譲渡所得で確定申告が必要になるケース!不動産を売却した際に申告は必要?

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2024年02月15日
譲渡所得で確定申告が必要になるケース!不動産を売却した際に申告は必要?
この記事で解決できるお悩み
  • 譲渡所得で確定申告すべきケースは?
  • 譲渡所得の確定申告で利用できる特例は?
  • 譲渡所得の確定申告で注意すべき点は?

資産の売却で譲渡所得を得た方は「確定申告は必要なの?」と疑問を持つでしょう。譲渡所得の確定申告が必要なパターンは3つあります。譲渡所得は高額になることがあるため、確定申告が必要かどうかや効果的な節税対策を知っておくことは非常に重要です。

この記事では、譲渡所得で確定申告が必要になるケースや適用される特例を解説します。最後まで読めば、譲渡所得の確定申告について理解が深まるでしょう。

譲渡所得がある方は、ぜひ参考にしてください。

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譲渡所得の確定申告が必要なパターン3つ

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譲渡所得の確定申告が必要なのは、主に以下の3つのパターンです。

  • 不動産を売却した場合
  • 株式や投資信託などの有価証券を売却した場合
  • 特例を適用したい場合

証券や不動産を売却することがあまりない方は、譲渡所得の確定申告が必要になるケースをよく把握しておく必要があるでしょう。

1. 不動産を売却した場合

不動産や土地を売却して利益を得た場合は、譲渡所得の確定申告が必要です。売却価格から取得価格や譲渡費用を差し引いて譲渡所得を計算します。

不動産の売買契約が成立した時点で、譲渡所得が発生するため、売却した年度に確定申告を行わなければなりません。

2. 株式や投資信託などの有価証券を売却した場合

株式や投資信託などの有価証券を売却した場合も、譲渡所得の確定申告が必要です。株式や投資信託の売却価格から取得価格や譲渡費用を差し引いた所得に課税されます。

すでに源泉徴収された所得税があり、確定申告によって納めすぎていることがわかったケースでは、還付金を受け取れるでしょう。

3. 特例を適用したい場合

不動産の売却で特例を適用したい場合にも確定申告は必須です。特例を適用したい場合、結果的に納税額がゼロになっても確定申告しなければなりません。不動産の売却で適用できる特例として「マイホームを売ったときの特例」が挙げられます。マイホームの売却時、条件を満たすと最大3,000万円の特別控除が受けられるため効果的な節税になるでしょう。

譲渡所得と他の所得の損益通算を行う場合にも確定申告が必要です。これを「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といいます。マイホームを売却したため譲渡損失が生じ、新たにマイホームを購入した方が対象となることを覚えておきましょう。

譲渡所得の確定申告が不要なパターン3つ

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譲渡所得の確定申告が不要なのは、主に以下の3つのパターンです。

  • 譲渡損失がある場合
  • 年間20万円以下の譲渡所得になる場合
  • 住宅売却などに関する特別措置の対象となる場合

確定申告が不要なケースに該当する場合であっても、確定申告した方が節税になるケースもあります。節税になるかどうかわからない場合には、税理士にアドバイスを求めるといいでしょう。

1. 譲渡損失がある場合

譲渡損失があり所得がマイナスになる場合、確定申告は不要です。不動産の価格の変動により、譲渡価格が取得価額を下回るケースがあります。たとえば、取得価額が1,000万円で、譲渡価格が800万円であった場合は、譲渡損失が200万円発生するでしょう。

譲渡損失がある場合、譲渡所得が発生しないため確定申告が不要となります。

2. 年間20万円以下の譲渡所得になる場合

給与所得を得ている会社員の場合、譲渡所得が年間20万円以下であれば確定申告が不要です。1カ所から給与所得を得ている会社員に限定されているケースで、2カ所以上から給与所得を得ている会社員や個人事業主は譲渡所得が20万円以下であっても確定申告しなければなりません。

譲渡所得が20万円以下の場合、譲渡所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は行わなければならい点に注意が必要です。住民税の納付を忘れないようにしましょう。

3. 住宅売却などに関する特別措置の対象となる場合

住宅売却などに関する特別措置の対象となる場合、確定申告が不要なケースがあります。住宅売却等などに関する特別措置は、主に自己居住用不動産の売却に関する税制優遇措置です。売却時に譲渡益が発生しても、所得税や住民税の課税対象から除外される場合があります。

所得税以外に固定資産税や都市計画税などの税金がかかるため、事前に確認することが重要です。

譲渡所得で利用できる特例4種類

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譲渡所得で利用できる特例は、主に以下の4つです。

  • マイホームを売ったときの特例
  • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
  • 特定のマイホームを買い換えたときの特例
  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例

特例をうまく活用することで効果的な節税が可能です。それぞれの特例に条件があるため、条件を満たしているか注意深く確認しましょう。

1. マイホームを売ったときの特例

マイホームを売ったときの特例」は、マイホーム(居住用財産)を売った際に、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円が控除できる特例です。 マイホームを売ったときの特例は、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
  • 売った年の前年および前々年にこの特例や譲渡損失の損益通算・繰越控除の適用を受けていないこと
  • 売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 以前住んでいた家屋を売却する場合は、住まなくなった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売ること
  • 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係ではないこと

最高3,000万円の高額の控除が受けられるため、譲渡所得の確定申告で大幅な節税が可能です。可能な場合は、いつでもマイホームを売ったときの特例を活用しましょう。

2. 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は相続税額のうち一定金額を取得費に加算できる特例です。相続や遺贈により取得した土地や建物、株式などの財産を一定期間内に売却した場合、相続税額の一部を減算できます。

どの程度の金額を減算できるかは、取得財産の価額や相続資産に対する相続税の課税標準額に応じて異なる点に注意しましょう。 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例が適用されるためには以下の条件を満たさなければなりません。

  • 相続や遺贈により財産を取得した者であること
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  • その財産を、相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

3. 特定のマイホームを買い換えたときの特例

特定のマイホームを買い換えたときの特例」は、特定のマイホームを売却し、代わりのマイホームを購入した場合に適用される特例です。条件を満たすことにより、譲渡益への課税を将来に繰り延べられます。

この特例を適用させるためには、以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
  • 売った年、その前年および前々年に、他の特例の適用を受けていないこと
  • 売ったマイホームと買い換えたマイホームは、日本国内にあること
  • 売却代金が1億円以下であること

4. マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マイホームを売ったときの軽減税率の特例」は、条件を満たした場合に長期譲渡所得税額を低い税率で計算できる特例です。居住するマイホームを所有して10年以上経過してから売却する場合、所得税と住民税の税率が軽減されます。

マイホームを売ったときの軽減税率の特例は、最高3,000万円の特別控除と併用できるため、課税譲渡所得が発生しても支払い税額を大幅に削減できます。軽減税率は、以下のとおりです。

  所得税の税率 住民税の税率
マイホーム軽減税率の特例(譲渡所得6,000万円以下の部分) 10.21% 4%
マイホーム軽減税率の特例(譲渡所得6,000万円超の部分) 15.315% 5%

マイホームを売ったときの軽減税率の特例を受けるためには、以下の条件を満たさなければなりません。

  • 日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること
  • 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること
  • 売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものではないこと

譲渡所得の計算方法

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不動産や株式などの資産を売却した場合、その売却益から必要な費用を差し引いた金額が譲渡所得になります。譲渡所得の計算方法は以下のとおりです。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用)

譲渡所得には、譲渡した年の1月1日の時点で取得から5年を超える長期譲渡所得と、5年以下の短期譲渡所得があります。短期譲渡所得の方が高い税率で所得税・住民税が算出されるため注意が必要です。売却に関わる手数料や税金などの費用も譲渡益から差し引けるため、必要に応じて税理士に相談するといいでしょう。

売却益から差し引ける費用3つ

確定申告では、不動産や株式など売却した利益から費用を差し引いて課税譲渡所得を計算します。譲渡益から差し引ける3つの費用は以下のとおりです。

  特徴 具体例
取得費 資産を取得するために支払った費用 購入価格や手数料、登記費用、修繕費用など
譲渡費用 資産を売却するために必要な費用 仲介手数料や譲渡税、印紙税、登記費用、広告宣伝費用、修繕費用など
各種の特例 条件を満たすことで受けられる税制上の優遇措置 マイホームを売ったときの特例、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例など

不動産の売却額が大きかったとしても、取得費や譲渡費用、適用される特例を加味すると、課税譲渡所得が減り所得税額がかなり少なくなるケースもあります。

譲渡所得の確定申告の必要書類

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譲渡所得の確定申告は、売却した不動産の種類や取引の形態により異なります。正確な確定申告を行うために、申告内容にあった書類を用意し、税務署のガイドラインや税理士のアドバイスを参考にしましょう。

一般的に譲渡所得の確定申告の必要書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 不動産購入時の売買契約書のコピー
  • 不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー
  • 不動産売却時の売買契約書のコピー
  • 不動産の譲渡費用がわかる領収書のコピー
  • 登記簿謄本または抄本
  • 源泉徴収票
  • 本人確認書類

基本的な必要書類や特例を適用する際の必要書類について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

譲渡所得の確定申告を行う際の注意点3つ

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譲渡所得の確定申告を行う際、以下の3つの点に注意しておくべきです。

  • 適用される特例を把握しておく必要がある
  • 確定申告の期限を守るため前もって準備を始める
  • 税金の計算を正確に行う

確定申告でトラブルを避けるため、これらの注意点を把握しておくことは非常に重要です。

1. 適用される特例を把握しておく必要がある

譲渡所得の確定申告では、最新の法律や制度の変更を把握しておくことが重要です。ある年に適用されていた特例が廃止される、新たな特例が始まるなどの変更は頻繁に行われます。

年末調整や確定申告に関係する、社会保険料控除や給与所得控除の算定方法が変更されるのも珍しくありません。常に最新の制度を把握し、自分の申告にあった制度を利用することが重要なポイントです。

2. 確定申告の期限を守るため前もって準備を始める

確定申告を法定申告期限内に行うため、前もって準備を始め、早めに提出しましょう。1月1日から12月31日の1年間に得た所得や経費を、翌年の2月16日から3月15日の間に申告し、所得税額を確定させなければなりません。

法定申告期限内に確定申告を済ませないと、無申告加算税や延滞税、重加算税などのペナルティが課せられるおそれがあります。外国に在住していた納税者や他の特別な事情があると税務署から認められた場合には、別の期限が設けられることがあるでしょう。

3. 税金の計算を正確に行う

譲渡所得に限らず、確定申告の際は税金の計算を正確に行うべきです。法定申告期限後に不正確な申告をしたと気づいた場合、修正申告が必要になります。加えて、過少申告加算税や延滞税などのペナルティを課せられるでしょう。

譲渡所得税や住民税の税率は、譲渡所得の金額や資産を所有していた期間により異なり、複雑な計算が必要な場合もあります。所得税の算出や書類作成の負担が大きい、確定申告の手続きが難しくてよくわからないなどのケースでは、税理士に相談することもおすすめです。

まとめ

譲渡所得の確定申告は、不動産の売却益が出た、特例を利用するなどのケースで必要になります。譲渡所得を得るパターンはさまざまであるため、確定申告が必要かどうか、摘要できる特例があるかをしっかり確認しましょう。必要に応じて税理士の助けを借り、負担を減らしつつ正確な申告を行うことが重要です。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

原則的な話をすれば、不動産は売買によって利益が出たときは、確定申告が必要だと思ってください。株式の場合ですと、いわゆる「特定口座制度」を利用している場合、口座内で確定申告と似た計算がなされ、税額が調整されますので、原則確定申告は不要になりますが、それ以外は利益がでているのであれば、確定申告を準備してください。

とは言え、利益が出ていなくても、確定申告をした方がよいケースがあります。不動産・株式の譲渡所得の場合、原則他の物の利益と不動産・株式の譲渡損失とで損益通算はできませんが、例外的にできる場合があります。

その損益通算は確定申告をしないと反映されません。株式の場合でも、特定口座取引で損失が発生していて、他の取引で株式譲渡益が発生している場合でも、確定申告しなければ損益通算はできません。

不動産・株式の税金は複雑でわかりにくい部分が多いと思います。わからない場合には、税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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