古民家リノベーション・リフォームの費用相場は？費用を抑える方法も紹介

【場所別】古民家リノベーションの費用相場

古民家リノベーションにかかる費用相場を、以下の場所別に紹介します。

リノベーションを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

リビング：200万〜400万円

リビングのリノベーション工事には、以下の作業があります。

工事に必要な原材料によって、費用は変動します。床や壁など、面積あたりで価格が算出される作業がメインです。材料費と性能のバランスを考えながら予算を組みましょう。

トイレ：20万〜100万円

トイレのリノベーションには、下記の作業があります。

トイレの環境は、家のなかでも重要視する方が多いです。将来のことを考えて、バリアフリーのトイレにする選択肢もあります。

キッチン：80万〜400万円

キッチンのリノベーションは工事の内容によって大きく費用に差が出ます。キッチンの工事は下記のとおりです。

オール電化への改修やシステムキッチンの交換を行う場合、工事費が高くなりやすいです。IHコンロへの交換は低額で済むでしょう。キッチンは毎日使うことが多いため、よく考えてリノベーションすることが大切です。

お風呂：リノベーション内容による

お風呂の費用はリノベーションの内容によって大きく変わります。リノベーション内容は下記のとおりです。

なかでも、オール電化への改修を行う場合は費用が高くなります。家庭によって「システムバスにしたい」「浴槽をヒノキにしたい」など要望が異なるため、予算を意識しながら相談することが大切です。

屋根・壁：材料によって変わる

屋根・壁のリノベーションは、材料によって大きく費用が変わります。リノベーションの内容は下記のとおりです。

屋根のリノベーションは、耐震性を向上させるためにも大切な部分です。金属屋根と呼ばれる素材は軽くて耐久性が高いため、耐震性能を高められます。

古民家リノベーションのメリット3選

古民家リノベーションのメリットを理解したうえで工事を行うと、理想的な古民家を作りやすいです。上記3つのメリットをそれぞれ解説します。

1. 日本家屋を保存できる

古民家リノベーションを行うことで、土間や縁側のある伝統的な日本家屋を現代に残せます。木造建築ならではの美しい梁や柱、土壁や和瓦など日本の気候風土に適した建築様式を活かしながら、快適に住める住空間を作り上げることも可能です。

2. 資源の保護ができる

古民家を再利用することで、新築の建設に比べて資源の消費を抑えられます。古民家に使われている木材は現在では手に入りにくい貴重なものが多く、適切に補修・再利用することで環境負荷の軽減が可能です。

廃材の削減にもつながるため、サステナブルな住まいづくりを実現できるでしょう。

3. 税金の軽減ができる

家の築年数によって固定資産税の税額が決められるため、リノベーションによる日本家屋の延命は税金の軽減に効果的です。築年数によっては増築の許可が下りない場合もあるため、自治体に問い合わせましょう。

古民家リノベーションのデメリット3選

古民家リノベーションには、上記のデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか把握しておくことで、適切な対応ができるでしょう。

1. 耐震性に不安がある

古民家は建築基準法が現在の基準に改正される前に建てられたものが多く、耐震性に不安があるケースがあります。特に、柱や梁の劣化が進んでいる場合、大きな地震の際に倒壊のリスクが高まるため注意が必要です。

リノベーションを行う際には、耐震補強工事も検討する必要があるでしょう。ただし、補強工事には高額な費用がかかる場合があるため、事前に専門家の診断を受け、どの程度の補強が必要かを確認することが重要です。

2. 断熱性が低い

古民家は伝統的な木造建築であるため、断熱性が低いことが多いです。冬は寒く、夏は暑くなりやすい構造のため、快適な住環境を維持するには、断熱材の施工や二重窓の設置などの対策が必要となるでしょう。

3. 予想より費用がかかる場合がある

古民家のリノベーションは、想定外の補修や追加工事が必要になることが多く、当初の予算より費用がかかるケースがあります。特に、柱や梁のシロアリ被害・土台の腐食・配管や電気設備の老朽化などが見つかった場合、大幅な補修が必要になることもあるでしょう。

リノベーションを始める前に詳細な現地調査を行い、余裕をもった予算を組むことが大切です。

古民家リノベーションを安くする方法3選

古民家リノベーションを安くする方法は、上記の3つです。うまく活用し、費用の負担を抑えましょう。

1. 古民家の特徴を活かす

古民家のよさを引き立て、既存利用の割合を増やすとリフォーム費用を抑えられます。何もかもリフォームすると住みやすさは向上しますが、古民家としての魅力が薄れてしまうでしょう。古民家のよさを楽しむためにリフォームの範囲を限定すると、結果的に費用の削減が可能です。

2. リノベーション範囲を決める

リノベーションするときには、優先順位を決めることが大切です。すべての場所で素材にこだわると、予算が大きくなります。水回りやリビングなど、自分の生活スタイルにあわせてリノベーションの場所を考えましょう。

3. 補助金を利用する

古民家リノベーションの費用が高い場合は、国や自治体の補助金を利用しましょう。耐震工事の補助金や耐震診断の補助金など、幅広い種類があります。自治体によって利用できる補助金は異なるので、ぜひ調べてみてください。

古民家リノベーションで活用できる補助金・税制4選

古民家リノベーションで活用できる補助金や税制は、以下の4つです。

1. 自治体の補助金

自治体によっては、古民家リノベーションに補助金を出している場所もあります。場合によっては、100万円以上の補助を受けられるケースもあるため、積極的に利用しましょう。

耐震診断や耐震補強の補助金を設けている自治体は多いです。興味のある方は、住んでいる自治体に問い合わせてみてください。

2. リフォーム促進税制（所得税）

リフォーム促進税制（所得税）は、対象工事を実施した場合、対象工事限度額の範囲内で標準的な費用相当額の10％を所得税額から控除できる制度です。必須となる対象工事の内容と対象工事限度額を、以下の表にまとめました。

3. リフォーム促進税制（固定資産税）

リフォーム促進税制（固定資産税）とは、一定のリフォームを実施した場合、固定資産税の一定割合を減額できる制度です。対象となる工事と減額割合、減額期間を以下の表にまとめました。

4. 住宅ローン減税（所得税）

住宅ローン減税（所得税）とは、10年以上のローンを組んで一定のリフォームを行った場合、毎年の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。借入限度額や最大控除額などを、以下の表にまとめました。

住宅のリフォームに係る税の特例措置は、国土交通省のHPにもまとめられているため、ぜひ参考にしてください。

古民家リノベーションを業者に依頼する際のポイント5つ

古民家リノベーションを業者に依頼する際のポイントは、上記の5つです。ポイントを押さえることで、適切な業者に依頼できるでしょう。

1. 地元の業者を選ぶ

古民家のリノベーションを成功させるためには、地元の業者を選ぶことが重要です。地域の気候や風土に詳しく、古民家特有の構造や素材に精通している業者であれば、適切な施工が可能になります。大手ハウスメーカーと比較すると、費用が安い場合も多いです。

2. 有資格者がいる業者を選ぶ

古民家リノベーションは、通常の住宅リフォームよりも高度な技術を必要とすることがあります。建築士や古民家鑑定士、耐震診断士などの資格を持つ専門家が在籍している業者であれば、安心して任せられるでしょう。

特に、耐震補強や断熱改修などの工事を行う場合は、確かな知識と技術が求められるため、有資格者がいる業者を選ぶと安心です。

3. 相見積もりを取る

リノベーションの費用は依頼先によって大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取ることが大切です。同じ工事内容でも価格差があることが多いため、相見積もりを取ることで適正価格を把握しやすくなります。

見積もりの内訳を比較することで、どこにコストがかかるのかも確認できるため、無駄な出費を防げるでしょう。

4. 実績を確認する

古民家のリノベーションには、特殊な技術や経験が必要となる場合もあるため、過去の実績をよく確認することが重要です。業者のホームページや施工事例をチェックし、どのような古民家を手がけてきたのかを確認しましょう。

可能であれば、実際にリノベーションを行った物件を見学したり、施工主のレビューを参考にしたりするのもおすすめです。

5. 補助金に詳しい業者に依頼する

古民家リノベーションには、自治体や国の補助金・助成金が利用できる場合があります。補助金に詳しい業者であれば、申請手続きのサポートを受けられるため、費用負担を軽減できる可能性があるでしょう。

特に、省エネ改修や耐震補強などの工事は補助金の対象になることが多いため、補助金制度に精通している業者であれば安心です。

まとめ

古民家リノベーションは、場所や工事内容によって大きく費用が異なります。業者選びや補助金の活用などによって費用の負担を抑えられるため、ぜひ今回紹介したことを参考にしてください。

比較ビズには、古民家リノベーションを行っている業者が数多く在籍しています。2分程度の入力で、全国から自社に適した業者を比較可能です。

相見積もりも容易にとれるため、古民家リノベーションを検討している方はぜひご利用ください。

監修者のコメント

ローバー都市建築事務所

一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士 野村正樹

京都市出身。同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。2000年「ローバー都市建築事務所」設立。京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。設計実績 約500件。2006〜2018年　毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回〜第274回執筆掲載。京町家再生・古民家再生から、大規模商業施設まで、幅広く多方面にて様々な設計を行う。京都の伝統的な建築と現代的建築を融合させる手法を特徴に、先人が育んできた生活の知恵や幸せに暮らす方法を調和的にアレンジし提供する。

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古民家をリフォームする際は、経験・見識の豊富な専門家のアドバイスを受けることが肝要です。というのも、現代の住宅とは違い、先人の知恵・地域の風土を積み重ねながら、古民家は工夫を重ねながら築造されていますので、その工法にあった、適切な改修内容が必要となるからです。

古民家の改修工事には、現代住宅のリフォームとは少し異なる、独自のノウハウが必要になることが殆どであり、また、次世代につなぐという観点からも、きちんとした補強改修を施しておく必要があります。

古民家の持つ、ぬくもりのある空間をうまく活用しながら、老朽化している部分を補強し、耐震性の向上を図る必要があります。あわせて、現代の技術を活用しながら、快適で過ごしやすい居住空間の構築を目指していくこととなります。

執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。