助成金と補助金の違いは?共通事項や代表的な事業・活用する3つのポイントを解説

涌井社会保険労務士事務所
監修者
涌井社会保険労務士事務所 社会保険労務士代表 涌井好文
最終更新日:2024年06月12日
助成金と補助金の違いは?共通事項や代表的な事業・活用する3つのポイントを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 助成金・補助金の違いはある?
  • 代表的な助成金・補助金は?
  • 助成金・補助金を活用するポイントは?

「助成金も補助金も似ているけど、違いがわからない...」とお悩みの会社経営者は必見です。

助成金と補助金は「審査・採択の有無」「公募期間・給付金額」「目的・主体となる機関」に違いがあります。一方で、要件を満たす個人事業主・法人であれば誰でも受給でき、返済不要な点は共通です。要件に該当する助成金・補助金がある場合は、積極的に申請しましょう。

本記事では、助成金と補助金の違いや共通事項・代表的な事業・活用する3つのポイントを解説します。記事を読み終わった頃には、助成金・補助金の違いを理解して、助成金・補助金を事業運営に役立てられるでしょう。

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助成金と補助金の違い・それぞれの特徴

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助成金と補助金の違いは、以下のとおりです。

  助成金 補助金
目的 労働者の雇用安定、技術発展 国・地方の経済活性化
主体となる交付機関 厚生労働省、地方自治体 経済産業省、地方自治体
給付金額 小さい(数十万円) 大きい(数百万〜数千万円以上)
公募期間 数カ月、もしくは随時 2週間〜1カ月
給付の条件 要件を満たす個人事業主・法人 要件を満たす個人事業主・法人が申請して採択されること
給付金の返済 不要 不要
受給時期 後払い 後払い

助成金と補助金は、似ているようで違いがあります。大きな違いは、以下の3つです。

  1. 審査・採択の有無
  2. 公募期間・給付金額
  3. 目的・プログラムの主体となる機関

助成金と補助金の違いを理解することで、活用する際にスムーズに選択できます。ポイントを抑えて、効率よく申請を行いましょう。

1. 審査・採択の有無

助成金と補助金は、審査・採択の有無に違いがあります。助成金は、一定の要件を満たす個人事業主や法人が受給申請し、プログラムに取り組んだ結果を報告することで給付されます。

それぞれの助成金プログラムに沿った取り組みが条件です。受給申請することでほぼ問題なく給付されるでしょう。

一方で補助金は、一定の要件を満たすプログラムに取り組んだ結果を報告し、原則として審査を経て採択された個人事業主・法人のみに給付されます。

プログラムの範囲内でどのような事業に取り組むか、他社と差別化できるポイントは何かなど、申請書の内容が重要になります。補助金は、必ず受給できるものではないため注意しましょう。

2. 公募期間・給付金額

助成金と補助金は、公募期間・給付金額に違いがあります。助成金は、随時申請を受け付けているプログラムが存在し、短いものでも数カ月と公募期間に比較的余裕がある点が特徴です。

申請することで問題なく受給できる反面、給付金額が少なめに設定されています。多くの助成金プログラムの給付金額は数十万円程度です。

一方で補助金は、2週間から1カ月と公募期間が短めで、給付金額が比較的高めに設定されています。予算の上限があらかじめ決まっており、審査・採択によって給付する個人事業主・法人を絞り込んでいるためです。

補助金の給付額は、数百万円から数千万円以上・億を超える場合もあるでしょう。

3. 目的・プログラムの主体となる機関

助成金と補助金は、目的・プログラムの主体となる機関が異なります。助成金は、労働者の雇用安定・職場環境の改善や企業の技術発展に向けた研究などに取り組む企業をサポートする点が特徴です。必要な個人・法人に、幅広く給付する目的があります。

主体となる交付機関は厚生労働省・地方自治体が中心で、民間団体や一般企業が主体となる官民合同の助成金プログラムも存在します。

一方で補助金は、国・地方の経済活性化に向け、産業の育成や事業推進などに取り組む企業をサポートする点が特徴です。主体となる交付機関は、経済産業省・地方自治体などが中心で、民間団体や一般企業などが主体となる官民合同の補助金プログラムも存在します。

助成金と補助金の共通事項

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助成金と補助金の共通事項は、以下のとおりです。

  1. 個人事業主・法人が要件を満たした場合に申請可能
  2. 受給した補助金・助成金の返済は原則不要
  3. 補助金・助成金は原則として後払い

助成金と補助金は、原則返済不要のため事業資金に利用しやすいですが、後払いがほとんどのため支払いが完了した経費が戻ることになります。

事業に必要な経費を一時的に支払う必要があるため、ある程度の事業資金が必要です。助成金・補助金をあてにしすぎると、資金不足に陥る可能性があります。

1. 個人事業主・法人が要件を満たした場合に申請可能

助成金・補助金は、受給要件を満たす個人事業主や中小企業を含む法人が受給申請し、一定のプログラムに取り組むことで給付が決定します。

補助金・助成金によって給付の要件・プログラムは異なりますが、対象となる個人事業主・中小企業が業種に応じて明確に定義されている点も共通です。

たとえば、IT導入補助金で中小企業に該当する定義は、以下のとおりです。

業種 資本金 常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業 3億円以下 300名以下
卸売業 1億円以下 100名以下
サービス業 5,000万円以下 100名以下
小売業 5,000万円以下 50名以下

上記のように明確に定義されているため、該当する助成金・補助金を見つけやすいです。

2. 受給した助成金・補助金の返済は原則不要

助成金・補助金を受給した場合、原則返済は不要です。融資と異なり返済する必要がないため、事業資金に利用しやすいといえます。

助成金・補助金は、プログラムの要件を満たす必要があるため、給付されたお金は自由に使えません。補助金は会計検査院によって使途検査の実施があり、結果次第で補助金の返還を求められる場合もあります。

3. 助成金・補助金は原則として後払い

助成金・補助金のほとんどは、原則としてプログラム終了後の後払いとなります。助成金・補助金が事業を始めるための資金ではないためです。事業に取り組んだ結果、かかった費用の一部、もしくは全部を助成・補助してくれます。

助成金・補助金の申請から受給までの流れは「申請→プログラムの実施→結果報告→補助金・助成金の振り込み」です。「振り込みを確認してからプログラムに着手する」方法はできません。

助成金・補助金を活用する際は、プログラム実施に必要な自己資金を用意するか融資を受けておく必要があります。

助成金・補助金と給付金の違い

助成金・補助金と給付金の違いは「一定の取り組みが必要か」です。助成金・補助金は、要件を満たす個人事業主・法人が、ある一定の取り組みを前提に申請することで受給できます。給付金は、要件を満たす対象者が申請することで受給できるものです。

補助金・助成金は個人事業主・中小企業を中心とした法人が対象ですが、給付金は個人を対象とする場合もあります。たとえば、失業等給付金・育児休業給付金・介護休業給付金などは、個人が対象です。

代表的な助成金3選

代表的な助成金は、以下の3つが挙げられます。

  1. キャリアアップ助成金:厚生労働省
  2. 業務改善助成金:厚生労働省
  3. 両立支援等助成金:厚生労働省

助成金の種類は非常に多く、毎年公示される種類・内容が異なります。代表的な助成金の概要を把握して、活用できる助成金は積極的に利用しましょう。

1. キャリアアップ助成金:厚生労働省

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参照:キャリアアップ助成金:厚生労働省

キャリアアップ助成金とは、企業内の非正規労働者のキャリアアップ促進を目的とした助成金制度です。厚生労働省が主体となって実施されています。

非正規労働者への教育・育成を通じて正社員化・処遇改善など、キャリアアップへの取り組みが認められた企業の経費をサポートする助成金です。

正社員化コース・障害者正社員化コース・従業員の待遇改善に応じた助成金が給付される賃金規定等改定コースなどの7コースが用意されています。キャリアアップ計画書を作成し、労働局やハローワークへの申請で受給可能です。

2. 業務改善助成金:厚生労働省

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参照:業務改善助成金|厚生労働省

業務改善助成金とは、小規模事業者・中小企業の生産性向上をサポートし、事業所内最低賃金の引き上げを目的とする助成金制度です。

厚生労働省が主体となり、生産性向上を目的に投資した機械設備・人材育成・教育訓練などの費用を、最低賃金の引き上げ額に応じて助成します。

30円から90円の4コースが用意され、最大で600万円、助成率5分の4と、助成金プログラムでは金額が大きい点が特徴です。生産性要件を満たせば、助成率が最大で10分の9まで拡大されます。

3. 両立支援等助成金:厚生労働省

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参照:令和6年度 両立支援等助成金の制度変更予定等をお知らせします|厚生労働省

両立支援等助成金とは、仕事と家庭の両立など、従業員の労働環境改善に取り組む企業をサポートを目的とする助成金制度です。厚生労働省が主体となり、各地域の労働局が実施しています。

2024年の両立支援等助成金は、以下3つのコースが用意されています。

  1. 出生時両立支援コース
  2. 育休中等業務代替支援コース
  3. 柔軟な働き方選択制度等支援コース

代表的な補助金3選

代表的な補助金は、以下の3つが挙げられます。

  1. IT導入補助金:サービスデザイン推進協議会
  2. 小規模事業者持続化補助金:日本商工会議所
  3. ものづくり補助金:全国中小企業団体中央会

補助金の種類も非常に多く、毎年公示されるもの・新設されるもの・改正されるものなど多種多様に存在します。代表的な補助金の概要を把握して、活用できる補助金は積極的に利用しましょう。

1. IT導入補助金:サービスデザイン推進協議会

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参照:IT導入補助金2024|IT導入補助金2024事務局

IT導入補助金2024とは、経済産業省が交付機関の主体となり、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が実施する補助金プログラムです。小規模事業者や中小企業の生産性向上を目的に、ITツールの導入費用の一部を補助します。

応募枠は、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠・複数者連携IT導入枠の4つです。IT導入補助金は、補助金を申請し、支給が確定したのちにITツールを導入します。申請するためには、IT導入支援事業者のサポートが必要です。

2. 小規模事業者持続化補助金:日本商工会議所

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参照:小規模事業者持続化補助金|小規模事業者持続化補助金事務局

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が時代の変化に対応して継続的に事業展開できるようサポートする補助金制度です。日本商工会議所が主体となり、以下の事業者に実施されます。

  • 5名以下の商業・サービス業
  • 20名以下の製造業・宿泊業の事業者
  • 一定の要件を満たした特定非営利活動法人 など

地域の商工会・商工会議所の助言を受けながら経営計画を策定します。地道に販路開拓に取り組む費用を上限50万円・補助率3分の2までサポート可能です。

3. ものづくり補助金:全国中小企業団体中央会

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参照:ものづくり補助金総合サイト

ものづくり補助金とは、小規模事業者・中小企業のものづくり・商業・サービス生産性向上促進を目的とする補助金制度です。中小企業庁・独立行政法人全国中小企業団体中央会が主体となり、革新的サービスの開発・生産プロセスの改善に伴う設備投資に活用できます。

応募枠は、省力化枠・製品・サービス高付加価値化枠・成長分野進出類型・グローバル枠が用意されています。支給上限は2,250万〜1億円と、規模の大きな補助金プログラムです。

補助率は、2分の1〜3分の2と100%支給されるものはないですが、大きな援助を受けられます。

助成金・補助金を活用する3つのポイント

助成金・補助金を活用するポイントは、以下の3つが挙げられます。

  1. 後払いが基本のため事前の資金確保が必要である
  2. 申請から支給まで1年以上かかることがある
  3. 給付されないケースがある

助成金・補助金は、後払いが基本のため使った経費の一部(100%の場合あり)を受給できる制度です。指定されたプログラムを達成しないと、受給資格を得られません。助成金・補助金の受給目的で申請すると、スムーズに進められないため注意しましょう。

1. 後払いが基本のため事前の資金確保が必要である

助成金・補助金は後払いが基本のため、事前の資金確保が必要です。申請するためには、指定されたプログラムに対して経費を支払う必要があります。そもそも経費の支払いができない状態では、助成金・補助金の申請はできません。

事前の資金計画をしっかり立てて、助成金・補助金に頼らない資金繰りが重要です。助成金・補助金の獲得目的で、決められた費用以外に使用した場合は、返却を求められる可能性があります。

2. 申請から支給まで1年以上かかることがある

助成金・補助金は、申請から支給まで1年以上かかる可能性があります。プログラムにもよりますが、助成金の場合は6〜8カ月、補助金の場合は2〜3カ月かかるでしょう。

金融機関の融資のように支給が確定してすぐに受給できるわけではないため、入金されるまでの期間を想定したスケジュール作成が重要です。

3. 給付されないケースがある

助成金・補助金は、給付されないケースがある点に注意しましょう。特に補助金の場合は採択があるため、申請書の内容によって受給できません。ほかにも、以下のケースでは支給されない可能性があります。

  • 事業期間外の支出は支給対象にならない
  • 事務処理に不備があると支給できない

事業期間外の支出は支給対象にならない

助成金・補助金は、事業期間外の支出は支給対象とならない可能性があります。各プログラムには実施期間が定められており、期間内の支出に限定されているためです。実施期間から1日でもずれていると、発生した諸経費は助成金・補助金の支給対象となりません。

事務処理に不備があると支給できない

助成金・補助金は、事務処理に不備があると支給できない可能性があります。提出処理に不備があったり目的以外の出費があったりすると、正常に受理されないためです。

助成金・補助金は事業対象となる期間の終了後に、事業の報告書や振込票の控えなど支払証憑類を提出し、承認されてはじめて支給となります。提出書類がきちんと作成されていない、書類漏れがあるなどの場合は、受給できません。

まとめ

助成金と補助金の主な違いは「審査・採択の有無」「公募期間・給付金額」「目的・プログラムの主体となる機関」の3つが挙げられます。「お金がもらえるなら、どれも同じ」ではないため、それぞれの特徴を掴んでおきましょう。

助成金・補助金は、要件を満たした場合に申請可能・原則返済不要・原則後払いの3つが共通点です。基本的な利用方法は大きく変わらないため、助成金・補助金に限らず、自分にあったプログラムを積極的に申請しましょう。

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監修者のコメント
涌井社会保険労務士事務所
社会保険労務士代表 涌井好文

保有資格:社会保険労務士、行政書士。平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。近時はインターネット上でも活発に活動しており、クラウドソーシングサイトやSNSを通した記事執筆や監修を中心に行っている。

補助金や助成金には、大変多くの種類がありますが、代表的なものとしてコロナ禍で耳にすることの増えた従業員の雇用維持を図るための雇用調整助成金などが挙げられます。対象となる事業や支給額、期限等がそれぞれ異なり、数多くの種類が存在する補助金や助成金ですが、原則として自ら申請することが可能です。

しかし、自社の現在の状況に合わせて、申請すべき適切な補助金や助成金を選択し、必要とされる書類等を集め、期限までに申請することは、そうそう容易なものではありません。また申請する補助金等によっては、事業計画を作成しなければならない場合もあり、申請書の作成には専門的な知識が必要となってくることが多くなっています。

現在ではインターネット上に多くの情報が存在しており、掲載された情報を参考にすれば、補助金や助成金の申請自体は可能かも知れません。しかし、掲載された情報が間違っている又は古い情報のままアップデートされていないことも往々にして存在するため、確実に補助金や助成金の支給を受けたいのであれば、専門家の力を借りることをお勧めします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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