中小企業投資促進税制の延長決定!令和6年度末まで要チェック
- 中小企業投資促進税制の全体像が知りたい!
- 中小企業投資促進税制ってどうやって活用するの?
「中小企業投資促進税制が2年間の延長をしたって聞くけど、うちにも関係あるの?」「税金が安くなるって聞いたけど、どう売ればいいかわからない…」という方必見!令和6年度末まで実施されることになった中小企業投資促進税制について全体像を解説。
最後まで読めば、節税対策として活用する方法が分かります。個人事業主と法人に分けて、適用できる税額控除と特別償却について解説するので、具体的な節税方法が知りたい方はぜひ参考にしてください。
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【2023年最新】中小企業投資促進税制は2年延長(令和6年度末まで)
中小企業者を対象とした「中小企業投資促進税制」が令和6年まで延長され、設備投資で受けられる税制優遇が今年も継続して実施されます。
政府は売上の伸び悩みを抱えている企業でも地盤を固められるよう、支援策を引き続き行うことになりました。
中小企業投資促進税制とは
中小企業投資促進税制は、設備投資をすることで下記の2つの優遇措置のうちどちらかを選択できる制度です。対象には個人事業主も含まれます。
- 設備の取得価額の30%を特別償却
- 7%の法人税の税額控除
設備を購入することで、毎期耐用年数にあわせて価値を減少させていきます。これを減価償却といい、特別償却は耐用年数に関係なく取得価額の30%を償却費として計上できる方法です。
税額控除は、本来納めなければならない税額から取得価額の7%分の法人税を控除できる方法です。どちらの場合も中小企業投資促進税制を適用できる事業者だけの特権です。
設備投資をする中小企業に対して控除を認める制度
国は経済成長のために企業の中の内部留保を蓄積させるだけではなく、企業が成長するために設備投資でお金を使ってもらう目的があります。
中小企業等経営強化法の認定がなくても利用できる制度のため、設備を導入する予定があればいつでも検討できます。
対象者は青色申告書を提出する中小企業者
中小企業投資促進税制の適用となる事業者は、次の要件にあてはまる事業者です。個人事業主、法人企業の区別はありません。
- 青色申告書を提出している
- 資本金または出資金が1億円以下の法人
- 個人事業主の場合は常時使用する従業員数が1,000人以下
上記の3つの要件に該当していても、対象から外れる場合があります。詳しくは中小企業庁のホームページから「7 中小企業投資促進税制」を参照してください。
控除対象になる設備には条件がある
対象になる設備の条件は次のとおりです。
設備 | 取得価額要件 |
---|---|
機械装置 | 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの |
測定器具 ・検査器具 | 1台又は1基の取得価額が30万円以上かつ事業年度の取得価(1台又は1基の取得価額が30万円以上かつ事業年度の取得価額の合計額が120万円以上のものを含む) |
一定のソフトウェア | 一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの (事業年度の取得価額の合計額が70万円以上のものを含む) |
普通貨物自動車 | 車両総重量3.5t以上 |
内航船舶 | すべて |
中小企業投資促進税制の活用方法
中小企業投資促進税制の活用方法は設備投資ですが、税額控除を適用するか特別償却を適用するか、自由に決定できます。中小企業でも資本金3,000万円超の場合は、特別償却のみ適用可能です。
特別償却には次のようなメリットとデメリットがあるため、適用するときは検討が必要です。
- メリット : 経費が多くなるため課税所得を減少させられる
- デメリット : 償却が早く進むため翌年以降も黒字が続く場合は経費にできる期間が短くなる
具体的に事例を挙げて、税額控除と特別償却の違いについて解説します。
個人事業主の場合
個人事業主の場合、対象となる税金は所得税で前提条件は次のとおりです。
- 所得税率は33%(控除額は153万円)
- 購入した設備は機械装置で800万円
- 課税所得は1,000万円
- 復興税および個人事業税は計算、百円単位の税額は便宜上、考慮しない
パターン1. 税額控除を利用する
税額控除を利用した計算方法は以下のとおりです。
(1,000万円−153万円)×33%−800万円×7%=223万5千円
結果、223万5千円になります。
パターン2. 特別償却を利用する
特別償却を利用した計算方法は次のとおりです。
800万円×30%=240万円
結果、240万円になります。
法人の場合
法人企業の場合、対象となる税金は法人税で前提条件は次のとおりです。
- 法人税率は33%
- 購入した設備は機械装置で800万円
- 課税所得は1,000万円
- 法人地方税や事業税は計算の便宜上、考慮しない
パターン1. 税額控除を利用する
税額控除を利用した場合、計算方法は以下のとおりです。
1,000万円×33%−800万円×7%=274万円
結果、274万円になります。
パターン2. 特別償却を利用する
特別償却を利用した場合、計算方法は以下のとおりです。
特別償却額は800万円×30%=240万円
法人税額は(1,000万円−240万円)×33%=250万8千円
結果、250万8千円になります。
まとめ
投資促進税制は、設備投資を検討している中小企業や個人事業主にとって節税効果が高い方法です。要件にあてはまれば、税務申告で対応できるため特別な届出は必要ないという手軽さもあります。
税額控除を適用するか、特別償却を適用するかは経営状態とも関連してきます。どちらの適用が望ましいか自分で検討できない場合は、専門家に相談するのもよいでしょう。
設備投資の予定がある事業者は、投資促進税制の適用を検討しましょう。
札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。
特別償却は複数年で考えると経費に算入される金額は変わらず、税負担を先送りにしているといえます。ただし、単年度で見ると節税効果は大きく資金繰りが楽になるという特徴があります。
税額控除は、法人税額の20%を限度として対象資産の取得価額の7%を控除できます。その事業年度の法人税額から控除しきれなかった場合は、1年間の繰り越しが認められます。複数年度で考えると税額控除の方が税負担が軽減することになります。
適用対象資産は新品が対象であり、中古資産の場合は金額要件を満たしても対象になりません。 事業供用日にも注意が必要です。この制度は事業供用日を含む事業年度に適用を受けることになります。納入日と事業供用日が異なるケースでは間違えやすいので気を付けましょう。
中小企業投資促進税制は中小企業経営強化税制と異なり、中小企業等経営強化法の認定がなくても活用できる税制です。使い勝手が良い制度ですので対象資産がある場合は積極的に利用しましょう。
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