」は、東京都品川区に本社を置き、災害や家庭内事故から子供や高齢者を守る家づくりに定評があるハウスメーカーです。構造耐力上主要な部分の初期保証は20年、有料点検を受けることにより最長30年まで保証を受けられます。

20年目までは無料点検が受けられることに加え、住宅履歴情報を残してくれるため、いつどのようなメンテナンスが行われたか確認できるのもうれしいポイントでしょう。耐震補償10年、雨水の侵入を防止する部分の初期保証10年、シロアリ初期保証10年など、充実の保証内容です。

ハウスメーカーの規模と保証内容比較

ハウスメーカーや工務店の保証内容は、会社の規模によって大きく異なります。以下の3つのハウスメーカーや工務店によって、どのように保証内容が変わるのか紹介しましょう。

保証内容の違いも把握したうえでハウスメーカー選びを慎重に進めることが重要です。

大手ハウスメーカー

大手ハウスメーカーの場合、20年から30年の長期保証を提供している点が大きな特徴です。大手ならではのサポートの手厚さで、保証期間をさらに伸ばせることも珍しくありません。

24時間対応のコールセンターや、無料・有料メンテナンスなど、さまざまな保証がついているのも魅力の1つです。ただし、営業担当者とサポートの担当者が異なることが多いため、信頼関係を1から築かなければならないデメリットがあります。

ローコスト系ハウスメーカー

大手ハウスメーカーよりも低額で住宅を建築できるローコスト系ハウスメーカーの場合、コスト削減に重きを置いているため保証内容がやや薄くなるのが一般的です。大手ハウスメーカーほど多くの予算を保証に回せないため、ローコスト系ハウスメーカーの保証内容に不安を抱く場合もあるでしょう。

ローコスト系ハウスメーカーは、法律で定められた10年保証を基本としており、他のサポートは有償になることがほとんどです。ランニングコストはあまり考慮せず、今の費用を抑えて住宅を建てたい方にはおすすめです。

工務店

工務店の場合、営業担当者と信頼関係を築くことで親身になって保証の相談に乗ってもらえる点が大きなメリットです。保証期間は大手ハウスメーカーと比較すると短いものの、さまざまなメンテナンスや修理は担当者の裁量によって低価格で行ってもらえる場合もあります。

地域密着型の工務店では、スピーディーな対応が期待できる点も考慮しましょう。ただ、小規模な工務店は倒産のリスクもあり、数十年単位の長期補償には向いていません。

まとめ

主要ハウスメーカーの保証内容は、法律に定められている10年保証以上である場合がほとんどです。基本的な保証に加え、シロアリや耐震、雨漏りなどに対応した保証があることも覚えておきましょう。大手ハウスメーカー、ローコスト系ハウスメーカー、工務店それぞれにメリット・デメリットがあるため、慎重に検討することが必要です。

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監修者のコメント

住宅設備建材プランナー

山崎 正人

総合住宅設備建材メーカーでの24年の営業経験、2000棟以上の現場に携わった経験を生かして、MY SQUAREを設立。住宅設備建材プランナーという新しい切り口で、家づくり・リフォームに関わるすべての人へ、最適な提案を行う。法人企業へ、住宅設備関連のコンサルティングやアドバイザリー業務、個人の方へは家づくり、リフォーム相談、住宅設備（浴室、キッチンなど）の選び方などのサポートも行う。

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長く住み続ける住まいだからこそ、保証は長く手厚い方がよいことは間違いありません。

ただ、あくまでもハウスメーカーの付加価値サービスの一つであり、保証期間や言葉の表現だけに影響をうけることはせず、そのハウスメーカーの品質（営業品質、業務品質、施工品質、アフター品質など）を見極めることも大切です。

保証を考える前提として、住宅は経年変化するものであり、設備は消耗品であるということを理解する必要があります。保証に頼りすぎてしまい、点検や修理をおろそかにしてしまうと保証が切れた時に高額のリフォーム費用が発生する場合もあります。

住まいは購入して終わりではなく、住み始めてからがスタートになります。保証やアフターメンテナンスを上手く活用することで、長く住み続けられる住宅を維持することに繋がります。

執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。