事業所得は「自営業や事業活動による収入」を指し「雇用による収入」である給与所得とは異なります。事業所得は、個人が自営業や事業活動を行い得る収入のことです。給与所得は、雇用された労働者が、雇用者から支払われる給与や賞与、退職金などの収入を指します。
給与所得者は、勤務先の雇用主や会社が年末調整によって納税してくれるため、原則として確定申告をする必要はありません。副業による所得が20万円を超える、2カ所以上から給与を支給されているなどのケースでは確定申告しなければならない点に注意しましょう。
個人事業主や副業している会社員の方であれば「自分の収入は事業所得になるのか?」「確定申告しなければならないのか?」と疑問に思うことがあるでしょう。事業所得を得ており青色申告をしている場合、さまざまな税制上の優遇が受けられます。
この記事では、事業所得と雑所得の違いや事業所得で確定申告を行うメリットについて解説します。最後まで読めば、事業所得の確定申告で選べる青色申告と白色申告の違いもわかるでしょう。
確定申告が必要かどうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
もしも今現在、
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の税理士・公認会計士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。
事業所得とは、以下7つの所得を指します。
個人事業主の場合、事業主がリスクを負って経営している、反復継続性がある場合には事業所得と見なされるでしょう。不動産所得や山林所得、雑所得と判断されるケースもあるため、詳しくは税務署や税理士に確認すると安心です。
事業所得で確定申告が必要な条件は、個人事業主と給与所得者で異なります。確定申告すべき所得額が異なるため、よく注意して未申告にならないようにすべきです。
重要なポイントは、収入ではなく所得金額であることです。所得は収入から必要経費を差し引いたものであるため、収入が確定申告の基準を上回っていても、必要経費を考慮すると確定申告不要ということもあり得ます。
個人事業主の場合、事業所得が48万円を超えるケースで確定申告が必要です。所得の合計が2,400万円以下の場合、基礎控除が48万円であるため、事業所得が48万円以下であれば確定申告しなくても問題ありません。
青色申告をしており青色申告特別控除を受けたい場合には、確定申告が必須です。加えて、前年や前々年に大きな赤字や黒字が発生している場合にも、確定申告した方がいいケースがあります。
給与所得者が副業として事業を営んでいる場合、事業所得が20万円を超えると確定申告しなければなりません。事業所得に限らず、雑所得や一時所得など、年末調整されている給与所得以外の所得が20万円を超えた場合には確定申告が必須です。
注意すべきなのは、事業所得や雑所得の合計が20万円を超えると申告しなければならない点です。各所得は20万円未満であっても、合計が20万円を超えるかどうかが基準となります。
事業所得と雑所得の違いは、事業の規模や独立性から判断されます。事業所得は、規模が大きく事業主の裁量で運営されているものです。たとえば駐車場経営の場合、駐車台数が数台で管理会社が必要機材を設置するケースでは雑所得、50台以上で個人事業主が機材をそろえるケースでは事業所得と見なされるでしょう。
一方、雑所得は事業所得以外の個人収入のことです。給与所得者が副業で得た収入は一般的に雑所得に分類されます。副業の規模が大きくなると、事業所得で確定申告できるようになる可能性もあるでしょう。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
事業所得で確定申告するメリットは以下の4つです。
青色申告で受けられるメリットと白色申告でも受けられるメリットがあるため、違いを理解しておくことが重要です。
事業所得で確定申告するメリットの1つは、他の所得と損益通算できることです。損益通算とは、ある所得の赤字と別の所得の黒字を相殺することです。損益通算により、所得を圧縮して所得税額を抑えられます。
損益通算は、特定の所得でのみ行える点に注意が必要です。国税庁ホームページによれば、損益通算の対象となるのは不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の4つです。損益通算が行えるケースについては以下の記事もご覧ください。
事業所得で確定申告することで、青色申告特別控除を受けられるメリットがあります。青色申告特別控除は、青色申告のみに適用される税制上の優遇措置であり、条件を満たすことで10万円から最大65万円の控除を受けられるものです。
簡易簿記で帳簿を作成している場合には10万円の控除、損益計算書・賃借対照表を確定申告書に添付しe-Tax による申告を行うと最大65万円の控除が受けられます。e-Taxで確定申告できなくても、複式簿記による記帳と賃借対照表・損益計算書の添付で55万円の控除が受けられる点もメリットです。
事業所得で青色申告すると、純損失の繰越が適用できます。純損失の繰り越しとは、損益通算しても赤字が残った場合に、その損失を翌年以降3年間繰り越せる制度です。翌年から3年間のうち、黒字が出た年には、赤字と相殺して所得を圧縮できます。
たとえば、ある年の純損失が200万円だったとしましょう。翌年の所得が1,000万円の場合、国税庁ホームページの「所得税の税率」によれば、税率は33%です。純損失の繰越しを適用すると、所得額は1,000万円-200万円=800万円となり、税率23%が適用されます。
事業所得で青色申告すると、青色事業専従者給与を経費にできます。青色事業専従者とは、個人事業主の下で働く家族従業員のことです。家族への給与を経費に計上できれば、所得を圧縮して大幅な節税が期待できます。
白色申告の場合、青色事業専従者給与を経費にすることはできませんが、専従者控除が認められています。青色事業専従者給与とは異なり、個人事業主の配偶者の場合86万円、配偶者以外の場合50万円の定額です。事業所得で白色申告する場合、扶養控除と専従者控除のどちらが有利になるのか慎重に見極めなければなりません。
事業所得の所得税額を計算するためには、課税対象所得額と所得税率を知らなければなりません。課税対象所得額は「総収入額-必要経費」で計算できます。たとえば、総収入額が1,000万円、必要経費が400万円であれば、課税対象所得額は1,000万円-400万円=600万円です。
次に国税庁ホームページにある「所得税の税率」で所得税率を確認します。課税対象所得額が600万円の場合、所得税率20%、控除額が427,500円です。事業所得の所得税額は、600万円×20%-427,500円=772,500円となります。
事業所得の確定申告は、次の4ステップで行えます。
個人事業主の場合、毎年事業所得で確定申告するためトラブルになりにくいでしょう。一方、給与所得者の副業が事業規模になるケースでは、慣れるまで少し時間がかかる可能性があります。
事業所得の確定申告手続きに必要な書類は以下のとおりです。
確定申告書は税務署や確定申告会場のほか、国税庁ホームページからもダウンロードできます。事業の種類や規模により必要な書類が異なる可能性があるため、余裕を持って準備を始めましょう。
確定申告書を用意したあと、必要事項を記入します。所得金額が控除額、繰越す損失などを正確に記載しましょう。
国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用することで、自宅にいながら簡単に確定申告することも可能です。e-Taxを利用する場合には、事前に申請し利用者識別番号を取得する必要があります。
確定申告書や必要書類を整えたあと、書類を税務署に提出します。税務署へ直接書類を提出する、書類を郵送する、e-Taxを利用する3つの選択肢から、もっとも都合のいい方法を選びましょう。
所得税は3月15日までに納税まで済ませなければなりません。確定申告の時期は税務署が非常に混みあうため、質問や不安がある場合には早めに確認しておきましょう。
確定申告書の提出後、所得税を納付します。所得税の納付方法は以下の7つです。
手数料がかからない、領収書が発行されるなど、それぞれメリット・デメリットがあるため、自分に都合のいい方法を選びましょう。
事業所得は個人事業主の場合48万円、給与所得者の場合20万円から確定申告が必要です。事業所得で確定申告すると、損益通算や青色事業専従者給与・専従者控除など税制の優遇が受けられます。自分の所得が事業所得か雑所得かを適切に判断し、法定期限内に申告と納税を済ませましょう。
比較ビズは、個人事業主も給与所得者も頼りにできる税理士を短時間で探せる便利なWebサイトです。自分が設定した条件によって全国の税理士を比較できるため、税理士選びに失敗せずに済みます。これから確定申告をする、確定申告を丸投げしたい、正確な申告を行うアドバイスが欲しいと感じている方は、ぜひ1度比較ビズを利用してください。
1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
もしも今現在、
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の税理士・公認会計士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。