エクセルは見積管理システムの代わりになる？メリット・デメリットを解説

エクセルでの見積書の作成・管理は可能だが非効率

エクセルでの見積書の作成・管理は可能ですが非効率です。エクセルは基本的な計算や表の作成には便利ですが、見積書の作成や管理には向いていません。

見積書を作成する際に、データの更新を手動で行うため、ミスが起こりやすいです。

エクセルでは、複数のファイルを個別で管理するため、顧客情報や価格の更新を、それぞれ手作業で行わなければなりません。見積書の作成や管理を効率化し、ミスを減らすためには、エクセル以外の方法を検討する必要があります。

エクセルで見積書を作成・管理する2つのメリット

エクセルで見積書を作成・管理するメリットは次の2つがあります。

メリット1. 無料で利用できる

エクセルで見積書を作成・管理するメリットは無料で利用できることです。エクセルは多くの場合、既存のPCにインストールされており、追加の購入コストがかかりません。

エクセルで作成した見積書は、テンプレートとして保存しておくことで、次回の見積書作成を効率化できます。コスト削減を重視する企業や個人事業主に適しているでしょう。

メリット2. 導入のハードルが低い

見積管理専用のシステムを導入するためには、製品選定や操作方法の学習、ライセンス管理などの課題があります。エクセルは、日常的に使用しているツールであるため、操作方法を習得する必要がありません。導入後の運用がスムーズで、業務効率の低下を抑えられるでしょう。

エクセルで見積書を作成・管理する5つのデメリット

エクセルで見積書を作成・管理するデメリットは5つあります。

デメリット1. 管理が煩雑になる

管理が煩雑になることはエクセルで見積書を作成・管理するデメリットの1つです。エクセルで、複数の顧客や案件を扱う場合、膨大なデータ管理に多くの時間と労力がかかります。

見積書作成や顧客情報、過去の取引履歴などを手作業で管理する必要があり、ミスや漏れが発生しやすくなります。

たとえば、営業担当が個々に作成した見積書の承認状況や受注状況を把握するためには、見積もりの一覧を作成する必要があります。営業担当ごとに見積書のフォーマットが異なる場合、一覧に転記する際に混乱が生じ、ミスが発生しやすくなるでしょう。

デメリット2. 共有できない

エクセルで見積書を作成・管理するデメリットには、共有できないことが挙げられます。見積書は通常、営業担当者のPC内に保存され、明示的な共有が行われない限り他者には閲覧されません。

複数のユーザーで同時に編集したり、最新版を共有したりすることが難しく、情報共有の遅延や混乱を招く可能性があります。

たとえば、チームメンバー間で最新の見積書を共有しようとする場合、メールでの送受信やファイル共有サービスの利用が必要です。管理が煩雑になりやすいため、上司が営業状況を把握するのに遅れが生じ、経理担当者への情報共有がスムーズにできません。

デメリット3. 複数での作業・管理が難しい

エクセルで見積書を作成・管理する際には、複数での作業・管理が難しいことが挙げられます。エクセルを共有化して複数人で利用する場合、同時に更新ができないため、効率的な作業が困難です。

複数の営業担当者が同じ見積書を編集しようとした場合、同時に更新しようとすると、上書き保存によってデータが消失する可能性があります。

デメリット4. 確認の手間がかかる

エクセルで見積書を作成・管理する場合、確認の手間がかかることがデメリットです。

たとえば、見積もり作成時に誤った単価を入力した場合、過去の見積書をひとつずつ確認する必要があります。確認の手間によるミスと効率の低下は、顧客への誤請求や対応の遅れにつながるため、大きなデメリットです。

デメリット5. ヒューマンエラーが発生しやすい

エクセルで見積書を作成・管理するデメリットには、ヒューマンエラーが発生しやすいことが挙げられます。エクセルでは操作ミスや数式の誤りが起こりやすく、複数のメンバーが操作する場合、レイアウトの一貫性や数式の正確性が保てなくなります。

手作業による入力ミスや計算ミスは、見積書の信頼性を損なう可能性があるでしょう。

顧客情報の誤入力は、見積書の誤送付や顧客情報の漏洩など重大なトラブルに発展する可能性があります。規模拡大やチームでの作業、データの正確性が求められる場合は、見積管理システムの導入検討が必要です。

見積管理システムを導入する6つのメリット

見積管理システムを導入するメリットには、次の6つがあります。

メリット1. 見積書フォーマットの一元管理ができる

見積管理システムを導入することで、見積書フォーマットの一元管理ができます。見積書のフォーマットをシステム上で一元管理することで、更新や変更が必要な際に一括で対応できます。担当者によるバラつきがなくなり、常に最新版の見積書の作成が可能です。

たとえば、企業ロゴを記載したフォーマットをテンプレートとして登録することができます。これにより、営業担当者間で見積書の形式を揃えられるため、ブランドイメージの統一感を保持できます。

メリット2. 手入力によるミスを防止できる

手入力によるミスを防止できることは、見積管理システムのメリットです。見積管理システムは、自動計算機能や項目選択式の入力フォームなど、手入力によるミスを防ぐための機能や自動チェック機能を備えています。

エクセルでの見積管理と比較して、単価や数量のミスが削減できるため、顧客とのトラブルを防げます。

メリット3. だれでも簡単に操作ができる

見積管理システムのメリットには、誰でも簡単に操作ができることが挙げられます。見積管理システムは、直感的な操作性を重視しています。ITツールに不慣れなユーザーや業務経験が少ないユーザーでも利用しやすいでしょう。

営業担当者は、専門知識やプログラミングスキルなしで、顧客のニーズにあわせた見積書の作成が可能です。だれでも直感的に操作できるため、簡単に見積書を作成・管理できます。

メリット4. 一連の見積り業務を効率化できる

一連の見積り業務を効率化できることは、見積管理システム導入のメリットです。見積管理システムを利用することで、見積書作成から承認、管理までの一連の業務をシステム上で完結できます。

たとえば、承認ワークフロー機能により、従来のエクセルでの承認フローを廃止し、迅速な意思決定を実現します。システム上での見積り業務の完結化により、業務時間を削減し、他の業務に集中できるでしょう。

メリット5. システム連携で他業務の効率向上につながる

見積管理システム導入によるメリットには、システム連携で他業務の効率向上につながることがあります。見積管理システムは、他の業務システムとの連携が容易です。見積書情報を他のシステムに自動的に反映できます。

顧客情報や案件情報、製品情報などを他のシステムと連携することで、データ入力の手間を省き、業務全体の効率化を図れます。たとえば、CRMシステムと連携することで、顧客情報を自動的に反映し、個別ニーズにあわせた見積書を提案できます。

メリット6. 無料で利用できるものもある

見積管理システムを導入するにあたって、無料で利用できるものもあることはメリットの1つです。一部の見積管理システムは無料で利用できるものがあります。初期費用や月額費用を抑えられる無料プランや、スモールスタートに適した低価格プランが提供されています。

無料で利用できるシステムを導入することで、低コストで見積管理を効率化することが可能です。

たとえば、スタートアップ企業や個人事業主でも、見積管理システムを導入しやすく業務効率化が実現できます。見積書作成にかかる時間を大幅に削減し、付加価値の高い業務に集中できます。

見積管理システムを導入する注意点

見積管理システムを導入する際の注意点は下記のとおりです。

自社に適した見積管理システムを選ぶ必要がある

見積管理システムを導入する場合、自社に適した見積管理システムを選ぶ必要があります。豊富な機能を備えたシステムは魅力的ですが、必要のない機能を導入した場合、コスト増加や操作の複雑化につながります。

たとえば、コスト削減を重視するスタートアップ企業では、シンプルな機能で使い勝手のいいシステムを選ぶことで導入後のスムーズな運用が可能です。顧客の要求や業務ニーズにあわせてレイアウトを柔軟に調整できるかどうか、フォントや画像の変更が可能かなどを確認しましょう。

使い慣れる必要がある

システムを使いこなすためには、導入後のトレーニングが重要です。システムの使い方に慣れていない場合は、見積書の作成過程でミスをする可能性があります。

AIによる作成補助機能や直感的な操作性など、誰でも使いやすい設計かを確認することが大切です。運用中のトラブルを考慮して、迅速にサポートを受けられる体制かどうかも確認しておきましょう。

まとめ

エクセルを使用した見積書の管理や作成は可能ですが、抜け漏れやミスなどの課題があるため非効率です。見積もりは企業や組織の営業戦略として重要な要素です。見積管理システムを導入することで、業務効率化や管理業務の負担軽減が期待できます。

見積管理システムの導入を検討する際は、自社の業務ニーズを明確にし、最適なシステムを選定しましょう。業務フローにあったシステム導入を検討する場合は、システム構築の専門家に任せるのも1つの選択肢です。

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監修者のコメント

株式会社GeNEE

代表取締役 日向野卓也

東京工業大学環境・社会理工学院卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。MBA（経営学修士）取得。国内最大手SIerの株式会社NTTデータで大手法人領域（大手流通企業、大手小売企業）の事業開発、事業企画等の業務に従事。米国スタンフォード大学への研修留学を経て、システム/モバイルアプリ開発会社の株式会社GeNEEを創業。

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エクセルは非常に便利なツールですが、あくまで個人もしくは少人数のユースケースを前提とした仕様です。組織の成長に合わせて、システム移行の検討を行う必要があると思います。

弊社のお客様の中にも、「人が増えてデータ統合・管理が大変になった」、「エクセルだと大量かつ複合的な処理ができないことに困っている」、「他のツールとの連携に限界を感じている」、「エクセルの更新誤りがあり、お客様に迷惑をかけてしまった」というような理由で、エクセルからシステムへ移行を図るケースが増えています。

見積発行・見積管理業務に携わる担当者から問題の声が上がったらすぐにでもシステム化の検討に入ることをおすすめします。

執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。