VPNの構築費用はいくらかかる?機能や構築方法とともにわかりやすく解説

AOIS Consulting株式会社
監修者
AOIS Consulting株式会社 代表取締役 青井真吾
最終更新日:2024年09月13日
VPNの構築費用はいくらかかる?機能や構築方法とともにわかりやすく解説
この記事で解決できるお悩み
  • VPNの構築費用はいくらかかるの?
  • VPNの種類は?
  • VPNに必要な機能や構築方法は?

VPNの構築費用は種類ごとに異なります。インターネットVPNは2万円〜5万円、IP-VPNは初期費用3万円+月額費用5,000円〜5万円が相場です。実際にかかる費用は機能にも左右されるため、必ず複数社から見積もりをとりましょう。

本記事ではVPNの構築費用と種類、VPNの概要と機能・構築方法を解説します。最後まで読むとVPNの構築に必要な知識が身につき、予算に合わせて検討できるでしょう。

「VPNの構築費用が気になる」という方はぜひ参考にしてください。

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VPNの種類と構築したときの費用

VPNの種類の画像

VPNには主に4つの種類があります。VPNの種類と構築したときの費用を表にまとめした。

VPNの種類 費用相場 概要
インターネットVPN 2万円〜5万円 既存のインターネット回線を利用するVPN
IP-VPN 初期費用3万円程度+月5,000円〜月5万円 通信業者専用のインターネット回線を利用するVPN
広域イーサネット 初期費用10万円程度+月100万円〜月300万円 通信業者専用のインターネット回線を利用するがプロトコルに制限がないVPN
エントリーVPN 初期費用5,000円程度+月1万円 通信業者のアクセスポイントまで既存のインターネット回線を利用し、アクセスポイント以降は通信業者専用のインターネット回線を利用するVPN

コストに大きく違いが出るため、予算を見つつどの種類にするか決めるのがベストです。

インターネットVPN:2万円〜5万円

インターネットVPNは、既存のインターネット回線を利用するVPNです。費用相場は2万円〜5万円と、ルーターの構築費用と初期設定のみで済むため安価です。

導入するハードルは低いですが、専用のネットワークを使用したVPNと比較すると、セキュリティと通信速度の面で劣ります。

IP-VPN:初期費用3万円程度+月5,000円〜月5万円

通信業者専用のインターネット回線を利用するVPNが、IP-VPNです。初期費用に加えて、回線利用料として月額費用が必要になります。

初期費用としては3万円程度から。月額プランとしては、5,000円から5万円くらいが一般的な相場観です。利用する容量や設置する拠点の数によってかなり費用は変わるでしょう。

IP-VPNは大きなオフィスでリモートアクセスなどのシステムや、セキュリティ強化のためのシステムを入れると、高くなるため注意が必要です。

広域イーサネット:初期費用10万円程度+月100万円〜月300万円

広域イーサネットは、IP-VPNと同様に通信業者専用のインターネット回線を利用するVPNですが、プロトコルに制限がありません。

IP-VPNよりも自由度の高いネットワークを構築できる分、初期費用が10万円程度に月額利用料が100万円〜月300万円と高額です。

セキュリティと通信速度にも優れているため、従業員数の多い大規模な企業に向いています。

プロトコルとは

コンピュータでデータのやりとりをする際に、通信の手順をあらかじめ規格することをいいます。IP-VPNの場合、プロトコルがIPによって制限されています。

エントリーVPN:初期費用5,000円程度+月1万円〜

エントリーVPNは、通信業者のアクセスポイントまで既存のネット回線を利用し、以降は専用のネット回線を利用するVPNです。

初期費用が5,000円程度。月額利用料1万円程度と低価格です。アクセス後は閉域ネットワークのため、高セキュリティで不正アクセスや情報漏えいのリスクが少なくなるメリットがあります。

ただし、既存のネット回線が安定していないと、通信速度が遅くなるでしょう。

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代表取締役 青井真吾

VPNは主に安全性、速度、費用を基準に選びましょう。公衆回線を利用するインターネットVPNは費用面から考えると導入しやすいです。

しかし、機密情報などを扱うまたは快適な通信が求められる場合、安全面を重視しインターネットと分離されるIP-VPNを利用すべきでしょう。扱う情報の種類などに合わせて検討する必要があります。

VPN構築の具体的な料金体系例

VPN構築の具体的な料金体系例を、種類ごとに紹介します。

インターネットVPNの場合

ヤマハ株式会社の画像

参照:ヤマハ株式会社

  価格
NVR510 55,000円(税抜)

ヤマハ株式会社のギガアクセスVoIPルーター「NVR510」は小型で使いやすく、新Web GUIを搭載したVPNルーターです。

「設定も簡単でいち早くVPNを構築したい」方におすすめです。

IP-VPNの場合

KDDI株式会社の画像

参照:KDDI株式会社

※プランFの初期費用

KDDI IP-VPN工事費 KDDI専用IP網工事費 フレッツ工事費 ルータ設置工事費
4,400円(税込) 3,300円(税込) 各フレッツ回線工事費 6,200円(税込)〜

※プランFの月額料金

  KDDI IP-VPN基本料金 KDDI専用IP網利用料 フレッツ料金 ルータレンタル料金
アクセス回線がフレッツ・ADSLの場合 2,750円(税込) 2,750円(税込) 各フレッツ回線料金 2,700円(税込)〜

KDDI IP-VPN ブロードバンドValue パックの「プランF」は、法人・ビジネス向けのプランです。最大100拠点まで接続が可能です。

ルーターによっては、利便性が向上するさまざまなオプション機能が付いています。

広域イーサネットの場合

NTTコミュニケーションズの画像

参照:NTTコミュニケーションズ

※アクセスプレミアムの初期費用

契約事務手数料 工事費
2,200円(税込) 88,000円(税込)

※アクセスプレミアムの月額費用

帯域 月額費用
100Mbps 336,600円(税込)
200Mbps 667,700円(税込)
300Mbps 944,900円(税込)
400Mbps 1,200,100円(税込)
500Mbps 1,454,200円(税込)
600Mbps 1,709,400円(税込)
700Mbps 1,963,500円(税込)
800Mbps 2,218,700円(税込)
900Mbps 2,472,800円(税込)
1Gbps 2,728,000円(税込)

NTTコミュニケーションズが提供している「アクセスプレミアム」は、セキュアな通信環境と要望に応じて環境構築できるのが強みです。

クライアントソフトが必要ないため、さまざまな機種やOSで利用できます。

エントリーVPNの場合

フリービット株式会社の画像

参照:フリービット株式会社

※ECO-CONNECTの料金プラン

  初期費用 月額費用 アクセス回線費用
対応アクセス回線がフレッツISDNの場合 5,500円(税込) 2,480円(税込) 別途必要

フリービット株式会社が提供している「ECO-CONNECT」は、IP-VPN並みの高セキュリティと低価格を実現した、エントリーVPNです。

24時間365日のサポートする窓口を設置しているため、機器が故障してもスムーズに対応してくれます。

VPNとは?

オフィスにおける業務だけでなく、VPNは個人でも利用することがあります。それだけ利用範囲が広いですし、さまざまな目的で使うものです。業務で使うためのVPNの仕組みと、メリットやデメリットを確認してみましょう。

小規模の専用ネットワーク環境

VPNとは「仮想専用ネットワーク」のことです。オフィスの中や家庭の中のみに、他の人がアクセスできない専用のネットワークを作り、安全に情報を共有したり業務システムを動かしたりします。

閉じられた専用のネットワークを作るためには、本来企業のみの専用ケーブルを敷く必要があります。ただし、相当なコストがかかってしまい、利用できる範囲が狭まってしまいます。

そのため、オフィス外部からのアクセスを制限できる、いわば防護壁を置き、オフィスだけの専用ネットワークを構築するのです。VPNを構築することで、コストを抑えつつセキュリティに優れた環境を作れます。

VPNのメリット

  • データの送信を不正アクセスなどの被害から防げる
  • 業務システムやパソコンにリモートアクセスできる
  • 費用をぐっと抑えられる

VPNにより社員のみが入れる専用のネットワークが持てます。さまざまなメリットがありますが、一番大きなものはデータの送信を不正アクセスなどの被害から防ぎ、安全に行えるということです。

また、オフィスにいなくても、業務システムやパソコンにリモートアクセスできるというのもメリットです。在宅ワークを行う社員がいる場合では、必須とも言える環境となります。

専用線を設置するという選択肢と比べると、費用をぐっと抑えられるというのも魅力です。専用線の場合は物理的なケーブルを敷いている拠点同士でしか通信ができませんが、VPNの場合はすぐに複数の拠点での通信が始められます。

VPNのデメリット

  • 通常のネット通信のスピードが落ちてしまう
  • 安全性が担保されない可能性

VPNの種類によっては、通常のネット通信のスピードが落ちてしまうことがあります。多くの社員が同時に接続している場合は、速度低下が体感できるほどまで下がってしまうことがあるため、業務に支障が生じます。

また、コストのことばかりを考え、サービス体制が不十分なVPN環境にすると、安全性が担保されない可能性もあります。速度低下もセキュリティーの問題も、サービス提供者によるため、しっかりと業者を選べば安心です。

VPNの機能

VPNにはいくつかの主要な機能と活用シーンがあります。その中身を知り、どのように会社での利用に役立てられるかを検討しましょう。

通信の暗号化

通信の暗号化の画像

セキュリティ上重要な機能の一つが、通信の暗号化ができるということです。通信データを暗号化して送受信することによって、外部からの不正アクセスによる読み取りを防止できます。

機密情報を本社と支社でやり取りする、社内での重要情報の共有などをする場合には、非常に重要です。

トンネリング

トンネリングの画像

通信環境上に、いわばトンネルを作るという機能です。トンネルの中、つまり社内の専用ネットワーク上は自由に情報をやり取りできます。外部から見るとトンネルの中で行き来しているため、通信の様子がわからないというイメージです。

専用線を敷くのと同じように、外部からの侵入を防ぐことができるため、リモートアクセスをするにしても情報共有するにしても、安全な環境を作れます。

VPNを構築する方法

VPN環境を企業内で構築するためには、いくつかの方法があります。それぞれに異なる特徴があるため、自社の状況に合った方法を選ぶことが肝心です。

インターネットVPNによる構築

通常のインターネット環境を利用してVPNを構築するという方法です。拠点同士の通信は一般のネット回線を使い、拠点の出入口にVPNルーターを設置することで、VPN環境を導入できます。

VPNルーターは専用の機器もあり、通常のインターネット用のルーターに、VPN機能が搭載されていることもあります。ルーターのVPN機能を使うことによって、通信を暗号化したり、トンネリングができたりするようになります。

IP-vpnによる構築

CEルーターという機器をオフィスに設置することによって、VPN環境を構築する手段です。IP-VPN自体がVPN環境を作るものではなく、VPNを提供する通信業者と接続するための専用機器です。

通信回線は通信業者のものとなるため、業者がしっかりとした体制を作って入れば、かなり安全な通信環境を保てます。自社で環境を構築するわけではないため、外部業者に管理や保全を委託する形になるでしょう。

具体的には、設置したCEルーターにオフィスのIPアドレスを設定します。設定したルーターから通信業者にアクセスすることによって、専用ネットワークが完成します。

広域イーサネットによる構築

広域イーサネットではクローズドネットワークに対応した規格を利用します。各拠点にLANをつないで構築する手法です。

構築の構成はIP-VPNとほとんど変わりません。広域イーサネットは「EoMPLS」と呼ばれる転送技術が使われており、安全性が高く、自由にネットワーク構築ができます。

エントリーVPNによる構築

エントリーVPNは、拠点から通信業者のアクセスポイントまでブロードバンド回線を使います。アクセスポイント以降はクローズドネットワークを利用して構築します。

インターネット回線と専用のインターネット回線を併用するイメージです。ベストエフォート型を採用しているため、低価格で安全性は高いですが、通信が不安定なることが多いでしょう。

AOIS Consulting株式会社
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代表取締役 青井真吾

VPNを構築する際は、特に通信品質をチェックするようにしましょう。コロナ禍では日中に会社のVPNへ接続が集中するため、夜間でないと仕事がしにくかった企業も多かったようです。

通信が不安定になると会社全体の業務効率が悪くなります。そのため、適切なネットワーク帯域幅が確保できているか確認が必要です。

まとめ

本記事では、VPNの構築費用と種類、VPNの概要と機能・構築方法を紹介しました。自社の規模や社内環境によって、構築に適したVPNが大きく変わります。

VPN環境を作るうえで、もし専門知識がないのであれば、業者に依頼してルーターの設置や設定、通信環境の提供をしてもらうのが無難です。業者の選定の際には、複数の会社を比較して相見積もりを出したり、サービスのチェックをしたりすることが大事でしょう。

その点で役立つのが「比較ビズ」の一括見積もりサイトです。より安くサービスの比較ができ、良質の会社が揃っているため安心です。ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
AOIS Consulting株式会社
代表取締役 青井真吾

大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後は、フリーのITコンサルタントとして、人材派遣会社の基幹システムの開発、不動産会社の商業施設での販促システムの導入、自動車メーカーでコネクティッドカー開発のプロジェクト管理、SIerでのSalesforceの導入、ファッション業界の企業でSalesforceと連携する周辺システムの導入を経験。現在は法人化し主に企業のシステム開発プロジェクトを支援。

VPN構築は格安の手段から高額なものまであり、その費用に気を配ることは当然ですが、その要件も明確にして適切な手段を選択する必要があります。

サービスとして展開されているVPNなど安いものであれば年間数千円〜数万円の費用で構築が可能ですが、高度なセキュリティ対策が求められている、または、高速な通信環境を構築したい場合は、安い手段では不適切である可能性もあります。

要件によっては、高額でも自前でVPNを構築したほうが適切であることも考えられます。どの種類のVPNが適切であるかを見極めるには、VPNを構築する理由を明確にすることが必須です。その場合、専門家に相談するということもその有効な手段の一つとなります。

要件や予算を伝えることで最適なVPN構築方法を提案してくれるコンサルティングサービスを展開している企業もあるので、特にネットワークやセキュリティの知見が無い場合は相談してみるといいでしょう。費用よりもまずは要件を満たせるかどうか確認することがポイントになります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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