社会保険に加入するメリット・デメリットとは?企業と労働者双方の視点から内容を解説

吉川社会保険労務士事務所
監修者
最終更新日:2023年12月28日
社会保険に加入するメリット・デメリットとは?企業と労働者双方の視点から内容を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 労働者が社会保険に加入するメリットとは?
  • 社会保険への加入で企業側が得られるメリットとは?
  • 社会保険への加入条件とは?

「労働者が社会保険に加入するメリットは?」「社会保険の加入条件は?」とお悩みの方、必見です。労働者が社会保険に加入するメリットは、企業側と保険料を折半しているため医療機関で治療を受けた際の自己負担額が軽減される点です。

この記事では、労働者が社会保険への加入によって得られるメリットや加入条件などを解説します。有期雇用契約者を多数抱えている事業場、有期雇用契約者の採用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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社会保険の種類

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社会保険は以下の4種類に分類できます。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険

労働者を正社員で採用した場合、企業側は基本的に無条件で4種類の社会保険への加入手続きを進めなければなりません。

健康保険

健康保険とは業務時間外に怪我や病気、体調不良に見舞われた際、医療機関での治療費を軽減する制度です。健康保険に加入していると、医療機関での治療費は原則3割負担となります。健康保険に加入していない場合は、医療費を全額自己負担しなければなりません。

健康保険に一定期間加入していると、出産手当金や傷病手当金も受給できます。従業員と企業は保険料を毎月折半し、従業員へ給与を支払う際は保険料を天引きした額で支給するかたちです。健康保険へ加入している従業員が40歳以上になると、自動的に介護保険へ加入します。

介護保険とは

自宅で日常生活を1人で送ることが難しく、サポートを必要としている方を対象に、低価格で介護サービスを受けられるようにした制度です。健康保険に加入した労働者は40歳になると、自動的に介護保険への加入が義務付けられます。会社員の場合、介護保険料は健康保険料と同様、企業側と折半するかたちです。

厚生年金

厚生年金とは、一定の要件を満たした70歳未満の会社員や公務員が加入できる年金制度です。企業や自治体が国に代わって積立と給付をおこないます。

健康保険と同様、労働者と企業側が毎月の保険料を折半し、給与や賞与は保険料が天引きされた額が支給されるかたちです。厚生年金に加入した会社員や公務員は、老齢厚生年金や障害厚生年金、遺族厚生年金を受給できます。各年金の特徴を以下の表にまとめました。

老齢厚生年金・一般的にイメージされる厚生年金は老齢基礎年金が該当
・65歳以上になると受給資格が発生
障害厚生年金・病気や怪我で仕事に制限が生じている方に支給
・厚生年金へ加入している間、障害基礎年金1級または2級に該当した場合に受給資格が発生
遺族厚生年金・厚生年金保険の被保険者が亡くなった場合、遺族に支払われる年金
・子どものいる配偶者や子どもに優先的に支給

厚生年金は国民年金と異なり、満額支給の概念はありません。勤務先での年収や勤続年数に応じて受給額が変動します。

雇用保険

雇用保険とは、労働者の雇用確保と安定した生活の実現を目的に設立された制度です。労働者が自己都合や会社の倒産などによって失業した場合は失業手当を給付し、再就職までの金銭的不安を軽減します。

早期の再就職を果たした労働者には再就職手当や就業促進定着手当も支給されます。従業員と企業側で適用する保険料率が異なるため、注意が必要です。

雇用保険料は「毎月の給与額×雇用保険料率」にて算出する仕組みです。雇用保険料率は毎年見直されており、4月1日に1年間の保険料率が発表されます。令和5年度の雇用保険料率は厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」を参考にしてください。

労災保険

労災保険とは労働者が怪我や病気、障害を業務時間や通勤途中で負った際、補償を受けられる制度です。他の社会保険と異なり、保険料は全額企業側が負担します。従業員を1人でも雇っている企業は、必ず労災保険へ加入しなければなりません。

労災保険は怪我や病気が業務に起因していると認められた場合のみ、保険金が支給されます。たとえば、通勤途中で寄り道をした際に怪我をした場合、労災保険の適用は認められません。

業務中に負傷した場合も、私的行為や意図的が要因と判断された場合は労災保険が下りず、治療費は労働者の自己負担となります。労災保険は役員や代表取締役には適用されません。

社会保険に加入する4つのメリット【労働者編】

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社会保険への加入によって、労働者が得られるメリットは以下の4つです。

  1. 将来もらえる年金が増える
  2. 保険料を勤務先と折半できる
  3. 傷病手当金や出産手当金がもらえる
  4. 安心して再就職先を探せる

メリットの内容を1つひとつみていきましょう。

メリット1. 将来もらえる年金が増える

厚生年金への加入によって、65歳を迎えた後にもらえる年金が増えます。厚生年金と国民年金の双方を受け取れるため、老後の生活への不安を軽減できるでしょう。

厚生年金は勤続年数と年収によって支給額が増える仕組みです。1つの企業で長く働いた方や役職経験者は、他の従業員よりも多くの厚生年金が支給されます。

メリット2. 保険料を勤務先と折半できる

健康保険へ加入すると毎月の保険料を勤務先と折半したうえで、医療機関での自己負担額を抑えられます。健康保険の被保険者は自己負担が3割ですむ一方、加入していない場合は治療費を全額負担しなければなりません。

プライベートで体調不良や怪我をした際にも、金銭的負担を過度に気にせず安心して治療が受けられます。健康保険の被保険者は40歳以上になると、介護保険へ自動的に加入する仕組みです。

要介護状態の家族を抱えている場合でも、訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、複数の介護サービスを低価格で利用できます。

メリット3. 傷病手当金や出産手当金がもらえる

健康保険へ一定期間加入していると、傷病手当金や出産手当金の受給資格が発生します。傷病手当金とは業務外の怪我や病気によって仕事に就けない期間、被保険者の生活を守るために支給されるお金です。

「(支給開始日までに受け取った12カ月間分の給与÷30日)×3分の2」の額が、最長1年6カ月分支給されます。支給対象は以下のとおりです。

  • 業務外の怪我や病気が原因で仕事を休んでいる
  • 担当業務をこなせない状態
  • 3日間連続の休業を含めて4日間以上仕事に就けていない
  • 仕事を休んだ期間に勤務先から給与の支払いがない

出産手当金は出産日の42日前〜出産翌日の56日まで仕事を休み、出産手当金支給申請書を提出した場合「(支給開始日前に受け取った12カ月間分の給与÷30日)×3分の2」が支給されます。産前産後中の賃金支払いは企業に義務づけられていません。

メリット4. 安心して再就職先を探せる

雇用保険への加入によって一時的に失業期間が生まれたとしても、金銭的不安をさほど抱えずに転職先に励めます。自己都合によって勤務先を退職した場合でも、賃金日額×50〜80%が支給されるためです。

失業給付は90日〜150日まで支給され、雇用保険への加入期間に応じて支給期間が変動します。退職後すぐに再就職した場合は、再就職手当や就業促進定着手当なども受け取れます。

失業給付の手続きには離職票が必要になるため、前職と良好な関係を保ちましょう。自己都合退職の場合、失業手当を申請してから受給に至るまで約2カ月かかるのが一般的です。申請後すぐにもらえるわけではないため、注意しましょう。

社会保険に加入する4つのメリット【企業編】

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労働者が社会保険へ加入しやすい環境を整えると、以下4つのメリットが得られます。

  1. 福利厚生の充実をアピールできる
  2. 厚生年金を退職金に運用できる
  3. 優秀な人材の流出を避けられる
  4. 雇用関連の助成金を活用できる

「福生厚生が充実している」「働きやすい職場環境が整備されている企業」とアピールでき、求人への応募率向上が望めるでしょう。

メリット1. 福利厚生の充実をアピールできる

労働者を新たに募集する際、求人票に「社会保険完備」と記載すると、応募者に安心感を与えられます。勤務先に福利厚生の充実度や働きやすさを重視する方は少なくありません。

「従業員を大切にするホワイト企業」のイメージを印象付けられるため、求人への応募率や優秀な人材を採用できる確率が高まります。

メリット2. 厚生年金を退職金に運用できる

厚生年金の運用益を退職金に上乗せして支給できるため、従業員とのトラブルやイメージダウンを避けられます。経費処理も認められており、節税対策につながる点も魅力です。

メリット3. 優秀な人材の流出を避けられる

健康保険へ加入した従業員は40歳になると、介護保険にも自動的に加入する仕組みです。要介護が必要な家族を抱えていたとしても、各種介護サービスの自己負担額を1〜3割に抑えられるため、金銭的負担を大幅に軽減できます。

2週間以上仕事を休む場合、一定の要件を満たすと介護休業給付金の受給が可能です。要件を以下にまとめました。

  • 職場復帰を前提に介護休業を取得
  • 直近2年間で雇用保険への加入期間が12カ月以上経過
  • 介護休業開始日前までに同じ事業主から1年以上雇用されている状態
  • 介護休業開始日から93日が経過した後、6カ月以内に雇用契約が満了しないことが明確
  • 休業期間中の就労日が10日未満

在宅勤務や短時間勤務など、働き方を自由に選択できる場合、介護を理由に仕事を辞める必要はありません。従業員はキャリアアップに励める一方、企業側は優秀な人材の流出を避けられます。

メリット4. 雇用関連の助成金を活用できる

新たに労働者を採用する際、中途採用等支援助成金やトライアル雇用助成金など、雇用関連の助成金を利用できます。

中途採用等支援助成金とは人手不足解消に向け、中途採用に注力する企業向けの助成金制度です。中途採用計画策定や中途採用率公表など、一定の要件を満たすと最大100万円の助成金が支給されます。

トライアル雇用助成金とはニートやフリーターなど、就業経験に乏しい労働者の正規雇用を検討している企業向けの制度です。ハローワークから紹介された労働者を最長3カ月間試験的に雇用した場合、労働者1人につき毎月4万円が支給されます。トライアル期間を経て正規雇用に移行可能です。

社会保険に加入するデメリット【労働者編】

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社会保険への加入はメリットばかりではありません。労働者にとって以下2つのデメリットが生じます。

  1. 毎月の手取り額が減る
  2. 労働時間が長くなる

扶養内で働く有期雇用契約者は、年収を106万円または130万円以内に抑えるのが基本です。社会保険へ加入した場合は所得税に加えて毎月の保険料も発生するため、手取り額が減少します。

デメリット1. 毎月の手取り額が減る

配偶者の扶養範囲内で働いている場合、社会保険へ加入すると毎月の手取り額が減ります。毎月の収入から健康保険料と厚生年金を払わなければなりません。年収が106万円または130万円のどちらかを超過した場合、配偶者からの扶養から外れ、勤務先の社会保険への加入義務が生じます。

配偶者の勤務先によって扶養から外れる年収の基準が異なるため、確認が必要です。どの年収の基準であっても、年収が130万円を超えた段階で自動的に社会保険へ加入しなければなりません。

扶養内で働いている場合、年収が103万円を超えた時点で所得税も発生しています。どのような働き方を望んでいるか、見直す姿勢が必要です。

デメリット2. 労働時間が長くなる

社会保険への加入にともなう手取り額減少の影響を考慮し、労働日数や労働時間を増やす方もいるでしょう。労働時間が増えると収入は上がりますが、プライベートな時間が減ります。

子どもを育てている方は、育児や家事との両立も考えなければなりません。配偶者や子どもの理解を得る必要もあるでしょう。

労働時間の増加によって疲労が蓄積すると、体調不良のリスクも高まります。自身の体調や体力に見合った働き方を実現できているか、検証することが重要です。

社会保険に加入するデメリット【企業編】

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社会保険に加入する労働者が増えると、企業にとって以下2つのデメリットが生じます。

  1. 保険料の支払いが増える
  2. 労務担当者の負担が増す

各種保険料は労働者と折半するため、社会保険への加入を希望する労働者が多いほど、多くの費用を支払わなければなりません。

保険料の支払いが増える

社会保険への加入を望む労働者が増えると、毎月の納税額が増加します。健康保険や雇用保険、労災保険など、毎月一定の保険料を支払わなければなりません。

業績の有無を問わず毎月納税義務が課せられるため、企業経営を圧迫する可能性があります。有期雇用契約者を多数抱える事業場は社会保険への加入によって、人件費の高騰に悩まされるでしょう。

一方、有期雇用契約者の労働時間や労働日数が増えるため、人手不足解消や生産性向上など、メリットも望めます。業績が上向いた場合は人件費の高騰をカバーできるため、デメリットばかりではありません。

労務担当者の負担が増す

健康保険・厚生年金保険新規適用届や被保険者資格取得届など、社会保険の加入手続きにはさまざまな書類の作成が必要です。健康保険や厚生年金、労災保険によって、提出すべき書類が異なるため、正確かつ素早い処理が必要です。

労務担当者は勤怠管理や給与計算、就業規則の整備など、限られた時間で多くの業務をこなしています。人手不足の場合は採用や人事制度の見直しなど、人事の業務を兼任しているケースもあるでしょう。

社会保険の加入希望者が多いほど労務担当者への負担が増し、他の業務へ支障が生じる可能性が高まります。労務管理システムの導入や社労士へ相談し、労務担当者への負担軽減を図りましょう。

社会保険への加入条件【労働者編】

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新しい人材を正社員で採用した場合は収入や労働時間を問わず、原則的に社会保険への加入手続きが必要です。採用した労働者の年齢が70歳未満の場合、無条件で健康保険と厚生年金に加入させなければなりません。

雇用保険の要件は31日以上働く見込みがあり、週の所定労働時間が20時間以上です。正社員採用の場合、問題なくクリアできる内容でしょう。有期雇用契約者の場合、以下の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である
  • 2カ月以上の雇用期間が見込まれる
  • 月額賃金を8.8万円以上得ている
  • 事業場で常時働いている従業員が101人以上いる
  • 労使間で合意が取れている
  • 学生ではない

2024年10月には事業場での従業員数変更が予定されており、これまでよりも社会保険に加入しやすくなるでしょう。

社会保険への加入条件【企業編】

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事業場が強制適用事業所か任意適用事業所のどちらに分類されるかによって要件は異なります。

強制適用事業所とは企業規模や業種、経営者の意思などに関係なく、労働者の社会保険加入が義務付けられている事業所です。株式会社や合同法人、地方自治体の事業所などが該当します。農業やサービス業など一部の事業を除き、常時5人以上の従業員を雇用している個人事業所も強制適用事務所の対象です。

任意適用事務所は以下の要件を満たした事業所を指します。

  • 従業員の半数以上が社会保険の適用事業所となることに同意している
  • 事業主の申請によって厚生労働大臣から許可を受けている

任意適用事業所は、社会保険への適用事業所申請に反対していた従業員も社会保険への加入が必須です。どちらの事業所に分類されたとしても、社会保険への加入要件に変更は生じません。

社会保険の加入手続きを始める前に整理すべき6つのポイント

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社会保険への加入手続きを始める前に、以下6つのポイントを把握しましょう。

  1. 対象者が未加入の場合は罰則が課せられる
  2. 有期雇用契約者の対象範囲が拡がる
  3. 労務管理システムの導入を検討する
  4. 社労士に相談する
  5. 退職する場合はすぐに国民健康保険へ加入する
  6. 個人事業主は自分で手続きをおこなう

1〜4までは企業側が把握すべきポイントで、5と6は労働者向けの内容です。

ポイント1. 対象者が未加入の場合は罰則が課せられる

社会保険への加入要件を満たしているにもかかわらず、対象者の加入手続きを怠った場合は罰則が課せられます。過去2年分の社会保険料を一括で支払わなければなりません。多額の支払いによって企業経営が圧迫されます。期日までに納付できない場合は、延滞料金の支払いも必要です。

虚偽の申告や行政からの指導を無視した場合は法令違反とみなされ、50万円以下の罰金または6カ月以下の懲役が科せられます。マスメディアに企業名を公表された場合、イメージダウンは避けられないでしょう。

多額の利益損失を避けるため、加入要件を満たした労働者の手続きは確実におこなう姿勢が必要です。

ポイント2. 有期雇用契約者の対象範囲が拡がる

2024年10月からは常時従業員が51人以上働く事業場を対象に、加入要件を満たした有期雇用契約者の社会保険加入が義務付けられます。2022年10月からの現行制度では、常時従業員が101人以上働く事業場が対象でした。

社会保険への加入要件はこれまでと変わりません。加入要件を満たした従業員がいる場合、雇用保険や健康保険の被保険者資格取得届を2024年10月までに提出する必要があります。雇用契約の見直しも必要になるため、早めに準備を進めましょう。

ポイント3. 労務管理システムの導入を検討する

社会保険への加入者増加によって、労務担当者の負担増大が予想される企業向けの選択肢になります。労務管理システムとは入退社の手続きや雇用契約書の作成、従業員情報の管理など、複数の業務をシステム上で完結できるシステムです。

社会保険への加入手続きに必要な書類も電子申請で提出できるため、役所で手続きをおこなう必要はありません。労務管理システムの導入によって、業務負担軽減と業務効率改善を実現できます。ペーパーレス化の促進によって、印刷費や消耗品購入費などを削減できる点も魅力です。

人事担当者が労務管理を兼任している企業、労務管理の負担増大に悩まされている企業に、適した選択肢といえるでしょう。

ポイント4. 社労士に相談する

社会保険の加入手続きを社労士に依頼するのも有効な方法です。社労士は労務管理全般に関して豊富な知識を持ち、素早く正確な仕事ぶりが望めます。書類の提出遅れにともなう罰則を心配する必要もないでしょう。

近年は、社会保険の加入手続き代行をスポットサービスとして提供する事務所も増えています。スポットサービスの場合、顧問契約を結ぶ必要はありません。変動費として扱えるため、固定費用の発生を避けられます。

料金は社労士事務所によって異なりますが、1人1万円前後が相場です。すべての社労士が、社会保険の加入手続きを得意としているわけではありません。ホームページ上で実績を確認しましょう。

ポイント5. 退職する場合はすぐに国民健康保険へ加入する

退職してすぐに再就職しない場合は、国民健康保険への切替手続きが必要です。勤務先を退職してから14日以内に、国民健康保険への加入手続きを終わらせなければなりません。

加入手続きは最寄りの区役所や市役所でおこないます。手続きには本人確認書類と資格喪失証明書が必要です。退職する際、前職での勤務先から資格喪失証明書を忘れずにもらいましょう。

退職後14日が経過した後に国民健康保険へ加入した場合、資格発生日からの保険料納付が求められます。切替前に医療機関で治療を受けた場合は全額自己負担になるため、早期対応が重要です。

ポイント6. 個人事業主は自分で手続きをおこなう

個人事業主は会社員と異なり、誰かが保険料の計算や納付手続きを代行してくれるわけではありません。保険料納付を毎月自ら対応しないといけないため、スケジュール管理の徹底が求められます。納付方法を口座振替にすると、支払い漏れの発生を心配する必要はなくなるでしょう。

国民健康保険の保険料は全額自己負担です。国民年金の支払い分16,590円(令和5年度)とあわせると、会社員時代よりも毎月の負担額が大きくなります。将来的に個人事業主への転身を検討している方は、会社員時代よりも保険料の負担が重くなるでしょう。

まとめ

社会保険への加入要件を満たした労働者の手続きをおこなわない場合、さまざまなデメリットが生じます。最悪の場合は社会保険未加入の実態が公表され、社会的信用低下や多大な利益損失を招くため、注意が必要です。

社会保険への加入希望者が増えた場合、労務担当者への業務負担が増大します。通常業務への支障を避けるためにも、社労士に相談しましょう。

社労士に依頼するメリットは、期限内までに正確かつ素早い処理が望める点です。「比較ビズ」を利用すると、必要事項を入力する2分程度で条件に合った社労士事務所を探し出せます。社会保険手続きの依頼先探している方は、ぜひ利用をご検討ください。

監修者のコメント
吉川社会保険労務士事務所
代表 吉川 愛

宮崎県出身。横浜国立大学を卒業後、IT会社のSE、人事労務を経験。2021年に川崎にて社労士事務所を開業。モットーは経営者のよきパートナーで有ること。

従業員にとって、社会保険の加入は手取りが減ってしまうため、扶養の範囲内で仕事をする方も多くいます。確かに、扶養内で働く場合と比べて、手取りは減ってしまうかもしれませんが、将来もらえる年金が増える、病気等で休んだ場合に補償があると考えるとデメリットばかりではありません。

一方、扶養に入らない場合、自分で国民健康保険、国民年金保険料を払うことになりますので、会社負担のある社会保険に加入する方が、負担額が少ないこともあります。事業者にとって、社会保険の加入はメリット、デメリットで考えるものではなく、加入義務の有無で考えるべきものです。

加入義務があるのに加入手続きをしていない場合、行政からの指導もあります。過去に遡って加入となると、金銭的な負担も大きくなります。適正な手続きを行うように心がけましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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