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ECサイト構築会社に一括見積もりを取って費用相場を調査してみた【第2弾】

株式会社アンドソリューション
監修者
株式会社アンドソリューション 代表取締役 太田 寛
最終更新日:2024年01月11日
ECサイト構築会社に一括見積もりを取って費用相場を調査してみた【第2弾】

実際に見積もりを取ってみたシリーズの第2弾はECサイト開発の一括見積もり依頼をしてみました。比較ビズ出展者様のご協力のもと作成してるため、あくまで見積もりを取られる際の参考として楽しんで頂ければ幸いです。

ECサイト構築の依頼でお困りではありませんか?

もしも今現在、

  • 自社の規模の場合での費用がしりたい
  • ECサイトへの流入が増えない
  • どのECプラットフォームが適切かわからない

上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の専門家に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで最適な業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。

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ECサイト構築の見積もり依頼内容

目的 コンタクトレンズの通販サイトを作りたい
予算 相場がわからない
業種 小売業
月商 1,500万円
商品数 50点
ページ数 50〜60ページ
デザイン案の有無 無し
素材 トップに掲載して欲しい写真やバナーはこちらで用意している
スマホ対応 スマホ対応したい
決済方法 クレジットカード掲載、コンビニ決済、代引き決済
相談内容 楽天モールに出店しているが手数料が高いため、自社のECサイトを作ろうかと考えている。商品ページの登録・画像や文章の作成は自社で行う予定。

上記の内容で、比較ビズに掲載しているホームページ制作・システム開発会社様に、今回の趣旨を伝えた上で見積もり依頼をお願いしました。記事にする際に社名を書いてしまうと、見積もり金額を安くする可能性があったので、匿名で、見積書を一部公開してもOKという企業様にご協力頂きました。

ECサイト構築の見積もりをしてみた結果

第一弾の「ホームページ制作会社に一括見積もりをとってみた」と同様、今回も東京都内の5社の企業様に見積もり依頼をし、見積もり金額と提案が良い感じにバラけた3社に絞って色々と解説していきたいと思います。

各社の見積もり金額と提案内容

  A社 B社 C社
見積もり金額 79万円 70万 44万円
提案内容 オープンソース型の「EC-CUBE」での提案 オープンソース型の「Wordpress」での提案 ASP型の「MakeShop」での提案
企業特色 ネットショップの構築だけでなくコンサルも行い、トータルソリューションを提供している オープン系システム・アプリケーション開発が得意で、設立15年を超えるノウハウがある 零細・中小企業をターゲットとしたホームページ制作をメインに行っている企業
会社特色 技術力重視 ノウハウ充実 価格重視
資本金 1億5000万 4200万 500万
従業員数 350名 25名 12名

通常、ECサイトというのは一から開発(フルスクラッチ開発)しようとすると莫大な費用が掛かります。1000万とか平気で超えたりします。開発会社側からすると、ECサイトに必要な機能が一式揃っているオープンソース型のソフトウェア(EC-CUBEやWordpress)を導入したり、ASP型のサービスを導入することにより、工数を大幅に削減することができます。

月商5000万円以下のサイトのほとんどは「EC-CUBE」やASP型サービスで開発されていると言っても過言ではないでしょう。

ECサイトを開発するには「フルスクラッチ」「パッケージ」「オープンソース」「ASP・クラウド型」の4種類の方法があります。



クライアントの月商の売上により、企業側はどの手法でECサイトを構築するか判断の基準の一つにしているようです。基本的に業者側が一番良いやり方を提示してくれるので、発注をお考えの方はそこまで気にする必要がないかもしれませんが...。

それでは各社の見積もりに関して詳しい解説を見ていきましょう!

A社(EC-CUBEでの提案)

A社は「EC-CUBE」での見積もりで、金額は79万円となりました。

A社の見積書

■ EC-CUBEによるECサイトの見積書
打合せ・要件定義 80,000円
EC-CUBE導入費 250,000円
デザイン費 160,000円
トップページデザイン (100,000円)
商品ページのデザイン (50,000円)
その他ページのデザイン (10,000円)
コーディング費 150,000円
トップページ (50,000円)
商品一覧ページ (20,000円)
商品詳細ページ (60,000円)
その他ページ (20,000円)
決済導入費 50,000円
サーバー・ドメイン設定 20,000円
SSL導入費 50,000円
小計 760,000円
消費税 60,800円
合計 820,800円

見積書の解説

今回取り上げなかった他の2社もオープンソース型の「EC-CUBE」で提案しており、料金体系も70万〜120万くらいとなっています。 そのため料金相場帯としてはこの辺りで、決して高額という訳ではないでしょう。

「EC-CUBE」はECサイトに必要な機能が一式揃っており、下記の画像のように販売に必要な商品ページを登録する画面や買い物カゴ機能、発送に必要な受注者(注文)を管理する画面、決済に必要な画面などが既に用意されています。

EC-CUBEの構築についてEC-CUBEの構築・導入費用の相場をまとめてみたで解説していますので気になる方は参考にしてください。





見積書の項目に「SSL導入費」とありますが、これはクライアント側にSSL(個人情報を暗号化する仕組み)を購入してもらい、代わりに設置した場合の費用となります。ネットショップにはSSLは必須で、共有SSLと独自SSLがあるのですが、独自SSLの場合は年間1万円〜10万円のものまで様々です。クライアントが実費で負担する形になるので、見積書には含まれません。

今回コンタクトレンズのネットショップ作成だったこともあり、A社は「定期購入するための機能をつけたらどうか」と提案をしてくれました。定期購入とはクレカを登録しておくことにより、毎月自動的に引き落とされて、商品が自宅まで届く仕組みです。

定期的に購入する必要がある商品は、リピーター率向上のため定期購入を実装することが多いようです。ちなみにASP・クラウド型のようなサービスでは、そういったカスタマイズができません。オープンソースならではのカスタマイズと言えるでしょう。

5万円で導入できるみたいなので、定期的に購入する機会のある商材を販売するのであれば、売上アップを図るためにも導入すべきでしょう。

またA社はネットショッピングの集客を得意としており、リスティング代行やショッピングモールへの出店などをサポートしています。今回の見積もりには含まれていませんが、別途費用を払うことにより、コンサルのようなサポートを受けることができます。

A社のメリット

  • ネットショップの集客支援が得意
  • EC-CUBEでの実装なのでショップ運営に必要な機能が十分に揃っている
  • 資本が大きいので何かあったとき安心
  • 定期購入システムのようにカスタムで機能を追加できる

A社のデメリット

  • 3社の中で見積もり金額が一番高い
  • 小規模でスタートするのであれば「EC-CUBE」は多機能過ぎる

B社(Wordpressでの提案)

B社はページを誰でも簡単に投稿できる「Wordperss」での提案で70万円となりました。

■ WordpressによるECサイトの見積書
初回打合せ費用 100,000円
デザイン費 150,000円
トップページデザイン (90,000円)
下層ページのデザイン (60,000円)
Wordpress導入費 230,000円
Wordpressのインストール (30,000円)
テンプレートのカスタマイズ (200,000円)
EC機能の設定(Welcartの導入) 100,000円
その他プラグインの導入(入力チェック等) 50,000円
サーバー・ドメイン設定 20,000円
小計 650,000円
消費税 52,000円
合計 702,000円

見積書の解説

「EC-CUBE」と同じく、誰でも無料で利用できる「Wordpress」に「Welcart」という無料のプラグインを実装した場合の見積書です。最近ではこのような組み合わせで提案している企業が比較ビズ内でも多く、開発会社側は慣れ親しんだWordpressにプラグインを導入するだけなので、比較的簡単にECサイトを実装できるメリットがあります。

関連する商品を出したい、ポイント機能をつけたい、一時的なセールを行いたいといったネットショップ特有の機能も、プラグインで実装できるようです。

ただWordpressは本来ブログを投稿するようなサービスなので、ページ作成周りに機能が特化しています。そのためEC-CUBEやASPと比べると、受注者の管理や発送の管理といった機能は若干使いづらいかもしれません。



その代わり、誰でも簡単にページの作成・変更ができるので、商品ページ以外に随時情報を配信したいような方はWordpressがオススメです。

ECサイトをWordpresssで作成する場合のメリットなどWordPressでECサイトを格安に作るメリットとデメリットで解説しています。詳細を知りたい方は是非参考にしてください。

B社のメリット

  • ページを追加する頻度が高い方にはオススメ
  • 既にWordpressを導入しているサイトであればコストを抑えられる
  • ある程度の範囲ならカスタマイズができる

B社のデメリット

  • 管理画面がネットショップに最適化していない
  • EC-CUBEのようにプラグインが充実していないのでカスタム費用が高額になりがち

C社(MakeShopでの提案)

C社は「MakeShop」での見積もりで44万円となりました。

■ ASPによるECサイト開発の見積書
ディレクション費 50,000円
MakeShop導入費 50,000円
トップページの作成費 200,000円
サブページの作成費 100,000円
サーバー・ドメイン設定 10,000円
小計 410,000円
消費税 32,800円
合計 442,800円

見積書の解説

「MakeShop」とはGMOが提供するASP・クラウド型のサービスで、非常に安価な価格帯でネットショップに必要な機能を揃えることができます。国内で22,000の店舗に導入されており、販売手数料が0円というのが特徴です。

通常、クレジットカードを導入する場合は決済会社とクライアントが直接契約する必要がありますが、ASP型はその必要がありません。ただその代わり手数料が若干高くなっていたりします。「MakeShop」は色々なプランがありますが、スタンダートなプランだと月額1万円で、これは見積書には含まれていない実費の部分となります。

ASP型はデザインを作成してから、管理画面上で反映させていく作業となり、この辺りの流れは楽天やYahooのネットショップの作成と似ています。EC-CUBEと比べてカスタマイズに制限がありますが、その分工数が抑えられるので開発コストを下げることができます。

C社の提案内容を聞いていると「既存モールの出店手数料に嫌気がさして自社ECサイトを構築する」という要望を受けることが多いようですが、納品しても自社ECサイトの方で集客ができず、結局楽天やYahooといった、モール経由の売上が大半を占めてしまった、という悲しい結末を迎えてしまうクライアントが多いようです。

そのためEC-CUBEなどで完成度の高いサイトを作っても、結局無駄になってしまう可能性もあるので、C社は「まずはASP型から始めてみましょう」というスタンスを取っているみたいです。特に新しくネットショップを始めるような方にとっては、EC-CUBEは多機能過ぎるし、見積もり金額も高額になるので、「MakeShop」などの簡単に開発できるASP型をオススメしているようです。

今回依頼した案件内容にて「商品件数は50件」と記載してあったので、この程度のボリュームならASP型で十分と判断されたようでした。

C社のメリット

  • 見積もりが一番安い
  • 納期が非常に短い
  • ネットショップに必要な機能が標準装備されている
  • 決済会社と直接契約しなくていい

C社のデメリット

  • ASP型なのでカスタムがあまりできない
  • 画一的なデザインになりがち
  • イニュシャルコストやランニングコストが実費で掛かる
  • 販売手数料が掛かる場合が多い

各社の提案を比較してみた結果

A社の提案(見積もり79万円)

A社はECサイトの構築だけでなく、コンサル契約すれば集客のアドバイス・代行を行ってくれます。クライアントの数も非常に多く、各業界に特化した集客ノウハウを保有しています。

今回、定期購入システムの提案してくれたのも、A社だけだったので、クライアントの業界を把握して売上アップに貢献してくれる強い味方と言えるでしょう。

「色々と相談しながら売上アップするためのサイトにしたい」「既存モール以外からの販路を拡大していきたい」というような方はA社がオススメです。

3社の中では一番見積もり金額が高く、コンサル契約をすると毎月数万円掛かるのがネックですが、一般的な相場の価格帯なので、そこまで高いというわけでもありません。A社が一番提案内容や、その後のフォロー(こんなこともできるよ、といったこと)がしっかりしていました。

B社の提案(見積もり70万円)

B社は「既存のWordpressで作ったサイトに、ショッピング機能をつけたい!」というような方に取っては一番良い提案でしょう。ネットショップをメインでやるにしては、Wordpressだと若干心もとない気がします。(実際に使ったこともないので、完全に主観ですが...笑)

以前著作権で問題になった「Mery」のように、キュレーションサイトにショッピング機能をつける案件を比較ビズ内でちらほら見かけます。そういった「メディア×EC」のようなサイトの場合は、Wordpressの方がコンテンツの作成が非常にラクなので、オススメです。

C社の提案(見積もり44万円)

C社の魅力は何と言ってもその安さでしょう。

他の2社は70万円台ですが、44万円でECサイトを開発できるのは魅力です。C社の担当者も言ってましたが、これから初めてECサイトを作るような方はASP型で十分だと思います。

ただ今回の依頼は既存モールに出店していて既に売上があり、そこから自社専用のECサイトを作りたいという要望だったので、ASPで大丈夫なのか?という不安は残ります。

しかし色々と調べていると最近のASPは多彩なプランが用意されており、商品件数の上限やデータ容量も、お金さえ払えば解決できるような状態でした。そのためデメリットとしては、自由なカスタマイズができないという点に尽きるでしょう。

反対に最低限の機能しか必要なく、とりあえずネットショップを持ちたい!というニーズにはピッタリなので、そういう方には強くオススメしたいと思います。

まとめ

ECサイトの構築には色々な手法が使われており、見積もり金額も企業によって異なることがわかりました。

ECサイトを作りたい方は、まずどのくらいの売上が見込めるのか、商品数はどのくらいか、というのを企業側に伝えることによって、より正確な見積書を貰うことができます。

各社特徴があり、強みとする武器は様々です。その強みを最大限発揮してもらうためにも、「自社でECサイトを作ってどうしたいのか」を明確にし、将来的に売上アップを続けたいならA社のような企業が良いですし、とりあえず安くしたいならC社のような企業が良いと思います。

単純に見積もり金額で判断しないように、その辺りも考慮しながら企業を選定したいものです。

監修者のコメント
株式会社アンドソリューション
代表取締役 太田 寛

2015年に中野区でシステム開発会社として会社を設立。「ユーザは何を求めているか?」「本当は何をしたいのか?」などユーザビリティ・マーケティング両面から御社のサービス開発をサポート。「開発&大きな付加価値」を追加できるような企画・提案を行う。

この記事内ではECサイトのフルスクラッチ(システム独自開発)の見積もりについては触れていませんが、最低限の機能として「商品登録管理機能、カート機能、注文機能、ユーザ登録管理機能、決済機能(カードなど)」とした場合、大体の予算感はサイトデザイン込みで130〜180万程度が一つのラインになるかと思われます。

実際には「売上管理機能」や「商品一括登録機能」「ユーザ向けのメルマガ配信機能」など欲しい機能を追加するともう少し上がってくることも考えられます。オープンソースやASPを利用した場合より費用が高くなってしまう部分は有りますが、フルスクラッチの何よりも良いところは「御社のオペレーションに合わせたシステムを用意できる」という点にあり、オペレーションとかみ合っていないシステムの場合、規模が大きくなればなるほど人的コストが跳ね上がってしまうため、フルスクラッチで自社にぴったり合ったシステムを用意する方が最終的なコストが大幅にカットできるようになります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

ECサイト構築の依頼でお困りではありませんか?

もしも今現在、

  • 自社の規模の場合での費用がしりたい
  • ECサイトへの流入が増えない
  • どのECプラットフォームが適切かわからない

上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の専門家に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで最適な業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。

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