電気工事の費用相場【種類別に解説】
オフィス・店舗などで必要になる電気工事は、建物内で実施される「電気設備工事」および「電気通信工事」が中心です。
そのなかでも、一般的だと思われる以下の9つの電気工事の料金相場を、工事種類別にそれぞれ紹介していきます。
照明器具取付工事
オフィス・店舗に必須の照明器具取付・交換などの工事です。近年ではエコロジーの観点からLED照明へ交換するオフィス・店舗も増えています。
コンセント・スイッチ増設工事
オフィス・店舗内のコンセント新設・増設・移設や、照明器具用を含むスイッチを新設・増設・移設する工事です。
2口のダブルコンセントが一般的です。ほかにも3口のアース付きコンセント、高ワット対応のアースターミナル接続コンセント、マルチメディアコンセントなどもあります。
ネットワーク・LAN工事
電気通信工事に該当する通信・ネットワーク工事です。ほかの信号の影響を受けてノイズを発生させないケーブルの取り回しなど、独自のノウハウが必要になります。オフィス内にすっきりと配線するためモール処理が施されるのが一般的です。
テレビアンテナ・設置工事
テレビアンテナの新設・移設・撤去、それに伴うテレビアンテナ線に関連する工事です。
エアコン取付・取外し・移設工事
エアコンの取付・取外し・移設に関連する工事です。業務用エアコンの場合は、ダクト工事が必要な場合もあり、取付・取外し・移設の費用はかさみがちです。
厨房換気扇・レンジフードのダクト工事
飲食店に欠かせない換気扇・レンジフードに関連する工事です。業務用エアコン同様、ダクト工事は費用が高額になる傾向があります。
太陽光発電・オール電化設置工事
オフィスビルの屋上などに太陽光発電システムを設置する工事です。エコロジーの観点から、オフィスビル内のオール電化を進める例も増えています。
これらの工事も「電気工事」に分類されますが、費用は状況に応じて大きく変わります。
防犯カメラ・セキュリティ機器設置工事
防犯カメラ・セキュリティ機器の設置工事も「電気工事」です。火災報知設備も電気工事に含まれるでしょう。
電気工事の具体的な料金体系例
電気工事の具体的な料金体系例を、2社ピックアップしました。
総合デンキサービス株式会社の料金体系例
参照:総合デンキサービス株式会社
※コンセント・スイッチ工事
※専用工事回路
※LAN工事
※専用工事回路
総合デンキサービス株式会社は、埼玉県内に5つの営業所を置く電気工事会社です。電気工事と該当するほとんどの分野の工事に対応できる強みがあります。
とくに、アンテナ工事に関してはスムーズに手際よく対応することに定評があります。「地元で、柔軟な対応ができる電気工事会社にお願いしたい」方はおすすめです。
サミティ合同会社の料金体系例
参照:サミティ合同会社
※アンテナ工事
※エアコン工事
※レンジフード工事
サミティ合同会社が運営する「電気工事の親方」名古屋に拠点を構える電気工事サービスです。日本全国を対象に、24時間365日受付できるため、最短で即日対応ができる強みがあります。
相談・見積もりが無料のため気兼ねなく問い合わせもできるのも魅力的です。「緊急で電気工事を依頼したいけど、どこに依頼すればいいかすぐに決まらない」方に、おすすめです。
電気工事の費用算出方法を解説
電気工事の費用算出方法に関する解説は、下記のとおりです。
- 歩掛人工(ぶがかりにんく)で算出される「人件費」
- 労務単価と呼ばれる「技術料」
- 電気工事に必要となる部材の「材料費」
- 電気工事に必須な「直接経費」
電気工事の費用は、人件費・材料費・直接経費などの費用が合算されたものです。特に人件費が非常に大きなウエイトを占めており、理解することでより「見積額の妥当性」が見えてきます。4つのポイントをそれぞれ解説していきましょう。
歩掛人工(ぶがかりにんく)で算出される「人件費」
歩掛人工とは、実施する電気工事に対して、どれだけの作業員で、どのくらいの時間で完了できるかを数字にしたものです。
例えば、オール電化設置工事を依頼した場合、2人で20時間を要したとしましょう。歩掛人工で表現した場合の計算方法は以下のとおりです。
2人 ✕ 20時間 ÷ 8時間(1日の労働時間)=5人工
1日の労働時間は電気工事業者によって、7.5時間だったり、10時間だったりとまちまちなため注意が必要です。
人件費の算出方法
歩掛人工「1人工」に対して、どれだけのお金が発生するかを電気工事業者が決めた費用で算出されることになります。
1人工を5,000円と設定していた場合:25,000円
1人工を5,000円と設定していれば、5人工のため、人件費は25,000円です。
歩掛人工は、国土交通省が「公共建築工事標準単価積算基準(令和2年改定)第3篇 電気設備工事」にて電気工事の種別に対して標準の歩掛人工を提示しております。電気工事業者はこれをベースに費用を設定していることが多いです。
参照元:「公共建築工事標準単価積算基準(令和2年改定)第3篇 電気設備工事」
労務単価と呼ばれる「技術料」
電気工事の費用の中には「技術料」が含まれることがあります。先に説明した人工に含めるケースもありますが、電気工事業者によっては別枠で徴収されることもあります。
電気工事は専門的なスキルが必要な業種であり、かつ危険が伴うため、それに見合った技術料が発生するわけです。高度になればなるほど比例して高くなる傾向です。
電気工事に必要となる部材の「材料費」
コンセントを増設する場合、当然コンセント自体を用意しないといけませんし、電気を配線するケーブルも必要になってきます。材料費は、基本的には電気工事を依頼した側が費用負担します。
間違った材料を購入しないように電気工事会社の指示に従って、必要な材料を用意しましょう。
電気工事に必須な「直接経費」
直接的に関連付けられる経費のことで、水道光熱費や機械経費、特許使用料などが挙げられます。他にも多くの直接経費があるため、見積もり内に気になる経費が合った場合は、遠慮せず質問をするとよいでしょう。以下の3つからご覧ください。
水道光熱費
電気工事を実施する場合、どうしても水道や電力を使用します。発生した費用も直接経費として請求され、電気工事にかかった時間に対して使用料金から算出されます。
機械経費
電気工事で使用する機械そのものに発生する費用を指します。電気工事業者は多くの機械を保有していますが、建設機械等損料と呼ばれる費用が発生します。機械の保守費用に当たる費用です。
特許使用料
電気工事を行うとき、特定の技術を使用するケースがあります。特定の技術に対して特許権や意匠権の対象になる場合があるわけです。特許使用料の契約に基づき使用料が発生するため、直接経費として費用請求されます。
電気工事の料金を抑える3つのポイント
電気工事の料金を抑えるポイントは上記のとおりです。電気工事の料金を抑えるためには、最終的なゴールを想定しながら納期(期日)・予算を明確にしたうえで、ポイントを押さえておく必要があります。それぞれ解説していきましょう。
複数の電気工事会社から見積もりを取る
電気工事に限ったことではありませんが、外部の専門会社に依頼する際は、相談・見積もり・契約・工事の段取りを踏みます。この時点で自社ニーズを満たす電気工事会社を3社程度ピックアップし、相見積もりを取るのが肝心です。
重要なのは、相見積もりを依頼する電気工事会社それぞれにまったく同じ内容を伝え、返答期限を設けることです。金額はもちろん、見積もり提出までのスピードや担当者の対応など、各社のサービス内容が把握しやすくなります。
補助金制度を活用する
以下の電気工事の内容によっては地方自治体を含む補助金制度を活用できる場合があります。
- LED照明の設置
- 太陽光発電システムの設置
- 電気自動車の充電設備設置
ただし、オフィス・店舗が属する自治体によって、補助金制度はバラバラです。電気工事会社の選定に入る前にチェックしておくのがおすすめです。
電気工事に関しての知識を深める
電気工事の料金を抑えたい場合は、ある程度の電気工事に関する知識をもっておくことが効果的です。ほとんどの電気工事業者は、利用者が費用面でも品質面でも満足がいくように努力をしていることは間違いありませんが、利益重視の業者がいることも事実です。
ある程度の電気工事の知識を有していないと見積もりの妥当性の判断ができず、割高で提出された見積もりで依頼をしてしまう可能性があります。専門的な話ができる程度の知識を持っていれば真偽をジャッジできるため、費用を抑えられる助けになるでしょう。
電気工事の見積書をチェックする際の3つのポイント
電気工事の見積書をチェックする際のポイントは上記のとおりです。電気工事後に料金で後悔しないためにも、見積書のチェックポイントをそれぞれ解説していきます。
工事項目ごとに単価が明記しているか確認する
電気工事は配線や設置する機器などの「部材費・材料費」ほか、配線・設置にかかる「人件費」がかかります。それらが工事項目ごとに明記されていれば、工事内容がわかりやすいうえ、ほかと比較して適正な料金なのか一目瞭然です。
一部の電気工事会社でよく見られる「工事代金一式」といった見積書では、工事費や人件費、材料費など具体的にどのくらいの費用がかかっているのかがわかりません。こうした見積書を提出する電気工事会社は避けておいた方が無難でしょう。
諸経費の金額を確認する
電気工事会社の見積書には「諸経費」が追加されている場合がほとんどです。諸経費とは、工事監督スタッフの給与、税金、雑費などを含む「現場経費」、および現場スタッフの給与・税金などの「一般管理費」で構成される「会社運営に必要な費用」です。
一般的には、諸経費が総工事費の10%〜15%程度の範囲に収まっていれば妥当な金額だといえるでしょう。中には、諸経費を20%以上に設定して金額を水増しする電気工事会社も存在するため、充分に注意する必要があります。
扱う部材の妥当性チェックする
理由もなくオーバースペックの部材を使う業者も稀にいるため、部材について妥当性をチェックできると、より精度の高い見積書を要求できます。電気工事にある程度の知識を持っていれば、部材に対してなんとなくの費用を出すことはできるでしょう。
ただし、高度な電気工事の知識を入れることは現実的に難しいため、数社での相見積もりして他社と比較するようにしましょう。
電気工事依頼から完了までの6つの流れ
電気工事依頼から完了までの大まかな流れは下記のとおりです。
- (検索)電気工事業者を探す
- (調査)電気工事を実施する箇所を現地調査をする
- (見積)作業内容を確認し費用算出および実施計画を出す
- (支払)費用を支払う
- (施工)電気工事を実施する
- (完了)アフターサービス開始
それぞれ詳しく解説しています。
1. 電気工事業者を探す
本サイト「比較ビズ」のようなサイトを始め、昨今はインターネットで電気工事業者を簡単に探すことができます。目的の電気工事の施工が可能な業者をまず探しましょう。
電気工事業者の公式サイトには、大まかな費用感や申込みの方法なども細かく掲載されているため、熟読していくとよいでしょう。
2. 電気工事を実施する箇所を現地調査をする
電気工事をしてほしい旨を伝えると業者側から連絡があり、申し込み内容の確認をします。申し込み内容に間違いがなければ、工事内容によって工事担当者が現地調査を行います。
3. 作業内容を確認し費用算出および実施計画を出す
現地調査が完了した後は、依頼のあった内容の電気工事に関する提案を費用とともに提示してもらえます。
費用の見積もりだけではなく、施工日程の具体的な計画も合わせて提示してくれます。あくまでも提案であるため、料金の交渉や施工日程の調整などが可能です。
4. 費用を支払う
実際に電気工事業者と契約する段階で、振込先や支払い方法を伝えられます。
電気工事業者の多くは費用の先払いスタイルを取っているため、教えられた振込先など、伝えられた方法で決定した費用を支払うようにしましょう。
5. 電気工事を実施する
電気工事業者が入金を確認し、工事開始日になったら開始です。
外の電気工事で大掛かりな場合天候に左右されることもあるため、計画よりも長くなってしまう可能性も理解しておきましょう。
6. アフターサービスの有無を確認する
電気工事業者によりますが、施工が完了した後もユーザーサポートでアフターサービスを提供してくれるケースもあります。
定期的なメンテナンスを実施してくれることをはじめ、他の依頼も請け負ってくれたりとさまざまなサービスを提供してもらえます。
電気工事会社選定のポイント3選
電気工事会社選定のポイントは上記のとおりです。それぞれ解説します。
得意分野・対応範囲を確認する
会社によって得意とする分野・対応範囲があると考えておけば間違いありません。電気工事に関する自社ニーズを明確にし、得意とする会社を選定するのが重要です。
たとえば、コンセント増設を含めた設備工事、LAN配線などの通信工事を同時に実施したいなら、二級電気工事士が在籍する会社を選べば問題ないかもしれません。ただし工事自体は遂行できてもLAN配線に最適な「電気通信主任技術者」が在籍していない可能性もあります。
キュービクルのあるオフィスビルであれば、一級電気工事士の在籍する会社を選定する必要があるでしょう。ホームページに在籍する有資格者を掲載する会社もあるため、事前にチェックしておくのが肝心です。
実績・歴史がある会社を選ぶ
電気工事会社は、東京のみでも月に700社以上が廃業・倒産しているといわれています。依頼した会社が消滅してしまうといったリスクを避けるためにも、長年に渡ってしっかりと事業を継続してきた歴史を持ち、工事実績の豊富な電気工事会社を選定するのが重要です。
電気工事は一過性のものではなく、改修・メンテナンスが必要です。万一のトラブルにも迅速に対応できる、実績・歴史を持つ電気工事会社を選定しましょう
親身になって対応してくれる会社を選ぶ
相手のニーズを的確に把握したうえで、プラスαとなる提案ができる電気工事会社なのか見極めることが大切です。電気工事士に限ったことではありませんが、稀に専門家の中で「相手が知っている前提」で話を進めてしまう方もいらっしゃいます。
担当者が工事内容・疑問点をわかりやすく親身になって対応してくれる電気工事会社を選定することで、電気工事の失敗のリスクも軽減できるでしょう。
電気工事 料金 まとめ
今回は、電気工事の料金や費用相場について解説しました。
法律を拡大解釈すれば、電気工事士の資格がなくても屋外コンセント増設工事はできるかもしれません。ただし、自分自身で電気工事を施工すること、事故や火事のリスクが上がります。
危険度の少ない通信設備工事であっても、専門家でなければ最適な環境は構築できないでしょう。なによりも重要なのは、信頼して任せられる優良な電気工事会社を見つけることです。
「比較ビズ」であれば、必要事項を入力する2分程度の手間で、優良な電気工事会社をスピーディーに探せます。すぐにでも費用を算出したい場合や、電気工事会社の選定に迷うようなことがあれば、ぜひ利用してみてください。
電気工事の料金でよくある質問とその回答
監修者のコメント
山崎 正人
総合住宅設備建材メーカーでの24年の営業経験、2000棟以上の現場に携わった経験を生かして、MY SQUAREを設立。住宅設備建材プランナーという新しい切り口で、家づくり・リフォームに関わるすべての人へ、最適な提案を行う。法人企業へ、住宅設備関連のコンサルティングやアドバイザリー業務、個人の方へは家づくり、リフォーム相談、住宅設備(浴室、キッチンなど)の選び方などのサポートも行う。
電気工事の費用の考え方について、気をつけなければならないのはコンセント1カ所3000円とあっても、3000円が総費用という訳ではありません。最低でも職人さんが動くわけなので、人件費や技術費や諸経費なども含めると最低でも1万円以上の費用がかかります。
また、様々な種類の電気工事があるので業者の得意不得意は見極めて選ぶ必要があります。例えば、照明やコンセントなどの電気工事は得意な業者でも、通信系はまったく知識がなかったりすることも少なくありません。ひとことで電気工事業者といっても、自身の電気工事に最適な業者を選ぶ必要があります。
さらに、電気工事とは少し話がそれますが、電気代が高騰している現在において、電気の使い方・使用する家電・節電対策なども合わせて見直してみてはいかがでしょうか。