事業所得はいくらから確定申告すべき?申告のメリットや方法を解説!

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2024年05月13日
事業所得はいくらから確定申告すべき?申告のメリットや方法を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 事業所得で確定申告が必要なケースは?
  • 事業所得と雑所得の違いは?
  • 事業所得の確定申告をするメリットは?

個人事業主や副業している会社員の方であれば「自分の収入は事業所得になるのか?」「確定申告しなければならないのか?」と疑問に思うことがあるでしょう。事業所得を得ており青色申告をしている場合、さまざまな税制上の優遇が受けられます。

この記事では、事業所得と雑所得の違いや事業所得で確定申告を行うメリットについて解説します。最後まで読めば、事業所得の確定申告で選べる青色申告と白色申告の違いもわかるでしょう。

確定申告が必要かどうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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事業所得の種類7つ

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事業所得とは、以下7つの所得を指します。

  • 農業
  • 漁業
  • 製造業
  • 卸売業
  • 小売業
  • サービス業
  • その他の事業

個人事業主の場合、事業主がリスクを負って経営している、反復継続性がある場合には事業所得と見なされるでしょう。不動産所得や山林所得、雑所得と判断されるケースもあるため、詳しくは税務署や税理士に確認すると安心です。

事業所得で確定申告が必要なケース

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事業所得で確定申告が必要な条件は、個人事業主と給与所得者で異なります。確定申告すべき所得額が異なるため、よく注意して未申告にならないようにすべきです。

重要なポイントは、収入ではなく所得金額であることです。所得は収入から必要経費を差し引いたものであるため、収入が確定申告の基準を上回っていても、必要経費を考慮すると確定申告不要ということもあり得ます。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、事業所得が48万円を超えるケースで確定申告が必要です。所得の合計が2,400万円以下の場合、基礎控除が48万円であるため、事業所得が48万円以下であれば確定申告しなくても問題ありません。

青色申告をしており青色申告特別控除を受けたい場合には、確定申告が必須です。加えて、前年や前々年に大きな赤字や黒字が発生している場合にも、確定申告した方がいいケースがあります。

給与所得者が副業をしている場合

給与所得者が副業として事業を営んでいる場合、事業所得が20万円を超えると確定申告しなければなりません。事業所得に限らず、雑所得や一時所得など、年末調整されている給与所得以外の所得が20万円を超えた場合には確定申告が必須です。

注意すべきなのは、事業所得や雑所得の合計が20万円を超えると申告しなければならない点です。各所得は20万円未満であっても、合計が20万円を超えるかどうかが基準となります。

事業所得と雑所得の違い

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事業所得と雑所得の違いは、事業の規模や独立性から判断されます。事業所得は、規模が大きく事業主の裁量で運営されているものです。たとえば駐車場経営の場合、駐車台数が数台で管理会社が必要機材を設置するケースでは雑所得、50台以上で個人事業主が機材をそろえるケースでは事業所得と見なされるでしょう。

一方、雑所得は事業所得以外の個人収入のことです。給与所得者が副業で得た収入は一般的に雑所得に分類されます。副業の規模が大きくなると、事業所得で確定申告できるようになる可能性もあるでしょう。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

事業所得で確定申告するメリット4つ

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事業所得で確定申告するメリットは以下の4つです。

  1. 他の所得と損益通算できる
  2. 青色申告特別控除を受けられる
  3. 純損失の繰越が適用できる
  4. 青色事業専従者給与を経費にできる

青色申告で受けられるメリットと白色申告でも受けられるメリットがあるため、違いを理解しておくことが重要です。

1. 他の所得と損益通算できる

事業所得で確定申告するメリットの1つは、他の所得と損益通算できることです。損益通算とは、ある所得の赤字と別の所得の黒字を相殺することです。損益通算により、所得を圧縮して所得税額を抑えられます。

損益通算は、特定の所得でのみ行える点に注意が必要です。国税庁ホームページによれば、損益通算の対象となるのは不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の4つです。損益通算が行えるケースについては以下の記事もご覧ください。

2. 青色申告特別控除を受けられる

事業所得で確定申告することで、青色申告特別控除を受けられるメリットがあります。青色申告特別控除は、青色申告のみに適用される税制上の優遇措置であり、条件を満たすことで10万円から最大65万円の控除を受けられるものです。

簡易簿記で帳簿を作成している場合には10万円の控除、損益計算書・賃借対照表を確定申告書に添付しe-Tax による申告を行うと最大65万円の控除が受けられます。e-Taxで確定申告できなくても、複式簿記による記帳と賃借対照表・損益計算書の添付で55万円の控除が受けられる点もメリットです。

3. 純損失の繰越が適用できる

事業所得で青色申告すると、純損失の繰越が適用できます。純損失の繰り越しとは、損益通算しても赤字が残った場合に、その損失を翌年以降3年間繰り越せる制度です。翌年から3年間のうち、黒字が出た年には、赤字と相殺して所得を圧縮できます。

たとえば、ある年の純損失が200万円だったとしましょう。翌年の所得が1,000万円の場合、国税庁ホームページの「所得税の税率」によれば、税率は33%です。純損失の繰越しを適用すると、所得額は1,000万円-200万円=800万円となり、税率23%が適用されます。

4. 青色事業専従者給与を経費にできる

事業所得で青色申告すると、青色事業専従者給与を経費にできます。青色事業専従者とは、個人事業主の下で働く家族従業員のことです。家族への給与を経費に計上できれば、所得を圧縮して大幅な節税が期待できます。

白色申告の場合、青色事業専従者給与を経費にすることはできませんが、専従者控除が認められています。青色事業専従者給与とは異なり、個人事業主の配偶者の場合86万円、配偶者以外の場合50万円の定額です。事業所得で白色申告する場合、扶養控除と専従者控除のどちらが有利になるのか慎重に見極めなければなりません。

事業所得の税額を計算する方法

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事業所得の所得税額を計算するためには、課税対象所得額と所得税率を知らなければなりません。課税対象所得額は「総収入額-必要経費」で計算できます。たとえば、総収入額が1,000万円、必要経費が400万円であれば、課税対象所得額は1,000万円-400万円=600万円です。

次に国税庁ホームページにある「所得税の税率」で所得税率を確認します。課税対象所得額が600万円の場合、所得税率20%、控除額が427,500円です。事業所得の所得税額は、600万円×20%-427,500円=772,500円となります。

事業所得の確定申告方法

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事業所得の確定申告は、次の4ステップで行えます。

  1. 必要書類を準備する
  2. 確定申告書を作成する
  3. 確定申告書を提出する
  4. 所得税を納付する

個人事業主の場合、毎年事業所得で確定申告するためトラブルになりにくいでしょう。一方、給与所得者の副業が事業規模になるケースでは、慣れるまで少し時間がかかる可能性があります。

1. 必要書類を準備する

事業所得の確定申告手続きに必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • 本人確認書類
  • 所得を証明できるもの
  • 所得控除や税額控除の適用を証明できるもの
  • 銀行口座(還付がある場合)

確定申告書は税務署や確定申告会場のほか、国税庁ホームページからもダウンロードできます。事業の種類や規模により必要な書類が異なる可能性があるため、余裕を持って準備を始めましょう。

2. 確定申告書を作成する

確定申告書を用意したあと、必要事項を記入します。所得金額が控除額、繰越す損失などを正確に記載しましょう。

国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用することで、自宅にいながら簡単に確定申告することも可能です。e-Taxを利用する場合には、事前に申請し利用者識別番号を取得する必要があります。

3. 確定申告書を提出する

確定申告書や必要書類を整えたあと、書類を税務署に提出します。税務署へ直接書類を提出する、書類を郵送する、e-Taxを利用する3つの選択肢から、もっとも都合のいい方法を選びましょう。

所得税は3月15日までに納税まで済ませなければなりません。確定申告の時期は税務署が非常に混みあうため、質問や不安がある場合には早めに確認しておきましょう。

4. 所得税を納付する

確定申告書の提出後、所得税を納付します。所得税の納付方法は以下の7つです。

  • 振替納税
  • ダイレクト納付
  • インターネットバンキング・ATM
  • クレジットカード
  • スマホアプリ納付
  • コンビニ納付
  • 金融機関や税務署の窓口納付

手数料がかからない、領収書が発行されるなど、それぞれメリット・デメリットがあるため、自分に都合のいい方法を選びましょう。

まとめ

事業所得は個人事業主の場合48万円、給与所得者の場合20万円から確定申告が必要です。事業所得で確定申告すると、損益通算や青色事業専従者給与・専従者控除など税制の優遇が受けられます。自分の所得が事業所得か雑所得かを適切に判断し、法定期限内に申告と納税を済ませましょう。

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よくある質問とその回答

  • 事業所得と給与所得の違いとは?

    事業所得は「自営業や事業活動による収入」を指し「雇用による収入」である給与所得とは異なります。事業所得は、個人が自営業や事業活動を行い得る収入のことです。給与所得は、雇用された労働者が、雇用者から支払われる給与や賞与、退職金などの収入を指します。

    給与所得者は、勤務先の雇用主や会社が年末調整によって納税してくれるため、原則として確定申告をする必要はありません。副業による所得が20万円を超える、2カ所以上から給与を支給されているなどのケースでは確定申告しなければならない点に注意しましょう。

  • 副業で得ている事業所得の例は?

    副業で得ている事業所得には、以下の収益が挙げられます。

    フリーランスの仕事 ウェブデザイナーやライターなどの仕事を請け負って得る報酬
    転売や販売業 ネットショップやフリマアプリで販売することで得られる収益
    講師やコンサルタント 専門知識を生かして講師やコンサルタントとして仕事を受けることで得られる収入
    不動産投資 不動産の賃貸や売買で得られる利益

    副業で得ている所得は事業所得、もしくは雑所得に分類されます。自分では事業所得であると思っていても、税務署が雑所得と判断するケースは少なくありません。不安な場合には、確定申告の前に税務署に行って相談しましょう。

  • 会社にバレずに確定申告をする方法は?

    副業について会社にバレずに確定申告をする方法は、自分で住民税を納付することです。確定申告書の「第二表」「住民税・事業税に関する事項」の項目で「給与・公的年金に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」欄にある「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れましょう。

    普通徴収を選択することにより、収入に対する住民税の納付書が自宅に送られ、給与から天引きされることがなくなります。赤字の場合は損益通算が行われ、副業していることが会社にバレる可能性があるため注意が必要です。

監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

確定申告すべき人がしなかった(忘れていた)場合だけでなく、確定申告で申告した税額が本来納めるべき税額より少なかった場合には「延滞税」「過少申告加算税」などのペナルティがあります。

確定申告の季節を迎える前に、確定申告をする必要があるのかどうか、必要な場合にはどのような書類を準備すべきかなど、事前に国税庁のホームページや税務署の窓口、税理士等に確認しておかれるとよいでしょう。

また、個人事業主として事業を行う場合には、青色申告を選択するほうが税法上とても有利となっています。 これから事業を行う方は、青色申告とはどういう制度なのかについても、ご自身の税務の知識を備え付けるためにも、税務署に問い合わせておくといいでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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