意匠登録にかかる費用はいくら?自分で行う場合と弁理士に依頼する場合の費用を解説

最終更新日:2024年05月23日
意匠登録にかかる費用はいくら?自分で行う場合と弁理士に依頼する場合の費用を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 意匠登録にかかる費用はいくら?
  • 意匠登録を弁理士に依頼する場合の費用は?
  • 意匠登録の弁理士費用を抑えるコツは?

「意匠登録にかかる費用がわからない...なるべく抑える方法はないかな?」とお悩みの担当者の方、必見です。

意匠登録に必要な最低限の料金は「24,500円」です。意匠登録の代行を弁理士に依頼すると「25万〜50万円」かかります。意匠登録は拒絶され再審請求する場合に費用が高くつくため、費用が高くても弁理士に依頼することがおすすめです。

本記事では、意匠登録にかかる費用を自分で行う場合と弁理士に依頼する場合の両方で解説し、スムーズに進める方法を紹介します。記事を読み終わった頃には、意匠登録にかかる費用の詳細を理解して、意匠登録で起こりうるリスクを回避しスムーズに進められるでしょう。

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意匠登録に必要な最低限の料金は「24,500円」

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意匠登録に必要な最低限の料金は、24,500円です。意匠登録出願の費用が16,000円、1年目の登録料が8,500円です。意匠登録は出願費用だけではなく、年間の登録料が求められ、登録は最長25年と決められています。

自分で意匠登録を行う場合は、24,500円で行えるため費用を抑えられるでしょう。意匠登録を代行できるものは弁理士のみです。弁理士に代行を依頼する場合は、別途弁理士費用が必要になります。

意匠登録に発生する費用内訳【自分で行う場合】

  内容 費用
出願料 意匠登録出願 16,000円
秘密意匠の請求 5,100円
審判請求料 審判(再審)請求 55,000円
意匠登録料 第1年〜第3年 毎年8,500円
第4年〜第25年 毎年16,900円

意匠登録を自分で行う場合に発生する費用の内訳は、出願料や審判請求料・意匠登録料などがあります。意匠登録料は毎年費用が発生し、経過年数によって金額が変更するため注意が必要です。

出願料

出願料は、意匠登録出願で16,000円必要です。秘密意匠の請求を行う場合は、5,100円が追加で必要です。意匠登録出願の費用は必ず必要になるため、確認しておきましょう。

秘密意匠とは登録した意匠の公開を待ってもらえる仕組み

秘密意匠とは、登録した意匠の公開を待ってもらえる仕組みです。意匠は登録したあとすぐに公開されますが、状況によっては公開を少し待ってもらうケースもあります。たとえば「新製品の販売が意匠登録と同時にできない場合」です。

新製品が市場に流れる前に登録した意匠が世に出てしまうと、他社に模範や盗用をされてしまう危険性があります。秘密意匠の請求を行うことで最大3年公開を待ってもらうことが可能です。秘密期間は期間内であれば変更することもできるため、新製品の販売時期が早まった(延びた)際も安心です。

意匠登録料

意匠登録料は、1〜3年目は8,500円、4〜25年は16,900円と年数によって金額が異なります。登録初年度に5年分払いたい場合は「(8,500円×3)+(16,900円×2)」の59,300円が必要です。

意匠登録の最長期間は2020年4月以前は、登録日から20年でしたが法改正により「出願日から25年」に伸びました。登録が出願日からに変更したため、出願中に模倣や盗用されることはありません。

審判請求料

審判請求とは、登録査定で拒絶された場合に不服を申し立てることです。意匠登録をする際は特許庁にて「登録査定(審査)」が実施されますが、拒絶されてしまうケースもあります。

1度の審判請求に55,000円が発生するため、複数回拒絶されると費用がかさみます。なるべく拒絶通知を受けないように、先行意匠調査・意匠出願のステップは慎重に行いましょう。

意匠登録を弁理士に依頼する場合の費用は25万〜50万円

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意匠登録を弁理士に依頼する場合の費用は、25万〜50万円です。費用の内訳と流れは、以下のとおりです。

  項目 費用
1. 先行意匠調査 先行意匠調査費 3万〜6万円
2. 意匠出願 意匠登録出願 5万〜10万円
図面制作 4万〜8万円
3. 査定(審査) 拒絶時の意見書 4万〜8万円
拒絶時の補正書 5万〜9万円
4. 意匠登録 登録料納付 4万〜8万円

特許事務所によっては、意匠登録料の納付時に成功報酬が必要なケースもあります。成功報酬を支払うケースでは、先行意匠調査から登録まで一貫して請け負うことが前提です。

一貫してお願いをした結果、出願した意匠登録が却下された場合は登録時の手数料・成功報酬は発生しません。ステップの一部を依頼するのか、一貫して依頼するのか、自分にあった方法を弁理士と相談して決めましょう。

1. 先行意匠調査

先行意匠調査にかかる費用の相場は、3万〜6万円です。先行意匠調査とは、出願したい意匠が登録できるかの調査です。そもそも登録できない意匠を出願しても意味がありません。

特許関係の書類は、非常に読みにくく理解するために膨大な時間を要します。調査が適当になり、調査漏れを起こす場合もあるでしょう。先行意匠調査は弁理士に依頼するほうが安心です。

類似の意匠の存在を弁理士が把握することで最適な戦略を立てられるため、出願者自身が実行することは現実的ではありません。意匠出願を代行する場合に、先行意匠調査を無料で提供する特許事務所もあります。

2. 意匠出願

意匠登録の際に必要となる意匠登録出願と図面制作の費用相場は、以下のとおりです。

  • 意匠登録出願:5万〜10万円
  • 図面制作:4万〜8万円

以上の金額は、意匠登録出願時の手続き代行を依頼した場合の目安です。先行調査とあわせて8万円、先行調査3万円と意匠登録出願5万円など、特許事務所によって料金体系が異なります。

出願する意匠の図面制作を弁理士に依頼することも可能です。作成する図面の数によっても報酬は変動します。

3. 査定(審査)

出願した意匠を審査した結果、拒絶理由が通知された場合の対応費用は以下のとおりです。

  • 意見書:4万〜8万円
  • 補正書:5万〜9万円

拒絶理由通知書に対して、反論する場合は意見書、出願書類を修正する場合は補正書の提出が可能です。弁理士に作成する際は、どちらの書類を提出するのかで報酬額が異なります。

4. 意匠登録

登録査定を経て意匠登録料を納付する際の弁理士報酬は、4万〜8万円です。特許事務所によって対応は異なりますが、登録料納付に関する手数料に成功報酬が追加されます。

意匠登録のメリット・デメリット

ビジネスイメージ

意匠登録のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

  • メリット1:デザインに関する権利を長期間独占できる
  • メリット2:模倣品を作られなくなる
  • デメリット1:出願料や先行調査料がかかる
  • デメリット2:権利取得に時間がかかる

意匠とは、美術品・工芸品の外観を美しくするための「趣向を凝らしたデザイン」や「工夫」などを意味します。特許庁で管理される意匠は「産業財産権」であり、すべてのデザイン・工夫が意匠として登録できるわけではありません。

意匠権を取得するためには「出願・審査・登録」のプロセスが必要となります。きちんと審査をクリアできるように、意匠登録に関する基本を知っておくことが重要です。

メリット1:デザインに関する権利を長期間独占できる

意匠登録は、デザインに関する権利を長期間独占できる点がメリットです。意匠権を得たデザインは、最長25年間、他社がデザインを真似できません。デザインに関するライセンス契約を締結して、使用を認める代わりにライセンス料の徴収が可能です。

意匠登録の内容は広報に掲載されるため、事業者の信頼性向上につながります。意匠権のある商品は途中販売できなくなるリスクが低いため、取引先に安心感を与えられるでしょう。

メリット2:模倣品を作られなくなる

意匠登録を行うことで、他社は模倣品を作れなくなります。不正競争防止法によって、商品の販売から3年間は権利が保護されています。意匠権がない場合は、3年を過ぎると不正競争に該当しないため権利を保護できません。

意匠権があると最長25年間は権利を保護できます。模倣品を作られる心配がなく、安心して製造・販売を継続できるでしょう。

デメリット1:出願料や先行調査料がかかる

意匠登録は、出願料や先行調査料などの費用がかかる点がデメリットです。自分で行う場合は最低料金で24,500円、弁理士に依頼する場合は25万〜50万円の費用が必要になります。

意匠権を獲得することで、該当する意匠の独占が可能です。他社に真似される危険性がある場合は、費用がかかるとしても意匠登録が必要といえます。

デメリット2:権利取得に時間がかかる

意匠登録は、権利取得に時間がかかる点がデメリットです。出願から権利取得までは8〜12カ月が必要であり、早くても6カ月はかかるといわれています。出願までに先行意匠の調査が必要になるため、意匠登録の計画から1年以上の期間を見込んでおきましょう。

権利化に緊急性を要する場合は、早期審査を受けられます。一定の条件はあるものの、一次審査までの期間が平均2〜3カ月と短縮が可能です。意匠登録を急ぐ場合は、特許庁に相談しましょう。

意匠登録は弁理士に依頼することでスムーズに進められる

意匠登録は、弁理士に依頼することでスムーズに進められます。弁理士は、意匠や特許などの知的財産権の申請や紛争解決が本業のためです。費用はかかるものの、安心して任せられるでしょう。

意匠登録は拒絶される可能性があり、再審請求すると費用が高くなります。先行調査も含め、弁理士に依頼するほうが出願却下のリスクを減らせられるため、スムーズに進められるでしょう。

弁理士費用をなるべく抑えるためのコツ

ポイント_!

弁理士費用をなるべく抑えるためのコツは、以下のとおりです。

  1. 相見積もりはマストで実施する
  2. 弁理士と情報共有しながら作業分担する

意匠登録を弁理士に依頼する場合、自分で行う場合と比べてどうしても高額になります。弁理士に任せることで、先行意匠調査や拒絶された際の対処をスムーズに進められるでしょう。弁理士費用をなるべく抑えて、適切に意匠登録を進めましょう。

1. 相見積もりはマストで実施する

弁理士に依頼する場合は、複数の弁理士事務所に連絡して相見積もりを取りましょう。弁理士費用はあくまで目安の金額となっており、実際の報酬は各弁理士によって異なるためです。複数の見積もりをもとに比較検討することで、費用を抑えられるでしょう。

相見積もりは、3社程度がおすすめです。意匠登録出願の報酬が高めに設定されている場合、2社だけの比較では気づけません。あまりにも多くの事務所に依頼をすると、管理ややり取りが大変になるため3社程度に絞るといいでしょう。

2. 弁理士と情報共有しながら作業分担する

弁理士費用を抑えるには、弁理士と情報共有しながら作業を分担するといいでしょう。出願から登録まで一貫して依頼すると、どうしても高額になるためです。図面制作が必要な場合は、出願者側のほうが詳しいため自分で制作することで費用を抑えられます。

完全に分業制にすると弁理士が思い描いている作戦が難しくなり、意匠登録完了まで時間がかかったり余計な費用が発生したりする可能性が高いです。弁理士と情報共有をして、同じ戦略を思い描いて進めていくことが重要になります。

まとめ

意匠登録にかかる最低限の費用は、24,500円です。弁理士に代行を依頼する場合は、25万〜50万円です。先行意匠調査や拒絶理由通知の対応を考慮すると、弁理士に依頼するほうが安心して進められるでしょう。

弁理士費用を抑えるには、相見積もりを依頼して複数の弁理士事務所を比較検討することがおすすめです。意匠登録は自社のデザインを最長25年間保護できます。意匠登録には費用と時間が必要になるため、費用対効果を考えて検討するといいでしょう。

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監修者のコメント
弁護士法人英明法律事務所・知財セクション
弁理士 平木 健氏

関西学院大学商学部出身。2007年12月弁理士登録。1999年より大阪市内の特許事務所にて知財業務の経験を積み、2018年4月弁護士法人英明法律事務所へ合流し、所内に知的財産権を専門に扱う部門を設立した。特許・実用新案(機械等の分野など)・意匠・商標の権利化業務に従事する。クライアントとのコミュニケーションを通じて適切な権利取得を心掛ける。

知的財産権に関する法律は、現行法が実態に即した内容となるよう度々法改正が行われています。令和元年改正意匠法では、画像や建築物、内装といった意匠にまで保護対象が拡充されたほか、存続期間の延長(20年から25年)、複数意匠の一括出願手続、指定期間や優先期間経過後の救済措置、関連意匠制度の要件緩和など、出願人にとってより使い勝手の良い制度へと改正が進んでいます。これらを上手く利用することで、効率的且つ安定的なデザインの保護が可能となるので、積極的に利用したいところです。

また、海外で意匠権を取得したい場合には、「ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく意匠の国際登録制度」の利用をご検討下さい。同制度によれば、WIPO事務局への1つの出願手続で複数国へ同時に出願した効果が得られます。経費を大幅に抑え、且つ速やかに海外での意匠権取得が可能であるメリットを生かして模倣品対策に有効であるとして、日本を含む各国において利用が進んでいます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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