確定申告が必要な条件に該当しているのに確定申告をしない場合、無申告としてペナルティが課されます。追徴課税や無申告加算税の対象です。所得隠しと判断されると、最大40%の重加算税が課せられるでしょう。
国税庁ではインターネットを活用した収入手段が急速に伸びていることから、電子商取引専門調査チームを設置して監視の強化を図っています。
「YouTuberで収益を得たけど確定申告は必要なのだろうか?」とお悩みのYouTuber、必見です。
YouTuberとして収益を得る場合、確定申告をおこなう必要があります。副業として収益を得ていて所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
本記事ではYouTuberの確定申告が必要な条件をワークスタイル別に解説します。 この記事を読めば、YouTuberとして活動する方や副業で収入がある場合の確定申告の手続きがわかるでしょう。
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YouTuberは、ワークスタイルによって確定申告の有無が異なります。YouTuberのワークスタイルは、主に以下の5つのタイプに分類できます。
YouTuberが所得税の確定申告を行うかどうかは、YouTuberの収入の範囲や条件によって異なるでしょう。ここでの「所得」とは、広告収入をはじめとしたYouTubeチャンネル運営から得られた収入全体を指します。
所得税申告における必要経費は、収入を得るために必要かつ適切な費用のことです。たとえば、ユーチューブ動画を制作するための機材購入費・撮影や編集に関する費用・広告宣伝費などが該当します。経費を差し引いた金額が実際の課税所得です。
年末調整を受ける会社員の方で、副業としてのYouTube収入が20万円を超える場合は確定申告が必要です。年末調整では副業所得分の源泉徴収が精算できません。
副業の所得がYouTuberだけではなくほかにもあり、合計所得が20万円を超える場合も確定申告が必要です。たとえば、YouTuberとしての所得が年間10万円と仮定します。ほかに仮想通貨取引や家賃収入による所得が15万円ある場合、所得の合計が25万円となるため確定申告が必要です。
以下のいずれかに該当する場合は、YouTuberの収入に関係なく確定申告が必要です。
・会社員としての収入が2,000万円を超えている
・医療費控除や住宅ローン控除(適用1年目や年末調整未済の場合)など適用できる所得控除がある
組織・会社に所属せず、個人事業主・フリーランスの形で活動する場合は、本業YouTuberに該当します。本業YouTuberは、収入を含めた所得の合計が48万円を超える場合に確定申告が必要です。得られる収入の種類には、下記の3つがあります。
所得が48万円を超えなければ基礎控除の範囲で収まるため、税金が発生せず確定申告は不要です。YouTuberを本業にしている場合は、赤字であっても所得税の節税のため確定申告することをおすすめします。所得控除の適用を受けたい場合にも確定申告は必要です。
確定申告は「所得のあるすべての方」を対象にしています。未成年や学生が理由で「確定申告しない」ことにはなりません。開業届を提出している場合は、本業と同じ扱いになり所得が48万円を超えれば確定申告が必要です。
YouTuber以外に年末調整をしているアルバイト所得がある場合、YouTuberとしての所得が20万円を超えれば副業と同様に、確定申告が必要です。
アルバイトを複数掛け持ちしている場合、YouTuberに関係なく、年末調整を受けていない所得が20万円を超えている可能性が高いです。申告漏れがないよう注意しましょう。
事務所に所属しているYouTuberの場合、報酬の受け取り方には2種類のパターンがあります。
1の場合、年末調整されていれば収入が2,000万円を超えないかぎり確定申告は不要です。2の場合、給与以外に20万円を超える所得がある、医療費控除をはじめとする所得控除を適用したい場合は、確定申告が必要です。
グループYouTuberの場合、メンバーの1人が代表者として、広告収入や企業とのタイアップで得られる制作費・協賛金を受け取っています。グループで得た収入であっても、税務上は受け取っている代表者1人の収入です。
代表者以外のメンバーは、代表者から外注費として収入を得ているとみなします。たとえば、以下のケースが該当します。
以上の場合、代表者1人とほかのメンバー3人の所得計算は下記のとおりです。
代表者 | 400万円(収入)- 40万円(必要経費)- 270万円(外注費)= 90万円(所得金額) |
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代表者以外のメンバー1人あたり | 90万円(収入金額)- 0円(必要経費)= 90万円(所得金額) |
上記の結果、代表者およびほかのメンバーともに所得金額が48万円を超えているため、確定申告が必要です。
YouTuberによる収入の主な所得の種類は以下の3つです。
YouTuberの確定申告は、ワークスタイルにあった所得の分類からはじまります。
雑所得とは、9種類の所得区分に分離できない所得に使用する区分です。YouTuberの場合、事業所得や給与所得に該当しない場合、雑所得になります。
副業YouTuberの場合は、雑所得での申告が一般的です。雑所得は総合課税の課税方法になるため、雑所得以外の所得と合計して所得税を計算する特徴があります。
総合課税の対象となる雑所得以外の所得の種類は、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・譲渡所得・一時所得です。
事業所得とは、営んでいる事業で生計を立てている場合が該当します。YouTuberが得る可能性のある事業所得は、広告収入・チャンネルメンバーシップ・アフィリエイト収入などが挙げられます。開業届を提出しているYouTuberは、事業所得として確定申告が必要です。
事業所得は、青色申告で確定申告できる特徴があります。税制面での優遇が受けられるためYouTuberを本業にしようと考えている方にも推奨できます。
一般的なビジネスマンと同様に、所属する会社や事務所から給与や賞与、役員報酬として受け取る所得を意味します。動画配信の収益を、直接YouTuberが受け取るのではなく会社や事務所がいったん受け取り、YouTuberは会社から報酬を受け取ります。
給与や賞与、役員報酬として報酬を受け取るため、給与所得控除の適用ができるのが最大の魅力です。給与所得控除とは、給与収入から差し引ける控除です。
事業所得や雑所得の場合、発生した経費が控除できますが、給与所得には経費がありません。経費に該当する部分を「控除」として差し引くことで、ほかの所得との公平性を保っています。
YouTuberの確定申告のやり方は、以下の4ステップで簡単に申告できます。
確定申告をスムーズに行うためにも、領収書や確定申告書などの事前に必要なものを準備しておくといいでしょう。
帳簿をつけることで、確定申告に必要な1年間の収入と経費を集計します。集計結果をもとに決算書を作成します。決算書は、申告方式で異なるたため、以下を参考に作成しましょう。
申告方式 | 帳簿の作成方法 |
---|---|
白色申告・青色申告10万円控除の場合 | ExcelやGoogleスプレッドシートでも作成可能 |
青色申告65万円控除の場合 | ・複式簿記による帳簿作成 ・会計ソフトの利用がおすすめ |
青色申告65万円控除を適用するには、e-Taxを利用した申告書の提出が必要です。
青色申告・白色申告ともに売上計上のタイミングは重要なポイントです。売上の計上は入金日ではなく「商品を引き渡した時点」もしくは「サービスを提供した日」になります。
領収書は、帳簿を作成するために必要になり、決算書の根拠資料にもなります。保管方法は、電子帳簿保存法を意識した電子データでの保存を推奨します。紙での保存は、保管場所の確保や領収書の経年劣化など問題点もあるため、スキャナで読み取りパソコンやサーバーで保管する方法が最適です。
電子帳簿保存法は、国税庁のサイトで詳しく解説しているため参考にしてください。
1年間の収入と経費を集計した帳簿を参考に、所得を計算するための決算書を作成します。青色申告の場合は「青色申告決算書」白色申告の場合は「収支内訳書」を使用します。
青色申告決算書は、損益計算書や貸借対照表などの4枚構成です。損益計算書内で青色申告の控除額を記載するため、事業所得の金額が決定します。
白色申告の収支内訳書は収入や仕入れの明細や減価償却などの2枚構成です。売上や仕入れは青色申告決算書のように月別ではなく、取引金額の上位を記載する簡易的なものになります。
青色決算書や収支内訳書を参考に、確定申告書を作成します。提出する確定申告書は「第一表」と「第二表」です。第一表には、青色申告書で計算した売上の金額と所得金額を入力し、所得控除を実施して納税額を計算します。第二表は、所得控除金額の内訳や根拠・住民税に関する事項を記載します。
決算書と確定申告書の記載が完了したら、税務署に提出します。紙の場合は印刷し、郵送または税務署へ持参します。e-Taxを利用することで申告書の作成から提出までを実施できるため便利です。
青色申告特別控除を適用している場合は、e-Taxを利用して申告することで最大65万円控除が受けられます。節税効果も期待できるため、検討することをおすすめします。
YouTuberの確定申告には、撮影に使用した物を経費にできます。たとえば動画撮影機材・撮影場所まで移動した場合の交通費・撮影に使用した小物類などが挙げられるでしょう。
正しく経費を把握しなければ、税務署から指摘を受ける可能性があります。経費計上し過ぎた場合、意図的に利益を減少させたと見なされるケースもあるため注意が必要です。
経費には、YouTuberとして動画作成に関係がある費用のみ計上できます。動画作成に必要と証明できないものは、経費にできません。
たとえば、動画編集をファミリーレストランやカフェで行った場合の飲食代は経費にできません。コーヒー代程度であれば、場所代として経費に認められることもあります。「収入を得るために直接必要かどうか」の必要性が求められるため、動画に出演していない方との飲食代や交通費も経費になりません。
経費として認められる場合でも、レシートや領収書は証拠として必要であるため必ず保管しておきましょう。
YouTuberができる確定申告の節税ポイントは、主に以下の4つが挙げられます。
青色申告を適用するほか、経費計上のコツを抑えておくことで、節税につながる可能性があります。
青色申告を適用することで、下記の優遇措置が受けられます。
最大65万円の青色申告特別控除 | e-Taxでの申告が必要 |
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最大3年間赤字を繰り越せる | 赤字の翌年が黒字でも、赤字分を所得から差し引ける |
家事按分の自由度が高い | 業務の割合が50%以下でも経費計上可能 |
家族への給与を経費にできる | 青色事業専従者給与に関する届出書の提出が必要 |
開業届を提出していれば、青色申告が適用できます。帳簿要件を満たすことで青色申告特別控除が適用でき、10万円の控除額から最大65万円まで増加します。青色申告を適用する場合は、同時に青色申告特別控除の要件を満たすために必要な物を確認しておくといいでしょう。
以下の記事では、青色申告控除について解説しているため、参考にしてください。
事業に関連する費用は、本業・副業の区分に関係なく経費になります。プライベートと共用で使用している費用も、根拠に基づいて按分することで、経費計上が可能です。
正しい経費計上は、結果的に節税につながるため領収書の保管も含め適切な管理が必要になります。
プラベートと事業で共用する物を購入した場合、家事費按分することで経費計上できます。按分方法は、面積や時間によって割り振ることが一般的です。家事按分の考慮が必要な経費は、以下のとおりです。
小道具・大道具 | YouTube動画のみで使う場合は全額経費として計上可能 |
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インテリア・家具・美術 | YouTube動画のみで使う場合は全額経費として計上可能 |
家賃・光熱費・通信費 | ・自宅で撮影や編集する場合は家事按分が必須 ・専用の場所を借りている場合は全額経費として計上可能 |
衣装代 | YouTube動画のみで使う場合は全額経費として計上可能 |
高価なカメラを購入した場合、資産として減価償却が必要なケースがあります。カメラだけではなくパソコンをはじめとする機材も対象です。減価償却が必要かどうかは、参考となる以下の基準があります。
備品の購入金額 | 経費処理のルール |
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10万円未満 | 購入時に必要経費として計上可能 |
10万円〜20万円 | 一括償却資産として3年間定額償却 |
20万円以上 | 固定資産として減価償却 |
令和6年3月31日までに、取得価額が30万円未満である減価償却資産を購入した場合は、一括で経費に計上できます。ただし要件があるため、国税庁のサイトで申告前に確認することをおすすめします。
30万円未満の減価償却資産は、償却資産税(地方税)の申告の対象となるため、取り扱いには注意が必要です。
YouTuberとして副業を始める際に留意すべき2つの重要な点があります。
ポイントを把握しておくことで、副業としてのYoutube活動をよりスムーズに始めることができます。自身の雇用関係や収益に関するリスクを最小限に抑え、YouTubeでの副業を効果的に進めていくためには、事前の計画と対策が重要です。
自身の勤務先や所属する会社の就業規則を確認しましょう。一部の会社や業種では、副業を行うことに制限を設けている場合があります。
副業が許可されているかどうか、もしくは規則に違反しないかを確認することが必要です。就業規則に違反すると、法的な問題や雇用関係のトラブルに発展する可能性があります。
YouTubeにおける収益化や収入を得ることは、すぐに成功するとはかぎりません。多くの場合、YouTubeチャンネルの成長や収益化には時間と努力が必要です。
広告収入やスポンサーシップなどを通じて収入を得るためには、視聴者数やチャンネルの人気を獲得する必要があります。副業としての収益を期待する前に、まずはコンテンツの品質向上やチャンネルの成長に集中することが大切です。
YouTuberの確定申告は、本業か副業かにより所得区分が異なります。所得が少ないからといって、安易に申告しない選択をすると、後から損をするケースもあります。
収入の得方から自分で判断できない場合は、税務のスペシャリストである税理士に相談することがおすすめです。節税に関する的確なアドバイスが得られるのはもちろん、支払った税理士報酬は翌年の必要経費として計上できます。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。
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上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の税理士・公認会計士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。