本店移転登記の必要書類は?管轄内・外での違いや記入例も紹介
- 本店移転登記の必要書類とは?
- 移転の条件により必要書類が異なる?
- 本店移転登記の費用は?
「本店移転登記の書き方に不安がある」とお悩みの経営者、必見です。本店移転登記を提出する際「株式会社か合同会社か」「定款の変更が必要かどうか」などを確認しましょう。
本店移転登記書類の提出期限は移転から2週間以内と会社法第九百七十六条に定められています。本店移転登記にかかる登録免許税は3万円〜6万円、司法書士報酬は3万円〜4万5,000円です。
この記事ではパターン別の本店移転登記の必要書類やその記入例、提出期限などを解説します。記事を読むことで、本店移転登記の流れを理解でき適切に提出できるでしょう。
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株式会社の本店移転登記の必要書類
株式会社の本店移転登記で必要な書類は、下記3つの項目によって異なります。
- 移転先が法務局の管轄内かどうか
- 定款の変更が必要かどうか
- 取締役会を設置しているかどうか
まずは法務局のホームページで、移転前後で管轄が変わるかどうかを確認しましょう。次に定款の変更が必要かどうかを判断します。
定款の絶対的記載事項となっているのが本店住所の最小行政区(市町村と東京23区)であることを踏まえると、下記のような判断が可能です。
定款の変更が必要な場合 | ・定款に最小行政区までしか記載しておらず、同じ最小行政区内で移転する場合 |
---|---|
定款の変更が不要な場合 | ・異なる最小行政区へ移転する場合 ・同じ最小行政区内での移転だが、定款に番地や建物名まで記載している場合 |
最後に取締役会の有無を確認すれば、必要書類がわかります。以下ではパターン別の必要書類を解説しますので、自社と同じパターンを確認してください。
法務局の管轄内で移転する場合
法務局の管轄内で株式会社の本店を移転する場合の必要書類は下記のとおりです。
- 株式会社本店移転登記申請書
- 株主総会議事録(定款の変更が必要な場合)
- 株主リスト(定款の変更が必要な場合)
- 取締役会議事録(取締役会を設置している場合)
- 取締役の決定書(取締役会を設置していない場合)
- 委任状(代理人に申請を依頼する場合)
最小行政区が変わっても、管轄法務局が変わらない場合もあります。たとえば渋谷区から目黒区に移転する場合、どちらも「渋谷出張所」が管轄です。
株式会社本店移転登記申請書
株式会社本店移転登記申請書には次の内容を記載します。
項目 | 内容 |
---|---|
会社法人番号 | わからなければ記載しなくてOK |
商号 | 商号+フリガナ |
本店 | 移転前の本店住所 |
登記の事由 | 「本店移転」と記載 |
登記すべき事項 | 移転後の住所と移転日を記載/QRコード付き書面申請の場合は別紙 |
登録免許税 | 金30,000円 |
添付書類 | 必要に応じて、株主総会議事録や取締役会議事録を記載 |
申請日 | 申請書を提出する日を記載 |
申請人 | 会社名と移転後の本店住所を記載 |
代表取締役 | 個人名と個人住所を記載し押印 |
商業登記法に従って作成した本店移転登記申請書を用意する必要があります。自分で作成することもできますが、司法書士に依頼したほうが確実でしょう。
引用:法務局
株主総会議事録(定款の変更が必要な場合)
株主総会の議事録には株主総数や発行済み株式総数、出席した株主数などを記載したうえで、決議の内容を明記します。
引用:法務局
株主リスト(定款の変更が必要な場合)
株主リストには株主の議決がなされた対象や株主の氏名・住所・株式数などを記載します。
引用:法務局
取締役会議事録(取締役会を設置している場合)
取締役会議事録には出席した取締役や決議事項を記載します。取締役会設置会社の本店移転登記では、定款の変更有無にかかわらず取締役会議事録の提出が必要です。
引用:法務局
取締役の決定書(取締役会を設置していない場合)
取締役の決定書には出席した取締役や決議事項を記載します。取締役会非設置会社の本店移転登記では、定款の変更有無にかかわらず取締役の決定書の提出が必要です。
引用:法務局
委任状(代理人に申請を依頼する場合)
委任状には代理人として定めた人物の住所・名前や委任する内容などを記載します。司法書士といった代理人に申請を依頼する場合に必要です。
引用:法務局
法務局の管轄外に移転する場合
法務局の管轄外に株式会社の本店を移転する場合の必要書類は下記のとおりです。
- 株式会社本店移転登記申請書(旧法務局用)
- 株式会社本店移転登記申請書(新法務局用)
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録(取締役会を設置している場合)
- 取締役の決定書(取締役会を設置していない場合)
- 印鑑届書
- 委任状(旧法務局用/代理人に申請を依頼する場合)
- 委任状(新法務局用/代理人に申請を依頼する場合)
法務局の管轄外へ移転する際は本店住所の最小行政区も変わっているため、定款の変更、つまり株主総会議事録および株主リストの提出が必要です。本店移転登記申請書と委任状を2通ずつ用意しなくてはならない点にも注意しましょう。
株式会社本店移転登記申請書(新旧法務局用)
株式会社本店移転登記申請書には次の内容を記載します。
項目 | 内容 |
---|---|
会社法人番号 | わからなければ記載しなくてOK |
商号 | 商号+フリガナ |
本店 | 移転前の本店住所 |
登記の事由 | 「本店移転」と記載 |
登記すべき事項 | 移転後の住所と移転日を記載/QRコード付き書面申請の場合は別紙 |
登録免許税 | 金60,000円 |
添付書類 | 必要に応じて、株主総会議事録や取締役会議事録を記載 |
申請日 | 申請書を提出する日を記載 |
申請人 | 会社名と移転後の本店住所を記載 |
代表取締役 | 個人名と個人住所を記載し押印 |
旧法務局用と新法務局用で、2通必要となるため注意しましょう。記載内容は同じで「〇〇法務局 〇〇支局(出張所) 御中」という宛名の部分だけを変更します。
引用:法務局
株主総会議事録
株主総会の議事録には株主総数や発行済み株式総数、出席した株主数などを記載したうえで、決議の内容を明記します。
引用:法務局
株主リスト
株主リストには株主の議決がなされた対象や株主の氏名・住所・株式数などを記載します。
引用:法務局
取締役会議事録(取締役会を設置している場合)
取締役会議事録には出席した取締役や決議事項を記載します。取締役会設置会社の本店移転登記では、定款の変更有無にかかわらず取締役会議事録の提出が必要です。
引用:法務局
取締役の決定書(取締役会を設置していない場合)
取締役の決定書には出席した取締役や決議事項を記載します。取締役会非設置会社の本店移転登記では、定款の変更有無にかかわらず取締役の決定書の提出が必要です。
引用:法務局
印鑑届書
引用:法務局
印鑑届書には提出する印鑑を押印したうえで、商号や本店住所を記載します。移転前の管轄法務局で発行していた印鑑カードが使えなくなるために必要な提出書類です。
委任状(新旧法務局用/代理人に申請を依頼する場合)
委任状には代理人として定めた人物の住所・名前や委任する内容などを記載します。司法書士といった代理人に申請を依頼する場合に必要です。
旧法務局用と新法務局用で、2通必要となるため注意しましょう。記載内容は同じで「〇〇法務局 〇〇出張所 御中」という宛名の部分だけを変更します。
引用:法務局
合同会社の本店移転登記の必要書類
合同会社の本店移転登記で必要な書類は「移転先が法務局の管轄内かどうか」「定款の変更が必要かどうか」によって異なります。法務局のホームページで、管轄の確認が可能です。定款は下記の2パターンに当てはまれば変更が必要で、当てはまらなければ必要ありません。
- 異なる最小行政区(市町村と東京23区)へ移転する場合
- 同じ最小行政区内での移転だが、定款に番地や建物名まで記載している場合
以下ではパターン別の必要書類について、より詳しく解説します。
法務局の管轄内で移転する場合
法務局の管轄内に合同会社の本店を移転する場合の必要書類は、下記のとおりです。
- 合同会社本店移転登記申請書
- 総社員の同意書(定款の変更が必要な場合)
- 定款(定款の変更が必要で「総社員の同意書」の代わりに「業務執行社員の決定書」のみを添付する場合)
- 業務執行社員の決定書
- 委任状(代理人に申請を依頼する場合)
最小行政区が変わっても、管轄法務局が変わらない場合もあるため注意しましょう。たとえば渋谷区から目黒区に移転する場合、どちらも「渋谷出張所」が管轄です。
合同会社本店移転登記申請書
株式会社本店移転登記申請書には次のような内容を記載します。
項目 | 内容 |
---|---|
会社法人番号 | わからなければ記載しなくてOK |
商号 | 商号+フリガナ |
本店 | 移転前の本店住所 |
登記の事由 | 「本店移転」と記載 |
登記すべき事項 | 移転後の住所と移転日を記載/QRコード付き書面申請の場合は別紙 |
登録免許税 | 金30,000円 |
添付書類 | 業務執行社員の決定書と、必要に応じて総社員の同意書や定款を記載 |
申請日 | 申請書を提出する日を記載 |
申請人 | 会社名と移転後の本店住所を記載 |
代表社員 | 個人名と個人住所を記載し押印 |
商業登記法に従って本店移転登記申請書を作成しなくてはなりません。不安であれば司法書士に依頼してもよいでしょう。
引用:法務局
総社員の同意書(定款の変更が必要な場合)
総社員の同意書には社員の氏名や同意した内容などを記載します。定款を変更する場合の必要書類です。
引用:法務局
定款(定款の変更が必要で「総社員の同意書」の代わりに「業務執行社員の決定書」のみを添付する場合)
本店移転に際して定款の変更が必要であり、「総社員の同意書」の代わりに「業務執行社員の決定書」のみを提出する場合には、定款の提出が必要です。「総社員の同意書」を提出する場合には必要ありません。
業務執行社員の決定書
業務執行社員の決定書には社員の指名や決定した内容などを記載します。定款の変更有無にかかわらず、合同会社の本店移転登記で必要な書類です。
引用:法務局
委任状(代理人に申請を依頼する場合)
委任状には代理人として定めた人物の住所・名前や委任する内容などを記載します。司法書士といった代理人に申請を依頼する場合に必要です。
引用:法務局
法務局の管轄外に移転する場合
法務局の管轄外に合同会社の本店を移転する場合の必要書類は、下記のとおりです。
- 合同会社本店移転登記申請書(旧法務局用)
- 合同会社本店移転登記申請書(新法務局用)
- 総社員の同意書
- 定款(「総社員の同意書」の代わりに「業務執行社員の決定書」のみを添付する場合)
- 業務執行社員の決定書
- 印鑑届書
- 委任状(新法務局用/代理人に申請を依頼する場合)
- 委任状(旧法務局用/代理人に申請を依頼する場合)
法務局の管轄外へ移転する際は本店住所の最小行政区も変わっているため、総社員の同意書や場合によっては定款が必要です。本店移転登記申請書と委任状を2通ずつ用意しなくてはならない点にも注意しましょう。
合同会社本店移転登記申請書(新旧法務局用)
株式会社本店移転登記申請書には次のような内容を記載します。
項目 | 内容 |
---|---|
会社法人番号 | わからなければ記載しなくてOK |
商号 | 商号+フリガナ |
本店 | 移転前の本店住所 |
登記の事由 | 「本店移転」と記載 |
登記すべき事項 | 移転後の住所と移転日を記載/QRコード付き書面申請の場合は別紙 |
登録免許税 | 金60,000円 |
添付書類 | 業務執行社員の決定書と、必要に応じて総社員の同意書や定款を記載 |
申請日 | 申請書を提出する日を記載 |
申請人 | 会社名と移転後の本店住所を記載 |
代表社員 | 個人名と個人住所を記載し押印 |
旧法務局用と新法務局用で、2通必要となるため注意しましょう。記載内容は同じで「〇〇法務局 〇〇支局(出張所) 御中」という宛名の部分だけを変更します。
引用:法務局
総社員の同意書(定款の変更が必要な場合)
総社員の同意書には社員の氏名や同意した内容などを記載します。
引用:法務局
定款(「総社員の同意書」の代わりに「業務執行社員の決定書」のみを添付する場合)
定款の変更を証する書類として「総社員の同意書」の代わりに「業務執行社員の決定書」のみを提出する場合には、定款の提出が必要です。「総社員の同意書」を提出する場合には必要ありません。
業務執行社員の決定書
業務執行社員の決定書には社員の指名や決定した内容などを記載します。
引用:法務局
印鑑届書
印鑑届書には提出する印鑑を押印したうえで、商号や本店住所を記載します。移転前の管轄法務局で発行していた印鑑カードが使えなくなるために必要な提出書類です。
引用:法務局
委任状(新旧法務局用/代理人に申請を依頼する場合)
委任状には代理人として定めた人物の住所・名前や委任する内容などを記載します。司法書士といった代理人に申請を依頼する場合に必要です。
旧法務局用と新法務局用で、2通必要となるため注意しましょう。記載内容は同じで「〇〇法務局 〇〇出張所 御中」という宛名の部分だけを変更します。
引用:法務局
本店移転登記の必要書類は移転日から2週間以内に法務局へ提出
本店移転登記書類の提出期限は移転から2週間以内と会社法第九百七十六条に定められています。期限を超過すると、代表個人に対して100万円以下の過料が課されてしまうため注意が必要です。2週間を過ぎても受け付けてもらえますが、過料のリスクがあります。
提出方法はオンライン・郵送・窓口の3種類です。ほぼ自宅・オフィスで完結させられるオンラインが便利ですが、司法書士に依頼する場合は提出方法まで任せても問題ありません。
窓口は平日の8時30分から17時15分までしか開いていないため、ギリギリに提出する場合は注意してください。
本店移転登記にかかる費用
本店移転登記にかかる費用は「登録免許税」と「司法書士報酬」です。
管轄内で移転する場合 | 管轄外へ移転する場合 | |
---|---|---|
登録免許税 | 3万円 | 6万円 |
司法書士報酬 | 約3万円 | 約4万5,000円 |
登録免許税は明確に定められている一方で、司法書士報酬は依頼先によって異なります。自分で書類を作成・提出すれば司法書士報酬は必要ありません。しかし2週間という期限内に正確に登記申請しなければならないことを考えると、司法書士に依頼したほうが安心です。
本店移転で提出が必要となる登記申請書以外の書類
本店移転の際に、登記申請書以外に必要となる書類や届出とその期限は下記のとおりです。
提出先 | 提出期限の目安 | |
---|---|---|
異動届出書、給与支払事務所等の開設・移転廃止の届出 | 税務署 | 移転後速やかに |
法人の名称変更等の届出 | 都道府県 | 移転後10日以内 |
異動届 | 市区町村役所 | 移転後30日以内 |
異動届 | 年金事務所 | 移転後5日以内 |
労働保険名称、所在地等変更届 | 労働基準監督署 | 移転後10日以内 |
雇用保険事業主事業所各種変更届 | ハローワーク | 移転後10日以内 |
自治体によって提出期限が異なる場合もあるため注意が必要です。これらの手続きの中には、本店の住所が記載された登記事項証明書が必要なケースもあるため、本店移転登記後に法務局で取得しておくようにしましょう。
本店移転登記の必要書類まとめ
この記事では、本店移転登記の必要書類やその提出期限について解説しました。本店移転登記に必要な書類は主に下記3つの条件によって異なるため、あらかじめ確認したうえで準備しましょう。
- 管轄の法務局が変わるかどうか
- 定款の変更が必要かどうか
- 取締役会を設置しているかどうか(株式会社の場合)
本店移転登記に関する書類提出は移転日から2週間以内が期限です。記入ミスや添付書類の不備によって期限を超過してしまうと、代表個人に対して100万円以下の過料が課せられます。本店移転登記の書類作成は司法書士に依頼するとよいでしょう。
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埼玉県出身。早稲田大学法学部卒業後、都内の司法書士事務所、弁護士法人及び司法書士法人にて研鑽を積み、独立。その他保有資格は、宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、測量士補 等。これまでに家族信託、事業承継、遺言、会社法、信託契約書作成等に関するセミナー登壇実績あり。主に相続手続きや家族信託を中心とする生前対策コンサルティングを得意とする。
また、本店を移転することは、現実的に、引っ越しの作業等があり、考えるべきことも多くなると思いますので、ご自身で登記手続をして時間や労力を費消するよりも、司法書士に任せてしまうほうが楽になるでしょう。
司法書士事務所によって、料金の体系は異なりますから、比較をしてみるとよろしいと思います。また、登記の手続きだけでなく、本店移転に関連する手続きもアドバイスしてくれるような事務所を選べることが理想です。
例えば、会社で車を保有している場合は、本店移転に伴い新たな車庫証明の取得や車検証の住所変更手続きが必要です。このように、ご自身ではなかなか気づけないような事項も指摘のできる専門家に相談することをお薦めします。
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もしも今現在、
- 自分の案件に適した司法書士が見つからない
- 専門知識を持つ信頼できる司法書士を探したい
- 司法書士の料金が適正か判断できない
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の司法書士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで司法書士を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。