システム開発におけるリスク管理の方法を紹介!リスク要因や発注側の対策も解説
- システム開発におけるリスク要因とは?
- システム開発におけるリスク管理の方法とは?
- 発注側のリスク管理の方法とは?
システム開発は開発費や納期、品質など、さまざまなリスクが存在するため、個々に応じたリスク管理の方法を取る必要があります。システム開発会社は、どのようなリスク管理の方法を採用すべきでしょうか。
この記事を読むと、システム開発におけるリスク管理の方法やリスク要因、発注側の対策などに関して理解できます。顧客とのトラブルに悩んでいる方、新たなシステム導入を検討している方は、参考にしてください。
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システム開発における5つのリスク要因
システム開発で生じるリスクは以下の5つに分けられます。
- 金銭的リスク
- 納期リスク
- 品質リスク
- 技術的リスク
- 組織的リスク
リスクの内容を1つひとつみていきましょう。
金銭的リスク
金銭的リスクとは、事前に提出した見積金額より開発費が増えるリスクを指します。仕様変更や作業工数の見誤り、試作品の作成回数増加など、開発費が高騰する要因はさまざまです。
システム開発はユーザー側に見積書を提出し、合意を得たうえで着手します。見積書には修正作業の費用も含んで提出するのが一般的です。開発費が見積書より上回るとユーザーからの信用も失い、今後の継続発注は望めないでしょう。
入念なヒアリングやリスクの可視化などによって、見積金額の正確性を高めておくことが重要です。
納期リスク
納期リスクとは、ユーザーの希望納期にシステムを納品できないリスクのことです。システム開発は、事前の計画どおりに進むことはほとんどありません。設計変更や人員不足などが重なると、全体のスケジュールに遅れが生じます。
プロジェクトマネージャーが、トラブルや修正作業の工数を少なく見積もっていた場合、納期遅延を招く可能性が高まるでしょう。
指定納期までにシステムを納入できなかった場合、損害賠償を請求される可能性もあります。定期的にコミュニケーションを重ね、ユーザーと強固な信頼関係を構築することが重要です。納品が間に合わない場合でも明確な理由を示せると、損害賠償の請求リスクを抑えられます。
品質リスク
品質リスクとは、開発したシステムがユーザーの求める基準に満たないリスクを指します。品質リスクが発生する原因は、ユーザーと開発側で共通の認識を持てていないためです。
要件定義に十分な時間を割かず、コミュニケーション不足の状態で開発に着手すると、認識にズレが生じる可能性が高まります。開発手法によっては大幅な修正を余儀なくされ、追加費用の発生や納期遅延など、複数のリスクが発生するケースも珍しくありません。
ユーザーの意図しないシステムが完成した場合、信頼関係の崩壊やイメージダウンは避けられないでしょう。要件定義の工数確保に加え、仕様変更を想定して開発手法を選択することが重要です。
技術的リスク
技術的リスクは2種類に分けられます。1つめのリスクは、ユーザーの求める機能を実装したシステムを開発できなくなることです。
ヒアリングの段階では開発可能と判断したものの、開発着手後に仕様や設計が複雑で対応できないケースも珍しくありません。新しい技術を採用する場合は、特に注意しましょう。
2つめのリスクは、仕様どおりにシステムが稼働しないことです。開発途中で生じたバグや欠陥の解決方法がわからず、システムを完成させられないケースが該当します。
リリース後に想定外の不具合が頻繁に発生し、満足に稼働できない状況もリスクの対象です。案件の受注前に自社で対応できるかどうか、慎重な見極めが求められます。
組織的リスク
組織的リスクとは、システム開発のプロジェクトチームに問題が生じるリスクを指します。開発がスムーズに進むかどうかは、プロジェクトマネージャーのスキルや経験にかかっています。
プロジェクトマネージャーにはユーザーの要望を汲み取りつつ、スケジュール調整や仕様固めを進める役割が求められます。プロジェクトマネージャーのスキルが不足していると、顧客とのトラブルを解決できません。
一方、社内では予算管理や進捗状況の把握、人員配置などを担い、開発チームを引っ張る存在です。スキル不足では各担当者の進捗状況や作業負荷を正確に把握できず、複数のリスクが発生します。
システム開発におけるリスク管理の方法【受注側】
システム開発会社がリスク管理する方法には、以下6つの選択肢が挙げられます。
- 要件定義に時間をかける
- プロトタイプ開発を選択する
- スパイラル開発を選択する
- テスト検証に十分な工数を確保する
- リスクの抽出と優先順位付けをおこなう
- プロジェクト管理ツールを導入する
システム開発の流れを理解しているユーザーばかりではありません。要件定義やテストの重要性をユーザーに説明し、共通認識を持つことが重要です。
システム開発の経験がとぼしいユーザーから依頼を受けた場合は、開発手法にプロトタイプ開発やスパイラル開発を選択しましょう。開発の初期段階でシステムの完成イメージを描けるため、認識のズレにともなう手戻りを最小限に抑えられます。
要件定義に時間をかける
要件定義とは、顧客からの要望を発注側の視点でまとめる工程です。システムの完成度や開発の進捗スピードに大きな影響を及ぼすため、時間をかけて取り組みましょう。要件定義での主な決定事項を以下にまとめました。
概要 | 主な該当項目 | |
---|---|---|
機能要件 | システムに実装予定の機能 | ・データ分析 ・検索 ・アクセス権限の設定 ・帳簿の出力形式 |
非機能要件 | 実装予定の機能以外に関する内容 | ・セキュリティ性 ・拡張性 ・パフォーマンス ・運用や保守性 |
性能要件 | 開発するシステムの能力や性能 | ・応答時間 ・ページの表示スピード ・データ処理能力 ・耐久性 |
技術要件 | システム開発の際、活用予定の技術 | ・プラットフォーム ・フレームワークやライブラリ ・プログラミング言語 ・データベース |
その他 | システム開発全体の計画 | ・予算 ・今度のスケジュール ・開発の人員 ・作業場所 |
コミュニケーション不足によって、互いの認識にズレが生じた場合、修正工数の増大や仕様変更を招く可能性が高まります。最悪の場合は意図と異なるシステムが完成し、修正作業に追われて次の案件に多くの人員を割けなくなるでしょう。
ユーザーからの要望をていねいにヒアリングし、トラブルのリスク回避に努めます。要件定義が「ユーザーにとってもシステム開発で重要な工程」と伝えておくことも必要です。
プロトタイプ開発を選択する
プロトタイプ開発とは試作品(プロトタイプ)を作成し、動作検証の結果と顧客からのフィードバックをもとに、仕様を固めていく開発手法です。試作品にはシステムに実装予定の機能を搭載し、動作検証で課題の抽出や開発進行の可否を判断します。
試作品の改良を通じてシステムの完成度を高めていくため、要件定義では細部に至るまで仕様は詰めません。試作品の活用によって、ユーザーは開発の初期段階からシステムの完成イメージを正確に描けます。認識のズレにともなう修正工数の増大も防げるでしょう。
ユーザーがシステム開発経験にとぼしいケース、システムの完成イメージがあいまいな案件の場合に、おすすめの開発手法です。
スパイラル開発を選択する
スパイラル開発とは要件定義〜リリースまで、一連の工程を機能単位に分割し、重要度の高い機能から開発を進めていく手法です。プロトタイプ開発と同様、試作品の動作検証を通じてシステム全体の完成度を高めていきます。
試作品の改良を通じて仕様を固めていくため、ユーザーの要望を反映しやすい点がメリットです。開発途中で仕様変更や機能追加の要望があったとしても、柔軟に対応できます。
手戻りにともなう開発費の高騰や納期遅延のリスクも最小限に抑えられるでしょう。スパイラル開発は品質重視の案件、大規模なシステム開発に適している開発手法です。
テスト検証に十分な工数を確保する
十分なテスト工数の確保に努めましょう。システム開発では単体テスト〜運用テストまで、4段階のテスト工程を踏み、リリースするのが一般的です。ユーザーがシステム開発の経験や知識にとぼしい場合、テスト工数削減を求められる可能性もあります。
仮に工数削減を要求された場合、テストが不十分だった際に生じるリスクを述べましょう。テストの目的は、システムの安定稼働を実現するためです。テストが不十分ではバグや欠陥を十分に排除できず、リリース後に不具合が起きる可能性が高まります。
テストの目的をていねいに説明し、ユーザーから理解を得ることが重要です。
リスクの抽出と優先順位付けをおこなう
プロジェクトマネージャーは、システム開発でのリスクをすべて抽出し、リスクごとに優先順位をつけましょう。優先順位が高いリスクほど、開発の進捗やシステムの品質に与える影響力が大きいです。
優先順位の内容を人員配置やタスクの割り当て、進捗管理に反映し、リスク回避に努めます。作業内容や期限を明確にしておくと、担当者も迷いを抱えずに仕事に励めるでしょう。
プロジェクト管理ツールを導入する
プロジェクト管理ツールとは、スケジュール管理や情報共有に関する機能を搭載したシステムです。BacklogやCrowdlogなどが該当します。
ガントチャートやカンバンボードなどを搭載しており、作業が計画どおりに進んでいるか、一目で進捗状況の把握が可能です。
タスクの追加や優先順位の変更、ステータス管理などは、ドラッグ&ドロップで進められるため、操作に特別なスキルは必要ありません。
コメントやWiki、ファイル共有機能なども搭載しており、担当者間のコミュニケーション活性化が望めます。納期リスクや認識的リスクが原因でトラブルが発生している企業に、おすすめのツールです。
システム開発におけるリスク管理の方法【発注側】
ユーザー側がシステム開発を発注する際、実践可能なリスク管理の方法は以下の5つです。
- 複数のシステム開発会社を候補に挙げる
- RFPを作成する
- 開発手法の特徴を理解しておく
- 担当者との相性を見極める
- スケジュールに余裕を持つ
1つではなく複数の方法を実践すると、リスクヘッジの強化を図れます。
複数のシステム開発会社を候補に挙げる
複数のシステム開発会社から見積や提案を受けたうえで、外注先を選びましょう。1社にしか相談しなかった場合、提案力の高さや見積金額の正確性を正確に理解できません。各社の提案力や開発費の相場を把握するには、複数のシステム開発会社から選ぶことが重要です。
システム開発会社を探す際は、ビジネスマッチングの活用を検討しましょう。地域や業種など必要な情報を入力すると、条件に合致した企業が提示されます。得意分野や実績、対応可能な業務など、各企業の特徴がコンパクトにまとめられている点も魅力です。
「比較ビズ」を利用すると、約1,000社のなかから自社の条件を満たす企業を見つけられます。
「仕事の発注先を探している企業」と「新規顧客を探している企業」を結び付けるサイトです。サイトによっては税理士事務所やフリーランスクリエイターなど、一般企業以外の方も探せます。
企業ごとの強みや特徴もまとめられており、短時間で多くの情報を集められるでしょう。
RFPを作成する
RFP(Request for Proposal)とは、自社の要望をまとめた提案依頼書のことです。システムやアプリ開発の際、発注側から外注先の候補となる企業に提出します。RFPに記載する主な内容を以下にまとめました。
- システム開発に至った経緯
- 解決したい課題
- 予算
- 希望納期
- 求める品質
- 実装する機能と不要な機能
- 既存サーバーやPCなどの使用環境
RFPを作成するメリットは、外注先と共通認識を持てる点です。自社の要望を書面に残せるため、口頭での伝達ミスや勘違いにともなう認識のズレを防げます。追加費用や納期遅延の発生リスクを最小化できるでしょう。
RFPの完成度が高まるほど、各社からの提案レベルや見積金額の正確性が増すため、RFPの作成時間を十分確保しましょう。
開発手法の特徴を理解しておく
システム開発の手法は以下の4種類に分類できます。
- ウォーターフォール開発
- アジャイル開発
- プロトタイプ開発
- スパイラル開発
ウォーターフォール開発とは要件定義〜リリースまで、一連の工程を順番に進めていく手法です。工程が完了しないと次に進まないため、進捗状況が把握しやすくなります。
一方、アジャイル開発とは設計〜テストまでの工程を機能単位で進めていく手法です。一連の工程を短期間で繰り返すため、システム開発の期間を短縮できます。3と4に関しては上記をご確認ください。
システム開発の手法は開発者のスキルや開発対象に応じて、使い分けるのが一般的です。各手法の特徴を把握しておくと、システム開発会社からの説明にも理解を深められ、認識のズレが起きにくくなります。
担当者との相性を見極める
コミュニケーションが取りやすい担当者を選ぶことが重要です。システムは開発して終わりではありません。リリース後にメンテナンスやアップデートも依頼した場合、長期的な付き合いとなります。
情報共有がしやすい担当者を選ぶと、疑問点やトラブルが生じても早期に解決できるでしょう。システム開発は専門用語が多数登場するため、わかりやすく解説してくれるかどうかが、1つの判断基準です。メールでのやりとりや商談の際に、担当者との相性を見極めます。
開発費やスケジュールの説明があいまいな方、専門用語を多用する方はトラブルを招く可能性が高いため、依頼は避けましょう。
スケジュールに余裕を持つ
余裕を持った開発スケジュールを立てましょう。システム開発の場合、事前の計画どおりに開発が進むケースはほとんどありません。リソース不足や開発の難易度、作業工数の見誤りなど、さまざまな要因によって進捗に遅れが生じます。
アクシデントの発生も想定したうえで、システムの希望納期を伝えることが重要です。スケジュールが短納期の場合は、設計やテストに十分な時間を確保できず、リリース後に不具合が起きる可能性が高まります。
まとめ
今回の記事では以下の3点に関して述べてきました。
- システム開発におけるリスク要因
- システム開発におけるリスク管理の方法
- ユーザー側のリスク管理の方法
ユーザーはシステム開発を依頼する際、RFPの作成や担当者との相性確認など、多くの点に気を配らなければなりません。見積金額の相場と開発力を見極めるため、複数のシステム開発会社へ見積を依頼する必要もあります。
ただし、既存事業の運営で精一杯の場合、外注先を探す時間を十分に確保できずに困っている方もいるでしょう。社内リソースに不安を抱えている場合は、ビジネスマッチングを活用するのがおすすめです。
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ただ、実はもう一つ隠れたリスクがあります。それは「社内の人間を信頼しすぎる営業担当者」です。営業担当者の多くは技術者ではありません。しかし技術やシステムの内容がわからなくても「うちの技術担当ならなんとかしてくれる」と過信して、できないことを「はいできます」と答えてしまう人がいます。発注しようとしている側にそれを嘘と見抜くのは難しいでしょう。
そんなときは、担当する技術者を呼んでもらったり、実物(デモ)を見せてもらったり、どうしてそれが可能なのかを論理的に説明してもらったりと納得行くまで積極的なコミュニケーションが大切です。
技術者は責任をとるのが自分になるので嘘がつけません。実物やデモがあれば実際に作ったことがあるので安心です。中には過去プログラマーやエンジニアとしての経験がある人が営業担当となっているケースもあるので、そういう方はちゃんと説明してくれます。時間とお金に余裕があれば、正式な以来の前に仮依頼をし、プロトタイプや検証用のプログラムを組んでもらうのが最も確実な手段です。
全ての意を汲んで任せてしまえるシステム開発会社を探すのは大変ですが、そのための努力は惜しんではいけません。人が作るものですから、受託会社がちゃんと理解しているか確認する意味も込めて、積極的なコミュニケーションが一番の解決策です。間違っても、比較するために見積もりだけもらって説明も聞かずに金額で決めるようなことはしないよう、おすすめ致します。
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もしも今現在、
- どの開発会社に依頼したらいいかわからない
- APIの利用や管理が適切か不安
- マッチングサイトを作りたい
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数のシステム開発会社に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。
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