ERP(基幹管理システム)の導入費用は?タイプ別の料金目安・相場を解説

株式会社GeNEE
監修者
株式会社GeNEE 代表取締役 日向野卓也
最終更新日:2024年01月09日
ERP(基幹管理システム)の導入費用は?タイプ別の料金目安・相場を解説
この記事で解決できるお悩み
  • ERP(基幹管理システム)の導入費用はどれくらい?
  • パッケージタイプとクラウドタイプの費用相場やそれぞれの違いは?
  • ERP(基幹管理システム)の「SAP」の導入費用はいくら?

ERP(基幹業務管理システム)には、パッケージ型とクラウド型の2つの主要なタイプが存在し、それぞれに異なる費用相場があります。自社のニーズに合ったシステムを選択するためには、タイプごとの特徴とコストを理解することが重要です。

本記事では、パッケージ型とクラウド型ERPの導入費用、及びそれぞれの特徴を詳しく解説します。代表的なERPである「SAP」の導入費用についても紹介するため「ERPのコストを踏まえて最適な選択をしたい」という方はぜひご一読ください。

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ERP(基幹管理システム)にはパッケージとクラウドの2つがある

ERP(基幹管理システム)にはパッケージとクラウドの2つがあります。パッケージとクラウドでは導入の費用相場やカスタマイズ性に違いがあります。自社に合うシステムを導入するために、それぞれの特徴を理解することが大切です。

ERP(パッケージタイプ)にかかる導入費用相場

中小企業がパッケージタイプのERPを導入した場合の費用イメージは以下の通りです。ここではパッケージタイプの導入費用を決定する5つの要因を解説します。

費用 構成比
ハードウェア費用 350万円 11%
ライセンス費用 700万円 21%
導入サポート費用 1680万円 50%
カスタマイズ費用 500万円 15%
トレーニング費用 100万円

3%

合計 3330万円 100%

ハードウェア費用

パッケージタイプのERPを導入するには専用のハードウェアを用意しなければいけません。小〜中規模企業の場合、開発機1台と本番機1台が標準的なERP開発環境です。ハードウェア費用だけでなく、設置費用もかかりますので注意しましょう。

ライセンス費用

パッケージタイプのライセンス費用は一般的に利用ユーザー数で算出されます。データ使用量で算出する製品もあり、ERPベンダーによってライセンス費用は様々です。

導入サポート費用

パッケージタイプの導入費用で1番コストがかかるのが導入サポート費用です。ベンダーによっては全体の50%を占めることがあります。

導入期間が長くなれば、導入サポート費用も高くなります。無駄なコストをかけないためにも、正確な導入期間を割り出しておくことが大切です。また、費用に対して実際のサポートが見合っているか確認しましょう。

カスタマイズ費用

機能を追加するとカスタマイズ費用がかかります。追加した分だけカスタマイズ費用は高くなるので、コストの増加を避けるために事前検討の段階で機能が充実したシステムを選びましょう。

トレーニング費用

ERPの導入は既存の業務を大きく変えるため、従業員は新しいシステムに馴れるためにトレーニングが欠かせません。その際にかかるのがトレーニング費用です。システムを利用するユーザーの数で費用を算出します。

​​ERP(クラウドタイプ)にかかる導入費用相場

中小企業がクラウドタイプのERPを導入した場合の費用イメージは以下の通りです。クラウドタイプのため、専用機器やソフトの用意がいらないのが特徴です。そのため、パッケージタイプより安価に導入できます。

ただし、毎月固定でかかるサブスクリプション費用がかかるため、導入期間によってはパッケージタイプより費用を上回る可能性もあります。以降では、クラウドタイプの費用を決定する3つの要因について解説していきます。

費用 構成比
導入初期費用 10万円 12%
ライセンス費用 6万円 8%
サブスクリプション費用 65万円 80%
合計 81万円 100%

導入初期費用

システムを導入する際に、導入初期費用がかかります。製品の中には初期費用が無料で導入できるものがあるため、問い合わせの際に確認しましょう。

ライセンス費用

クラウドタイプのERPにおけるライセンス費用とは、1契約(事業所)にかかる費用です。クラウドタイプでは、ライセンス費用と合わせてサブスクリプション費用がかかります。

サブスクリプション費用

サブスクリプションとは毎月固定で払う費用のことで、クラウドタイプの大半がサブスクリプションの料金体系になっています。サブスクリプションの費用はユーザー数によって変わります。ERPのサポート費用もこのライセンス費用に含まれているケースが多いです。

ERP(基幹管理システム)の費用におけるパッケージとクラウドの違い

パッケージタイプとクラウドタイプ

パッケージタイプとクラウドタイプには、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらのタイプを導入するべきか迷う場合はこちらを参照すると良いでしょう。

パッケージは1事業所ごとに費用がかかる

クラウドと違いパッケージシステムは、サブスクリプション費用ではなくライセンス費用を徴収します。ライセンス費用は1契約ごとに発生する費用です。つまり事業所一つに対して発生するコストになります。

一方サブスクリプション費用は、ユーザーベースで発生する費用ですので、ユーザー数が多くなれば費用が高くなります。

ERP(基幹管理システム)の料金の中に、基本ライセンス費用とサブスクリプション費用についてきちんと理解していない人が多いので注意しましょう。

パッケージはランニングコストが抑えられる

パッケージは導入時の費用がクラウドと比べ高くなりますが、ランニングコストがかかりません。クラウドは初期費用が掛かりませんが、ランニングコストがかかってしまいます。

長期的に見るとパッケージの方が費用を安くできる可能性があります。初期費用の部分だけで判断せずにトータルコストを考えて導入を検討しましょう。

クラウドはユーザー数に応じて費用がかかる

クラウドはサブスクリプション型の料金体系で、利用ユーザーの人数によって費用が変わります。ユーザー数が多くなればなるほどかかるコストは高くなります。料金プランを用意している製品であれば、ホームページで費用を確認することができます。

クラウドは導入コストが抑えられる

クラウドは開発環境の用意をせずに導入できるため、導入コストを抑えることができます。パッケージの場合、開発環境の用意が必要なので短期間の導入ができません。ハードウェアの設置費用もかかりますので、導入コストは高くなります。

中小企業ならクラウド型が優位

中小企業ならクラウド型が優位です。パッケージ型の場合、自社サーバーを利用するため、サーバーの管理は自社で行わければいけません。大企業であれば担当者を配置することも可能ですが、中小企業の場合、専任者を置くのは人件費の問題から難しいでしょう。

一方クラウドでは、サービス提供事業者が運用や保守の一切を担当するので、運用側に負担がかかりません。サーバーの管理を自分たちで行うのが難しい中小企業は、クラウド型の導入を検討してみるといいでしょう。

ERP(基幹管理システム)の導入の流れ

ここではERPの導入手順について解説しましょう。導入手順を間違えてしまうと、自社の課題を解決できない可能性もあります。そのため、ここで解説する内容をしっかりと把握するようにしてください。

自社の課題を把握する

ERPの導入をする目的を明確にしましょう。そのために課題の洗い出しが必要になります。多くの企業が導入しているから何となくの理由で導入を進めるとシステム導入の効果が得られません。

  • 「現在利用しているシステムはどのような問題があるか?」
  • 「導入コストに見合った効果を得ることができるか?」

など導入前に課題を必ず洗い出しましょう。

クラウドかオンプレミスかを選ぶ

課題を整理し、導入の目的を明確にできたら、次にERP商品の選定をしましょう。自社に合ったシステムを導入するために、クラウドとオンプレミス型それぞれの特徴とメリットを把握することが大切です。クラウドとオンプレミスでは価格だけでなく利用形態も異なるので導入の際は注意しましょう。

ERPの運用体制を整える

ERP導入後の運用体制を整える必要があります。担当者を選出し、システムを使いこなすための準備を進めなければいけません。例を挙げると、ERP導入に伴う業務内容変化の周知や、操作方法の確認などです。

ERPに限らずシステムを導入しても、結局現場が使いこなせないと、費用に見合った成果が得られません。導入後を踏まえた運用体制を確立することも非常に大切です。

導入予定を立てる

ERPを導入するにはある程度の期間が必要です。特にパッケージ型だと開発環境の準備があり、導入に時間がかかります。システムが完成するまでのあいだ、運用ルールの確認や操作方法の教育スケジュールを立てておきましょう。

スケジュールを立てておくことで、スムーズにシステムを活用することができます。ベンダーやプロジェクト責任者だけでなく、現場の社員も一丸となってプロジェクトに取り組みましょう。

中小企業がERPを導入するなら「SAP」がおすすめ

パッケージタイプとクラウドタイプの特徴や各ERPの費用相場、そして導入手順まで解説しました。ここでは中小企業にオススメの「SAP」についてご紹介します。導入を具体的に考えている方はぜひ参考にしてみてください。

SAPとは?

SAPとは、ドイツに拠点を置くヨーロッパ最大級のソフトウェア開発会社のことで、そのSAP社が提供するERPシステムのことをSAP ERPと呼びます。SAP ERPは市場シェア1位を誇る製品で、世界中の企業で幅広く使われているERPシステムとなっています。

パッケージ製品となっているので、1からシステムを作るよりも工数を抑え短期間で導入できることに加え、人事給与・経費精算などの幅広い業務を管理することが可能となっています。

また、SAPERPの機能の一つに、企業の業務にシステムを合わせていくといったカスタマイズ機能があり、このカスタマイズ機能を有効活用することで世界中のあらゆる企業から信頼を獲得してきました 。 これが、SAPが市場シェア1位を誇っている理由の1つでもあります。

SAP ERPの特徴

SAPについて理解できたかと思われます。ここでは、SAP ERPの特徴についてご紹介していきます。

特徴?:シェア率の高さ

先ほども、少し述べましたが、SAP ERPは全世界中で取り扱われており市場シェア1位を誇る製品です。世界中で使用されていることから、多言語に対応しており、海外の顧客をターゲットにビジネスを展開している企業にも向いています。

海外に拠点を置いてる業務も一括管理することができ、国際会計基準にも適応しているので企業の海外展開のサポートが手厚いです。また、シェア率の高さゆえ、信頼性については何の心配もすることはないでしょう。

特徴?:コスト削減の実現

SAP ERPの特徴の中でも、最も際立つのが企業のコスト削減が可能といった部分です。これまでExcelなどを使用して人の手によって管理する必要のあった業務もSAPを導入することで一括管理することが可能となるので、人件費などの費用を大幅に削減する事ができます。

また、パッケージ商品となっているので、新たにシステム開発をする必要がありません。そして、業務管理をリアルタイムでできるため、時間的コストの削減にも貢献することができます。

SAP ERPの導入費用はどれくらい?

SAP ERPの導入費用は、企業の規模によって大きく異なってきます。他社事例を見ると、1億円かかる場合や、数百億円かかる事例もあったりします。

上記の話を聞いて、高額と思われるかもしれません。SAPの導入費用は以前に比べてコストが安くなってきたため、高額な費用を見積もられる心配はなくなってきています。

工数を抑え短期間で導入できることに加え、人事給与・経費精算などの幅広い業務を管理することが可能となっています。元々、SAPはパッケージ製品として販売をしており、時短で導入できる、業務の管理が楽にできるといった点で人気を集めていました。

そのため、実際の導入にあたって不要なシステムがついてくるなどといった必要のない費用が発生しておりましたが、現在では、SAPが主流としている販売方式はモジュール方式での販売です。

モジュール方式の製品は、企業のニーズに合わせて必要機能だけを選んで製品の導入が可能となっております。 不要な機能の費用を取り込まなくて済むので、安く見積もりを立てることができます。

そのため、モジュール方式を採用することによって導入費用のコスト削減に成功しただけでなく、開発期間の大幅な時短短縮にも貢献しました。

おすすめはS/4HANA Cloudの活用

コスト削減のため、もう一つ知っておきたいことがクラウドERPの導入です。S/4HANA Cloudと呼ばれるクラウド製品をリリースしたことによって、より多くの企業にSAPが導入されました。ここでは、S/4HANA Cloudをおすすめする理由を解説していきたいと思います。

理由1:導入費用の削減効果に期待できる

S/4HANA Cloudもそうですが、クラウド化の最大のメリットは導入費用が安いことです。また、クラウドの場合、短期間で素早く導入することもできるので時間的コストの削減にも繋がります。

利用するユーザの数が増えてきたり、機能を拡張をするとサーバのスペックが足りなくなってしまうことがあります。しかし、クラウドであれば、サーバのスペックをアップしたり、サーバ数を増やすことが簡単にできるといったメリットもあります。

そのため、最近では導入費用の削減、時短ができるといった点で、クラウドを導入する企業が増えてきています。

理由2:維持管理コストもかからない

S/4HANA Cloudは、オンプレミス型のようにメンテナンスする必要がないため、システムの維持管理コストを支払う必要がないので維持費を安く抑えることができます。

また、サブスクリプションで利用環境に応じて月額料金を支払うことで、セキュリティ対策も万全の状態で利用することができます。オンプレスと比べ高い家賃を支払うことも必要がなくなり、毎月一定額を支払うことで維持費を抑えることができるでしょう。

まとめ

今回は、ERPシステムの特徴やメリットを解説し、クラウド型とパッケージ(オンプレミス)型の特徴や料金相場を比較した上で、おすすめのERPであるSAP について紹介してきました。

システムの特徴やメリットを把握せずに導入を進めてしてしまうと後悔することになりかねません。自社の課題を解決できる最適なシステムを選定するために、ERPシステムについて理解を深めておきましょう。

ERPシステムは導入コストが他のシステムと比べ高いため、まずはシステム会社に相談することをオススメします。

どのシステム会社に相談すれば良いかわからないという場合、弊社が運営しているビジネスマッチングサービスの『比較ビズ』を使ってみるのもオススメです。『比較ビズ』に登録している多数のシステム会社に対して、ネット上で一括で相談し提案や見積もりを貰うことができます。

無料で利用できるため、何度問い合わせしてもお金は一切かかりません。ERPの導入を考えている方でしたら、自社に合ったシステム会社を探すツールとして使ってみてください。

監修者のコメント
株式会社GeNEE
代表取締役 日向野卓也

東京工業大学環境・社会理工学院卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。MBA(経営学修士)取得。国内最大手SIerの株式会社NTTデータで大手法人領域(大手流通企業、大手小売企業)の事業開発、事業企画等の業務に従事。米国スタンフォード大学への研修留学を経て、システム/モバイルアプリ開発会社の株式会社GeNEEを創業。

ERPの導入を検討されている場合、「自社のシステム化が進んでいない。」、もしくは「システムがいくつかあり、連携が上手くいっていない。連携に課題がある。」ケースが多いです。

そのようなケースであれば、ERPを導入することで自社システムを整理統一し、全社的な風通しをよくしたいという思惑があるはずです。またそれと同時に、できるだけ既存の業務を変えたくないとの思いもあるでしょう。しかしながら、既存の業務を変えたくないという思いは最小限に留めるべきだと弊社は考えます。

ERPを導入するのであれば、既存の業務フローや手法はすべてERPにあわせて変更する、それぐらいの意気込みを持つ必要があります。もちろん本記事の通りカスタマイズは可能です(SaaS系サービス等できないものもあります)。変更できない部分についてはカスタマイズ対応が必要になるでしょう。

しかし、そういった部分はできるだけ最小限に抑え、ERPが標準提供するレールに則り自社業務を変更することを検討された方が、自社の業務効率化やデータの一元的管理は実現しやすいですし、カスタマイズ箇所を最小限に抑えることでコストの削減にもなります。

自社業務の整理が難しい場合は、導入を検討しているERPに詳しい会社に自社業務の見直しを依頼するところから始めるのが良いでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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