同一労働同一賃金は労使協定方式がおすすめ|派遣先均等・均衡方式との違い

ドラフト労務管理事務所
監修者
ドラフト労務管理事務所 代表社会保険労務士 鈴木圭史
最終更新日:2023年03月27日
同一労働同一賃金は労使協定方式がおすすめ|派遣先均等・均衡方式との違い
この記事で解決できるお悩み
  • 同一労働同一賃金の労使協定方式とは?
  • 派遣先均等・均衡方式との違いは?
  • 派遣社員と賃金設定を合意できるか不安

「人材派遣を検討しているけれど、同一労働同一賃金や労使協定方式などの言葉をよく理解していない」とお悩みの方必見!

派遣社員には正社員や契約社員などと同様の待遇を適用することが定められており、賃金や契約内容の設定方法を把握しておくことが大切です。

この記事では、派遣社員の待遇を設定するうえで重要となる同一労働同一賃金の「労使協定方式」と「派遣先均等均衡方式」の内容を詳しく解説しています。記事を読み終わった頃には、自社で採用するべき方式や人材派遣における手続き内容がわかるでしょう。

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2020年労働者派遣法改正で適用された「同一労働同一賃金」とは?

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同一労働同一賃金とは、どのような雇用形態の従業員であっても不合理な待遇差が出ないように対応することです。労働者派遣法が改正され、令和2年(2020年)4月より派遣社員にも同一労働同一賃金が適用されています。

労働者派遣法が見直されたことにより、今まで問題視されてきた派遣社員の待遇が改善され、働き方改革の促進はさらに加速していくことでしょう。

派遣元・派遣先の各企業において、対応義務がある項目も定められているため、労働者派遣法の内容をおさえることが大切です。

「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の違い

同一労働同一賃金のルールにおいて、派遣元企業には次の2つのうちいずれかの方法を選択することが義務付けられています。

  • 「派遣先均等・均衡方式」
  • 「労使協定方式」

どちらも同一労働同一賃金の考え方をもとにおこなわれる方式であり、派遣社員にとって有利な働き方になることは間違いありません。

もし同一労働同一賃金の対応に不備があれば、労働局などから指導や行政処分を受ける可能性があります。業種や働き方によって多少の有利不利があるため、派遣先と条件内容をすり合わせる必要があるでしょう。

2つの方式の内容をよく理解し、派遣社員に対し詳細を説明できるよう準備しておくことが重要です。

派遣先の正社員と同等の待遇にする「派遣先均等・均衡方式」

「派遣先均等・均衡方式」は派遣先で働く派遣社員の待遇を、派遣先企業の正社員と同等にすることです。「均等待遇」と「均衡待遇」にはそれぞれ次の意味があります。

  • 均等待遇:職務内容が同じ場合、差別的な取り扱いの禁止
  • 均衡待遇:その他の事情の相違を考慮し、不合理な待遇差の禁止

派遣先企業の正社員と派遣社員が同じ職務内容をおこなっている場合、派遣社員は正社員と同等の待遇にする必要があります。反対に、正社員と派遣社員の業務内容に相違がある場合、違いに応じた待遇をおこなうことが必要です。

均衡待遇に記載がある「その他の事情」には、労働者の経験や実績、スキル、労使交渉の経緯など、さまざまな要素が含まれます。各事情を考慮する必要があり、正社員との不合理な待遇差を設けることが禁止されていることに留意しましょう。

「派遣先均等・均衡方式」における派遣元での対応

「派遣先均等・均衡方式」を選択する場合、派遣元は、派遣社員の待遇を派遣先企業の社員と同様とするため、派遣先企業から詳細な情報提供を受ける必要があります。

情報提供が受けられないと、派遣元企業は「派遣先均等・均衡方式」を選択できないため、派遣先企業に情報提出を依頼しましょう。派遣元企業は、派遣先企業から提供された待遇情報にもとづき、派遣社員の待遇を決定することが求められます。

「派遣先均等・均衡方式」における派遣先での対応

「派遣先均等・均衡方式」を選択する場合、派遣先企業は、従業員に対する待遇情報を派遣元企業に情報提供することが求められます。

提供する情報には、自社の教育・研修における訓練内容や、休憩室・更衣室などの福利厚生施設の内容が必要です。ほかにも、派遣労働者が従事する業務内容ごとに比較対象労働者を選定し、選定理由と待遇内容などの情報を連携します。

比較対象労働者の選出方法

比較対象労働者は派遣社員と同じ業務、同じ責任範囲とみなされる派遣先企業の社員から選出します。

派遣社員と比較できる社員が選出できない場合、派遣社員の待遇を決められず「派遣先均等・均衡方式」が使用できないため注意しましょう。

情報提供の際は口頭ではなく、書面やメールなど証拠が残るものでおこない、その写しを派遣終了日から3年間保存しておく必要があります。

派遣会社内で派遣社員の待遇を決定する「労使協定方式」

「労使協定方式」は、派遣社員の待遇内容を派遣先企業ではなく、派遣元企業が決定する制度です。

派遣元企業と派遣社員の間で結ばれるため、賃金の額をはじめとした派遣社員の待遇を派遣先の従業員と同じにする必要がありません。

同一労働同一賃金の意に反していると思われがちですが、厚労省が定める職種ごとの「一般労働者の賃金水準」以上を派遣社員に支給する決まりがあります

「労使協定が適切な内容ではない場合」や「労使協定で定めた事項を遵守していない場合」は派遣先均等・均衡方式が適用されることに留意しましょう。

「労使協定方式」における派遣元での対応

労使協定方式を選択する場合、派遣元企業では労使協定の締結と、毎年6月末日に労働局に提出する労働者派遣事業報告書への添付が求められます。他にも、派遣社員への周知を忘れないようにしましょう。

「労使協定方式」における派遣先での対応

労使協定方式を選択する場合、賃金以外の情報は派遣先企業が派遣元企業へ情報提供しなければ、派遣元企業では労使協定の内容を決定できません。

派遣先企業は「教育訓練」と「給食施設、休憩室、更衣室」の2つの待遇情報を派遣元企業に提供することが必要です。

情報提供は口頭ではなく、書面やメールなど証拠が残るものでおこない、その写しを派遣終了日から3年間保存しておく必要があります。

同一労働同一賃金は労使協定方式がおすすめ【各方式の特徴紹介】

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派遣会社が「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の選択に悩む場合、結論的には「労使協定方式」を採用する方がいいといえます。

各方式の特徴をふまえ、なぜ「労使協定方式」がいいのか解説しましょう。

「派遣先均等・均衡方式」の特徴

「派遣先均等・均衡方式」は、同一労働同一賃金の考え方においては労使協定方式よりも適切な対応策といえるでしょう。しかし、派遣元は派遣先の正社員と同等の労働・賃金を派遣社員に約束しなければならないため、難易度が高いです。

派遣社員は恒久的に派遣先の会社に勤めるわけではありません。派遣先が変わるたびに詳細情報をもとに派遣社員の待遇を決める業務が増えるため、避けたいところです。

派遣先ごとに待遇が異なり派遣社員の給料が安定しない

「派遣先均等・均衡方式」を選択する際に特に考慮するべき特徴には、派遣先ごとに待遇が異なり派遣社員の給料が安定しないことが挙げられます。

たとえば、派遣先に食事手当の支給がある場合、派遣社員にも食事手当の支給が必要です。派遣が終了して次の職場に派遣された場合、新しい労働・賃金での契約を結ぶことになります。もし前の派遣会社にあった食事手当がなければ、必然と支給される給与額も変更されます。

つまり、派遣社員は派遣先の会社が変わるたびに支給額が変動し、給料が安定しない不具合が生じることに注意が必要です。派遣元企業にとっては、派遣先の会社が変わるたびに手続きが発生することはデメリットといえるでしょう。

「労使協定方式」の特徴

「労使協定方式」を選択する際に把握しておくべき特徴は、派遣会社は必ずしも派遣先の正社員と同等の賃金を支払う必要はないことです。

派遣先均等・均衡方式と違って、派遣先が変更された場合でも、都度新しい労働・賃金での契約を結ぶ必要がありません。

労働者の平均賃金を参考にして賃金を算出する

派遣元は派遣先の賃金にあわせないため、自ら計算して派遣社員と協定を結ぶ必要があります。派遣元で賃金を決定することは、同一労働同一賃金の考え方において疑念を抱くこともあるでしょう。

賃金を決めるには、派遣社員がおこなう業務と同じ業務に従事する労働者の平均賃金を参考にして算出する必要があります。派遣元の独自の計算式で算出されるわけではないため、不平等や待遇差が生じることがないように配慮されているのが特徴です。

派遣会社内での締結であるため派遣社員への説明が重要となる

労使協定の内容は派遣会社内部における締結となるため、後でトラブルが発生しないよう派遣社員に納得してもらえるまで細かく説明することが大切です。

具体的には「労使協定」の内容が適用されることや、労使協定の有効期間などを説明しましょう。ていねいな説明を繰り返し、昇給や賞与の有無・退職金の有無、福利厚生の内容を理解してもらうことが重要です。

同一労働同一賃金で労使協定方式を採用する3つのメリット

「労使協定方式」には「均等・均衡方式」と比べて次の3つのメリットがあります。

  1. 派遣先からの書類を簡略化し業務量を削減できる
  2. 派遣会社において派遣社員の給与が決定できる
  3. 派遣社員の給与が安定し手続きの手間も削減できる

下記で詳しく解説します。

メリット1. 派遣先からの書類を簡略化し業務量を削減できる

労使協定方式を採用するメリットの1つ目は、派遣先からの書類を簡略化し業務量を削減できることです。均等・均衡方式では、派遣先の労働者の賃金体系や待遇面を考慮して派遣社員の待遇に反映する必要があります。

派遣元は派遣先企業から労働者の賃金に関する情報が記載された書面で提出してもらう必要がありますが、記載事項が多く、確認作業が多くなりがちです

「均等・均衡方式」を採用したひな形の例

厚労省が作成した「均等・均衡方式」を採用したひな形では、A4サイズで5枚の分量があります。書式はこちらからダウンロード可能です。

一方、労使協定方式は利用する対象を派遣社員に限定することで、派遣先から提供してもらう賃金に関する情報が必要ありません。派遣先から提出してもらう書類を簡略化させ、派遣元における実務を削減できることは嬉しいポイントでしょう。

メリット2. 派遣会社において派遣社員の給与が決定できる

労使協定方式を採用するメリットの2つ目は、派遣元企業において派遣社員の給与が決定できることです。

派遣先均等・均衡方式では、派遣先に準じた賃金設定を求められます。派遣先の賃金が高い場合は、高い水準に合わせなければならず、派遣元からしても大きな負担になってしまいます。

できるだけ安い派遣料金での派遣先を探すこととなり、派遣会社にしても派遣先会社にしてもいいことではないでしょう。賃金を派遣元企業が決める「労使協定方式」のほうが、金銭面でのメリットが大きいです。

他にも、協定内容を派遣元で設定しているため、派遣先の要望に応えやすいことも大きなメリットでしょう。

メリット3. 派遣社員の給与が安定し手続きの手間も削減できる

労使協定方式を採用するメリットには、派遣社員の給与が安定し手続きの手間も削減できることが挙げられます。派遣先均等・均衡方式では、派遣先が変わると派遣社員の賃金も変わることが特徴です。

一方で労使協定方式では、派遣社員の賃金は派遣元との間で結んだ協定で決まるため、給与額に変動が発生しません。派遣社員にとって、ライフプランを考える上での大きなメリットといえるでしょう。

同一労働同一賃金で労使協定方式を選択する際の5つの手順

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派遣会社が同一労働同一賃金において「労使協定方式」をおこなう際のポイントを5つの手順にわけて紹介します。

  1. 派遣社員の賃金を設定する際の折り合い項目を確認する
  2. 労使協定案を正しく作成する【8つの記載事項を紹介】
  3. 過半数代表者を選ぶ
  4. 派遣契約書のひな形を変更する【法改正による追加事項は2つ】
  5. 派遣先からの情報受領に対応する

下記で詳しく解説します。

1. 派遣社員の賃金を設定する際の折り合い項目を確認する

労使協定方式を選択する場合は、派遣元企業が派遣社員の賃金を設定するため、算出方法をしっかり理解しておく必要があります。

派遣社員に賃金の額を合意してもらうためには、派遣元企業は賃金の算出根拠を提示して折り合いがつけられるように準備することが大切です。労使協定方式における一般賃金の算出は、主に次の3つの項目に基づき決定します。

  • 通勤手当
  • 賞与
  • 退職金

通勤手当

派遣法上では派遣社員に対し通勤手当を支払う義務がないため、今まで支給していなかった企業も多いでしょう。労使協定方式を採用する際は、派遣社員に対しても必ず通勤手当を支払う必要があります。

賞与

賞与は、正社員に支給するものと同じく、企業の業績に左右されます。派遣社員が正社員と同等の貢献度である場合は、正社員と同等の賞与を支給する必要があることに留意しましょう。

賞与以外にも、正社員に対して時間外給与手当を支給している場合は、派遣社員にも同様の割増率を用いて給与に上乗せする必要があります。正社員には支払っていて派遣社員には支給していない手当がないか、確認しましょう。

退職金

労使協定方式を採用する際は、派遣社員に対し退職金も支給する必要があります。退職金には以下の3つの制度があり、いずれかの方法を選択する必要があるため確認しましょう。

  • 退職手当制度
  • 前払い退職金制度
  • 中小企業退職金救済制度

派遣社員にとっては、これまでなかった手当や賞与、退職金の支給があることで、モチベーションアップにつながります。

派遣社員の働きやすい環境づくりをおこなうためにも、労使協定における賃金算出方法をおさえて、双方が納得できるような金額を提示しましょう。

2. 労使協定案を正しく作成する【8つの記載事項を紹介】

「労使協定方式」は、口約束ではなく確定した賃金項目を文書化し、協定案を作成する必要があります。記載事項は、主に以下8つの点に留意しましょう。

  • 派遣社員の範囲
  • 賃金の決定方法
  • 就業実態の変動による変更措置
  • 評価方法
  • 待遇の決定方法
  • 教育訓練
  • 協定の有効期間
  • 派遣社員の限定理由
「労使協定方式」のひな形(サンプル)を紹介

労使協定方式を結ぶ際に利用できるひな形は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。こちらをチェックしてみてください。

各項目を以下で紹介します。

派遣社員の範囲

派遣社員の対象範囲を記載しましょう。「労使協定方式」を用いて締結する派遣社員をしっかりと定義する必要があります。

賃金の決定方法

派遣社員の賃金の決定方法と、比較対象となる一般社員の賃金水準の額を記載しましょう。

就業実態の変動による変更措置

派遣社員に、資格取得をはじめとした能力向上がみられた場合「能力手当」「資格手当」の支給の措置をとる必要があります。変更措置をとる旨を労使協定に記載しましょう。

評価方法

派遣社員は正社員と同様、公正な評価をおこないます。評価が賃金の改定(改善)に反映されなければならないため、適正な評価方法を労使協定に記載しましょう。

待遇の決定方法

福利厚生施設の使用をはじめとした、賃金以外の項目における待遇内容を労使協定に記載しましょう。「不合理な待遇差を設けない」と記載するのが一般的です。

教育訓練

派遣社員の教育訓練は、2015年の派遣法改正ですでに定められています。より段階的かつ体系的な教育訓練を実施することを、労使協定に盛り込みましょう。

協定の有効期間

労使協定には有効期間があるため、正確な期間を記載しましょう。期間は2年以内とすることが望ましいといわれています。

派遣社員の限定理由

派遣社員を限定する場合は、限定理由を労使協定に記載しましょう。

3. 過半数代表者を選ぶ

労使協定の完成後には、派遣社員の代表(過半数代表)を選ばなくてはいけません。選出方法には次の4つのルールがあるため、おさえておきましょう。

  • 会社単位での選出、事業所単位のいずれでも可能
  • 派遣社員を含むすべての従業員から選出
  • 派遣法の第30条4第1項の協定を締結するための選出を明示
  • 労働者の過半数の支持が明確となる選出が必要

4. 派遣契約書のひな形を変更する【法改正による追加事項は2つ】

2020年の労働者派遣法改正に伴い、派遣契約書のひな形がある場合は項目を変更しましょう。派遣契約書に記載するべき項目は、新たに次の2つが追加されました。

責任の程度

派遣先の会社における、派遣社員の役職名の記載が必要です。役職がなければ「役職なし」の記載で問題ありません。

派遣社員限定の有無

労使協定方式を採用する対象となる従業員を、派遣社員に限定するかどうか定めることが必要です。限定する場合は、派遣先会社からの情報提供の必要がなくなり、事務手続きを簡略化できます。

5. 派遣先からの情報提供に対応する

労使協定方式を選択した場合でも、教育訓練や福利厚生などの賃金以外の待遇は、派遣先従業員との均等・均衡が義務づけられます。

派遣元企業は、派遣先企業から教育訓練や福利厚生の情報提供を受ける必要があるため、派遣先に依頼しましょう。

派遣会社にとって「派遣先均等・均衡方式」は負担が大きい

ポイント_!

「派遣先均等・近郊方式」では派遣社員の派遣先が変わる都度、賃金体系の変更が必要になり、派遣元の負担も大きいです。

派遣社員にとっても、賃金の高い会社ではメリットがありますが、恒久的に同じ場所で働けるわけではありません。リスクがあることを考えると「派遣先均等・均衡方式」よりも「労使協定方式」を採用したほうが、派遣会社や派遣社員の負担を軽減できるでしょう。

まとめ

2020年の労働者派遣法改正により、派遣社員の待遇が改善されました。本記事では、法改正で追加された派遣社員における同一労働同一賃金の内容や「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の詳細、労使協定のメリットなどを紹介しました。

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監修者のコメント
ドラフト労務管理事務所
代表社会保険労務士 鈴木圭史

2000年に社会保険労務士資格を取得後、人材派遣会社の本店に入社し官庁対応や労務相談を主担当で約9年勤務。2007年には人材派遣会社の監査役に就任。独立後、2008年に大阪の玉造にドラフト労務管理事務所を設立。数々の企業向け官庁対応・労務相談に加え、派遣元責任者講習や職業紹介責任者講習講師や内部監査の代行業務など活動は多岐に渡る。外部セミナー講師を複数実施しており、かゆいところに手が届く現場に即した講義には定評がある。また、海事代理士として陸上のみならず海上労働者の労務相談も適時運営している。

同一労働同一賃金の考え方を労働者派遣契約に適用したものが当該記事のテーマとなります。派遣法に定める労使協定の作成手順では労働組合がないケースで従業員の過半数代表者を選出するプロセスも注意をはらいましょう。

この部分が難解な理由は派遣の許可を取得している店舗で勤務する従業員(派遣社員を管理する人たち)とそこから派遣される派遣社員全員の過半数が認める代表者であることが必要なのです。

文書で書けばこの通りですが、夜勤専従者や交代勤務者がいるような派遣元会社であれば派遣社員とアクセスすることが簡単ではありません。当該労使協定を締結するため、
?代表者に立候補を募るということ
?立候補者を過半数が承認した
というエビデンスをとることの2点が非常に難解です。

ただ、ここをしっかりやらないと過半数代表者と労使協定が結べていないということになり、その協定が否認(適正に締結できていない)されると大事になります。

この仕組みの原則は「派遣先・均等均衡方式」で対応頂きたいが、例外として労使協定方式を認めるというものなので否認されると「原則」に戻りましょうと行政指導が出る可能性があります。そうなると派遣先会社に契約違反を問われることもあるでしょう。ご注意頂ければ幸いです。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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