【築年数別】耐震工事の費用相場|耐震工事が必要なケース4つや利用できる補助金を紹介

ローバー都市建築事務所
監修者
ローバー都市建築事務所 一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士 野村正樹
最終更新日:2025年03月04日
【築年数別】耐震工事の費用相場|耐震工事が必要なケース4つや利用できる補助金を紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 耐震工事の費用相場は?
  • 部分的な耐震工事の費用相場は?
  • 耐震工事が必要なケースは?

「耐震工事を依頼したいが、費用相場がわからない…」という方必見!

この記事では、 自宅やオフィスの耐震性に不安を感じている方に向けて、耐震工事の費用相場を紹介。部分的な耐震工事の費用相場も解説します。

耐震工事を行うことで地震リスクを軽減し、家族の安全を確保するだけではなく、資産価値の向上、補助金や保険割引のメリットも享受できます。耐震工事が必要なケースも紹介しているので、中古住宅の購入を検討している方もぜひ参考にしてください。

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【築年数別】耐震工事の費用相場

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築年数別の耐震工事の費用相場は、以下のとおりです。

築20年以下100万円前後
築30年120万円〜150万円
築40年150万円〜200万円
築50年180万円〜250万円
築60年以上230万円以上

築20年以下:100万円前後

築20年以内の住宅は、比較的新しい耐震基準に基づいて建てられているため、大規模な耐震補強が必要になるケースは少ないです。ただし、軽微な補強(壁の補強や金物の追加など)が必要な場合があり、費用は100万円前後になります。

2000年の建築基準法改正以前に建てられた建物の場合、耐震診断を受けることで最適な補強計画を立てることが重要です。

築30年:120万円〜150万円

築30年の住宅は、1981年の新耐震基準(昭和56年)を満たしている可能性が高いですが、地域や建築方法によっては補強が必要な場合があります。具体的には、壁の補強や基礎の補強、耐震金物の設置などが一般的な工事内容です。

この年代の住宅では、比較的簡単な補強で耐震性を向上でき、費用は120万円〜150万円が目安となります。

築40年:150万円〜200万円

築40年の住宅は、旧耐震基準(1981年以前)で建てられた可能性があり、耐震診断の結果によっては大規模な補強が必要になることがあります。補強内容には、耐震壁の追加、基礎の補強、屋根の軽量化、柱や梁の補強などが挙げられます。

建物の規模や構造によりますが、耐震補強の費用は150万円〜200万円になることが一般的です。

築50年:180万円〜250万円

築50年の住宅は、旧耐震基準に基づいて建てられたものが多く、耐震性が十分でない可能性が高いです。補強工事の規模が大きくなりやすく、費用も高額になる可能性があります。

工事内容には、壁や柱の補強、基礎の補強、金物補強、屋根の軽量化などが挙げられます。古い家では劣化が進んでいる場合が多いため、耐震工事と同時にリフォームを行うケースもあるため注意が必要です。

それぞれの要素を考慮すると、耐震補強の費用は180万円〜250万円が目安となります。

築60年以上:230万円以上

築60年以上の住宅は、耐震基準が存在しなかった時代に建てられたものが多いです。耐震性能が非常に低い可能性があり、大規模な補強が必要になるケースがほとんどです。

具体的には、基礎の補強、壁の補強、屋根の軽量化、構造材の補強、場合によっては柱や梁の交換など、建物全体の耐震補強が必要になります。老朽化による劣化が進んでいるため、建て替えと比較検討するケースもあります。

補強工事の内容によっては、最低でも230万円以上の費用がかかると考えておきましょう。

部分的な耐震工事の費用相場

部分的な耐震工事の費用相場は、以下のとおりです。

耐震金物の設置約40万円
筋交いによる補強約25万円
外壁の補強材約50万円
耐震パネルの取付約65万円

耐震金物の設置:約40万円

耐震金物は、柱・梁・土台・筋交いなどの接合部を強化するための補強部材です。地震の際に建物が変形したり、接合部が外れたりするのを防ぐ役割があります。

特に、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅では、接合部の補強が不十分な場合が多く、耐震金物を追加することで耐震性を向上できます。費用は設置箇所の数や種類によりますが、一般的な住宅で約40万円が相場です。

筋交いによる補強:約25万円

筋交い(すじかい)は、柱と柱の間に斜めに設置する木材や金属材で、地震の揺れに対する抵抗力を高めるために使われます。特に耐力壁の少ない住宅や、壁の強度が不足している場合に効果的な補強方法です。

比較的費用を抑えながら耐震性能を向上できるため、部分的な補強工事としてよく採用されます。一般的な住宅で数カ所の筋交いを追加する場合、費用は約25万円です。

外壁の補強材:約50万円

外壁の耐震補強には、壁面に補強材を追加する方法があり、建物全体の剛性を高めることができます。外壁の補強には、合板や特殊な耐震補強材を取り付ける方法が一般的です。

耐震補強材を取り付けることで、外壁の強度が向上し、地震時の横揺れに対する耐性が高まります。外壁の補強と同時に外壁塗装や張り替えを行うケースもあります。費用は補強範囲によりますが、約50万円が目安です。

耐震パネルの取付:約65万円

耐震パネルは、耐力壁としての機能を持つパネルを建物の内部または外部に設置し、耐震性能を向上させる工法です。壁の強度が増し、地震時の変形を抑えることができます。

耐震パネルには、木材系、金属系、樹脂系などさまざまな種類があり、建物の構造やデザインに応じて選択されます。比較的短期間で施工できるうえ、耐震効果も高いため、部分補強として人気です。費用は施工箇所の広さによりますが、一般的な住宅で約65万円が相場です。

耐震工事が必要なケース4つ

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ここからは、耐震工事が必要なケースを4つ紹介します。

  1. 1981年(昭和56年)以前に建てられた住宅
  2. 大きな地震が発生した後の建物
  3. 基礎部分にひび割れや劣化が見られる場合
  4. 耐力壁が不足している住宅

1. 1981年(昭和56年)以前に建てられた住宅

1981年の建築基準法改正前に建てられた住宅は「旧耐震基準」に基づいているため、大きな地震に対する耐久性が十分ではない可能性が高いです。

特に木造住宅では、壁や柱の強度が不足していたり、接合部の補強が不十分だったりすることが多いため注意しましょう。耐震診断を受けることで、どの程度の補強が必要なのかを把握し、適切な対策を取ることが重要です。

2. 大きな地震が発生した後の建物

過去に震度6以上の大地震を経験した建物は、外見上問題がなくても、柱や基礎に目に見えないダメージを受けている可能性があります。特に壁や天井にひび割れが発生していたり、ドアや窓が閉まりにくくなっていたりする場合、建物の構造に歪みが生じている可能性があります。

専門家による診断を受け、必要に応じて補強工事を行うことで、安全性を確保できるでしょう。

3. 基礎部分にひび割れや劣化が見られる場合

建物の基礎は、耐震性を維持するうえで非常に重要な部分です。ひび割れやコンクリートの劣化が進行していると、地震の際に建物全体が崩れるリスクが高まります。

特に無筋コンクリート基礎(鉄筋が入っていない基礎)の場合、耐震性が低いため注意が必要です。基礎の補強工事を行うことで、地盤沈下やひび割れによる建物の耐久性低下を防ぐことができます。

4. 耐力壁が不足している住宅

耐力壁は建物の揺れを抑える役割を持ちます。しかし、開口部が多い住宅や増改築を繰り返した建物は、耐力壁のバランスが崩れ、耐震性が低下していることがあります。

特に吹き抜けがある住宅や壁の量が少ない木造住宅は、地震時に歪みやすくなるため耐震補強が必要です。筋交いの追加や耐震パネルの取り付けを行うことで、建物全体の剛性を高め、揺れに強い構造にできます。

耐震工事で利用できる補助金や助成金2選

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ここからは、耐震工事で利用できる補助金や助成金を2つ紹介します。

  1. 建築物耐震対策緊急促進事業
  2. 自治体の耐震リフォーム補助金

1. 建築物耐震対策緊急促進事業

建築物耐震対策緊急促進事業は、国が進める耐震化促進政策で、地震時の建物倒壊による被害を防ぐために、耐震診断・耐震改修工事を支援する事業です。特に旧耐震基準(1981年以前)の建物を対象に、補助金を活用して耐震補強を促進することを目的としています。

対象建築物は以下のとおりです。

  • 超高層建築物:高さ60mを超える建築物
  • 免震建築物:免震装置が設置された建築物(地階を除く階数が3を超えるもの)

補助率は以下のとおりです。

  • 詳細診断に要する費用:詳細診断に要する費用の3分の1を補助
  • 改修設計に要する費用:改修設計に要する費用の3分の1を補助
  • 改修工事に要する費用:改修工事に要する費用の11.5%を補助

2. 自治体の耐震リフォーム補助金

各自治体では、住宅の耐震化を促進するために、耐震リフォーム(耐震改修工事)に対する補助金を提供しています。補助金の金額や対象となる工事は自治体ごとに異なるため、各市区町村のホームページや窓口で確認する必要があります。

まとめ

耐震工事を行うことで、地震時の揺れに対する建物の強度が向上し、倒壊や部分的な損壊を防ぐことができます。建設会社へ依頼することで、耐震診断の専門知識を持つ建築士や耐震技術者が、建物の状態を正確に診断してもらえます。

比較ビズには、耐震工事に特化した建設会社が多数在籍しているため、数分の条件入力のみで最適な外注先を探すことが可能です。比較ビズの利用は完全無料でできるため、ぜひ活用してください。

監修者のコメント
ローバー都市建築事務所
一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士 野村正樹

京都市出身。同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。2000年「ローバー都市建築事務所」設立。京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。設計実績 約500件。2006〜2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回〜第274回執筆掲載。京町家再生・古民家再生から、大規模商業施設まで、幅広く多方面にて様々な設計を行う。京都の伝統的な建築と現代的建築を融合させる手法を特徴に、先人が育んできた生活の知恵や幸せに暮らす方法を調和的にアレンジし提供する。

一般的に耐震補強工事は、家屋全体の改装を伴う大規模な改装工事となることが多く、そういった意味においても、事前にしっかりとした全体の調査・改修計画を行い、その場しのぎの場当たり的な工事となってしまわないよう注意が必要です。

老朽化した部分の改修はもとより、家屋全体のバランスを考えながら、適切に耐震壁等を配置することが重要です。特に、過去のリフォームにおいて柱や壁を取り除いた場合は、要注意です。耐震性能のことをあまり考えずに大規模リフォームを行った結果、耐震性能が低減してしまっている可能性もあります。また、各種補助金を活用しやすいことも、耐震工事の特長といるでしょう。

まずは、信頼のおける専門家にしっかりと相談しながら、改修計画を策定し、二人三脚のイメージで間違いの無い耐震工事を行っていただければと思います。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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